お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- 位牌の数が増えて仏壇の中に入らない場合はどうするの?
- 位牌を1つにまとめても大丈夫かな?
- 仏壇の中をもっとスッキリさせたい!
位牌の数は【その家の歴史の長さ】に比例し、歴史が長いほど位牌の数も増えます。
でも、位牌の数が増えていくと、やがて仏壇の中が位牌でいっぱいになってしまいます。
位牌の数が増えたら、思い切って位牌を1つにまとめるといいですよ。
位牌を1つにまとめるには、仏壇仏具店へ行って、
- 先祖代々の位牌
- 回出(くりだし)位牌
のどちらかを作りましょう。
この記事では、
- たくさんある位牌を1つにまとめる方法
- 位牌を1つにまとめるまでの一連の流れ
について解説しています。
たくさんの位牌を1つにまとめて仏壇の中をスッキリさせることができますので、興味のある方は最後まで読んでみてください。
たくさんある位牌を1つにまとめる方法

位牌がいっぱいあるということは、あなたの家ではご先祖様や亡き家族を大切にし、ちゃんと供養をしてきた証拠です。
今後とも引き続きご先祖様を大切にしてください。とはいえ、さすがに位牌の数が増えすぎちゃいましたよね?
位牌の数が増えてしまったら、思い切ってすべての位牌を『1つの位牌』にまとめてしまうのがいいですよ。
たくさんある位牌を1つにまとめることができれば、仏壇の中がとてもスッキリしますし、位牌の管理がとてもラクになります。
もちろん、仏教的にも問題はありませんから安心してください。
位牌を1つにまとめるためには、
- 『先祖代々』の位牌をつくる
- 『回出(くりだし)位牌』をつくる
という2つの選択肢があります。
どちらかの方法で位牌を1つにまとめ、仏壇の中をスッキリと整理しましょう。
『先祖代々』の位牌をつくる
位牌を1つにまとめる方法の1つ目は、『先祖代々』の位牌を作ることです。
位牌というのは、基本的に故人1人に対して1つ作製しますので、その家で亡くなった人の数だけ位牌があるわけです。
すると、長く受け継がれている家ほど位牌の数が多くなってしまうんですね。
ならば、たくさんの仏様達をまとめて【ご先祖様】として扱い、これに順じて位牌も『先祖代々』として1つにまとめよう、ということです。
もしかすると、位牌を1つにまとめることを不安に思ったかもしれませんが、何も問題はありませんので安心してください。
じつは、位牌というのは『お墓の縮小版』なので、位牌はお墓と同じように考えていいのです。だから1つにまとめても問題はありません。
昔のお墓は、亡くなった人の分だけ建てられていました。つまり、昔はすべてのお墓が【個別墓】だったということです。
そして、たくさんの【個別墓】が建てられていくうちに、やがて墓地の中に収まりきらなくなったんです。
それを解決するために『◯◯家之墓』あるいは『先祖代々之墓』というようにお墓を1つにまとめるようになりました。
だから、位牌がお墓の縮小版なのであれば、お墓と同じように位牌を1つにまとめても問題はないわけです。
ただし、『先祖代々』の位牌を作る場合は、必ず【過去帳】へ記帳をしておくようにしてください。
なぜなら、『先祖代々』の位牌には【◯◯家先祖代々之霊位】としか書いていないからです。
つまり、それぞれの仏様の、
- 戒名
- 年齢 ※行年(享年)
- 俗名
- 没年月日
といったような大事な情報が記載されていないのです。
なので、他のものに記録しておかないと、後になってから、
- 何人の仏様がいるのか
- それぞれの仏様の情報
がまったく分からなくなってしまうんですよね。
そういうことがないように、ちゃんと【過去帳】という仏用の帳簿があります。
ちなみに、これが【過去帳】です。
ちなみに、過去帳であればわざわざ仏具店で購入する必要はないので、大手オンラインショップなどで購入しても問題はありません。
『回出(くりだし)位牌』をつくる

位牌を1つにまとめる方法の2つ目は、『回出(くりだし)位牌』を作ることです。
『回出位牌』というのは、10枚ほどの小さな位牌(白木札)を1つの箱型の位牌に収納したもののことをいいます。
位牌を1つにまとめるなら、僕はこの『回出位牌』の方をおすすめします。
なぜなら、『回出位牌』であれば、サイズは小さいですが仏様ごとにちゃんと位牌があり、しかも1つの箱型の位牌にまとめられるからです。
『回出位牌』は、【◯◯家先祖代々之霊位】という塗りが施された小さな位牌(木札)があり、その他にも小さな白木位牌(木札)が9枚ほど収納できるようになっています。
『回出位牌』の使い方は、
- 白木札には各仏様の戒名などを1枚につき1名だけ書き入れる。
- 普段は【◯◯家先祖代々之霊位】の位牌を1番手前にして見えるようにしておく。
- 仏様ごとの命日や法事をするときには、その仏様の白木札を一番手前に入れ替えて見えるようにする。
といった具合です。
それぞれの仏様の命日ごとに白木位牌を入れ替えるので【回出(くりだし)】というんですね。
『回出位牌』は『先祖代々』の位牌とは違って、1つにまとめられていながらも個別にもなっているところがイイです。
ただし、価格の面では『回出位牌』の方が高いので、そこはご了承ください。
【番外編】:夫婦位牌を作るという選択肢もある
ここで番外編です。
位牌の数を減らすには、『夫婦(めおと)位牌』を作るという選択肢もありますよ。
位牌は1つにまとめてしまった方が仏壇の中がスッキリしますし管理もラクです。
とはいえ、「全部まとめてしまうのは何だか申し訳ない気がする。」と言う人もいることでしょう。
そのような場合は、夫婦専用の位牌である『夫婦位牌』にするといいですよ。
夫婦位牌にするだけでも位牌の数はずいぶん減りますから「とりあえず少しだけ位牌の数を減らせればいいや。」という人にはおすすめの方法です。
ただし、夫婦位牌というのは2名分の情報が並列で記載がされますので、その分だけ横幅が大きくなります。
位牌を2つ並べるよりはマシですが、意外にスペースをとってしまうので注意をしてください。
新しく作った位牌の『開眼(=魂入れ)供養』をしてもらう

『先祖代々』の位牌でも『回出位牌』でも、買ったらそれで終わりではありません。
新しく位牌を作ったら、お坊さんに依頼をして位牌の『開眼(=魂入れ)供養』をしてもらうということを忘れないでください。
位牌を作っただけでは、それはまだ【ただの木の板】です。ちゃんと『開眼(かいげん)供養』をしないと位牌の役割をはたせる状態にはならないんですよ。
『開眼供養』をすることで、この世とあの世がつながった状態となり、これによって位牌に仏様達が宿ることができるのです。
この『開眼供養』は位牌だけではなく、墓石や仏壇を新しく設けたときにも必要な供養ですから、まだ執り行っていない場合はすぐにお坊さんへ依頼をしてください。
『開眼供養』は、日頃からお付き合いのあるお寺があればそこのお坊さんに依頼し、お付き合いのあるお寺がなければ霊園や葬儀社からお坊さんを紹介してもらいましょう。
とにかく、位牌を作ってそのままだと何の意味もありませんから気をつけてくださいね。
【関連記事】:位牌とは何なの?位牌の意味や必要性をお坊さんが解説します。
古い位牌は『閉眼(魂抜き)供養』をしてもらった後に『お焚き上げ』をしてもらう

新しく作った位牌の『開眼供養』が終わったら、以前の位牌の供養もしなくてはいけません。
以前の位牌は、やはりお坊さんへ依頼をして『閉眼(=魂抜き)供養』をしてもらうことが必要です。
この供養は、【位牌の役割を終わらせて、あの世とのつながりを遮断する】という内容なので、要するに開眼供養の反対のことをするんです。
閉眼供養が終わった位牌はもう【ただの木の札】に戻っているので、本当であれば可燃ゴミに出しても問題はありません。
でも、そんな粗末なことはできませんよね?
なので、閉眼供養が終わったら、その位牌はそのままお坊さんに渡して【お焚き上げ】という焼却処分をしてもらうといいでしょう。
ただし、閉眼供養料の他に、ちゃんと【お焚き上げ料】を1,000円~3,000円くらいは納めるようにしてくださいね。
まとめ:仏壇に入らないほど位牌が増えたら、1つの位牌にまとめよう
仏壇の中はいっぱいで、今以上に位牌が入らないは、複数の位牌を1つにまとめるといいですよ。
複数の位牌を1つにまとめるには、
- 『先祖代々』の位牌
- 回出(くりだし)位牌
のどちらかを新しく作ることになります。
もしも『先祖代々』の位牌にする場合は、必ず先に【過去帳】にすべての仏様の戒名・行年・没年月日・俗名を記帳しておきましょう。
そして、新しく作った『先祖代々』または『回出(くりだし)』の位牌には、お坊さんへ依頼をして『位牌開眼(魂入れ)供養』をしてもらってください。
また、以前の位牌は、やはりお坊さんへ依頼をして『位牌閉眼(魂抜き)供養』をしてもらってください。
『位牌閉眼(魂抜き)供養』が終わった位牌は、お坊さんへ渡して【お焚き上げ】という焼却処分をしてもらいましょう。
仏壇に位牌がたくさんあるということは、あなたの家がご先祖様や亡き家族をちゃんと大切に供養し続けてきた証です。
たくさんある位牌をまとめて、スッキリした仏壇で今後もちゃんと供養を続けてあげてください。
※仏壇に置く仏具についてはコチラをご参考にどうぞ。