お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- お線香の火で火事にならないか心配。
- 『電気線香』を使ったら仏様に失礼かな?
- 電気線香を使うとしたら、どんなモノを買えばいいの?
仏壇に線香を供えた後は、線香が燃え尽きるまで香炉(=線香立て)に供えたままにしますよね。
じつは、この『火がついたままのお線香』が原因で火災が起きることがあります。
そのような火災を防ぐために、本物の火を使わない『電気線香』というものが販売されるようになりました。
しかし、本物の線香ではないので「ニセモノを供えたら仏様に失礼かな?」と気にする人が多いです。
お坊さんの立場として言いますと、状況によっては『電気線香』でもかまいません。
ただし、あくまでも【本物のお線香】を供えるのが基本だということは忘れないでください。
この記事を読めば、
- 仏壇へ供えるお線香に対する考え方
- 電気線香を使うかどうかの判断の基準
が分かります。
最後まで読んでいただき、本物のお線香を供えるか、電気線香を使うのか、よく考えて決めてくださいね。
仏壇に供えるお線香は『電気線香』でもいいの?
仏壇に供えるお線香って、お参りの後もしばらくは【火がついたまま】の状態になるので気になりますよね?
仏壇に供えたお線香が原因で火災がおきることはよくあります。
実際に2024年にあった田中角栄元首相の自宅の火災も【線香の火】が原因です。
じつは、お盆前になると消防署が注意喚起をするくらい線香の火による火災は多いのです。
そのため、
という人もたくさんいます。
ですから、
- 高齢者の一人暮らし
- どうしても線香の煙が苦手
といったような、やむを得ない事情がある場合は電気線香でもかまいません。
ただし、あくまでも仏壇には【本物のお線香】を供えるのが基本ですから、ただ「電気の方がラクだから。」という理由で電気線香を使うのはヤメましょう。
本物のお線香を供えるのには、それなりに重要な理由があるのです。
じつは、仏様はお線香を燃やしたときに出る《香り》を食べるとされています。
つまり、お線香やお焼香などの【お香】に火をつけて供えるのは『仏様に食事をしていただく』という意味があるんです。
お線香は燃やしたときの『香り』が出なきゃ意味がないのですが、電気線香だと肝心の『香り』が出ません。
1番重要な『香り』がないのに、それを供える意味なんてある?っていう話なんですよね。
ですから、できるだけ本物の線香を供えてほしいのです。
【関連記事】:お香(こう)を供える意味とは?焼香の作法や線香の供え方も紹介します
線香が香炉の外に倒れないようにする方法
多くの人が、電気線香を使う理由の1つとして『火災』の心配がないというのがあります。
電気線香であれば本物の火を使いませんから火災は起きません。
しかし、じつは【線香が原因となった火災】のほとんどは火のついた線香が香炉の外に倒れてしまうことで起こっています。
ということは、火のついた線香が香炉の外に倒れないように対策すればいいわけです。
仏壇近くの窓やドアを閉める
仏壇に線香を供えると、部屋に線香の煙が充満しますよね。
そのため、すぐに仏壇近くの窓やドアを開けて換気をしたくなりますが、これが危険なのです。
線香を灰にしっかりと差し込んで供えていればいいのですが、差し込みがゆるいと風で線香が香炉の外に倒れてしまうことがあります。
すると、線香の火が他の物に燃え移り、それで火災を起こしてしまうんです。
仏壇に線香を供えたら、最低でも1時間以上は部屋の窓やドアは開けないようにしてください。
線香をまとめて供えない
あなたは仏壇に何本の線香を供えていますか?
じつは、仏壇に供える【線香の本数】は宗派ごとに違うのですが、だいたいは『2~3本』です。
例えば、3本の線香を供えるとしましょう。
この場合、線香を1本ずつ分けて供えるのではなく、3本まとめて供えるという人もいます。
すると、まとめて供えた3本のうち1本だけ浅く刺してしまうことがあります。
それで、浅く刺さった1本が香炉の外に倒れて、火災を起こすことがあるんです。
線香を供えるときは、倒れないようにしっかりと灰の中へ線香を差し込みましょう。
線香を香炉の中で寝かせて供える
線香には、
- 香炉の中に立てて供える
- 香炉の中に寝かせて供える
という2つの供え方があります。
このうち、【香炉の中に立てて供える】というやり方だと、これまで紹介してきたような《線香が倒れるリスク》があります。
しかし、【香炉の中に寝かせて供える】という方法なら、線香が香炉の外へ倒れてしまうことはありません。
浄土真宗では線香を寝かせて供えるのが一般的なので、あなたの家の宗派が『浄土真宗』であれば線香を寝かせて供えてください。
ミニ寸の線香を使う
線香が香炉の外に倒れるのは、線香が長いからです。
ならば、普通のサイズよりも短いお線香を供えればいいんです。
短いお線香をちゃんと香炉の中央に供えれば、香炉の外に倒れることはありません。
一般的な長さのお線香は『短寸』と呼ばれていて、長さがだいたい【14cm】ですから、これだと倒れたときに香炉の外に出てしまいます。
一方で、『ミニ寸』と呼ばれる【8cm】くらいの短いお線香があり、それを使えばよほど小さな香炉でない限り外に倒れてしまうことはないですよ。
しかも、長さが短いということは【燃えている時間】も短いわけですから、さらに火災のリスクも減ります。
また、本物のお線香ですからちゃんと『香り』が出て【お線香を供える意味】を満たしています。
もしも本物のお線香は火災が心配だというのなら、電気線香を買う前に、まずは試しに『ミニ寸』のお線香を使ってみるといいですよ。
安全面を最優先するなら電気線香でもいい
仏壇に供えるのは【本物のお線香】の方が望ましいことはすでにお伝えしたとおりです。
でも、きっとあなたは、
と思ってますよね?
わかりました、では電気線香を使ってください。
ただし、それはあくまでも安全面を優先させるために使うようにしましょう。
決して『電気の方がラクだから』とか『何となく使ってみたいから』なんていう理由では使わないでくださいね。
あくまでも『本物を供えたいけど、安全面を最優先して、やむを得ず電気線香使う』という理由であって、電気線香を使うのは【最終手段】であることをお忘れなく。
また、仏壇の火に関して安全を考えるなら、線香の他にも【ろうそく】にも注意する必要があります。
安全性を理由に電気線香を使うなら、ロウソクも『電気ろうそく』を使うようにしてくださいね。
【関連記事】:仏壇のろうそくは【電気ろうそく】でもOK!
おすすめの電気線香を紹介。※電気線香は【高品質】なモノを買おう
電気線香を使えば、
- 火災のリスクがなく安全である
- 毎日のお仏壇参りや手入れがラクになる
- 部屋に煙が充満しない
といったようなメリットがあります。
だから最近では電気線香に注目が集まっています。
しかし、何度も言うように電気線香は【やむを得ずに使う】ものです。
だから、やむを得ず電気線香を使うのであれば、電気線香はちゃんと【高品質】なものを使って、絶対にケチらないでください。
調べてみると、どうやら100円均一ショップでも似たようなものが売っているようですが、そんな安モノを買っちゃダメ。
本物のお線香を省略している上に、電気線香まで安物を買うのは仏様に対してあまりに失礼です。
事情があって電気線香を使うのは仕方のないことですが、せめて電気線香くらいは【高品質】なモノを購入しましょう。
くどいようですが、お線香を供えるなら、ちゃんと香りの出る【本物のお線香】を供えてほしい。
でも、電気線香から香りなんて出るわけないんですよね、残念です。
・・・と思っていたら、じつは最近『香りの出る電気線香』を見つけました。まぁ、結構いい値段はしますが、これなら『香り』もあるのでおすすめです。
ただし、この電気線香は人気がありすぐに売り切れてしまいますので、見つけたらすぐに購入しておいてください。
しかし、読者さんの中には【お線香の香りがどうしても苦手】という人もおられるでしょう。
そのような人は、一般的な『香りの出ない電気線香』を購入してみてください。
コチラの電気線香なら、点灯後10分くらいで自動消灯してくれるため、消し忘れで電池が無くなる心配がないですよ。
まとめ:仏壇には本物のお線香を供えるのが基本。でも、状況によっては電気線香でもOK。
お線香は火をつけて供えますので、扱い方を誤ると火災を起こしてしまうことがあります。
そこで最近出てきたのが『電気線香』です。
その名のとおり、電気の光を使って、まるで線香に火をつけたかのように見える【ニセモノの線香】です。
これなら火災の心配はありませんから安心です。
しかし、お線香というのは、火をつけたときに出る『香り』が大事で、お線香から出る香りが【仏様の食べ物】となります。
なので、仏壇には本物のお線香を供えるのが基本です。
でも、高齢者の一人暮らしなど、火を使うことに不安がある場合など、状況によっては電気線香でもいいと思います。
ただし、電気線香はあくまでも【最終手段】です。
本物のお線香を供えるか、電気線香を使うのか、あなたの今の状況をよく考えて判断しましょう。