仏事全般

お盆の意味や由来。お盆の供養と風習についても詳しく解説

この記事は、

今回の内容は要するにコレです
  • お盆の意味や由来
  • お盆の供養
  • お盆の風習

について書いています。

あなたはいつもお盆をどのように過ごしていますか?

お仕事も休みですし、どこかへお出かけするのでしょうか?

せっかくの連休なのでお出かけするのもよいのですが、今年は、

お盆本来の過ごし方をしてみませんか?

本来の過ごし方と言われても、お盆が何をするものなのかイマイチわからないですよね?

この記事を読めば、お盆がどのようなものかを他人に説明できるくらいには理解できると思います。

長文になっておりますので、あなたの知りたい部分に目次から飛んでお読みください。

お盆の意味や由来

毎年の、

  • 8月13日~16日
  • 7月13日~16日

は、『お盆』と呼ばれる期間です。

お盆になると、多くの人は『お盆休暇』を取って、帰省したり、旅行へ出かけたり、あるいは自宅でゆっくり過ごしたりします。

しかし、お盆は休暇のためのものではありません。

お盆を迎えると、

あの世にいらっしゃる仏様達(ご先祖様や亡きご家族)が自宅に帰ってくる

といわれています。

限られた時間ではありますが、自宅には仏様専用の棚を設けて供養をし、一緒にお盆の期間を過ごし、日頃の感謝をより近くでお伝えします。

ですから、

お盆は本来、外出はせずに自宅でご先祖様や亡きご家族と一緒に過ごすためのもの

なのです。

お盆とは何か

人が亡くなると、一般的にはお葬式を執り行います。

お葬式を終えたら、故人は仏様の世界(あの世)へと旅立ち、たくさんの仏様たちに守られながら『仏弟子』としていろんな修行に励まれるそうです。

あの世の修行は厳しいだけではなく、今まで知らなかったことをたくさん学ぶことができて『とても楽しい』ものだそうです。

そうはいっても、休むことなくずっと修行を続けるのは大変なので、年に一度『修行をお休みしてよい期間』が設けられています。

それが『お盆』です。

つまり、お盆は、

仏様達が『あの世の修行』を一旦お休みして、年に一度それぞれの家に帰って、ゆっくりと過ごすため

の期間なのです。

私たちは、久しぶりに帰ってこられるご先祖様や亡きご家族のために、仏様専用のお席をあらかじめ用意しておきます。

これを、『精霊棚(しょうりょうだな)』あるいは『盆棚(ぼんだな)』といいます。

お盆の期間は、この精霊棚へ飾り付けをして、お盆ならではのお供え物をして、仏様達をもてなします。

このように、お盆期間中は仏様達にゆっくりと過ごしてもらい、リフレッシュしてもらってから再びあの世の修行に戻っていただくのです。

お盆の由来と歴史

お盆というものは、どのようにして始まり、いつから行われているものなのでしょうか?

ここからは、お盆の由来と歴史について紹介します。

お盆の由来

お盆という名称ですが、正式な名称は『盂蘭盆(うらぼん)』といいます。

この『盂蘭盆』は、インドの古い言葉であるサンスクリット語の【ウランバナ=逆さ吊り】という言葉が語源になっています。

なぜ【逆さ吊り】などという、いかにも苦しそうなものが語源になっているのでしょうか?

これは、『仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)』というお経の中にある、仏教を広められたお釈迦様と、その弟子である『目連(もくれん)尊者』という方との話が元になっています。

話の内容は次のようなものです。

お釈迦様にはとても優秀な十人の弟子がおられました。

その中の一人に、目連尊者という弟子がおられました。

目連尊者は、『神通力(じんつうりき)』という【あの世のことまで見通せる能力】に非常に長けた方でした。

ある時、目連尊者はすでに亡くなっていた自分の母親が今ごろあの世でどのように過ごしているのかが気になり、神通力であの世の母親の様子を見てみました。

そこには、驚くことに母親が『餓鬼(がき)』という【飢えと喉の渇きの苦しみを受け続ける世界】に堕ちて、苦しみに満ちた顔で過ごしている様子が見えました。

目連尊者は慌ててお釈迦様の元へ駆けつけ、神通力で見たものをすべて説明し、「何とか母を救い出してあげる方法はないでしょうか!?」と助けを乞いました。

そんな目連尊者を見たお釈迦様は、

「わかった。では、7月15日に【安居(あんご)=定められた修行期間】を終えた多くの僧侶達に食事を振る舞って供養をしなさい。

その供養によってお前が積んだ功徳を、餓鬼の世界にいる母親を始め、苦しみを受けている多くの者達へ回し向けなさい。

そうすれば、お前の母親は必ず餓鬼の世界を離れられるだろう。」

と教えを説かれました。

目連尊者はこの教えを忠実に実践し、その後もう一度神通力であの世を見てみました。

すると、目連尊者の母親は無事に餓鬼の世界を離れて、仏様の世界でとても穏やかな顔で過ごしているのが見えました。

以上のようなお釈迦様の教えが、ご先祖様や亡きご家族に対して感謝の気持ちを伝え、心を込めて供養をする『お盆』の行事として今日まで続いているのです。

お盆の歴史

では、お盆という行事が日本で行われ始めたのは一体いつ頃からなのでしょうか?

日本でお盆が行われ始めたのは、最古の記録として、推古天皇の時代(606年)であるといわれています。

今から約1,400年も前からお盆の行事はあったんですね。

亡くなった人を敬い、ご先祖様に感謝をするという気持ちは、ずっと昔の人たちから現在の私たちにまで脈々と受け継がれてきたのです。

お盆の供養やお墓参りをするのは、長い歴史を受け継いで、後の人たちへと引き継ぐことでもあるわけですね。

お盆の期間

全国的に行われているお盆は8月が多いです。

これを一般的には『8月盆』と呼んでいます。

しかし、東京などの一部の地域によっては1ヶ月早い7月にお盆を行うところもあります。

これは、『8月盆』に対して『7月盆』と呼ばれています。

同じお盆でありながら、なぜこのような時期の差があるのでしょうか?

7月盆と8月盆の違い

お盆には『7月盆』と『8月盆』がありますが、どちらもやる事は全く同じです。

お墓参りをしたり、お盆の供養をしたり、どちらであってもお盆を過ごす時の内容に違いは一切ありません。

お盆の始まりとなったのは、目連尊者が多くの僧侶へ食事を振る舞い供養をした7月15日です。

ですから、お盆の供養は7月15日にするのが本来です。

実際に、昔はちゃんと7月15日にお盆供養を営んでいました。

しかし、明治期を境に日本では【新暦】を使用することになりました。

これによって、旧暦の7月15日(本来の時期)と新暦の7月15日とでは約1ヶ月のズレが出てしまいました。

『7月15日』という日付を重要視して、そのまま新暦に当てはめてお盆を執り行っているのが、いわゆる【7月盆】です。

そして、旧暦の7月はだいたい新暦の8月くらいの時期に相当するので、時期を重要視してお盆を執り行うのが【8月盆】です。

また、旧暦における本来の7月15日を正確に計測して現在の新暦に当てはめてお盆を迎えている地域があります。

それは、沖縄です。

旧暦による日数の数え方であるため、7月15日に相当する日が新暦だと毎年変わってしまいます。

ですから、沖縄では毎年【お盆の日付が変わる】ということになります。

これを『旧盆』と呼んでいます。

終戦記念日と関係があるの?

全国的に行われる『8月盆』は8月15日ですが、これは『終戦記念日』と同じ日となります。

たくさんの戦没者を慰霊する終戦記念日と同じ日に、ご先祖様や亡きご家族のお盆供養をします。

どちらも『すでに他界された人』を偲び供養をする日ということになりますが、お盆と終戦記念日が同じ日であることに何か関係があるのでしょうか?

結論から言いますと、お盆と終戦記念日は、

まったく関係ありません。

偶然同じ日になっているだけです。

お盆供養は本来7月15日に行うものですが、それを新暦に当てはめることによって、現在では多くの地域で8月15日にお盆供養を行います。

一方の終戦記念日は、天皇陛下が日本国民に向けて日本が降伏したことを伝えた日です。

ですから、同じ8月15日ではありますが、まったく別のものなのです。

お盆の供養

お盆には一体どのような供養をすればよいのでしょう。

多くの人が思いつくお盆の供養は、《お坊さんにお経をあげてもらって供養をする》ではないでしょうか?

もちろん、お坊さんにお経をあげてもらうのは立派なお盆の供養です。

しかし、他にも大事な供養の方法があります。

それは、

仏様達がくつろげる席をちゃんと用意してあげて、心を込めて仏様達をもてなすこと

です。

お坊さんであるぼくが言ってはいけないかもしれませんが、もしかすると、法要よりもこちらの方が大事な供養かもしれません。

お盆の供養とは、自宅に帰ってこられた仏様達をもてなして、とにかく【ゆっくりと休んでもらい、くつろいでいただく】ことです。

まず、仏様達が自宅に帰ってこられる際には、家族みんなで【お迎え】をしましょう。

お盆中は、できるだけ仏様達と一緒に過ごし、心を込めて仏様達をもてなしてあげてください。

お盆の最後の日には、また家族みんなで仏様達を【お見送り】してあげましょう。

これらをしっかりと執り行ってあげることが、仏様達の一番喜ぶお盆の供養だと思います。

では、仏様達をしっかりともてなすには、どのようなことをすればいいのでしょうか?

一般的には、

  • 精霊棚(お盆飾り)の設置
  • 迎え火と送り火

などを執り行って、お帰りになった仏様達の供養(おもてなし)をします。

では、具体的な方法を以下で説明していきます。

精霊棚(お盆飾り)

先ほども言いましたが、お盆になると自宅にお帰りになったご先祖様や亡きご家族のために、お盆ならではの飾り付けをした『精霊棚(しょうりょうだな)』または『盆棚(ぼんだな)』という仏様専用の席を設けます。

仏様達にゆっくりと休んでいただくための席なので、季節の物をお供えするなどして丁重に心をこめて【おもてなし(=供養)】をしましょう。

位牌は仏壇から出して精霊棚へ移す

精霊棚を設ける時の注意点があります。

それは、

仏壇から位牌を出す

ということです。

まず、精霊棚とは、仏壇の中に設けるのではなく別のテーブルなどの上に飾り付けるものです。

この【精霊棚は仏壇と切り離して別の場所に設ける】というのが大事なのです。

そして、用意したテーブルの上には『まこも』というゴザのようなものを敷きます。

次に、お仏壇の中に安置されている位牌を取り出し、テーブルに敷いた『まこも』に乗せ置きます。

位牌が複数ある場合は、すべての位牌を仏壇から取り出して、まこもの中央部から両端へと【古い仏様の順】に乗せ置くようにしましょう。

また、位牌が2つある場合は、向かって右側に古い仏様の位牌を置き、反対の左側には新しい仏様の位牌を置くとよいでしょう。

仏様の配置の決まり事として、

  1. 最上位(または最優先)の仏様は【真ん中
  2. 2番目の仏様は、最上位の仏様の【側】
  3. 3番目の仏様は、最上位の仏様の【側】
  4. 4番目の仏様は、2番目の仏様の【右側】
  5. 5番目の仏様は、3番目の仏様の【左側】

というように、仏様の優先順位が下るにつれて中央部から両端側へと置き場所が変わっていきます。

他のお供物・花・ローソク・お鈴などは、用意したテーブルの上であれば『まこも』以外の場所に置いてかまいません。

このようにして、精霊棚を設けていくわけですが、なぜ位牌を仏壇から取り出す必要があるのでしょうか?

仏壇の中には本尊様がおられ、その空間は『仏様の世界(=あの世)』を表現しています。

つまり、少し大げさかもしれませんが、仏壇の中は『仏様の世界=あの世』と同じなのです。

位牌は、お墓と同様にご先祖様や亡きご家族が宿ることができる場所です。

お盆になると、あの世から帰ってこられた仏様達は、それぞれの位牌へ宿り、ゆっくりと身体を休められます。

ですから、お盆中は特に丁寧に、位牌を【仏様の身体と同じである】くらいのつもりで取り扱ってください。

位牌を仏壇から出す理由は、修行をお休みして帰ってきた仏様達をちゃんとあの世から切り離してあげるためです。

帰ってきた仏様達の位牌を仏壇の中に入れると、せっかく自宅にいるにもかかわらず休んだ気分になりません。

仏様が宿る位牌が【あの世と同じ空間】である仏壇の中にあると、仏様達としては【せっかく自宅に帰ってきてるのに、あの世にいるような気分】になってしまうのです。

というわけで、仏壇とは別の場所へ精霊棚を設け、しっかりとあの世と切り離してあげて、仏様達にはゆっくりと過ごしていただきましょう。

精霊馬と精霊牛

お盆ならではの飾りつけとして、

  1. 精霊馬(しょうりょううま)
  2. 精霊牛(しょうりょううし)

が代表的なものだと思います。

精霊馬とは、

  • キュウリに【折った割り箸】などを4本刺し、馬のような形にしたもの

のことです。

精霊牛とは、

  • ナスに【折った割り箸】などを4本刺し、牛のような形にしたもの

のことです。

これらは多くの地域でお供えされているものですから、あなたも見たことがあるんじゃないですか?

この精霊馬と精霊牛は、ご先祖様や亡きご家族があの世とこの世を往来する時の『仏様達が乗る動物』であるといわれています。

仏様達は、この世の自宅まで帰って来る時には、なるべく早くお帰りになるために精霊馬に乗ります。

逆に、再びあの世へお戻りになる時には、精霊牛に乗ってたくさんのお土産などを提げながらゆっくりと戻って行かれます。

精霊馬と精霊牛の作り方は同じです。

作り方は、

  1. キュウリを一つ用意する
  2. 折った割り箸などを4つ用意する
  3. 折った割り箸などを、《馬の【脚】》のように見立てて刺す
  4. ナスを一つ用意する
  5. 折った割り箸などを4つ用意する
  6. 折った割り箸などを、《牛の【脚】》のように見立てて刺す

と、このようにとても簡単です。

作る時のコツは、

  • ほとんどのキュウリやナスは少し曲がっていますので、上向きに反るようにして持ち、反っている方と逆側へ折った割り箸などを刺して【脚】の部分を作っていく。
  • ナスはヘタの部分を【牛の頭】に見立てて作る。
  • 割り箸などを折る時の長さ(脚の部分の長さ)は、キュウリやナスの【全長の3分の1】くらいにする。
  • 割り箸などを刺す場所は、キュウリやナスの全長の【3分の1と3分の2に相当する場所】を目安にする。※例えば、長さ30cmのキュウリの場合、端から10cm付近に2本の脚を作り、次に端から20cm付近に残りの2本の脚を作る。

このようにすると、スッと背中を伸ばしたバランスの良い精霊馬と精霊牛が出来上がります。

精霊馬と精霊牛は、お盆が始まる当日(8月13日または7月13日)の朝には作っておきましょう。

特に精霊馬は、お盆が始まって【仏様達をお迎えに行く前】に作りましょう。

精霊馬が用意されていないと、仏様達がなかなか帰ってこられません。

精霊馬と精霊牛は、一つずつ作ってあれば問題ありません。

ですから、もし仏様が多い家であっても、わざわざ仏様全員分の用意をしなくてもいいですよ。

精霊棚(お盆飾り)の処分方法

お盆が終わったら精霊棚を片付けます。

この時に、

  • まこも
  • 精霊馬と精霊牛
  • その他のお盆飾りやお供物

などをどのようにして処分すればよいか迷いますよね?

お盆飾りは、基本的に一般可燃物と一緒に処分をしてもかまいません。

半紙など白い紙に包んで処分してしまって大丈夫です。

とはいえ、やはり「仏様に関するものを普通の可燃物と一緒に処分するのは気が引ける」という人は多いです。

そうですよね、その気持ちはよくわかります。

もしも自分で処分することに抵抗がある場合は、お寺や霊園で『お焚き上げ』をしてもらいましょう。

ただし、すべてのお寺や霊園で『お焚き上げ』をしてもらえるとは限りませんので、必ず事前に確認をしてください。

また、場合によっては【お焚き上げ料】が必要となることもありますので、その点についても確認をしてください。

迎え火と送り火

お盆になりあの世から帰ってくる仏様達は、お墓へ向かわれるそうです。

直接自宅まで帰ってくるわけではないので、私たちは、お盆の始まりの日にはお墓へ【お迎え】に行き、お盆が終わればお墓へ【見送り】に行くのです。

このお盆の独特の作法ですが、

  • お迎えのことを『迎え火(むかえび)』
  • 見送りのことを『送り火(おくりび)』

といいます。

この迎え火と送り火の時には、手持ち用の提灯(ちょうちん)とローソクが必要となります。

迎え火

お盆が始まる日(8月13日または7月13日)の朝には、仏様達をお迎えに行く『迎え火』をします。

迎え火をするために用意する物は、

  • 手持ち用の提灯
  • ローソク
  • ライター
  • お花
  • お線香

です。

仏様達を自宅までお連れする時の手順は、

  1. まずは普段どおりのお墓参りをする
  2. お墓の前で火を焚く(=ライターで点火)
  3. その火でローソクに火を灯す
  4. 火を灯したローソクを提灯に移す
  5. 提灯に移したローソクの火を消さないように帰宅する
  6. 持ち帰った火を、精霊棚のローソクに移す

というカンジです。

しかし、これは基本的な手順です。

迎え火の作法は地域によって違いがあると思いますので、その地域の作法に従って執り行ってかまいません。

なお、一度自宅の精霊棚に火を移したら、もうそれでお迎えは完了しています。

ですから、お盆期間中ずっとローソクの火をつけっ放しにする必要はありません。

危険なので就寝時には必ずローソクの火を消してください。

また、お墓からの帰宅途中で、風が吹いて提灯の火が消えてしまうことがあります。

そんな時は、すぐその場でライターなどで火をつけ直してもらえれば大丈夫です。

わざわざお墓に戻って火をつけ直す必要はありません。

車で迎え火をする場合は、お墓の前で提灯に火を移し、帰宅する際には乗車時に一度火を消して、降車時に再び火をつけ直してください。

送り火

お盆の最後の日(8月16日または7月16日)の夕方には、仏様達を見送りに行く【送り火】をします。

送り火は、基本的には迎え火と逆のことをすればよいだけです。

用意するものも同じです。

仏様達を見送る時の手順は、

  1. 精霊棚のローソクの火を、手持ち用の提灯に移す。
  2. 提灯に移したローソクの火を消さないようにお墓の前まで運ぶ。
  3. お墓の前で提灯の火を消す。
  4. 普段どおりのお墓参りをする。

という具合です。

お盆期間をゆっくりと過ごされた仏様達は、名残惜しみながらも再びあの世へと戻っていかれます。

新盆

人が亡くなられてから初めて迎えるお盆のことを、

『新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)』

といいます。

大切なご家族が他界されてから初めてお盆を迎えますので、毎年のお盆以上に丁寧に供養をしてあげましょう。

新盆とは?

人が亡くなられてから初めて迎えるお盆を新盆といいますが、新盆にはもう一つだけ条件があります。

それは、お盆を迎える段階で【亡くなられてから49日を過ぎている】ということです。

人が亡くなってお葬式が終わっても、故人はすぐにあの世へ旅立つわけではありません。

人が亡くなられてから【49日間】は、故人の魂がまだこの世に残っているのです。

これを『中陰(ちゅういん)』または『中有(ちゅうう)』といいます。

お盆は、【あの世】の修行をお休みして自宅に帰ってこられる期間ですから、お盆の期間中にまだこの世にいる故人は、その年のお盆は新盆とはならず、翌年のお盆が新盆となります。

新盆の供養をする

お盆になると、自宅へ帰ってきた仏様達のために『お盆供養』をします。

新たに仏様が出た家の場合は、ご先祖様のお盆供養の他にも、ぜひ【新盆供養の法要】をしてあげてください。

お寺で新盆供養(法要)をしてもらう

お盆になると、ほとんどのお寺ではお盆供養(法要)が執り行われ、この時に新盆供養(法要)も一緒に執り行うことが多いです。

お盆供養(新盆供養を含む)は、お寺によって執り行われる日が違いますので、あなたの菩提寺または最寄りのお寺へ確認をしてください。

新盆供養のお布施の目安は、

3万円~5万円くらい

ではないかと思います。

しかし、これはあくまでも【目安】ですので、必ず事前に確認をしておきましょう。

お盆供養の形式はお寺によって異なりますが、お盆供養は【合同形式】で執り行うことが多いようです。

合同形式のお盆供養では他家の方々と一緒に供養を執り行うため、各家がそれぞれに親戚などを招くことができません。

合同形式での供養である場合は、親戚には予めその旨を伝え了承を得ておくとよいでしょう。

新盆供養をする際には、新盆の『塔婆』を建てることをおすすめします。

当たり前ですが、故人にとって【新盆は一度きり】なのです。

塔婆を建てることは、故人に対する【最高レベルの供養】ができるのです。

一度しかない新盆供養なのですから、新盆の塔婆を建てて最高レベルの供養をしてあげてほしいなと思います。

塔婆(卒塔婆)って何なの?塔婆の意味と必要性を説明しますあなたは塔婆(とうば)をご存じですか?お墓の後ろに建てる塔婆には、どのような意味があるのか、そもそも建てる必要があるものなのか、ということを説明しています。じつは塔婆にはものすごいチカラがあるのです。もうすぐ法事があるというあなたは、ぜひ一度お読みください。...

自宅で新盆供養(法要)をしてもらう

お寺によっては自宅で新盆供養(法要)をしている場合もあります。

自宅で新盆供養ができる場合は、希望の法要日を事前に予約して、準備すべき事を前もって確認しておきましょう。

また、自宅の場合は【お坊さんが車で来る】ことを想定しておくべきです。

ですから、お坊さんの車を停めておける場所を確保しておいてください。

自宅での新盆供養は、お寺の合同形式とは違いますので、親戚を招くことが可能です。

できるだけ多くの方々で故人の初めてのお盆を迎えてあげましょう。

お盆と施餓鬼(せがき)

お盆供養を執り行う際には、『施餓鬼(せがき)供養』も同時に執り行っているお寺が多いです。

そのため、信者さんの中には【お盆供養と施餓鬼供養は同じもの】と認識している人も多いです。

施餓鬼とは、字のごとく【餓鬼】に【施す】ことです。

餓鬼というのは、いつも【飢え】と【喉の渇き】の苦しみを受け続けている者をいいます。

この餓鬼達に、食べ物や飲み物を施すことによって、餓鬼を救い出してあげるのが『施餓鬼供養』です。

ですから、施餓鬼供養は【餓鬼に飲食を施す】ための供養なので、ご先祖様の供養とは関係ありません。

また、施餓鬼供養はお盆のように決まった時期だけではなく、いつでも執り行ってよいものなのです。

では、なぜお盆供養と本来は関係のない施餓鬼供養を一緒に執り行うことが多いのでしょうか?

いろんな考え方があると思いますが、ぼくは、お盆も施餓鬼も『餓鬼の世界で苦しむ者を救い出す』という部分が共通しているから一緒に執り行うのだと考えています。

先ほども書きましたが、お盆は、目連尊者の母親が餓鬼の世界で苦しんでいるのを救い出したことが始まりです。

そして施餓鬼は、目連尊者の母親と同じように餓鬼の世界で苦しむ者を救い出すための供養です。

また、施餓鬼供養は日頃あまり大々的に行われるものではありません。

そのため、苦しむ者を救い出すという重要な供養なので、【餓鬼】という共通点あるお盆の時に一緒に供養しよう、ということになったのだと思います。

お盆にまつわる風習

お盆に執り行われるのは『法要』だけではなく、他にもお盆にまつわる風習があります。

盆踊り

お盆の行事で代表的なものに『盆踊り』があります。

お祭りなどで、会場の中央に設けられた櫓(やぐら)を囲んで参加者みんなで踊ります。

盆踊りは《踊る》ことによってご先祖様や亡きご家族の供養をしているのです。

盆踊りの由来

盆踊りの由来は、平安時代に活躍したお坊さんである『空也上人(くうやしょうにん)』の【踊り念仏】が元になっている、とされています。

空也上人は、ひょうたんを叩きながらリズムよく念仏をお唱えし、人々はこれを真似て同じようにリズムよく念仏をお唱えしました。

そして、リズムのよい念仏に更に《踊り》が加わったのが【踊り念仏】なのです。

踊り念仏は、やがてお盆供養と結びつき、『盆踊り』になったといわれています。

これを鎌倉時代に活躍したお坊さんである『一遍小人(いっぺんしょうにん)』が全国的に広め、現在ではお盆になると各地で盆踊りの行事が催されるようになりました。

お盆の間は海に入ってはいけないの?

あなたは、

「お盆の間は海に入ってはいけない」

と言われたことはありませんか?

夏は海開きもされており、せっかく海水浴にピッタリな時期なのに、なぜお盆の間は海に入ってはいけないのでしょうね?

『水辺には死者の霊が集まる』という言い伝え

昔から、『水辺には死者の霊が集まる』といわれます。

ここでいう『死者の霊』とは、正確には【誰からも供養を受けていない者の霊】という意味です。

なぜ、そのような霊は水辺に集まるのでしょうか?

人がお亡くなりになると、『末期の水(まつごのみず)』で故人の口を潤してあげます。

末期の水は、お釈迦様がいよいよ最期を迎えられる時に、喉の渇きを潤してもらうために浄水を差し出したことが由来とされています。

また、故人に水を与えることによって「生き返ってもらいたい」という家族の願いが込められています。

末期の水には、残された家族などの【故人の冥福を祈る気持ち】や【故人に対する感謝の気持ち】といった、故人を供養する行為の意味もあるのです。

しかし、誰からも供養を受けていない者の霊は、末期の水を口にしていません。

それで供養の象徴である水を求めて水辺に集まってくるのだそうです。

しかしながら、水を目の前にしても自分の力ではそれを口にすることができずに、そのまま水辺をひたすら漂い続けてしまうのです。

そのような霊の中には、水辺に来た人を自分と同じところへ引きづり込もうとする霊もいるそうです。

お盆のように暑い真夏の時期は、涼むために海へ行って泳ぐ機会も増えます。

そうすると、悪い霊に出会い海中へ引きづり込まれてしまう可能性も高くなってしまいます。

それで、お盆の間は海へ入ってはいけない、と言われるのです。

水難事故が多い

お盆の間は海へ入ってはいけない理由が『死者の霊が集まっているから』というのは、どちらかというと【迷信】です。

本当の理由は、

  • クラゲが多く発生する時期
  • 台風などによる高波(土用波)が多い
  • 離岸流が多い
  • 水草や藻などが多く生えており、足をとられたり滑ってしまう

といったように、お盆は【海での水難事故が多発する時期】だからだと思います。

クラゲは一年を通して海にいるものですが、お盆はクラゲの成長が特に進む時期です。

クラゲって接近していても気づきにくいですよね?

あなたにも、海で泳いでいたらいつの間にかクラゲがすぐ目の前にあった、という経験はありませんか?

それで知らぬ間に触ってしまい、刺されてしまうのです。

また、お盆の時期は波の高さにも注意が必要です。

お盆の頃は海水温度も上がり、それが原因で台風が発生しやすい時期です。

沖合で台風が発生すると高波を引き起こし、それが土用波となって海岸まで届きます。

水の力をバカにしてはいけませんよ。

ヒザくらいの高さでも流れが速ければ、簡単に足を持っていかれます。

波が高くなれば、それだけ流れも速くて力も強くなります。

とにかく、海の場合はこの『波』に要注意です。

海岸に打ち付けられた波は、再び沖へと引いて流れていきますよね?

この沖へと引いて流れるスピードが局地的に速くなる場所があり、これを『離岸流(りがんりゅう)』といいます。

この離岸流に入ってしまうと、岸に向かってどんなに一生懸命泳いでも、どんどん沖へと流されてしまいます。

流される時の感覚としては、まさに『海に引きづり込まれる』ようなカンジでしょう。

この離岸流が原因で毎年のように水難事故が起きています。

そして、夏の海は海中にはたくさんの水草が生えています。

時にはこの水草に足を取られてしまうことがあります。

また、藻などもたくさん生えているので、うかつに岩や石に足をかけると滑ってしまいます。

このように、お盆の間は海へ入ってはいけない、と言われているのは水難事故の可能性が高くなるから、という理由でしょう。

お盆玉

最近では、お年玉ならぬ『お盆玉(おぼんだま)』というものがあるそうです。

新年を迎えると、親戚同士で集まり、子ども達は『お年玉』という名の【おこづかい=臨時収入】をもらいます。

これと同じようなことをお盆の時にも行うのです。

たしかに、お盆には親戚同士が集まり、正月の時と同じような状況となりますので、そこでまた【おこづかい】を子ども達にあげるということなのでしょう。

とはいえ、年に2回も【おこづかい】をあげる側だって大変ですよね。

子ども達には【おこづかい】をあげるだけではなく、【ご先祖様のありがたさ】も教えてあげてくださいね。

例えば、

「いっぱいお盆玉がもらえてよかったね。ほら見てごらん、これだけたくさんの親戚のおじさんやおばさん達がいるから、君はいっぱいお盆玉をもらえたんだよ。今ここにみんながいるのは、ご先祖様達がいてくれたからなんだよ。だから、ご先祖様にも『ありがとう』を言おうね。」

みたいなカンジで教えてあげてください。

お盆とお彼岸は違うものです

ぼくのいるお寺で、たまに、

「お盆にお墓参りをしたんだから、翌月の【秋のお彼岸】にはお墓参りをしなくても大丈夫でしょ?」

という質問をする信者さんがおられます。

あなたも同じようにお考えでしょうか?

お答えします。

【お盆】と【お彼岸】はまったく別物なので、それぞれにお墓参りをしてください。

今まで説明してきたように、お盆のお墓参りは【仏様達を自宅にお連れしたり、お見送りする】ためのものです。

一方で、お彼岸のお墓参りは【あなた自身の仏道修行】のためのものです。

同じお墓参りをしているようですが、その意味がまったく違います。

ですから、お盆と秋の彼岸は近い時期にありますが、それぞれにちゃんとお墓参りをしてください。

お彼岸にお墓参りをする理由とお彼岸の意味をお坊さんが解説します。お彼岸にはお墓参りをしますよね?でもその理由を知っている人は意外と少ないです。今さら誰にも聞けないようなことを、できるだけわかりやすく解説していますので、こっそりとご覧ください。...

まとめ:お盆についてちゃんと知った上で供養をしましょう

お盆は私たちの休暇のためにあるのではありません。

お盆は、あなたの家の仏様達と一緒に過ごすための期間です。

お盆になると、ご先祖様や亡きご家族が【あの世の修行を一旦お休みするため】に自宅へ帰ってこられます。

帰ってこられる仏様達のために精霊棚を設け、いろんなお供え物をして【おもてなし】をします。

ですから、帰ってこられる仏様達と一緒に過ごすために、私たちは仕事をお休みするのです。

つまり、お盆の間は、本来なら出かけるべきではないのです。

お盆の間で、どうしても出かける必要がある時は、仏様達も連れて行く(すべての位牌を持って行く)のが本来あるべき姿です。

でも、実際にはそんなことできませんよね。

仏様達が【あの世の修行をお休みする】のと同じように、あなたもお休みして、普段は行かないような場所などへ出かけたいですものね。

ですから、あなたも貴重なお休みの期間を楽しんで過ごしてください。

ただし、お出かけをする時は必ず精霊棚の位牌に「少し出かけてきますね。行ってきます。」と声をかけてください。

お盆の間は位牌に仏様達が宿っておられますから、ちゃんと声をかけてから出かけましょう。

帰宅したら「ただいま帰りました」と、また声をかけて、出かけた先でのいろんなお話をしてあげてください。

そして、家にいる時には常に『家族が久しぶりに家に帰ってきているのだ』という気持ちで過ごしましょう。

じつは、家族と同じように接してもらえることが仏様達にとっては一番安らぎます。

仏様達にとって懐かしい家族との団欒(だんらん)が一番の安らぎだからこそ、年に一度しかない【あの世の修行がお休みの期間】に自宅に帰ってこられるのです。

お盆はできるだけ家にいて、家族と同じように接することが『良いお盆供養』となります。

あなたには、そのことを知っていてもらいたいなと思います。