- 仏壇の扉はずっと開けっ放しで大丈夫なのかな?
- 『家族に不幸があった時は仏壇の扉を閉めておく』って聞いたんだけど本当なの?
- 仏壇の扉が二重になってるのはなぜ?
あなたはいつも仏壇の扉をどうしていますか?
ずっと開けたままですか?
それとも、昼間は開けておいて夜は閉める、みたいなカンジですか?
結論から言いますと、仏壇の扉はずっと開けっ放しでいいです。
仏壇の中の《ご本尊様》がいつでも家の中を見渡せるようにすることが大事なので、仏壇の扉は『24時間365日ずっと開けておく』という認識でかまいません。
この記事では、お坊さん歴20年以上の僕が、
- 仏壇の扉をずっと開けっ放しにしてよい理由
- どのような場合に仏壇の扉を閉めるのか
- 仏壇の扉が二重になっている理由
について詳しく解説しています。
最後まで読むと、もう『仏壇の扉の開閉』について悩まなくなりますので、ぜひチェックしてみてください。
仏壇の扉は開けておくの?それとも閉めるの?

これ、ホントによくある質問です。
初めて家族に不幸があった家で、仏壇のことが分からない人から質問されるのはもちろん、意外にも【由緒ある古い家】の人からも同じ質問をされます。
仏壇の扉の開閉について質問をする人は、きっと【いろんな人の意見を聞いてしまい、何が正しいのか分からない状態】なのでしょう。
さらには、同じ宗派や地域であっても、お寺の住職の考え方によって意見が違うので、なおさら分かりづらいです。
仏壇の扉の開閉については、だいたい、
- 『ずっと開けておく』派
- 『夜間だけは閉めておく』派
の2つに分かれますが、じつは仏壇の扉の開閉については『正解』がないので、どちらも間違いではないんですよね。
ちなみに僕は、仏壇の扉はずっと【開けっ放し】でいいという考えです。
なぜなら、仏壇の扉を開けるのは『ご本尊様から家の中が見渡せるようにするため』だからです。
仏壇の中には必ず《ご本尊様》を安置します。
ご存じでない方も多いのですが、ご本尊様がいないと『仏壇の役割』を果たすことができないので、まだご本尊様がない場合は必ず購入をしてください。
仏壇の中におられるご本尊様は、いつもあなたの家全体を見守ってくれています。
それなのに、扉を閉めたらご本尊様から何も見えなくなってしまうわけですから、常に開けておいていいのです。
しかし、「夜は扉を閉めるべき」という人もいます。
「夜は扉を閉めるべき」と言う人の中には、『仏壇の扉の開閉』と『家の戸締り』を同じように考えている人もいます。
しかし、【家の扉】と【仏壇の扉】はまったくの別物として考えてください。
ご本尊様は昼夜を問わず見守ってくれているのですから、家族みんなが安心して眠れるように、夜も仏壇の扉を開けて、ご本尊様に見守ってもらうべきなんです。
一方で家の扉は、家族みんなが安心して眠れるように、しっかりと戸締りと施錠をするべきです。
というわけで、家の戸締りはちゃんとしなきゃダメですが、仏壇の扉はずっと開けておいてください。
また、「夜は仏壇の扉を閉めておかないと【飼い猫】が中に入ってしまうかもしれない。」と言う人もいます。
たしかに猫は狭い場所を好む生き物ですから、家族みんなが寝ている間に仏壇の中に入ってしまう可能性はあります。
あるいは、猫だけではなく【ネズミ】や【虫】なども入る可能性があります。
もしも、夜間に【飼い猫】【ネズミ】【虫】が仏壇の中に入ることがどうしても気になるのであれば、扉を閉めてもいいと思います。
仏壇の扉の開閉には『正解』がありませんから、心穏やかに過ごせる方を選択していいんです。
とはいえ、【飼い猫】は昼夜を問わず狭い場所に入りますし、それは【ネズミ】や【虫】だって同じこと。
だったら、常に開けっ放しでも同じではないでしょうか?
【関連記事】⇒仏壇の意味と役割とは?仏壇の準備からお参り方法まで丁寧に解説
仏壇の扉はなぜ二重なのか

あなたの家の仏壇は扉が二重になっていませんか?
二重の扉のうち、
- 外側の扉は『雨戸』
- 内側の扉は『障子』
といいます、私たちが住む家と同じ呼び方ですね。
それで、僕がさっきから「仏壇の扉は開けておいてください」と言っているのは、この『雨戸』と『障子』の両方を開けて中が見えるようにしてくださいという意味です。
でも、なぜ仏壇に扉が2つあるのか不思議ですよね?
仏壇に扉が2つある理由は、仏壇は『お寺の本堂』の代わりだからです。
じつは、仏壇の中というのは『お寺の本堂』に似せて造られているんです。
お寺の本堂には雨戸と障子扉があって、昼間は信者さんたちが参拝に来ますから、両方の扉を開けたり、あるいは雨戸だけを開けていたりします。
そして、夜になると両方の扉を閉めて施錠をしています。
だったら、本堂と同じように、仏壇の扉も毎日ちゃんと開け閉めするべきなんじゃないの?
そうなんです、じつはお寺側としても本当は夜もずっと本堂を解放していたいんです。
だって、本堂は誰でも参拝してよいものですし、昼間に参拝できない人だってたくさんおられますからね。
お寺というのは、昼夜を問わず誰に対しても開かれた場所であるべきなのです・・・本来であれば。
でも、現実には盗難やイタズラがあるんですよね。
それで、本来であれば本堂は常に解放されるべきですが、やむを得ず夜間は扉を閉めているわけです。
つまり、お寺の本堂の場合、扉は【防犯上の理由】で閉めているだけなんです。
でも、仏壇は違います。
仏壇は家の外に出しているわけでもないし、扉を閉めて防犯対策を施す必要もないわけですから、扉は常に開けておいて大丈夫なのです。
扉の開閉についてよくある質問

仏壇の扉の開閉についての質問は、
- 家族に不幸があったとき
- お盆のとき
に受けることが多いです。
では、それぞれの場合で、扉を開けておくのか、それとも閉めるのか、順番に説明していきます。
家族に不幸があったときは仏壇の扉を閉めるの?
この前、信者さんとお葬式の打ち合わせをしているときに、
と質問されました。
それを聞いて、僕は、
って思いました。
仏壇を購入したばかりで【魂入れ】をしていないという場合は扉を閉じておいていいですが、すでに【魂入れ】が終わっている仏壇なら開けておくべきです。
「49日忌までは仏壇の扉を閉めるべき。」と言う人は、たぶん仏壇と神棚がごっちゃになっているのでしょう。
神道の場合は、【死】を『穢(けが)れ』として考えているので、家族に不幸があると、神様に故人の姿を見せないように神棚を白い紙で隠します。
これを『神棚封じ』といいます。
でも、仏壇の場合は、49日忌までの間もずっと扉を開けておくようにしてください。
なぜなら、故人は、あの世に行くまでの間は『不安定な状態』のまま家にいらっしゃるからです。
亡くなった人は、
49日忌に【仏様の世界(あの世)】へ行くまでの間は霊魂としてこの世に残っている
とされています。
つまり、故人の霊魂はまだ仏様の世界には行っておらず、でも故人の身体は火葬をしてもう無くなっている、という中途半端で不安定な状態なんですよね。
そんな不安定な状態の故人を守ってくださるのが、仏壇におられるご本尊様です。
だから、ご本尊様から故人の霊魂が見えるように、仏壇の扉は閉めちゃダメ。
ということで、家族に不幸があったときこそ、仏壇の扉は開けておくようにしてください。
お盆の時は仏壇の扉を閉めるべき?
お盆になると、故人はあの世から家に帰って来ます。
お盆期間中は、位牌を仏壇から出して、精霊棚(しょうりょうだな)という【ご先祖様や故人のために別に設けた席】に置きます。
位牌を仏壇から出す理由を説明し始めると長くなってしまうので、詳しくは『お盆の意味や由来。お盆の供養と風習についても詳しく解説』の記事を読んでみてください。
要するに、お盆期間中は位牌を仏壇から出してあげないと、ご先祖様や故人が家でもゆっくりできなくて可哀想な状態になってしまうんです。
なので、お盆期間中だけは位牌を少しでも仏壇から切り離してあげるという意味で、扉を閉じるのはアリです。
一方で、やはり仏壇のご本尊様には家の中を見守ってもらいたいから扉は開ける、というのもアリなんですよね。
なので、お盆期間中に関しては、扉を開けても閉めてもどちらでもいいんです。
なんだかごめんなさい、白黒はっきりした返答ができなくて。
でも、そこが【柔軟な考え方をする日本の仏教】のいいところでもあります♪
大掃除の時だけは閉める

じつは、僕が「仏壇の扉を閉めてくださいね。」とお願いしている唯一の場面があります。
それは、年末の大掃除のときです。
さすがにですね、大量のホコリが舞う部屋の中で「仏壇の扉は開けておいてください!」とは言えないですよ。
年末の大掃除、この時ばかりは仏壇の扉は閉めてください。
大掃除が終わったら再び扉を開けて、ピカピカになった家をご本尊様に見せてあげてください。
まとめ:仏壇の扉はずっと開けっ放しにしておきましょう
仏壇の中には【ご本尊様】がおられて、あなたの家全体を見守ってくださっています。
だから、仏壇の扉はずっと【開けて】おいてください。
せっかくご本尊様が見守ってくれているのに、何でそれをわざわざ遮断するんですか?
家族に不幸があった時も、お盆の時も、仏壇の扉は開けっ放しでいいんですよ。
扉を閉じるのは、大掃除の時みたいに【部屋中がホコリだらけになる】ような時くらいですかね。
もしかすると、知人や親戚からのいろんなご意見があるかもしれませんが、それらは無視してOKです。
とにかく常に【開けて】おいて大丈夫!
仏壇の扉は常に開けておいて、ご本尊様とあなたの顔がお互いにいつでも見えるようにしておきましょう。