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仏壇の疑問

仏壇を移動するなら供養が必要?引越し等で仏壇を動かすときの注意点と置き場所

木製の仏像、位牌などの仏具が置いてある仏壇

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いています
  • 仏壇を勝手に動かしちゃダメなの?
  • 仏壇を移動するときの注意点を知りたい。
  • どんな場所に仏壇を置けばいいんだろう?

普段の生活で仏壇を動かすことはほとんどありません。

しかし、

  1. 引越し
  2. 家の増改築
  3. 大規模な部屋の模様替え

などの場合は仏壇を移動します。

じつは、仏壇を動かすときには『供養』をするというのが原則です。

とはいえ、あくまでも『原則』であり、供養が必要な場合とそうでない場合があります。

また、仏壇を動かすときには、供養だけではなく移動方法や設置場所などにも注意点があります。

この記事では、

  • 仏壇を移動するときに行う供養の必要性と内容
  • 仏壇を動かすときの注意点
  • 仏壇を置くのに適した場所

について書いています。

本記事をご参考に適切な方法で仏壇を移動してみてください。

仏壇を移動するときには供養が必要?

左手に数珠を持って合掌をするお坊さん

仏壇はいつも同じ場所に置かれていて、動かすことなんてほとんどありませんよね。

ですから、いざ動かそうと思ってもどのようにすればいいのか迷ってしまうことでしょう。

仏壇を動かすときには原則として『供養』をしますが、じつは供養が必要な場合とそうではない場合があります。

まずは、どのような場合に供養が必要になるのかを解説します。

ご本尊様を動かす場合には供養が必要

仏壇を移動する前に知っておいてもらいたいことがあります。

それは、『仏壇を動かすこと=ご本尊様を動かすこと』ということです。

仏壇が【仏壇としての役目】を果たすためには『ご本尊様』が必要です。

理由については、『仏壇の意味と役割とは?仏壇の準備からお参り方法まで丁寧に解説』の記事に書いていますので読んでみてください。

ですから、仏壇を動かすということは『ご本尊様を動かすこと』になります。

そして、仏事では魂入たましいいれ】をした仏像を動かすときには必ず供養をするという考え方があります。

【魂入れ】とは仏像に仏様のチカラが宿るようにする供養のことで、『開眼かいげん供養』あるいは『お性根しょうね入れ』と言ったりもします。

ですから、『ご本尊様がおられる仏壇』を移動する場合は供養が必要なんです。

だから、もしも『ご本尊様がいない仏壇』であれば、それはただの【大きな木箱】ですから供養をしなくても大丈夫。

誰にも文句は言われませんから、いくらでも動かしてOKです。

ちなみに、仏壇のご本尊様などの仏像を移動させることを【遷座せんざ】といいます。

僕たちお坊さんは、お堂の改築や新築工事などで仏像を移動させるときには、必ず『遷座式』という儀式を執り行ってから動かしているんです。

なので、本来であれば同じことを仏壇の移動のときにもしなくちゃいけないわけです。

となると、

じゃあ、ご本尊様がいる仏壇の場合は、少し動かすだけでも供養しなきゃいけないのかな?

という疑問が出てきますよね?

本当であれば「はい、そうです。」と言いたいのですが、さすがにそこまで厳密に考えなくてもいいですよ。

少し動かすだけなら供養はしなくても大丈夫です。

仏壇を【屋外】へ出して動かす場合は供養をする

仏壇を動かす際に供養をする必要があるかどうかのもう1つの判断基準があります。

それは、仏壇を【屋外】へ出すかどうかということです。

そして、仏壇を【屋外】へ出す場合は供養が必要になります。

仏壇のご本尊様は《その家全体を守ってくださる存在》です。

仏壇を屋外へ出すことは、ご本尊様をその家から出すことになるので、ご本尊様には《一時的に役目を停止》してもらうわけです。

そして、次の場所で仏壇の設置が終わったら、またその役目を再開してもらうのです。

ですから、仏壇を【屋外】へ出すならちゃんと供養をして、ご本尊様へ「少し動かしますよ。ご迷惑をおかけします。」とお伝えしなきゃいけないんです。

仏壇を移動する前に『閉眼供養=魂抜き』をしてもらう

仏壇を【屋外】へ出すときに供養をするとはいえ、何をすべきなのかイマイチわかりませんよね?

まず、仏壇を動かす前に、お坊さんに依頼して『閉眼供養(へいげんくよう)』をしてもらってください。

閉眼供養というのは、ご本尊様にご挨拶をして、仏様としてのチカラを抜かせてもらうための供養です。

閉眼供養は、他にも【魂抜き】とか【お性根抜き】と呼んだりもします。

仏壇を動かすとなれば、部屋中で物音をたてたり、そこらじゅうがホコリまみれになっていたり、運ぶときには仏壇を揺らしたりしますよね。

そんな状況だと、ご本尊様に対して失礼です。

ですから、仏壇を動かす間は魂抜きをして、ご本尊様には【一時的にお休みいただく】ということなんですよ。

それで、仏壇を運び出す前の段階で、ご本尊様へ「これから仏壇を動かします。少しの間お休みをなさってください。」とお伝えするために仏壇閉眼供養をするわけです。

移動後は『開眼供養』をする

閉眼(魂抜き)供養をしてから、仏壇が次の場所まで運ばれて、無事に設置されました。

じゃあ、次は何をするのか。

仏壇の設置が終わったら、次に『開眼供養(かいげんくよう)』を行います。

この供養もお坊さんに依頼をしてください。

仏壇の開眼供養というのは、ご本尊様に【仏様としてのチカラ】を入れさせてもらう供養のことです。

先ほどの閉眼供養とは逆で、お休みをしていただいているご本尊様に、再び家全体を守ってもらえるようにお願いをするわけです。

ちなみに、この仏壇開眼供養は仏壇を初めて購入したときにも必要な供養となります。

この仏壇の開眼供養をしないと仏壇の役目を果たしませんので、必ず行うようにしてください。

可能であれば、同じ日に閉眼供養と開眼供養をする

仏壇を動かすタイミングというのは『引越し』のときが多いです。

もしも近距離の引越しなら、できるだけ閉眼供養と開眼供養を同じ日に行うことをおすすめします。

同じ日に行うことで、その一日だけお坊さんに来てもらえばいいので、あなたもお坊さんもラクです。

それに、一日だけなら閉眼供養と開眼供養を合わせたお布施が割安になる可能性があるんですよね。

しかし、日を別にしてしまうと、お坊さんに2回来てもらうことになりますから、しっかりと2回分のお布施を納めなきゃいけません。

ですから、近距離の引越しで仏壇を動かすなら、一日で済ませることを考えた方が賢明ですよ。

逆に、遠方へ引越す場合は、日を別にして、

  1. 閉眼供養は、現在お付き合いのあるお坊さんに依頼する
  2. 開眼供養は、引越し先で他のお坊さんに依頼する

というのが現実的かと思います。

飛行機や新幹線を使うくらい遠方へ引越す場合、多くのお坊さんは開眼供養のためだけに現地までは行かないでしょう。

ですから、遠方の引越しの場合は、引越し先で別のお坊さんに開眼供養をしてもらうケースがほとんどです。

もちろん、現在お付き合いしているお坊さんが「責任を持って、引越し先まで伺います。」と言った場合は依頼してください。

ただ、その場合は、お布施の他に【お車代】として交通費を渡してあげてくださいね。

仏壇を移動するときにお坊さんへ納める『お布施』の相場は?

仏壇の移動のために供養をする場合、お坊さんへ『お布施』を納めなくてはいけません。

原則として、お坊さんへ納める『お布施』に関しては何の決まりもありませんから、あなたの《気持ち=自由》で大丈夫です。

とはいえ、ある程度の【相場】を知っておきたいですよね。

仏壇の移動のときに納めるお布施の相場は【1万円~5万円】くらいでしょう。

仏壇の移動では【閉眼供養】と【開眼供養】の2つの供養をしますし、屋外への移動もありますから、いくら金額が自由とはいえ《1万円》より少ないのは失礼にあたります。

相場では『1万円~5万円』ですが、僕としては最低でも《3万円》は納める方が無難だと思いますよ。

【家の中】や【同じ部屋の中】で移動する場合は供養の必要はなし

仏壇の移動は、屋外に出ることなく【家の中】とか【同じ部屋の中】ということだってありますよね。

そうすると、

外に出さないけど、『仏壇を動かす』ことには変わらないし、やっぱり供養をしてもらった方がいいのかな?

と心配になる人もいるでしょう。

さきほども言いましたが、屋外】に出さない場合は供養をしてもらう必要はありません。

ものすごく厳密に言うと、仏像を少しでも動かすなら供養をした方がいいのです。

とはいえ、仏壇の中を掃除するときや、仏壇を数センチ動かすときなど、その度にいちいち供養をしていたら『面倒くさい』ですよね。

なので、それくらいの【ちょっとした移動】であれば供養をしなくてかまいませんよ。

ただし、仏壇を動かす前には線香を供えて、手を合わせて一言お詫びをしてから作業にとりかかってくださいね。

仏壇を移動するときの注意点

「気をつけて!!」という赤い文字が書かれた紙を示す指さし棒

ここからは、供養の話だけではなく、実際の移動作業に関する注意点についてもお伝えします。

大きい仏壇の場合、移動は【業者】へ依頼する方が無難

あなたの家にある仏壇は【昔ながらの大きな仏壇】でしょうか?

大きな仏壇を移動させたい場合は、できるだけ【業者】に移動を依頼した方がいいですよ。

業者というのは、

  • 引越し業者
  • 仏具店

のように、【日頃から仏壇の移動作業に慣れている専門の業者】のことです。

もちろん、仏壇は男性が2人いれば運ぶことはできますよ。

しかし、仏壇って意外と重いんです、しかも【作りがしっかりとした高級品】ほど重い。

そして、まぁまぁの大きさなので持ちづらいんですよね。

もしかすると、私たちのようなシロウトが運ぶと、移動の際に壁や柱にぶつけてしまい、仏壇だけでなくいろんな場所に傷を付けてしまうかもしれません。

その点、専門の業者なら仏壇の取り扱いには慣れています。

ご本尊様を安置する大切な仏壇に傷を付けたくないのなら、多少は費用がかかっても専門の業者へ依頼した方が無難です。

ご本尊様・掛軸(仏画)・位牌は自分で移動させる

大きな仏壇の場合、移動に関しては専門の業者へ依頼をした方がいいですが、

  • ご本尊様
  • 他の仏像や仏画
  • 位牌

これらは必ずあなた自身で持ち運びましょう。

これらは仏壇よりもずっと大事なものですから、他人には任せず、傷付けないように布で包んであなたが責任をもって移動させてください。

布に包むときには指紋が付着しないように、なるべく素手では触らないように注意しましょう。

動かす前の状態の写真を撮っておく

あなたは仏壇の中に、何が、どこへ、どのように置いてあるか、というのを全部覚えていますか?

もしも覚えていないのなら、仏壇の【動かす前の状態】を写真に撮っておくようにしましょう。

仏壇を動かすときには、まず先に仏壇の中にある仏具などをすべて出してください。

もしも仏壇が『コンパクトな仏壇』だとしても、中のものを入れたまま動かしてはいけません。

高確率で中の仏具などが動いたり倒れて破損してしまいますので。

だから、取り出したものを移動した先でスムーズに【動かす前の状態】に戻すために写真を撮っておくのです。

仏壇を置く場所

仏壇だけが置かれた和室

あなたは仏壇をどこに移動させようと考えていますか?

仏壇の中には『家全体を守ってくださっているご本尊様』がいますので、できるだけ適切な場所に置きましょう。

『仏間』が無ければ、どこに置いても良い

昔の家の多くは『仏間(ぶつま)』という仏壇を置くための部屋がありました。

しかし、現在では新築の家に仏間を設ける人はあまりおらず、そのため、どこでも置けるようなコンパクトな仏壇が増えています。

あなたの家に仏間があるのなら、ぜひそこへ置いてください、そのための部屋ですから。

でも、もしも仏間がない場合は、どこへ置いてもかまいません。

そのときに、可能であれば、仏壇の向きを【ご本尊様がを向くように置く】とよいと思います。

とはいえ、仏壇を置く向きには決まりがありませんから、これは本当に【可能であれば】という程度。

ちなみに、ご本尊様が【南】を向くように建てられている本堂は多いです。

これは、古来中国の【皇帝は南を向いて座ることを善しとする】という考え方の影響です。

つまり、『身分の高い人は南を向くようにお座りいただく』というわけですね。

お寺の場合、一番身分の高いのは『ご本尊様』なので、多くのお寺ではご本尊様が南を向いて座るように本堂が建てられています。

じつは、仏壇は【お寺の本堂の代わり】をする役割がありますので、お寺の本堂と同じように、仏壇もご本尊様が南を向くように置くことをおすすめします。

できるだけ家の中全体が見えやすい場所が理想的

仏間もないし、ご本尊様が南を向く場所で仏壇を置けるスペースなんてないよ、という人だっているはずです。

というか、そういう人の方が多いかもしれませんね。

そのような場合は、できるだけご本尊様が家の中全体を見やすい場所に置くのがいいですよ。

なぜかというと、何度も言っているようにご本尊様に家全体を守っていただいているからです。

家を守っているご本尊様には常に家の中全体が見えるようにしてあげてください。

家の中全体を見てもらうことが無理なら、代わりに【家族が集まる場所が見える位置】に置くとよいでしょう。

ご本尊様を見下ろさない、ご本尊様にお尻を向けない場所

家を守ってくださるご本尊様は、当たり前ですが【敬うべき対象】です。

ですから、仏壇の中におられるご本尊様を上から見下ろすことは好ましくありません。

仏壇は基本的に『座って手を合わせる』ものですので、仏壇の前に座ったときに、自分の目線より上にご本尊様がいるような場所に仏壇を置きましょう。

また、目線のことだけではありません。

敬うべき対象であるご本尊様にはお尻を向けないように注意しましょう。

ですから、仏壇を置く場所には、できるだけ仏壇の反対側(対面側)に家具などを置かないようにしてください。

仏壇の反対側(対面側)に家具があると、その家具を使用するときは仏壇にお尻を向けてしまうことになります。

ですから、逆に言うと【仏壇の反対側(対面側) に何も置かなくてもいい場所】に仏壇を置くことが望ましいとうことですね。

仏壇を置く部屋によっては、仏壇の天板に『空』『天』『雲』のいずれかの文字を記載する

仏壇を置く部屋の上に、

  • 他の部屋がある
  • 廊下がある

といったケースもありますよね。

それはつまり、仏壇の上を人が移動するような環境ということです。

この場合、仏壇の天井や天板の部分に『空』『天』『雲』のどれかの文字を記載するという作法があります。

仏壇を置く部屋の上に他の部屋や廊下があると、ご先祖様の頭の上で人がバタバタと生活することになります。

そこで、仏壇の上に『空』『天』『雲』のどれかの文字を記載することによって、それより上には何も無いものとみなすのです。

これらの文字は、仏壇の天板に直接刻む場合もありますが、多くの場合は『文字を紙に書いて貼る』というのが一般的です。

そして、これをすることによって、ご先祖様に「ここより上には何もありませんよ。」とお伝えしているのです。

もしもあなたがマンションやアパートなどの集合住宅にお住まいで、上にも部屋がある場合は、やはり仏壇の天板に『空』『天』『雲』のどれかの文字を書いた紙を貼るようにしてくださいね。

まとめ

仏壇なんて普段はあまり動かすものではありませんので、いざ移動が必要となったときにどのようにすればいいのか分からなくなります。

供養に関しては、仏壇を【屋外】へ出して動かす場合だけお坊さんに供養をしてもらいましょう。

それ以外の場合は、ご本尊様に「ごめんなさい、少しだけ動かしますよ。」とお詫びをしておいて、それから動かせば大丈夫です。

もしも、あなたの家にある仏壇が大きいものであれば、移動をするときはなるべく『専門の業者』へ依頼した方が安心ですよ。

動かした仏壇は、仏間がなければ『家の中全体が見える場所』に置くのが理想的です。

あなたの家を守ってくれているのは【ご本尊様】なので、できるだけご本尊様から家の中が見えやすい場所を選ぶように心がけてくださいね。

仏壇のある場所が変わると、あなたの気分も変わることでしょう。

心機一転、新たな気持ちで仏壇に手を合わせて、移動した先でも仏壇のお参りを続けてください。

※仏壇の移動をするなら、必要な仏具が揃っているか確認してみてください。

仏壇の購入時に揃えるもの20選。それぞれの仏具の意味と置く場所も紹介