お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- お線香の火が原因で火事にならないか心配だなぁ・・・。
- もしも『電気線香』なんて使ったら仏様に対して失礼かな?
- 電気線香を使うとしたら、どんなモノを買えばいいんだろう?
仏壇をお参りするときは、お線香に火をつけて供えます。
お参りが終わった後、お線香は燃え尽きるまで香炉(=線香立て)に供えたままです。
じつは、この『火がついたままのお線香』が原因で火災が起きてしまうことがあるのです。
そのような火災を防ぐために、本物の火を使わない『電気線香』というものが販売されるようになりました。
しかし、
と心配する人が多いんですよね。
お坊さんの立場として言いますと、状況によっては『電気線香』でもかまいません。
でも、本来であれば、仏壇には【本物のお線香】を供えるのが基本だということは忘れないでください。
この記事を読めば、
- 仏壇へ供えるお線香に対する考え方
- 電気線香を使うかどうかの判断の基準
が分かります。
最後まで読んでいただき、本物のお線香を供えるか、電気線香を使うのか、よく考えて決めてくださいね。
仏壇に供えるお線香は『電気線香』でもいいの?

仏壇に供えるお線香って、お参りの後もしばらくは【火がついたまま】の状態になるから心配ですよね?
なので、
という人が多いんです。
では、お坊さんとしての意見を言います。
状況によっては【電気線香】でもかまいませんよ。
ただし、ただ単に「電気の方がラクだから。」という理由で電気線香を使うのはヤメましょう。あくまでも、仏壇には【本物のお線香】を供えるのが基本ですから。
本物のお線香を供えるのには、それなりに重要な理由があるのです。
お線香について詳しく知りたい方は『お香(こう)を供える意味とは?焼香の作法や線香の供え方も紹介します』の記事を読んでみてください。
だから、できれば電気線香は、
- 高齢者の一人暮らし
- どうしても煙が苦手
といったような《やむを得ない場合》だけ使うようにしてほしいです。
お線香を供える意味

お坊さんの僕としては、お線香を供えるなら、できるだけ本物のお線香を供えてほしいと思っています。
なぜなら、仏様はお線香を燃やしたときに出る《香り》を食べると言われているからです。
つまり、お線香やお焼香などの【お香】に火をつけて供えるのは、『仏様に食事をしていただく』という意味があるんです。
だから、お線香は燃やしたときの『香り』が出なきゃ意味がないというわけです。
しかし、電気線香だと肝心の『香り』が出ません。
となると、1番重要な『香り』がないのに、それを供える意味なんてある?っていう話なんですよね。
だから、できるだけ本物のお線香を供えてほしいんです。
・・・と思っていたら、じつは最近『香りの出る電気線香』を見つけました。まぁ、これなら一応は『香り』もあるのでギリギリOKです。
また、電気線香を使う理由の1つとして、『電気線香なら火災の心配がない』というのがあります。
たしかに、電気線香であれば本物の火を使いませんから火災は起きません。
でも、お線香が原因の火災のほとんどは、
火のついた線香が【香炉の外に倒れてしまう】ことによって起こる
のです。
ということは、火のついたお線香が香炉の外に倒れないように、普通のサイズよりも短いお線香を供えればいいんですよ。
短いお線香をちゃんと香炉の中央に供えれば、香炉の外に倒れることはありません。
一般的な長さのお線香は『短寸』と呼ばれていて、長さがだいたい【14cm】ですから、これだと倒れたときに香炉の外に出てしまいます。
一方で、『ミニ寸』と呼ばれる短いサイズのお線香があって、それだと【8cm】くらいですから、『ミニ寸』のお線香ならよほど小さな香炉でない限り外に倒れてしまうことはないですよ。
しかも、長さが短いということは【燃えている時間】も短いわけですから、それだけ火災のリスクも減るんです。
さらに、本物のお線香なのでちゃんと『香り』が出て、お線香を供える意味もあります。
本物のお線香は火災が心配だというのなら、電気線香を買う前に、まずは試しに『ミニ寸』のお線香を使ってみるのもイイんじゃないですか?
安全面を最優先するなら電気線香でいい

仏壇に供えるのは【本物のお線香】の方が望ましいことはすでにお伝えしたとおりです。
でも、きっとあなたは、
と思ってますよね?
わかりました、では電気線香を使ってください。
でも、それはあくまでも安全面を優先させるために使うようにしてください。
決して『電気の方がラクだから』とか『何となく使ってみたいから』なんていう理由では使わないでくださいよ。
あくまでも、本物を供えたいけど安全面を最優先して【やむを得ず電気線香使う】というスタンスでお願いしますね。
たとえ【ニセモノのお線香】だとしても『仏様にお線香をお供えしたい』という【気持ち】を尊重するという意識でいてください。
電気線香を使うのは【最終手段】であることをお忘れなく。
電気線香は、ちゃんと【高品質】なモノを買おう

電気線香を使えば、
- 安全である
- 毎日のお仏壇参りや手入れがラクになる
- 部屋に煙が充満しない
といったようなメリットがあります。
だから最近では電気線香に注目が集まっています。
しかし、電気線香は【やむを得ずに使う】ものです。
だから、どうしても電気線香を使うのであれば、せめて、
電気線香は、ちゃんと【高品質】なモノを買ってください。
ここで絶対にケチらないこと!
調べてみると、どうやら100円均一ショップでも似たようなものが売っているようですが、そんな安モノを買っちゃダメ。
本物のお線香を省略している上に、電気線香まで安物を買うなんて、それは仏様に対してあまりに失礼です。
事情があって電気線香を使うのは仕方のないことですが、せめて電気線香くらいは【高品質】なモノを購入してくださいね。
まとめ:仏壇には本物のお線香を供えるのが基本。でも、状況によっては電気線香でもOK。
仏壇に手を合わせるときは『お線香』を供えます。
お線香は火をつけて供えますので、扱い方を誤ると火災を起こしてしまうことがあります。
そこで最近出てきたのが『電気線香』です。
その名のとおり、電気の光を使って、まるで線香に火をつけたかのように見える【ニセモノの線香】です。
これなら火災の心配はありませんから安心です。
しかし、お線香というのは、火をつけたときに出る『香り』が大事なんです。
お線香から出る香りは、仏様の食べ物となります。
つまり、お線香を供えるのは、仏様にお食事をしてもらうためなのです。
そうなると、『香り』が出ない電気線香を供えても、はたして意味があるのかな?ということになってしまいます。
なので、仏壇には本物のお線香を供えるのが基本です。
でも、高齢者の一人暮らしなど、火を使うことに不安がある場合は電気線香でもいいと思います。
そのような場合は、本来の意味よりも、「仏様へお供えしよう。」という気持ちの方を尊重してください。
ただし、電気線香は【最終手段】であることを忘れないでください。
本物のお線香を供えるか、電気線香を使うのか、あなたの今の状況をよく考えて判断してくださいね。