この記事は、
- 仏壇の意味と役割は何か
- 仏壇の準備
- 仏壇のお参り方法と注意点
について書いています。
あなたの家には『仏壇』がありますか?
毎日仏壇に手を合わせていますか?
仏壇に向かい、誰に対して手を合わせていますか?
ご先祖様、あるいは今は亡きご家族に対してですか?
じつは、まずご本尊様に対して手を合わせるべきなのですが、それを意識していましたか?
日頃、当たり前のように見ている仏壇ですが、「それは知らなかった」ということが意外とあるかもしれませんよ。
この記事は、これからお仏壇を購入しようと考えている人にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
※仏壇に置く仏具についてはコチラをご参考にどうぞ。
仏壇の意味と役割
あなたは、仏壇が何のためにあるのかご存じですか?
結論から先に言いますと、仏壇は、
お寺の『本堂』の代わりをするため
にあるんですよ。
仏壇の中をよく見てください。
お寺の本堂内と何となく造りが似てるでしょ?
じつは、【仏壇】と【寺の本堂内】は造りが似ていないとダメなんですよ。
なぜなら、仏壇は、
お寺へお参りに行けない時でも、自宅でその代わりができるように考えられたもの
だからです。
仏壇の準備
もしもあなたが、これから仏壇を購入しようと考えているのなら、注意をしなければならない点がありますのでご紹介します。
ここでは、お仏壇をお祀りする上での『原則』をお伝えします。
まず一つめの注意点です。
たとえば、人が亡くなられたら、一般的には【お葬式】を執り行いますよね?
そのお葬式を『仏式』で行なった場合、基本的には【お葬式を勤めたお寺の宗派】のやり方で今後の故人の供養をすることになります。
お葬式の時に頂いた『戒名』も、そのお寺の所属する宗派の決まりに従って授けられています。
つまり、
今後はお葬式を勤めたお寺と同じ宗派の信者になる
ということなんですよ。
そして、故人の位牌を安置する仏壇も、その宗派の決まりに従って用意しなくてはなりません。
ここで大事なことですが、
仏壇の中には必ず、
各宗派で決められたご本尊様
を安置するようにしてください。
どんな仏様でもいいわけではありませんから気をつけてくださいね。
どの宗派が何の仏様なのかは、お寺や仏具店に確認すると教えてもらえます。
たまに、仏壇の中に位牌しか安置していない人がおられますが、仏壇にはご本尊様が必要ですからね。
はっきり言って、
ご本尊様がないと、仏壇の意味がありません!
ご本尊様は【木製】のものでも【掛け軸】のものでも、どちらでもかまいません。
ご本尊様は必ず購入してください。
また、その他の、
- 香炉(こうろ=線香を供える所)
- お鈴(叩くと「チ〜ン」と鳴る鐘)
- 花瓶
- 燭台(しょくだい=ローソク台)
- 常花(金色の蓮の花)
- マッチ入れ
などは、仏具店の人に宗派を伝えてから購入をした方が無難だと思います。
宗派によって扱う仏具が微妙に違うことがありますので、購入前に確認しておきましょう。
次に、もう一つ大事な注意点があります。
仏壇用具一式とご本尊様を購入したら、お寺さん(お葬式の時と同じ宗派の寺)に、必ず『仏壇開眼(ぶつだんかいげん)供養』をしてもらってください。
『仏壇開眼供養』とは、簡単にいうと、
購入したご本尊様に《仏様としての力》を宿らせる
供養のことです。
仏壇開眼供養は忘れないでくださいよ。
何もしないと、ただの【木で作った箱と仏像】のままですから。
開眼供養をして、それでようやく『本尊様』としての役目を果たすようになります。
購入したままのご本尊様にいくら手を合わせたって何の意味もありませんからね。
また、新しい位牌ができあがっていたら、仏壇と同様に『位牌開眼(いはいかいげん)供養』もしてもらってください。
位牌開眼をすることによって、位牌を通じて今は亡き故人やご先祖様と通じ合うことがてきるようになります。
ですから、お仏壇と同じように、位牌も開眼供養をしていないものに手を合わせたって意味がありませんので、ご注意ください。
まぁ、いろいろと面倒くさいことを言いましたが、お仏壇というのはそれだけ重要なものなので、これだけのことをする必要があることをご理解いただきたいと思います。
仏壇は【本堂の縮小版】です
宗教には、信者さんが訪れるための宗教施設(寺・神社・会館など)があります。
信者さんはその宗教施設へ出向いて【信仰の対象】を崇拝し、祈りを捧げます。
仏教の場合は、宗教施設が『寺(本堂など)』であり、信仰の対象は各お寺の『ご本尊様』です。
本来であれば、毎日のようにお寺に行って、本堂の前(あるいは本堂内に入ってもかまいません、むしろそれが正式です)でご本尊様に手を合わせるのが仏教の信仰というものです。
でも、実際のところ、毎日お寺に行くなんてことはできないですよね?
それで、お寺の本堂の代わりになるものとして『仏壇』ができました。
お寺に行けないなら、代わりになるものを各自で作ってしまえということですね。
日々の生活や仕事で忙しいのは今も昔も変わらないんです。
そうなると、お寺でご本尊様に手を合わせるのと同じように、仏壇にも手を合わせる【信仰の対象】が必要となりますよね?
だから、仏壇には必ずご本尊様を安置するのです。
なので、仏壇がお寺の本堂の代わりということであれば、仮に【家族の誰も亡くなっていない家】に仏壇があっても全く不自然なことではないのです。
宗教を信仰することにおいて【ご家族の誰かが亡くなられているかどうか】なんてことは関係ありませんからね。
そして、お寺にいるご本尊様と仏壇のご本尊様はだいたい同じくらいの力を持ってます。
完全に同じ力ではありません。だいたい同じ力ですが、少しだけ仏壇のご本尊様の方が弱いでしょう。
長い年月をかけて多くの人に拝まれている仏様の方が力が強いのだそうです。
とにかくご本尊様を中心に考える
仏壇内の主役はご本尊様です。
仏壇を前にしてまず最初に合掌する相手は、ご本尊様。
あなたのご先祖様や亡きご家族を導いてくださっているのも、ご本尊様。
あなたの家全体を守ってくれているのも、ご本尊様。
お仏壇における基本的な考え方は、
とにかく【ご本尊様】を中心にして考える
ことです。
だから、仏壇を購入する時も、まずは『ご本尊様』から決めていくべきじゃないですかね。
要するに、ちょっと言い方は悪いですが、仏壇を購入する時に『一番お金をかけるところ』がご本尊様ですよ、ということ。
お願いします、ご本尊様だけは奮発してあげて!
ちなみに、同じ仏様でも仏像によって少しずつ姿や顔立ちが違うんですよ。
というか、全然違う。
ですから、ご本尊様を決める時は、『どんな姿や顔立ちのご本尊様なのか』をよく見てくださいね。
インターネットまたは店舗のどちらで購入してもかまいません、ちゃんとご本尊様を見てください。
すると、きっとその中に、
なんか、この仏像が気になる
というものがあります。
それを選べばいいんです。
それが、あなたとご本尊様の繋がり、いわゆる【仏縁(ぶつえん)】です。
ですから、ご本尊様以外のもの、つまり箱物(=仏壇)に関しては必要以上に費用をかけなくてもいいんです。
えっ?あまり安いと品質が心配ですか?
大丈夫ですよ、まず第一に、昔からあるような大きな仏壇を購入する必要はありません。
昔の家には『仏間』がちゃんとありましたが、最近の家にはそのような部屋がありませんから、そもそも大きな仏壇を置くスペースがありませんよね?
仏壇はコンパクトなもので十分ですよ。
大きな仏壇を購入できるくらいの金額があれば、コンパクトな仏壇なら【かなりの高級品】が買えます。
でも、仏壇はそんなに高級である必要はありません。
その分、ご本尊様のほうへ充ててください。
それに、近頃の仏壇はコンパクトで手ごろな価格で質の良いものがたくさんありますからね。
お仏壇は、
10万円~30万円
くらいのものが、比較的お手頃な価格ですし、品質も十分に良いですね。
位牌はどこに置くの?
仏壇にはご本尊様が必要であり、主役であることはおわかりいただけましたよね。
では、【位牌】はどのように扱えばいいのでしょうか?
大切なご家族の位牌なのは重々承知していますが、優先順位としては、やはり、
ご本尊様が【最上位】
となります。
ですから、位牌は、
ご本尊様よりも下になる場所
に安置してください。
そして、仏壇をお参りする時は、
まずはご本尊様、その次に位牌
という順番を意識してください。
仏壇に位牌があると、ついつい意識が位牌にだけ向かっちゃうかもしれませんね。
その気持ちはわかるんですけど、そうではないのでご注意あれ。
少し大げさですが、位牌は『ご本尊様と同じ空間に置かせていただいている』というイメージでもいいくらいですよ。
では、具体的にはどのあたりに位牌を安置すればいいのでしょうか。
位牌は、『ご本尊様がいる段より一つ下の段』が最適です。
ぼくは、
- ご本尊様が最上段の中央
- 位牌はそのすぐ下の段の、同じく中央
に安置するのがいいと思いますよ。
他の仏具の配置に関しては、それぞれ置きやすい場所でかまいませんよ。
【関連記事】⇒位牌とは何なの?位牌の意味や必要性をお坊さんが解説します。
仏壇のお参り方法と注意点
ご本尊様と位牌の開眼供養が済んだら、それでもう仏壇としての機能はあります。
あとは毎日仏壇にお参りをするだけです。
まぁ、これが一番大変なことなんですけれどもね。
簡単に仏壇のお参りの仕方を説明します。
宗派によって少し違いますので、一般的なものを説明しますのでご了承ください。
仏壇の前に座り(正座できる人はしてください)、
- 仏壇に向かって合掌(礼でも可)をする
- お供物・お水・お花を供える
- ロウソクに火を灯す
- お線香に火をつけて供える
- 数珠を左手に持ち、合掌して頭を深く下げる
- お鈴を鳴らす
- お経をお唱えする(お唱えできる人だけ)
- 再び、合掌して頭を深く下げる
- ロウソクの火を消す
- 合掌(礼でも可)をしてから退く
と、このような手順でお参りしてください。
そして、お参りの時にはいくつか注意点がありますので、頭の隅に置いておいてください。
●お仏壇のお参りは、朝と夕方の2回行うのが好ましいです。
●香炉の下には必ず、仏壇用の【防火マット】を敷く。まれに火のついた線香が香炉の外に倒れてしまうことがあります。
●お花は【トゲのある花】を避ける。
●仏壇へのお供物は、お刺身などの『生物(なまもの)』は避ける。
●お線香に火をつけた後、息を吹いて火を小さくしないこと。手で仰ぐか、線香を立てるように持って、そのまま真下にシュッと下げて消してください。
●お経をお唱えする時は、お鈴を鳴らします。お唱えしない場合は、鳴らしても鳴らさなくても、どちらでもけっこうです。※これには賛否両論ありますが、ぼくは鳴らしてイイと思っています。
その根拠は、『仏壇にある鐘(=おりん)は、いつでも鳴らしていいですよ。』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。
●ローソクの火を消す時も、息を吹いて消さない。
●ご本尊様に召し上がっていただくお供物は、お参りが終わったらみなさんで食べてください。お供物を食べることも立派な供養なんです。
●仏壇の扉は、基本的に『開けたまま』でかまいません。仏壇の本尊様が家の中をちゃんと見られるようにしておきましょう。しかし、大掃除の時などの場合は一時的に閉めて大丈夫です。
仏壇の扉の開閉については『仏壇の扉は開けっ放しでいいの?家族に不幸があった時やお盆の時は閉めておくの?』の記事を読んでみてください。
まとめ : 仏壇は本堂と同じ!毎日のお参りを心がけよう
仏壇のお参りは、なかなか毎日はできないかもしれません。
あなただって忙しいですもんね。
何でもそうですが、毎日続けるというのは大変なことです。
そういえば、仏壇のお参りを毎日続けることについて、僕の知り合いのお坊さんが以下のような話をしていました。
「なるべくお参りすることを『意識』してください。
『意識』をしていると、やがて実際に『行動』に移されていきます。
『行動』を続けると、それはやがて『習慣』になっていきます。
そして、その『習慣』は、いずれその人の『生き方』となります。
仏様やご先祖様、そして亡きご家族、私たちにはその姿を見ることができません。
しかし、毎日仏壇に手を合わせるみなさんの姿を、仏様達はちゃんと見ておられますよ。
みなさん、どんな時にも感謝の気持ちを忘れない日々を送る、それをまず意識してみてください。」
と、こんなカンジだったかと。
本来は毎日お寺までお参りして、ご本尊様に日々の感謝の気持ちをお伝えするのです。
でも、それは多くの人にとって現実的なことではありません。
お寺に行くのは無理でしょうから、せめて【仏壇を毎日お参りしよう】と『心がける』ようにしてみませんか?
あなたの『心がけ』が、いずれ『仏様に毎日手を合わせる生き方』になり、感謝の心を忘れない豊かな人生になることでしょう。
※仏壇に置く仏具についてはコチラをご参考にどうぞ。