お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- 自分は無宗教だから戒名なんて必要ない。
- 故人の強い遺志により戒名はつけない。
- そもそも戒名をつける意味はあるの?
一般的に、お葬式ではお坊さんにお経をあげてもらい、そして故人に『戒名』を授けてもらいます。
しかし、戒名を授けてもらうには高いお布施を支払う必要があります。
そのため、あなたと同じように、戒名をつけることの意味や必要性に疑問を感じる人はとても多いです。
結論から先に言いますと、戒名は【絶対に必要】というわけではありません。
この記事では、
- 戒名をつける意味
- 戒名が《絶対に必要》というわけではない理由
について解説しています。
最後まで読むと、戒名をつけるべきかどうかの判断ができるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
戒名は【絶対に必要】というわけではない
多くの人は『戒名』というものに対して、
というイメージを持っています。
たしかに、戒名は一般的に【亡くなった人につける名前】であり、戒名料も決して安いものではありません。
しかし、このイメージには戒名に関する重要なことが抜けています。
それは、戒名は【絶対に必要】というわけではないということです。
無理に戒名をつける必要はないので、生前の名前のままでお葬式をしても問題はありません。
そもそも『戒名』というのは、仏門に入った人に対して授ける名前です。
要するに、【仏式】でお葬式をしなければ『戒名』をつける必要はないんですよね。
キリスト教、イスラム教、ヒンズー教など、他の宗教の信者さんには『戒名』なんて必要ないですもんね。
しかし、お坊さんに来てもらうと【仏式のお葬式】となってしまうため、その結果「故人様にちゃんと戒名を付けてあげましょうよ。」と言われてしまいます。
ですから、故人に戒名を付けたくない場合は、【お寺】へ依頼せずにお葬式を執り行うようにしてください。
最近では、お坊さんに来てもらわずに、親族や知人による【告別式】だけをするケースも増えています。
あるいは、告別式も省略して、初めから火葬場へ直行する『直葬(ちょくそう)』という方法もあります。
このように、『戒名』は【絶対に必要】というわけではなく、基本的にはご家族の考えや故人の遺志で決めてかまわないものなんです。
菩提寺がある場合は難しい
『戒名』が【絶対に必要】というわけではない、ということはご理解いただけたと思います。
しかし、じつは戒名が必要となるケースがあります。
それは、あなたの家のお墓が《お寺》にあるというケースです。
この場合、あなたの家にとって、そのお寺は【 菩提寺】となります。
菩提寺とは『あなたの家のお墓があるお寺』のことで、菩提寺はあなたの家に関するすべての仏事を執り行う立場です。
そして、今後もそのお墓を使っていこうと思っているなら要注意。
多くのお寺では『寺の敷地内のお墓に納骨をする場合は、必ず戒名を授ける』という規則があります。
ご存じのとおり、お寺は『仏教』の宗教施設です。
ですから、お寺の敷地内にお墓を持つためには、仏教を信仰し、そのお寺【宗派】の信者であることが条件となります。
これを無視してお寺のお墓に納骨をすることは、原則としてできません。
どうしても『戒名』が不要なのであれば、お墓を撤去[=墓じまい]して菩提寺との付き合いを解消するしかありません。
菩提寺との付き合いを解消し、墓じまいすることを『離檀』といいます。
また、寺によっては離檀をする際に『離檀料』を要求される可能性があります。
離檀料は寺によって金額が違いますし、無料という寺もたくさんあるので、事前に菩提寺の住職に確認をとるようにしてください。
離檀をしたら、ご遺骨は霊園などの『無宗教』でも使用できる墓所へ納骨してください。
これでもう、今後ずっと『戒名』とは無縁でいられます。
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『戒名』をつけることの意味
ここで、大事な『戒名をつけることの意味』について説明します。
先ほどお伝えしたように、お葬式を【仏式】で執り行う場合は故人へ『戒名』をお授けします。
では、なぜ故人に『戒名』を授けるのか?
仏式でのお葬式というのは、故人が仏門に入り、【仏弟子】となってもらうことを目的としています。
仏弟子となる人は、仏の世界でいろんな修行をする上で『戒律』という約束事を守らなければなりません。
お葬式をして故人に戒名を授けることで、故人に《戒律を守る誓い》を立ててもらうわけです。
つまり、『戒名』というのは、
『戒律』を守る者の『名前』
という意味なんです。
『戒名』を授かり仏門に入った故人は、修行が始まると同時に、たくさんの仏様に守られ、導かれていきます。
このように、故人に仏弟子となってもらい、たくさんの仏様に守り導いてもらうために『戒名』を授けるんですよね。
戒名を授ける際に、お坊さんが具体的に何をしているのかということは『お葬式をする意味とは何?お葬式でお坊さんがしていることを具体的に解説!』の記事で解説していますので読んでみてください。
ちなみに、『戒名』と聞くと【亡くなった人の名前】というイメージがあると思いますが、本来はそうではありません。
『戒名』を授かるのは生きている人でもかまいません、要するに【仏門に入った人】であればいいのです。
そして、誤解している人が多いのですが【仏門(仏の世界)=死後の世界】ではありません。
仏の世界というものは、私たちが今生きている世界も含んでいます。
仏の世界には【この世】や【あの世】あるいは【過去】や【現在】などの境界線がなく、空間や時間の概念を超えてどこまでも広がっているんです。
そして仏様は、いつでも、どこでも、私たちのすぐそばにいて見守ってくださいます。
ですから、生きているうちでも、僕たちお坊さんのように仏門に入ると『戒名』が授けられます。
仏門に入り、仏の教えを信じて修行をする、これを死後ではなく生きているうちにするのはごく当たり前なことです。
まとめ : 戒名は【絶対に必要】というわけではない
『戒名』が必要かどうかは、仏様に故人を守ってもらいたいかどうかで決めましょう。
故人に仏様のもとで安心して過ごしてほしいと思うのなら、仏式のお葬式で『戒名』を授けて仏門に入ってもらいましょう。
逆に、あなたがそもそも仏様を信じていない、あるいはお坊さんが信用できないのであれば、故人のためにも【仏式のお葬式】をしない方がよいでしょう。
もちろん故人に戒名を授けてもらう必要もありません。
あなたには【信教の自由】がありますので、大切な故人をどのような形で弔うのかはあなたが自由に決めてよいことです。
故人の弔い方は、あなたとご家族全員が納得された上で決めてほしいと思います。
よく考えて自由に決めてください、戒名は【絶対に必要】というわけではないのですから。
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