先日、初めてご家族に不幸があった信者さんから、「仏壇を買うんですけど、中に置くものは何を買っておけばいいですか?」という相談がありました。
多くの人は、仏壇そのものは知っていますが、具体的に『仏壇の中に何を置けばいいのか』ということはあまりご存じではありません。
仏壇の中に置く仏具というのは宗派によって少し違いますが、だいたいは同じものです。
この記事では
- 仏壇を購入するときに揃える仏具
- 仏壇の中に置く仏具の意味
- 仏具の置く場所
について紹介しています。
ちゃんと仏具を揃えることで丁寧な供養ができますので最後まで読んでみてください。
仏壇を購入するときに揃える仏具
多くの人は、仏具店に足を運んで、店員さんにいろいろと教えてもらいながら仏具を購入しています。
ただ、仏具店としても商売なので、余計なものまで加えてきますが、お客さんはそれを言われるがまま購入してしまいます。
この記事では、お坊さんの僕が「これくらいは買い揃えておいた方がいい」と思うものを紹介します。
揃えておいた方がよい仏具は以下のとおりです。
- ご本尊様《仏壇内の最上段(須弥壇)中央》
- 各宗派の祖師の掛軸《仏壇内の最上段左右》
- 位牌《仏壇内の中段》※浄土真宗は不要
- 高坏《仏壇内の中段の両脇》
- 仏飯器《仏壇内の中段》
- 茶湯器《仏壇内の中段》
- 花立て《仏壇内の下段左右》
- 常花《花立てにさす》
- 霊具膳《仏壇内の下段中央》
- 経机《仏壇の手前に置く》
- 四角打敷《経机に敷く》
- 火立て(ローソク立て)《経机に置く》
- お鈴セット《経机に置く》
- 香炉(線香立て)《経机に置く》
- 火消し《経机に置く》
- マッチ消し《経机に置く》
- 線香差し《経机に置く》
- 瓔珞と吊灯籠《仏壇内の天井部》
- 【過去帳】《経机の上に置く》
- 【ワラビ卓】《仏壇内の中段中央》
この中で『19・20』に関しては「あったらいいな」という程度なので、余裕があったら購入してもらえると仏壇としての威厳が増します。
ご本尊様《仏壇内の最上段(須弥壇)中央》
まず、仏壇に絶対になきゃいけないものがあります。
それは、ご本尊様です。
ハッキリ言いますが、ご本尊様がなければ仏壇を買う意味がないんですよね。
なぜなら、仏壇は『お寺の本堂の代わり』になるものだからです。
お寺の本堂には必ずご本尊様が祀られていますので、同じように仏壇にも【ご本尊様】が必要になります。
ご本尊様は必ず【仏壇内の最上段の中央】に置くようにしてください、ここが仏壇の中で一番の上座になりますので。
ご本尊様は、木製の仏像と、仏画の掛軸のどちらでもかまいません。
とにかく、『仏壇にはご本尊様が必要である』ということだけは絶対に忘れないようにしてください。
仏壇に関する詳しい解説は『仏壇の意味と役割とは?仏壇の準備からお参り方法まで丁寧に解説』の記事に書いていますので読んでみてください。
各宗派の祖師の掛軸《仏壇内の最上段左右》
日本の仏教にはいろんな宗派があります。
各宗派のお寺では、それぞれの『宗派の創始者となるお坊さんの絵』を本堂内に飾ることがほとんどです。
そして、それは仏壇でも同じ。
ご本尊様の両脇には、そのような各宗派の祖師(創始者)となるお坊さんの絵を掛軸にして飾るのです。
宗派の創始者の掛軸を飾っていない人は意外と多いのですが、せっかくですから、仏壇の購入をきっかけに『あなたの家の宗派』を確認して、祖師の掛軸を飾ってください。
位牌《仏壇内の中段》※浄土真宗は不要
仏壇には『位牌』を置くのが一般的です。
しかし、本来なら仏壇は位牌を置くためのものではありません。
仏壇は『お寺の本堂の代わり』をするものなので、仏壇はご本尊様に手を合わせて拝むためにあります。
仏壇の中は、仏様の世界を象徴する清らかな空間なので、ご本尊様は仏壇の中に置くのです。
では、なぜ位牌を仏壇に置くのでしょう?
位牌というのは、故人の魂が宿る『依代(よりしろ)』の役割をしています。
故人の魂が宿るものは清らかな空間(仏壇)に置いた方がいいよね、ということなんです。
ただし、位牌はご本尊様と同格ではありません、仏壇の主役はあくまでご本尊様。
位牌はご本尊様の次なので、ご本尊様の一つ下の段、つまり仏壇の中段に置くようにしてください。
位牌について詳しく知りたい場合は『位牌とは何なの?位牌の意味や必要性をお坊さんが解説します。』の記事を読んでみてください。
ちなみに、浄土真宗は位牌を使わず、代わりに『過去帳』を使いますのでご注意ください。
高坏(たかつき)《仏壇内の中段の両脇》
仏壇には、ご本尊様や亡き家族のために『お供物』を供えます。
お供物は、できるだけ『高坏(たかつき)』に乗せて供えるようにしましょう。
高杯とは、仏様へ供える食べ物などを置くための、脚の高い器のことです。
脚を高くしているのは、仏様を敬う気持ちを表しているからです。
高杯は、必要というほどの仏具ではないですが、僕としては敬意の象徴としてぜひ使ってほしいなと思います。
ちなみに、高杯に供えるときには、折った半紙を高杯の上に敷いてからお供物を置くと、さらに丁寧な供え方となります。
仏飯器《仏壇内の中段》
私たち日本人の主食は『米』です。
日本人は昔からよく仏様や神様に『米』をお供えします。
日本人にとって米は特別な食べ物であり、貴重な栄養源。
そんな米を供えることで、仏様や神様に敬意と感謝を表すのです。
美味しく炊いた米を仏壇に供えるときには『仏飯器(ぶっぱんき)』を使いましょう。
仏飯器は、高坏と同じように脚の高い器です。
もしも仏飯器を使わない場合は、普通のお茶碗を使ってもかまいません。
しかし、仏様へ供えるための器なのに、私たち俗世の人間と同じ物を使うのは、お坊さんとしてはあまりおすすめできません。
茶湯器《仏壇内の中段》
あなたが食事をするとき、お茶やお水などの『飲み物』を用意していますよね。
仏様にも同じように『飲み物』を用意してあげてください。
仏様に飲み物を供えるときは、『茶湯器(ちゃとうき)』を使います。
これは、言ってみれば、【仏様専用の湯呑】で、脚が高い茶卓の上に湯呑を置く形状になっています。
毎朝仏飯を供えるのと同じタイミングで、茶湯器に飲み物を注いで供えるようにしてください。
ちなみに、茶湯器という名前ではありますが、お茶よりも【水】を供えた方がいいですよ。
仏様へ供える水にはとても重要な意味があるので、詳しくは『仏壇に【水】を供える意味をお坊さんが詳しく解説します。』の記事を読んでみてください。
花立て《仏壇内の下段》
仏壇にお花を供えるためには『花立て(花瓶)』が必要です。
花立ては、仏具店で販売しているような物が正式ですが、市販されている普通の花瓶を使用しても問題ありません。
また、花立ては2つ用意して仏壇内の左右に飾ってもいいですし、1つだけ飾っても大丈夫です。
ただし、1つだけ飾る場合は、仏壇に向かって『左側』へ飾るようしてください。
常花《花立てにさす》
仏壇には花を供えます。
しかし、毎日新しい生花を供えるのはかなり大変です。
お寺でさえも毎日ちゃんと生花を供えているところは少ないと思いますよ。
そこで、生花の代わりとして供えるのが『常花(じょうか)』です。
常花というのは、金色で作られた『蓮』を模したものをいい、金色の造花みたいなものです。
お盆の時期が近くなるとホームセンターなどで販売されていたりしますが、あなたも一度は見たことがあるんじゃないですか?
常花は金色の蓮なので、これは『仏様の世界に咲く花』を意味しています。
仏様の世界に咲く花は枯れることはありませんので、生花ではない【作り物】で金色の蓮の花を供えているのです。
霊具膳《仏壇内の下段中央》
仏様へのお供え物は、いつも使っている茶碗や皿に盛って供えても…まぁ、大丈夫です。
しかし、故人の回忌法要やお盆などの『法要』をするときには正式な器を使いましょう。
正式なお供物用の器セットのことを『霊具膳(りょうぐぜん)』といいます。または『霊供膳』とも表記します。
霊具膳には4つのお碗と1つの皿の合計5つの器を使用します。
その5つとは、
- 『親椀』ご飯を盛る器
- 『汁椀』汁物用の器
- 『平椀』煮物を盛る器
- 『壺椀』和え物を盛る器
- 『高杯』香の物を盛る器
です。
「絶対にこれでなきゃだめ」というほどではないですが、仏様へ礼を尽くす意味でも購入しておくことが理想的です。
経机《仏壇の手前に置く》
仏壇にはいろんな仏具を置くので、必要な物をすべて置くことができません。
そこで、『経机(きょうづくえ)』があると便利です。
経机とは、その名前のとおり『経本を置くための机』なのですが、実際のところは仏具を置くために使っている人も多いです。
きっと、仏具を普通の机に置くことに抵抗があるから、わざわざ経机を使っているのでしょう。
本来の使用方法とは違っても、仏様を大切に考えてのことなので、それはそれでよいと思います。
四角打敷《経机に敷く》
経机の上に仏具を置く場合には、『四角打敷(しかくうちしき)』を敷きましょう。
これは、「大事な仏具だから、華やかな布を敷いて、そこへ置きましょう。」という意味で使われる敷物です。
四角打敷には防火性の素材で作られたものがありますので、ぜひそれを敷いてください。
もしかすると、『防火マット』みたいな名前で販売されているかもしれません。
四角打敷の上には、香炉やローソクといった『火を扱うもの』を置くことが多いんです。
もしも、燃えたままの線香や火の着いたローソクが倒れてしまった場合でも、防火用の打敷の上であれば安心。
特にローソクが倒れたことが原因で火災が起きた事例はたくさんありますので、僕は防火性の素材で作られた四角打敷を使うことを推奨します。
火立て(ロウソク立て)《経机に置く》
仏壇をお参りするときには、必ず灯明に火を灯します。
灯明とは、要するに『火の着いたロウソク』のことです。
となると、ローソクを立てるためには『火立て(ロウソク立て)』が必要となります。
火立ては2つあるなら左右に置いてもいいですし、1つだけなら仏壇に向かって『右側』へ置くようにしてください。
灯明には、明かりをとること以外にも大事な意味があります。
灯明(ロウソク)の明かりというのは『仏様の教え』を象徴するものです。
灯明に関する詳細は『多くの人が知らない【仏壇のロウソク(灯明)に火をつける意味】』の記事で解説していますので、興味があれば読んでみてください。
ロウソクで火を使うことが心配な人は、代わりに《電気ロウソク》でもよいと思います。
お鈴セット《経机に置く》
仏壇をお参りするときには『お鈴(りん)』を「チ〜ン♪」と鳴らしますよね。
お鈴を鳴らして、あなたが心を込めてお参りしていることを仏様へお知らせします。
また、お鈴を鳴らすことで、その場の全体を清める効果があるとされているので、仏壇をお参りするときにはお鈴が必要なのです。
お鈴というのは、基本的にはお経を読むときに鳴らす仏具ではありますが、それ以外のときでも遠慮なく鳴らしていいですよ。
よく「お鈴はむやみに鳴らすもんじゃない。」と言う人がいますが、そんなことはないんですよね。
その理由については『仏壇にある鐘【お鈴(おりん)】はいつでも鳴らしていいですよ。』の記事で詳しく解説しています。
香炉(線香立て)《経机に置く》
仏壇をお参りするときには【線香】を供えましょう。
仏様は、線香や焼香などを燃やしたときに出てくる『香り』を食べる、といわれています。
これを【香食(こうじき)】といいます。
つまり、お線香を供えることは、仏様に食事をしていただくことを意味するんですよね。
また、お香から出る香りは、その場を清める効果もあるのです。
お香を供えることは、仏事において基本中の基本なので、必ず供えるようにしてくださいね。
そのため、お線香を供えるための『香炉(線香立て)』が必要です。
お香についてもっと詳しく知りたい場合は『お線香のあげ方やマナーを場面別に詳しく紹介。お焼香の作法も合わせて紹介』を読んでみてください。
火消し《経机に置く》
仏壇のお参りが終わったら、ロウソクの火を消さなければなりません。
ロウソクや線香に着いた火は、息を吹きかけて消さないように注意してください。
私たちの息は、さまざまな生き物を食べた口、そして人の悪口・嘘・愚痴などを言っている『不浄な口』から出ています。
そんな不浄な口から出る息を、仏様の教えの象徴であるロウソクの火に向かって吹きかけてはいけません。
ですから、ロウソクの火は、
- 手であおぐ
- 専用の【火消し】を使う
という方法で消してください。
僕なんかは手であおいでサッと消してしまいますが、慣れない人がコレをやると、なかなか火が消えません。
下手をすると、あおいだ手が火の着いた線香に当たってしまいます。
そこで、あると便利なのがロウソク専用の『火消し』です。
使い方は非常に簡単、火消しをロウソクの火にカポッと被せるだけ。
これは、酸素を無くして火を消すという『窒息消火』の原理を使っています。
これであれば、安全に確実に火を消すことができますから、できれば『火消し』を購入しておきましょう。
また、火消しはしっかりとした【取っ手】があるものを選ぶと使いやすくていいですよ。
マッチ消し《経机に置く》
ロウソクの火をつけるときに、マッチを使う人は多いです。
ライターがない時代は、マッチを使って火を着けるのが一般的でした。
その名残りで、年配の方はよくマッチでロウソクに火を着けています。
それに、マッチの燃えるときの匂いが好きな人もけっこう多いですよ。
じつは僕もそのうちの一人、あの火薬の燃える匂い、何だか落ち着きます。
言うまでもないのですが、使い終わったマッチをすぐにゴミ箱へ捨ててはいけません。
くすぶっていたマッチの火が他のゴミに引火してしまいます。
使い終わったマッチは、必ず仏壇用の『マッチ消し』に入れておきましょう。
マッチ消しは金属製ですし、酸素が取り込みにくい構造になっているので、マッチの火をしっかりと消してくれます。
線香差し《経机に置く》
先ほども言いましたが、線香を供えるのは、仏様に食事をしていただくためです。
だから、線香の扱い方もできれば丁寧にお願いしたいんですよね。
信者さんの家でよく目にするのは、線香を買ってきたまま箱を開けっ放しにして、そこから線香を取り出して供えている光景です。
線香を買ってきたら、できるだけ『線香差し』に入れておきましょう。
箱から取り出すのって、スーパーで買ってきた惣菜を皿に盛り直さずそのまま食卓に出すようなものです。
少しだけ『手抜き感』が出ちゃうんですよね。
普段の食事なら、そんなことは気にしなくても、仏様のものとなると…。
仏様の召し上がるものを入れるための仏具ですからちゃんと購入しておきましょう。
瓔珞と吊灯籠《仏壇内の天井部》
お寺の本堂には、何やらジャラジャラと金色のモノが天井から吊られていますよね。
その吊られている金色の仏具は『瓔珞(ようらく)』といいます。
これは、もともとは古代インドの身分の高い人達が身につけていた装身具で、いろんな仏様もこれらの装身具を身につけておられますよ。
それがやがて、お堂を華やかに飾り付けるための仏具としても使われるようになりました。
仏壇は、ご本尊様や亡き家族の位牌を置くための清らかな空間です。
左右に瓔珞を吊るして、仏壇をより華やかに飾ってあげてください。
また、暗い仏壇を明るい光で照らし出してくれる『吊灯籠(つりとうろう)』も瓔珞と合わせて買った方がいいですよ。
仏壇の中は意外と暗いので、吊灯籠を入れることで中を明るく照らしてくれます。
もちろん、本物の火は使わない電飾です。
もしかすると、瓔珞と吊灯籠がセットで売っているかもしれませんね。
【過去帳】《経机の上に置く》
仏様がたくさんおられる家の場合、全部の位牌を仏壇に置くことができません。
そのような場合は、たくさんある位牌を【先祖代々の位牌】として1つにまとめる、という方法があります。
そうなると、戒名や法名など、各仏様の情報が分からなくなってしまいます。
そこで、それぞれの仏様の情報を記録しておくための『過去帳(かこちょう)』があると便利です。
過去帳があれば、各仏様の命日がすぐにわかるので、月命日のお墓参りを忘れてしまう、なんてことがなくなります。
必要というほどのものではありませんが、多くの人が使っている便利なものではありますよ。
【ワラビ卓】《仏壇内の中段中央》
先ほど紹介した、香炉やローソク立てなどを置く台として『ワラビ卓』というものがあります。
仏飯器や茶湯器を置くこともありますね。
これは、天板と卓の間に三角打敷を挟んで使用する、仏具を置くための『より正式で丁寧な台』です。
これは、仏壇の中段に置くものなのですが、正直なところスペースをとってしまうので、無理に使用することはありません。
仏様のために、できることは全てしてあげたいならぜひ購入してください。
まとめ
仏壇は『お寺の本堂』と同じ役目をしています。
そのため、本来なら仏壇にはお寺の本堂と同じような仏具を揃えるべきです。
とはいえ、そこまではする必要がなく、仏壇として機能できるくらいの仏具を揃えておくだけでいいと思います。
そのような観点で、今回は【必要な仏具】と【できればある方がいい仏具】を合わせて20個選んでみました。
あなたが仏壇を購入するときの参考にしてみてください。
また、この記事で紹介した仏具については、近所に仏具店がない方や、まずは手軽に揃えたい方のために、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングで購入できるものを参考までに載せておきました。
無理にここで買う必要はありませんが、形や相場の参考にしてみてください。
※仏壇に関する疑問があればこちらの記事を読んでみてください。






















