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仏壇の疑問

仏壇のロウソクに火をつける意味。供え方や火の消し方など取扱い方法も解説

こんな人に向けて書いています
  • どうして仏壇のロウソクに火をつけるの?
  • 仏壇のロウソクの供え方に決まりはあるの?
  • 仏壇にはどんなロウソクを供えればいいの?

あなたの家の仏壇にはロウソクがありますよね?

仏壇にお参りする時は、必ずロウソクに火をつけて、その火で線香をつけているはずです。

でも、仏壇のロウソクは【線香に火をつけるため】のものじゃないですよ。

仏壇をお参りする時に【なぜロウソクに火をつけるのか】とか【どのようにロウソクを取扱うのか】をちゃんと知っている人は少ないんですよ。

この記事は、お坊さん歴20年以上の僕が、

  • 仏壇のロウソクに火をつけることの意味
  • ロウソクの火の【つけ方】と【消し方】
  • 仏壇で使われるロウソクの種類
  • ロウソクの取扱い方

について詳しく書いています。

せっかく毎回ロウソクに火をつけているんですから、その意味を知っておきたくないですか?

というか、意味も分からずロウソクに火をつけてたら、何となくモヤモヤした気分になりません?

そんなモヤモヤがスッキリ晴れるように、お坊さんの僕が詳しく解説しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

仏壇のロウソク(灯明)に火をつける意味

仏壇をお参りする時はロウソクに火をつけます。

ロウソクに火をつけると、仏壇がほんのりと照らし出されて厳かな雰囲気になりますよね。

そして、ロウソクの火はお線香に火をつける時にも使います。

ロウソクに火をつけることは、言ってみれば【仏壇をお参りする時の決まった作法】です。

しかし、『仏壇のロウソクに火をつけることの意味』をちゃんと知っている人はあまりいません。

ほとんどの人が、何となく【そういうもの】としてロウソクに火をつけています。

せっかく毎日仏壇にお参りするんですから、ちゃんと意味を知っておいた方がいいと思います。

仏壇のロウソクに火をつけることは、簡単に言うと、

悟りへの道しるべ

という意味があるんです。

  • 明かりをとるためのもの
  • 釈迦しゃか様の教え
  • 仏様の温もり
  • 私たちの煩悩を焼き払ってくれるもの

もう少し具体的に言うと、

というように、いくつかの意味があります。

では、順番に説明をしていきます。

明かりをとるためのもの

まずは、実用的な意味から。

あなたもご存じのように、ロウソクは『明かりをとる』ために生み出されたものです。

昔は今みたいに電気なんか使っていませんでしたからね、何かに火をつけて明かりをとるしかなかったわけです。

ですから、お寺でもロウソクというものは必要でした。

寺子屋という言葉があるように、昔のお寺は【学校】の役割を果たす場所でもありました。

日が落ちてくると、お堂の中が暗くなってしまうので、ロウソクに火をつけて明かりをとり、お経以外にもいろんな勉強をしていたのです。

また、お寺はいろんな法要をする場所です。

法要をする時には、お坊さんが【お経】を読みます。

お堂の中が暗いと、経本に書いてある文字が見えないので、お経を読むことができません。

経本に書いている内容は、さまざまな仏様の教えがギッシリと詰まった非常に『ありがたいもの』なので、読み間違えるわけにはいきません。

ですから、お寺にとって【ロウソクの火】というものは仏像経本と同じくらい大切にされているものなんです。

また、仏壇というものは『お寺の本堂の代わり』をするものです。

だから、仏壇の中は【お寺の本堂の中】に似せて作られています。

それで、お寺の本堂にあるような仏具を、個人の家の仏壇でも使っているんですよね。

つまり、お寺の本堂で必要なロウソクは、当然ながら仏壇でも必要なものなのです。

仏壇に関しては『仏壇の意味と役割とは?仏壇の準備からお参り方法まで丁寧に解説』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。

釈迦しゃか様の教え

ロウソクのことを仏教では、

灯明(とうみょう)

といいます。

仏教において、灯明の火は『仏様の教え=正しい道を照らしてくれるもの』の象徴と考えています。

また、灯明には、

  1. 自灯明(じとうみょう)
  2. 法灯明(ほうとうみょう)

という2つの灯明があるのです。

これは、仏教を広めた【お釈迦(しゃか)様】が、たくさんいる弟子達に向けておっしゃったものです。

お釈迦様は、自分がいなくなった後でも弟子達が正しい道を進むことができるように、

  1. 「自分自身を灯明とせよ」=自灯明
  2. 「法(お釈迦様の教え)を灯明とせよ」=法灯明

とおっしゃったのです。

自灯明

まず1つめの、

自灯明(じとうみょう)

ですが、これは字のとおりで、

『自分自身を灯明とせよ』

という意味です。

つまり、

今までお釈迦様からたくさんのことを学んできた【自分自身】をより所にして、自分を強く信じて仏の道を進め

という意味なんです。

お釈迦様の教えをちゃんと守って、地道にコツコツと修行をしてきた弟子達に、

「お前たちは本当によく頑張っている。そのまましっかりと修行を続けることで悟りを得られるだろう。だから、もしも迷いが生じた時は【自分が信じる道】を進みなさい。」

と言ったんですね。

法灯明

次に、もう1つの、

法灯明(ほうとうみょう)

ですが、こちらは、

『法(=お釈迦様の教え)を灯明とせよ』

という意味です。

仏教では、『仏様の教え』のことを【法】といいます。

なので、【法灯明】は、

お釈迦様が言ったことをよく思い出し、【お釈迦様の教え】をより所として仏の道を進め

という意味です。

悟りを得るには、偉大な『仏様の教え』をちゃんと理解して、それを実践することが必要です。

まずは、仏教の根本である『仏様の教え』を強く信じることが悟りへの第一歩なんですね。

仏様の温もり

火というものは、【明かりをとる】だけではなくて【暖をとる】時にも使われます。

暖炉やストーブは、火の温もりが芯まで冷えきった体を暖めてくれます。

仏壇のロウソクにも同じような意味があります。

ただし、体感温度という意味ではありません。

仏壇のロウソクの場合は、火をつけることで、『仏様の優しさと慈愛に満ちた温もり』がその場に広がることを意味します。

私たちがいろんな悩みや不安の中にいる時は【寒さで体が芯まで冷え切った状態】です。

そこで、ロウソクへ火をつけることで『仏様の温もり』が私たちに注がれ、悩みや不安を解決するための暖かいパワーを生み出します。

このように、仏壇のロウソクに火をつけると、『仏様の教え』だけではなく『仏様の温もり』も一緒にいただける、ということなんです。

私たちの煩悩を焼き払ってくれる

あなたは『護摩祈祷(ごまきとう)』をご存じですか?

護摩祈祷とは、簡単に言うと、『仏様が宿った火』のチカラで私たちの願いをかなえてもらうことを目的とした法要です。

先ほどからお伝えしているように、火は仏様の『教え』や『温もり』を象徴するものであり、また、『火には仏様のチカラが宿る』とも考えられています。

そして、ありがたいことに仏様が宿った火は、私たちの煩悩(=無くなることのない欲望や執着)を焼き払ってくれます。

ですから、護摩法要では、

  1. 仏様が宿った火のチカラで、私たちの煩悩を焼き払ってもらう
  2. 煩悩がなくなった清らかな心で願う
  3. 清らかな心で願ったことを仏様にかなえてもらう

ということをやっているんです。

火のチカラは護摩祈祷だけに有効なのではありません。

仏壇のロウソクの火にも同じ効果があるんです。

ですから、仏壇のロウソクに火をつけることは、そのたびに仏様が私たちの煩悩を焼き払ってくれている、ということなんですね。

ロウソクの取扱い方法

ここからは、

  • ロウソクの供え方
  • ロウソクの火の消し方
  • ロウソクを保管する時の注意点

など、仏壇に供えるロウソクの取扱い方法について書いていきます。

特に【火の消し方】には注意が必要なのでチェックしてみてください。

ロウソクの供え方

仏壇のロウソクには一応【供え方】があります。

ロウソクを立てるためには『燭台(しょくだい)』という仏具を使います。

これを1つだけ使うのか、それとも対になるように2つ使うのかでロウソクの供え方が少しだけ違います。

燭台を1つだけ使う場合

まずは、燭台が1つだけある場合。

燭台が1つだけの場合は、お花を供える花瓶も1つだけ使いましょう。

仏壇における基本的なお供えに、

三具足(みつぐそく)

というものがあります。

これは、仏壇に向かって、

  1. 右側に、ロウソクを1つ
  2. 左側に、お花を1束
  3. 中央に、香炉(お線香たて)を1つ

の形で供えるのです。

つまり、仏壇に向かって、

お花(左)・香炉(中)・灯明(右)

という形で横一直線に並べるのです。

仏様へのお供物の中でも特に重要度の高いものだけを3つ厳選したのが、この三具足です。

言い換えれば、最低限お供えするべき3つのもの、ということになります。

ですから、もしも、ご飯や菓子類など他のお供物がなくても、とりあえず三具足があれば問題はありません。

燭台を2つ使う場合

次に、燭台が2つある場合。

燭台が2つある場合は、お花を供える花瓶も2つ使いましょう。

仏壇における基本的なお供えに、もう1つ、

五具足(ごぐそく)

というものがあります。

これは、仏壇に向かって、

  1. 左右(外側)に、お花をそれぞれ1束ずつ
  2. 左右(内側)に、ロウソクをそれぞれ1つずつ
  3. 中央に、香炉(お線香たて)を1つ

の形で供えるのです。

つまり、仏壇に向かって、

お花・灯明・香炉・灯明・お花

という形にして横一直線に並べるのです。

三具足をさらに丁寧に供えたものが、この五具足です。

仏壇を購入するときには、できるだけこの五具足で買っておきましょう。

大切なご先祖様へのお供えですから、最低限ではなく、ちゃんと丁寧な形で揃えるようにしてください。

ロウソクの火の消し方

あなたは誕生日ケーキのロウソクの火はどうやって消しますか?

きっと、「・・・ハッピーバースデートゥーユー♪」からの「フーッ!」ってカンジですよね?

でも、仏壇のロウソクの場合は「フーッ!」はダメですよ。

たぶんあなたもご存じでしょうけど、仏様に供えるロウソクや線香の火を消す時には息を吹きかけてはいけません。

私たちの口は、

  • いろんな生き物の肉を食べている
  • 嘘・愚痴・人の悪口などを発している

など、要するに【汚れている】んです。

そんな汚れた口から出た息を、仏様に向かって吹きかけるようなことはしてはダメなんです。

逆に言うと、【息さえ吹きかけなければイイ】ってことですね。

仏様に供えるロウソクに関しては、いくつか『火の消し方』がありますので紹介します。

仏壇用の火消し道具を使う

まず、1番確実で安全な火の消し方は、

仏壇用の『火消し』道具を使う

です。

僕はこの消し方がおすすめですよ。

ロウソクの火の上から、専用の『火消し』でカポッ♪っと覆うだけでOKですからとても簡単。

この火消しは、【窒息消火】という方法で火を消すのですが、覆ってから2秒で消せますよ。

しかも道具を使うので、ヤケドをする心配がありません。

この『火消し』はインターネットでの購入もできますし、そんなに高価なものではありませんから、いっそのこと購入してしまってもいいですね。

手であおぐ

次に、多くの人がやっている火の消し方は、

手であおぐ

です。

手だったら何も道具を使わずに火を消せます。

でも、慣れていないと、一生懸命あおいでも【火が揺れるだけ】でなかなか消えてくれません。

それに、勢いあまって他の仏具に手をぶつけることもあるんです。

僕はもう慣れているので、ほとんど一発で消せますが、多くの人は何回かあおがなくてはいけません。

手であおぐ時のコツは、

手首のスナップを使い、手首を【内側から外側へ】向けて素早くサッとあおぐ

といいですよ。

火から2cmくらい横をサッとあおぐ、というカンジですね。

道具なんか使いたくない、できるだけ自分の手で消したい、というのならこのコツを掴むまで何度も練習をしてくださいね。

ロウソクの芯を指で素早くつまむ

最後に、もう一つ火の消し方を紹介します。

それは、

ロウソクの芯を指で素早くつまむ

という方法です。

でも、この方法はけっこう怖いですよ、なにしろ火の中に指を突っ込むわけですからね。

僕も勇気を出してやってみたことがありますが、まぁ、たしかに熱くはなかったです。

この方法で消すなら、芯をつまむ場所は、できるだけ【火の下部(根元の部分)】をつまむようにしてください。

火は上にいくほど温度が高くなりますので。

そして、怖がらずに「おりゃっ!」って一発で決めてくださいよ、ビビったら逆に熱いですからね。

欠点は、火は消せるんですが、指にロウがついてしまうことです。

ということで、わざわざヤケドのリスクを負ってまで火を消す必要はないと思うので、僕はこの方法はあまりおすすめできませんが、一応は紹介しておきました。

ロウソクを保管する時の注意点

ロウソクは意外とすぐに使い切ってしまいます。

だから、ある程度は【買いだめ】をします。

でも、買いだめをするなら【保管方法】に注意しなければいけません。

できるだけ涼しい場所で保管する

ロウソクは、当たり前ですが【ロウを燃やして火を出す】わけですよね?

ということは、ロウソクは熱に弱いんです。

だから、真夏などは日射しの当たらないような【できるだけ涼しい場所】で保管してくださいね。

暑い中で置いておくと、曲がってしまったり、他のロウソクとくっついてしまうんです。

保管する時には、必ず箱の中に入れておき、さらにその箱も仏壇の引出しなどに入れておいてください。

湿気の多いところは避ける

ロウソクは、熱だけではなく【湿気】にも弱いんです。

もしも芯の部分が湿ってしまうと、なかなか火がつかないです。

また、劣化が進んで古くなったロウソクは、湿気が多い場所にあると【カビ】が生えてしまいます。

そこへ湿気がさらに劣化を進めてしまい、負の連鎖となってしまうんです。

なので、ロウソクはできるだけで湿気のない場所で保管するようにしてください。

特に梅雨の時期などは、ロウソクを入れる箱の中に乾燥剤を一緒に入れて保管するようにしてください。

ロウソクは【和ロウソク】と【洋ロウソク】がある

あなたは、仏壇で使用できるロウソクには、

  1. 和ロウソク
  2. 洋ロウソク

の2つがあることをご存じでしょうか?

どちらも仏壇で使えるロウソクですが、材質や使い方に違いがあります。

では、それぞれの違いについて簡単に説明しておきますね。

和ロウソク

まずは、日本で昔から使われている【和ロウソク】です。

ロウソクといえばこの【和ロウソク】をイメージする人も多いでしょうね。

和ロウソクは、本体の中央部が少しくぼんで、上部に向かって広がっていく形をしているのが特徴です。

この形のことを【碇型(いかりがた)】ともいいます。

原料となっているのは植物油で、芯の部分は【い草】や【こより】が使われているんです。

植物油が使われていることもあり、油煙が少なくてすむので、

  • 仏壇が汚れにくい
  • 汚れても拭き取りやすい

というのが便利なんですよね。

また、燃えながら芯がロウを吸ってくれるので、その分だけロウが垂れにくいというのも良いところです。

ロウが垂れてしまうとロウソクが変形したまま燃え続けてしまうので、結果的に最後まで使いきることができないんです。

ロウが垂れにくいということは長く火がついていられるので、ちゃんと使い切ることができるんです。

しかし、和ロウソクといいうのは職人が作るケースが多いんですよね。

職人が作るということは生産数に限りがあるわけですから、そうなると価格は高めになっちゃいます。

つまり、和ロウソクは少し高級なんです。

ですから、和ロウソクを使うのは、法事など『大事な法要』の時に使うくらいでよいと僕は思いますよ。

洋ロウソク

続いては【洋ロウソク】です。

今私たちが仏壇で使っているのは、ほとんどが【洋ロウソク】です。

洋ロウソクは、原料に石油由来のパラフィン・牛脂などを素材とするステアリンが使われています。

形は【真っすぐな棒型】のものが多く、日本だけではなく世界中で使用されています。

そして、芯の部分は綿糸で作られています。

単純な形なので機械で大量生産できますから、価格が和ロウソクに比べて圧倒的に安いんですよね。

あっ、べつに安いロウソクを使ったからといって、仏様のチカラが宿らないとかそんなことはないので安心してくださいね。

なので、日頃の仏壇のお参りに使うには【洋ロウソク】にした方がお得なんです。

ただし。

洋ロウソクは石油由来の成分で作られているので、油煙が多くなってしまい、それだけ仏壇も汚れやすくなり、汚れも落ちにくくなるのが残念です。

しかも、和ロウソクに比べてロウが垂れやすい形をしていますので、少し傾くと変形したまま燃えてしまうんです。

ということは、【意外と最後まで使いきれない】なんてこともあるんですよね。

とはいえ、とにかく価格が安いので、毎日仏壇をお参りするためには洋ロウソクを使うのが現実的です。

ロウソクの費用が大変だからお参りの回数を減らすなんていうことになってしまうと本末転倒ですからね。

まとめ:ロウソクの火は【悟りへの道しるべ】なので丁寧に扱いましょう。

仏壇をお参りする時にはロウソクに火をつけてお供えします。

ロウソクに火をつけるのは、ただ【明かりをとる】だけではありません。

ロウソクの火は【仏様の教え】や【仏様の温もり】を表し、また火そのものが【私たちの煩悩】を焼き払ってくれるのです。

つまり、ロウソクの火は、

悟りへの道しるべ

の役割を果たしている『とてもありがたいもの』なんです。

ですから、ロウソクへ火をつける時は、『今から仏様の教えを授かるのだ』という気持ちを込めるようにしましょう。

反対に、火を消す時には『ありがとうございました』と感謝の気持ちを込めましょう。

なので、火を消す時には【息を吹いて消す】なんてことをしてはいけませんよ。

専用の【火消し】を使って消すのが1番安全で確実です。

また、悟りの道しるべとなる火を灯してくれるロウソク自体も大切に扱ってくださいね。

食べ物の保管と同じように『高温多湿を避ける』ということに注意してください。

この記事を読んでくれたあなたは、もうすでに『仏壇へロウソクに火をつけて供える意味』が分かっています。

それはつまり、今までよりも『質の高い仏壇のお参り』ができるということなんです。

これからは、ロウソクの火に『仏様』というものを感じながら手を合わせ、より良い仏壇のお参りにしてくださいね。

※ろうそくで火を使うことが不安な人はコチラの記事をご覧ください。

仏壇のろうそくは【電気ろうそく】でもOK!