お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- 仏壇に供えたお線香の【灰】や【燃え残り】はどうやって処分すればいいの?
- 香炉の中はどのように清掃すればいいんだろう?
- どうしてお線香が燃え残っちゃうの?
仏壇に毎日お供えしているお線香。
毎日お線香をお供えしていると『香炉(こうろ)=線香立て』の中に【灰】や【燃え残り】が溜まっていきますよね?
それを見て、
って悩んでしまう人が多いんですよね。
香炉の掃除をしたら、お線香の灰や燃え残りは、
燃やせるゴミ(可燃ゴミ)
に出しちゃってください。
仏様のことはもう少し【気楽】に考えても大丈夫、みんな難しく考えすぎなんです。
この記事を読むと、
- 香炉(=お線香立て)の掃除の方法
- お線香の【灰】や【燃え残り】の処分方法
- お線香の【灰】や【燃え残り】を可燃ゴミとして捨ててもよい理由
- 供えたお線香が燃え残ってしまう理由
が分かります。
記事を読み終わる頃には、《お線香の灰や燃え残りの処分》に関する悩みは完全に解消しています。
20年以上お坊さんをしているぼくが「これはぜひ伝えておきたい!」という内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
【4ステップ】お線香の灰や燃え残りの処分方法(捨て方)

あなたが毎日お線香を供えてくれているので、香炉にはたくさんの【灰】や【燃え残り】があるはずです。
では、それらをどう処分すればいいのか。
じつは、処分の方法に決まりがあるわけじゃないんですよね。
つまり、あなたの自由に処分してかまわないんです!
とはいえ、自由と言われても困るでしょうから、まずはこれから紹介する方法で香炉の掃除をしてみてください。
その後は、必要なくなった【灰】や【燃え残ったお線香】を、
燃やせるゴミ(可燃ゴミ)
に出しましょう。
《ステップ1》お線香の灰や燃え残りを処分するための事前準備
香炉の【灰】や【燃え残ったお線香】を処分するときは、どうせですから、
香炉の中の灰を【全部】キレイに清掃する
という方向で考えましょう。
では、まず【事前の準備】から説明します。
香炉の中の灰をキレイにするために、
- 作業場所を決める(屋外または周りに物がないような部屋)
- 新聞紙または45ℓくらいのゴミ袋を2枚
- 灰ふるい専用の【ふるい】、または市販の【網目の細かい金属製のザル】
- 大さじのスプーン
- 濡らした雑巾
- 濡らしたキレイな布
- 小さなビニール袋
- マスク
これらを用意してください。
最初に作業する場所を決めます。
作業をする時は、『屋外で風のない場所』があれば、ぜひそこで行なってください。
そのような場所がない場合は『部屋の中』で行うしかないですね。
部屋の中の場合は、できるだけ【周りに物がないような部屋】で作業することをおすすめします。
作業中に舞い上がった灰が周りにある物に付いてしまうからです。
作業をする場所が決まったら、そこへ新聞紙を敷いてください。
えっ?新聞は取ってない?
じゃあ、【45ℓくらいのゴミ袋】でもOKです、これだったらあるんじゃないですか?
要するに、ちょっと大きめで、灰を落としても大丈夫な【敷き物】があればいいんですよ。
それを広げて敷いてください(45ℓのゴミ袋なら2枚並べて敷く)。
次に、灰ふるい専用の【ふるい】か、または市販の【網目の細かい金属製のザル】を用意してください。
ザルの大きさは、直径で《20cm~30cm》くらいが理想的です。
あと、灰をすくうために、プラスチック製でも金属製でもかまわないので【大さじのスプーン】を用意しましょう。
それと、大事なのが【濡らした雑巾】と【濡らしたキレイな布】ですね。
香炉のフチなどの《灰がついて汚れたところを拭く》ためのキレイな布と、後で《周囲を掃除する》ための雑巾が必要なのです。
最後にもう一つ。
できるだけ【マスク】を着けて作業をしましょう、空気中に舞った灰を吸い込んでしまいますから。
以上で、処分するための事前準備が整いました。
《ステップ2》香炉の中のモノをすべて出して、ふるいにかける
それでは、お線香の【灰】や【燃え残り】の処分をしていきましょう。
まずは、『香炉の中のモノを全部すくい出す作業』をします。
最初に、作業スペースに【新聞紙】あるいは【45ℓくらいのゴミ袋2枚】を敷いてください。
次に、香炉の中のモノを大さじのスプーンですくい、敷いた新聞紙やゴミ袋の上で、
【灰ならし専用のふるい】や【網目の細かい金属製のザル】を使って、しっかりとふるう
ようにしてください。
この時に、ふるいやザルに残った【ゴミ】とか【燃え残りのお線香】は、敷いている新聞紙とは別の新聞紙に包むか、あるいは他の【小さなビニール袋】に入れておいてください。
これを何度も地道に繰り返します。
《ステップ3》ふるいにかけ終わったキレイな灰を必要な量だけ香炉へ戻す
次に、ふるいにかけ終わったキレイな灰は、大さじのスプーンですくって香炉へ戻します。
灰は必要な量だけ香炉へ戻しておけば大丈夫ですよ。
余った灰は、ビニール袋に入れて取っておくか、後述する方法で捨ててしまいましょう。
香炉の中に入れる【灰の量】の目安は、
香炉の半分くらい
ですかね。
香炉の灰は、ちゃんとお線香が立てられるくらいの量が必要なんですけど、意外とすぐに増えちゃうんですよね。
だから、香炉の半分くらいっていうのが丁度良い量だと思いますよ。
キレイな灰を香炉へ戻したら、周りに何もないことを確認した上で、香炉をトントンって叩いて、平らになるように灰をならしてください。
たぶん、叩いている時に灰がフワッと舞うと思います。
きっと、香炉のフチにも舞った灰が付いてるはずなので、それを濡らしたキレイな布でふき取ってください。
他の場所にも灰が飛んでいたら、濡らしたキレイな布、または場所によっては濡らした雑巾でそれらもしっかりとふき取ってください。
そしたら、香炉の中の清掃に関してはもう終わりなので、香炉は仏壇に戻しても大丈夫です。
《ステップ4》お線香の灰や燃え残りは【可燃ゴミ】に出して捨てる
最後に、お線香の灰や燃え残りを【どうやって処分すればいいのか】について書いていきます。
余分な灰や、ふるいにかけて残ったお線香は、
燃やせるゴミ(可燃ゴミ)
に出してかまいません。
はい、そうです、地域ごとで決められた日に『可燃ゴミ』として普通に捨てるんです。
生ゴミとかティッシュなど他の可燃ゴミと一緒に、です。
大丈夫ですよ、言い方は悪いですけど灰や燃え残ったお線香って『ただのゴミ』なんですから。
多くの人は『仏様に供える物は粗末に扱ってはいけない』と思っています。
まぁ、仏様に供える物は丁寧に扱うべきであることは間違いありません。
でも、何のためにお線香を供えるのかを知ってますか?
お線香って、
仏様の『食べ物』
なんです。
正確には、お線香などの【お香】を燃やした時に漂う『香り』が仏様の食べ物なんですよね。
※【お香】ついては『お香(こう)を供える意味とは?焼香の作法や線香の供え方も紹介します』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。
だから、
- お線香を燃やした後の灰
- 燃え残ったお線香
というのは、【仏様が食事をした後のもの】ってことです。
まぁ、言ってみれば、
仏様の【食べ残し】
みたいなものですね。
あなたは、お腹いっぱいで食べ残したモノを、いつもどうやって処分してますか?
生ゴミとして【可燃ゴミの日】に出すんじゃないですか?
お線香は仏様の食べ物なんだから、同じように扱っていいんですよ。
ビニール袋に包んで捨てちゃえばいいの、そんなに難しく考えなくて大丈夫。
ただし、他の可燃ゴミと違うところは、
灰はちょっとしたことで、すごく舞ってしまう
ということ。
なので、捨てる時は【水分を含ませて固める】といいですよ。
そして、じつは灰の処分には他の方法もあります。
一軒家に住んでいて【庭】がある場合は、
灰を庭にまく
というのも1つの方法です。
灰には《カリウム》が多く含まれています。
カリウムは植物が育つための重要な成分なので、適量をまいてあげれば植物の根が強く育ちます。
また、灰はアルカリ性なので、雨などで酸性が強くなった土にまいてあげると、その周辺の土を本来の弱酸性に戻してくれます。
灰の処分ができて、なおかつ庭の植物の栄養分にもなるので一石二鳥ですね。
ただし、1か所にドバッと大量の灰をまいてはいけません。
灰は風が吹くと舞ってしまうので、ご近所さんに迷惑です。
そして、大量の灰を1か所にまいてしまうと、その周辺の土が【アルカリ性が強い状態】になってしまい、それはそれで植物に悪影響が出てしまうのです。
ですから、庭に灰をまく場合は、【まく】というよりも【土と少量の灰をかき混ぜる】というカンジで処分をしてください。
土の性質を急激に変化させないためにも、この作業は1回でまとめて行わずに、日を空けてこまめに回数を分けて行いましょう。
そのためにも、日頃から香炉の中に灰を溜め過ぎないことが大事なんですよね。
それに、灰を溜めすぎてしまうのは、仏様の食べ残しがずっとそのままになっている状態、っていうことですから。
要するに、できるだけこまめに『香炉の掃除』をしましょうね、ってことです。
はい、だいたいこんなカンジですけど、どうでしょう?
お線香の灰や燃え残ったお線香の処分方法って意外と【普通】じゃないですか?
なんなら、こんな記事を見なくたって、もうすでに自然とやっていたかもしれませんね。
仏様に関するモノって、何となく全部が『特別に扱わなくてはいけないもの』っていうイメージがないですか?
じつは、仏様に関するモノには『特別に扱わないといけないもの』なんてそんなに無く、ほとんどのものは普通のゴミとして処分してイイんですよ。
お坊さんの僕が言うのも変ですが、みなさんは仏事に対する考え方が『真面目』すぎます。
まぁ、それだけ仏様のことを大切に考えてくれている証拠なんですけど、あまり作法とかを気にしすぎると仏様のことをするのが面倒になっちゃいます。
『ぜひともこの作法でやってほしい』というものなんてあまり無いんで、もっとラクに考えてもらってOKですよ。
気を使わなくちゃいけないのは、ご本尊様などの【仏像】や【位牌】といったような、
『魂入れ』をしているものを扱う場合
です。
それ以外の仏具に関しては、取り扱いがちょっとくらい雑でもかまいませんからね。
ちなみに、仏壇に飾る仏具はたくさんありますが、必要な仏具については『仏壇を購入する時に揃えるもの(仏具など)を20個ご紹介します。』という記事で紹介していますので読んでみてください。
香炉の中にある灰は、繰り返し使えます

今さらですが、念のためにお伝えしておきます。
お線香を供えた時に出た灰といったような、
香炉の中にある灰は、繰り返し使えますよ。
たまに、香炉の中に灰が溜まってくると、
と言って、灰を全部ごっそりと捨ててしまう人がいます。
それで、買ってきた『新品の灰』を香炉の中に入れて使っています。
まぁ、べつに新しい灰を使うことは何の問題もありませよ。
むしろ【仏様のために、あえて『新品の灰』を使う】というのであれば、それは仏様をとても大事にしている証拠なので素晴らしいことです。
とはいえ、僕としては「それはちょっと・・・もったいないかなぁ・・・。」って思いますよ。
灰はちゃんと手入れすれば何度でも繰り返し使えるんですよね。
そして、灰を繰り返し使うことは『仏様に対して失礼』になんてなりませんから大丈夫。
というわけで、『香炉の灰の種類を変えたい』という場合を除けば、わざわざ新品の灰を買う必要はありませんよ。
お線香が燃え残ってしまう理由は?『わら灰』を使えば線香が燃え残りにくい。

お線香って、灰だけではなく、燃え残りの処理がけっこう面倒なんですよね。
どうしてお線香って燃え残ってしまうんでしょうね?
その原因は、
- お線香自体に湿気がある
- 灰の中で、燃えるために必要な酸素が不足する
ということです。
たまに、お線香を供えても途中で火が消えてしまうことがありますよね?
それって、ほとんど場合はお線香に湿気がある(濡れている)のです。
あまり使われていない古いお線香、あるいは湿気が多い場所にずっと保管されていたお線香だとこのような現象が起きやすいです。
なので、お線香はできるだけ湿気を避けて保管するようにしましょう。
また、お線香が【灰の中】で燃え残ってしまうことがありますよね?
【灰の中】で燃え残ってしまうかどうかは、灰の状態で決まります。
香炉の中の灰は《スプーンの凸面で押して平面にならす》という方法もあるのですが、この場合は【灰を押し込みすぎない】ように注意してください。
灰をグイグイ押し込みすぎちゃうと、灰がギュッと固められてしまい、灰の中にある酸素が外へ押し出されてしまいます。
それでお線香を供えた時に『灰の中に刺さった部分のお線香』だけが酸素不足で燃え残ってしまうんです。
それが繰り返されて灰の中は燃え残りのお線香でいっぱいになって、それでさらに酸素の居場所がなくなる、という負のループとなります。
ですから、お線香の燃え残りがどうしても気になって嫌だという場合は、
『わら灰』
を使うといいですよ。
わら灰とは、その名のとおり『わら』を燃やした灰のことです。
わら灰であれば空気が入る【すき間】が多いので、灰の中にも十分な酸素があります。
わら灰を使うと、たしかに燃え残りはなくなります。
でも、わら灰はギュッと押し固めてもまだ柔らかいので『お線香が立てにくい』という欠点がありますね。
お線香が燃えた後の灰を使うか、わら灰を購入して使うか、これは【好みの問題】なので、あなたの好きな方を選んでください。
お線香の灰や燃え残りを【お寺】に持って行くのはヤメて!

仏様に関するものは、なんだかんだ言ってもやはり自分で処分はしづらいかもしれませんね。
どうしても自分では処分できないという場合は、お寺で処分してもらえることもあるんですよ。
例えば、
- 遺影(亡くなった人の写真)
- 仏画
- 切れた数珠
- 書写した写経用紙
- お守り
などは、僕のいるお寺にも持ってくる人が多いですね。
この辺のモノはたしかに自分で処分はしづらいでしょうね。
ですから、これらはお寺で預かって『お焚き上げ』という形で焼却処分をしています。
しかし、ですね。
お線香の灰や燃え残りは、お寺に持って来られても困るんですよね。
いやね、べつに処分することはできるんですよ、寺の可燃ゴミと一緒にしちゃえばいいだけですから。
ただ、それは何度も言うように【普通に可燃ゴミで出していいもの】なので、お寺としては「えっ、それはゴミに出してくれよ。」って思うんです。
先ほども言いましたが、お線香は【仏様の『食べ物』】なんですよね。
そして、お線香の灰や燃え残りというのは、言ってみれば【仏様の食べ残し】です。
ということは、それをお寺へ持って行くことは、『食べ残しをお寺で処分してもらう』ことと同じです。
あなただって、
って言われたら、
ってなるでしょ?
お寺へ持って行って処分した方がいいのは、
お坊さんに【供養】や【祈祷】をしてもらったモノ
です。
お坊さんに供養や祈祷をしてもらったモノは、いわゆる【魂入れ】をしています。
そして、それらを処分する時には【魂抜き】をするんです。
ですから、購入時に【魂入れ】したものは、処分する際にはお寺に持って行き、お坊さんに預けた方がいいのです。
それ以外は【一般ゴミ】として処分しても大丈夫です!
まとめ:お線香の灰や燃え残りは、燃やせるゴミ(可燃ゴミ)として処分しても大丈夫です!
仏壇に毎日お線香を供えていると、香炉に灰や燃え残ったお線香がたまっていきます。
それらは定期的に【香炉の中の清掃】をして、灰を適量だけ香炉へ戻してあげてください。
この時に、あまり灰をギュウギュウに押し込み過ぎると、お線香が燃え残ってしまう原因になるので、トントンって押すくらいにしておき、十分に『酸素』を含ませてあげましょう。
あるいは、『わら灰』を使うというのもイイですね。
そして、【余分な灰】や【燃え残ったお線香】は普通に、
燃やせるゴミ(可燃ゴミ)として処分
しちゃって大丈夫!
お線香から出る『香り』は仏様の【食べ物】です。
あなたはいつも、残った食べ物は【可燃ゴミ】として処分しますよね?
お線香もそれとまったく同じ。
だから、決められた曜日に他の可燃ゴミと一緒に捨てていいのです。
あとは、灰はそのまま捨てると空気中を舞ってしまいますから、
- 必ずビニール袋に入れる
- 場合によっては水分を含ませて固める
というくらいのマナーは必要ですね。
それだけ注意すれば、他には何もすることなんてありません。
たまに、灰や燃え残ったお線香をお寺に持って来る人がいるんです。
きっと、仏様に供えたものだから簡単に捨てられなかったんですよね?
でも、本音を言うと、ソレってお寺にとっては『迷惑』ですからヤメましょう。
ただし、仏像とか位牌とか、そういうモノは『魂抜き』をしなきゃいけないので、必ずお寺に持ってきてくださいね。
あまり難しく考えなくても大丈夫ですよ、だって、仏様に関わるほとんどの物が【一般ごみと一緒に処分してよいもの】なんですから。
今後はお線香に関わるものは、すべて一般の可燃ゴミに出して処分しましょう。