仏事全般

お経にはどんな意味があるの?なぜ供養をする時にお経を読むのか。

どうも、お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

この記事はこんな人に向けて書いています
  1. お経って一体何なの?
  2. お坊さんは、何のためにお経を読んでいるの?
  3. 故人を供養をするにはお経が必要なの?

お坊さんが何やら意味のわからない言葉をひたすら声に出し続けているもの、それは『お経』。

お経は、お葬式や法事などの【法要】の時に読まれます。

でも、お経を聞いたところで、あなたをはじめ多くの人はきっと、

  • 「う~ん、何を言っているのかサッパリわからん・・・。」

って思うはず。

お坊さんは日頃からお経を読んでいて、その意味も当然わかっています。

一方、お坊さん以外でお経のことをちゃんと知っている人はとても少ないです。

ほとんどの人には、お経が『呪文』のように聞こえていることでしょう。

たまに、「えっ、もしかして同業者なの?」っていうくらいメチャクチャお経に詳しい人もいますが、そういう人はおそらく、お経もしくは仏教の【マニア】かと。

そのようなマニアの方には必要ないかもしれませんが、お坊さんとして、いろんな人にお経がどういうものなのかをもっと伝えるべきかなと思っています。

あなたがこの記事を見ているのは、『お経』について興味を持ってくれたからですよね?

どうもありがとうございます!

そんなあなたのために、今回は、

  1. お経そのものの意味
  2. お経の効果
  3. 供養をする時にお経を読む理由と目的

について書いてみました。

これを読み終わる頃には、あなたはきっと、マニアほどではないですが、少なくとも【お経の初心者】からは脱出してますよ♪

お経にはどんな意味があるの?

お経は、あなたもご存じのように、

  • お葬式
  • 回忌法要(=法事)
  • その他の法要

の時にお坊さんが読んでいます。

でも、お経を聞いたところで、何を言っていて、それがどのような意味なのか、そういうことが全然わかりませんよね?

お任せください。

お坊さん歴20年以上のぼくが、わかりやすく、丁寧に解説していきますから!

では、早速まいります。

まず、お経というものは、もともと、

お釈迦(しゃか)様が説いた多くの法(=教え)を弟子たちがまとめたもの

なんです。

お釈迦様は、悟りを開いた後に、いろんな場所へ出向いては【悟りで得た真実】を多くの人々に伝え続けました。

お釈迦様、めっちゃ頑張って伝え続けてくれました。

しかも、人によって伝える方法を変えて、誰でも理解できるように工夫をしてくれたんですよ。

ちなみに、人によって伝え方を変えることを、

対機説法(たいきせっぽう)

といいます。

これを、お釈迦様はひたすら続けてくれたんですって。

晴れの日も、雨の日も、嵐の日も、休むことなく教えを伝え続けたんですよ、たぶんね。

そんなお釈迦様の努力の成果ですね、ありがたいことに膨大な数の教えが後に残されました。

ただですね、あまりに教えの数が多すぎて、

「オレは◯◯って聞いたで。」

「いやいや、何を言うてんねん、ワシは△△って聞いてるけど!?」

「アンタらほんまにアホやな、それは□□っていう意味やんか!」

みたいに、教えの解釈でモメたんですよ。

そこで、お釈迦様の弟子たちが定期的に集まって、

「コレとコレは、つまり◯◯ということを言うてはったんやな。」

というカンジで、数ある教えの内容を少しずつまとめていったわけです。

それらのまとめられた教えが、内容ごとに分類されて『◯◯経』となったんですね。

まぁ、じつは、お釈迦様が入滅された(亡くなった)後からも、たくさんお経が作られたんですけどね。

ちなみに、そのようなお経のことを『偽経(ぎきょう)』といいます。

で、「お経にはどんなことが書かれているの?」ってことになりますよね?

もちろん、お経によって内容は違います。

しかし、あえてそこをザックリ言うと、お経とは、

  1. あらゆる物事の本当の姿(=真理)を教えてくれるもの
  2. いろんな仏様の持つ力(=能力)の素晴らしさを教えてくれるもの
  3. いろんな仏様がもたらす利益のありがたさを教えてくれるもの
  4. いろんな仏様を褒め称え、感謝をお伝えするもの

というカンジの理解でOKです。

つまり、お経の内容は、

  • 「コレって本当は◯◯っていうことやねんで!そんで、仏様たちってスゴイんやで!こんなチカラがあるし、こんなご利益まであんねん!ホンマにありがとうございます!」

ということが書かれているものなんですよ。

いろんなお経でいろんなことが書かれていますが、いずれにせよ、お経というものは、【私たちが幸福になるため】の教えがたくさん詰まった非常にありがたいものです。

読んでもよし、聞いてもよし

あなたは『経本』を見たことがありますか?

経本とは、お経が書いてある本(冊子)のことです。

この記事の最初にある画像を見てもらえればわかるように、経本の多くは漢字がズラーっと並んでいるんですよ。

そして、基本的にフリガナなんて書いてませんので、まず読み方がわからないんですよね。

ぼくも、お坊さんになりたての頃は、経本を見たところでまったく読めませんでした。

だから、お坊さんとしての第一歩は、まずこの経本の【フリガナをふる】ことから始まるんです。

そして、最初はつまずきながら苦労して読んでいたお経も、半年経てばスラスラ読めるようになります。

さらに、もう半年経てば経本を見なくてもお経をお唱えできるようになっちゃいますね。

もしも「お経を読めるように練習してみようかな?」と思ったら、ぜひ挑戦してください。

コツは、お経を読めなくても焦らないこと、です。

少しずつでいいんです、ゆっくりでかまいませんから、できるだけ【正確に】読むように心がけてください。

お経は、

経本の中にある言葉を実際に口に出して読むことで、いろんな仏様からご利益がいただける

んですよ。

亡くなった人を供養する時は、お経を読むことで得られたご利益を故人にも同時に回し向けているんです。

つまり、お経を読んで故人を供養することで、お経を読む人と故人の両者がご利益を頂くことができます。

どうでしょう?

お経って、けっこうスゴいものだと思いません?

でもね、まだスゴいことがあるんですよ。

お経を読む人や故人にご利益があっても、お経が読めなくて【聞いているだけ】の人はどうなるの?ってことになると思うんです。

お経のスゴいのは、

【聞いているだけ】でも同じ効果がある

というところです。

お経を誰かが口に出して読むことで、それが他の人にも『読経の声』として聞こえます。

つまり、お経のご利益が『読経の声』に乗って、それを聞く人に届いているわけですね。

というわけで、お経って、

読んでもよし、聞いてもよし

なので、とってもありがたいものなんです。

お経の内容の意味はわからなくてもいい?

ぼくは以前、お坊さん達を対象とした講義の中で、大先輩から聞いた言葉で衝撃を受けたことがあります。

大先輩「それでは、何かわからないことはありますか?」

ぼく「一つだけよろしいですか?」

大先輩「あぁ、どうぞ。」

ぼく「お経の中に書いてある内容が難しくてあまり理解できないんですが、それでもお経を読んでいて意味がありますか?」

大先輩「うん、意味はあるよ。お経っていうのはね、内容がわからなくても【読むこと】自体が重要なんだよね。とにかく、お経の中に書いてあることを正確に読むことで仏様のお力やご利益がいただけるんだよ。昔の現地の言葉をそのまま音写している部分なんかは特にそうだね。」

ぼく「あぁそうだったんですか、わかりました、ありがとうございます。(えぇっ?ホンマに!?内容がわからんのに、それでも意味あんの?)」

こんなカンジでした。

お経はずっと昔から、それこそ仏教が始まった2,500年前から受け継がれてきたもので、その間多くの人々の心の支えになってきました。

その中には、

「いまいち意味がわからん、でも、何だか安らぐわぁ。」

みたいな人だっていたはず。

お経の内容がわかっていないとダメなら、たぶんお経はとっくに無くなっていたと思うんですよ。

だって、お経の内容なんてメチャクチャ難しいから、ぼくも含めて普通の人には理解するのは無理だと思いますけどね。

あれをちゃんと全部理解できるなんて、ほんの一部の人だけ。

それでも、お経というものが無くなることなく今までずっと受け継がれてきたんです。

きっとみんな、読むだけでちゃんと利益があると実感していたんでしょうね。

供養をする時にお経を読む理由

お経が誰にとってもご利益のある、とてもありがたいものであることは先ほどお伝えしました。

そのありがたいお経は、主に、お葬式や法事など【故人の供養】をする時に読まれます。

では、なぜ故人の供養の時にお経を読むのでしょうか?

まず、基本的なこととして、お経を読む目的は、

  • 世の中の真理を伝える
  • さまざまな仏様を褒め称える
  • 仏様へ日頃の感謝をお伝えする
  • 読経による功徳やご利益を、亡き人やその場にいる人たち全員へ回し向ける

ため、です。

これらのため、故人を供養をする時にもお経を読みます。

しかし、お経を読むことには、もう少し違う目的というか理由があるんですよね。

ここからは、【ぼくの主観】がたくさん盛り込まれていますので、あらかじめご了承ください。

仏様に故人を託し、なおかつ私たちも『ご利益』を頂く

供養をする時にお経を読む理由の一つが、

仏様に故人を託し、なおかつ私たちも『ご利益』を頂くため

です。

私たちは、故人があの世で安らかに過ごせるように祈ることはできますが、故人を直接導くことはできません、残念ながらね。

それができるのは仏様だけ。

だから、仏様をホメまくる内容となるお経を読んで、

「仏様、あなたのおっしゃった事・お力・ご利益は本当に素晴らしく、とてもありがたく思っています。つきましては、故人を良き道へとお導きください。」

と、故人を仏様に託しているんです。

それと同時に、

「仏様、その素晴らしいお力やご利益を、故人のみならず、ここにいる者にもお授けくださいませんか?」

と要請しているんです。

仏様はとても【太っ腹】です、ちゃんとそのような要請を聞き入れてくださいます。

だから、先ほども言いましたように、お経を読むと、故人やお経を読む人だけでなく、それを聞いている人にもご利益が注がれているわけです。

パフォーマンス的な目的もある?

お葬式に関してよく勘違いされることがあります。

それは、

亡くなったばかりの人の前で、お坊さんが『お経を読むこと』がお葬式である

という勘違い。

あなたもこう思っていたんじゃないですか?

このように勘違いするのは、お葬式のとても大事な部分を知らないからだと思うんですよね。

お葬式は、亡くなったばかりの人を、

  1. 仏弟子となってもらい、仏の道へ導き入れる
  2. いろんな仏様に故人を託す

ために行なっている非常に大事な『儀式』です。

お葬式は、別の言い方をすると『葬儀』です。

お葬式(=葬儀)とは【死者をる】ための【式】なんですよね。

それで、この【葬儀】においてお坊さんがすべきことは、

故人へ引導を渡すための【作法】をすること

であって、

お経を読むことではありません。

これを知らない人がメチャクチャ多いんです。

まぁ、これはぼく達お坊さんが『お葬式の意味』をちゃんと説明してこなかったのが悪いんですよね。

お葬式に関することは、話し出すととても長くなってしまうので、詳しくは、

お葬式をする意味とは何?お葬式でお坊さんがしていることを具体的に解説!お葬式って何のためにするのでしょう?お坊さんはお葬式で何をしているのでしょう?この記事では、そんなあなたの疑問に答えられるよう具体的に解説しています。お葬式をすることの意味がよくわかる内容となっていますので、ぜひご覧下さい。...

の記事を読んでみてください。

じゃあ、なぜお葬式でお経を読んでいるのか。

それは、お経に、

パフォーマンス的な目的

があるからです。

こんなことを言っちゃうと、いろんな人に怒られるかもしれませんね。

でも、ぼくはウソをつけないのよね。

お葬式のお経には絶対このパフォーマンス的な目的があるんですよ。

だって、儀式の部分なんて10分もあれば終わっちゃうんだから。

要するに、お葬式で本当に必要な所要時間は【10分】程度、ということ。

でも、お葬式の時には参列者がお焼香をするので、それじゃ時間が足りないんですよね。

じゃあ、どうやって時間を延ばしたらいいのか。

お坊さん達はいろいろと考えてみました。

考えてみた結果、

  • 「あっ、そうや!読むだけで故人も含めてその場にいる全員にご利益がある【お経】を読めばエエやんか!」

ということになったんです。

お葬式の厳粛性を保ち、時間調整をしつつ、なおかつそれが有意義なものでなければならないことを考えたら、お経を読むというのがベスト。

お経を読むことは、お葬式には最適なパフォーマンスなのです!

つまり、お葬式でお経を読むことは、

【メイン】ではなく、あくまで【サブ】

なんですよ。

ただ、実際のところ、お経を読んでいる【サブ】の時間の方が長くなってしまうので、いつの間にか『お葬式はお経を読むためのもの』という勘違いが発生してしまったのです。

リラックス効果もある?

あなたは、法要の時に【眠くなった】ということはないですか?

決して故人の供養を軽く考えているわけではないのに、自然と意識が遠のいていく、みたいな。

お葬式ではあまりいないですが、法事の時は明らかに【眠たそうにしている人】ってたくさんいますよ。

でもね、それは仕方ないこと。

なぜなら、

お経には『リラックス効果』がある

からです。

あっ、これはぼくのお坊さん歴20年以上の経験から、そう感じただけなんですけどね。

えっ、何ですか?「それはお前の法要が退屈なんとちゃうか?」ですって?

いやいや、違うんですって。

リラックス効果はありますってば。

ぼくは、

聞いていて眠くなるお経は【良いお経】である証拠

だと思ってますよ。

眠くなるってことは、聞いている人の気持ちが【リラックスして安心した状態】になっているからですよね?

もしも、お坊さんのお経が下手クソだったら【耳障り】で眠くなんてならないはず。

お経の声量や音程がしっかりと安定しているからこそ、聞いている人はリラックス状態になるんです。

そう、だから、ぼくはお経が上手いんです♪

まぁ、冗談はさておき、眠くはならなかったとしても、「お経を聞いてると何だか安心する。」みたいなことってありません?

お経を聞いている人がリラックスして安心するという効果も、お経のご利益の一つなんじゃないでしょうか?

まとめ:お経は、読んでも聞いても【みんなが幸福になって得をする】というスゴイもの!

お経は、お釈迦様やいろんな仏様の教えが書き留められた、とてもありがたいものです。

お経は数えきれないほどたくさんありますが、どのお経も【私たちを幸福へと導いてくれるもの】です。

お経を読んで、さまざまな仏様をホメまくり、感謝をし、その功徳とご利益を頂いているのです。

そして、お経は、『読む』ことはもちろん『聞く』だけでも同じ効果があるんです。

特定の人だけではなく、それを読む人や聞く人、もちろん故人にも、その場にいる全員に対してお経の効果がもたらされます。

しかも、その意味がわからなくても大丈夫だなんて、こんなにありがたいことはありませんよ。

すごいですよね、お経のおかげでみんなが幸福になって得をするんですから。

だから、ぼく達お坊さんはお葬式や回忌法要でお経を読みます。

それは、故人だけではなく参列者にも幸福になってほしいから。

だから、お坊さんのお経を聞いて「退屈だぁ」とか「早く終わんないかなぁ」なんて言わないでくださいね♪