ひょっとして、
「お墓を建てるなら、やっぱり『お寺』がいいよね。」
なんて思っていませんか?
その考え方は…かなり危険ですよ。
お寺にお墓を持つには、そのお寺の【檀家(だんか)】になるという絶対条件があります。
じつは、檀家というものを理解せずにお寺にお墓を建ててしまい、激しく後悔する人が後を絶ちません。
悪いことは言いません、『お寺』にお墓を建てるのはやめてください。
お寺にお墓を建てたところで、デメリットばかりでメリットなんかほんの少し。
この記事では、お坊さんの僕が【檀家】について噓偽りなく解説します。
安易にお寺にお墓を建てて後代の人まで迷惑をかけないために最後まで読んでください。
檀家とは『お寺を積極的に支える立場』にある家のこと
お寺にあるたくさんのお墓。
それらのお墓は、どんな人でも使用できるわけではありません。
お寺にお墓を建てるには、そのお寺の『檀家』となる必要があり、これはどこのお寺でも絶対条件となっています。
『檀家』とは、お寺を積極的に支える立場となる家のことです。
つまり、
- そのお寺が属する宗派の教えを信仰する
- お葬式のときには必ずそのお寺のお坊さんがお勤めをする
- 法要などの供養をしっかりと行う
- お寺の行事には積極的に申し込みや参加をする
- 寺から寄付などの要請があればちゃんと納める
- 基本的に檀家以外の人よりもお布施を多く納める
ということです。
あなたがお寺をしっかりと支えなきゃいけないので、『檀家』になると想像以上に大変な思いをします。
悪いことは言いません、もしも「お寺にお墓を建てよう」なんて考えているのなら、それはやめた方がいいですよ。
お寺にお墓を建てて檀家になったところでデメリットばかりで、メリットなんてほぼないですから。
お坊さんの僕がこんなことを言うべきでないことは重々承知していますが、この点については嘘を言いたくありません。
では、なぜ多くの人はお寺にお墓があるのでしょう?
みんなそれなりの覚悟をもって檀家になっているのでしょうか?
いいえ、決してそんなことはありません。
多くの人は、昔からそのお寺に自分の家のお墓があるから、仕方なく今でも檀家になっているだけです。
あなたは、江戸時代に幕府が定めた『寺請制度(てらうけせいど)』をご存じでしょうか?
この制度は、キリスト教禁止令を徹底するために、すべての人々をどこかの寺院の檀家にさせ、家ごとの戸籍管理を寺院に担わせる、というものです。
人々は強制的に寺院の檀家にさせられ、それが今でも残っているだけで、自分から望んで檀家になったわけではありません。
ずっと長い間そのお寺にお墓があるので、今さら他へお墓を移すことができなくなっているのです。
昔は、お墓を建てる場所といえば『お寺』くらいしかありませんでした。
しかし、現在では、自由にお墓を使用できる『霊園』が増えており、いろんな形の墓所もありますので、お寺に縛られる必要はありません。
だったら、大変な思いをするような所にわざわざお墓を建てなくてもいいですよね?
悪いことは言いません、檀家になると大変ですから『お寺以外の場所』にお墓を建てましょう。
もしも、あなたの周りに檀家になって苦しんでいる人がいたら、その人に『離檀』を検討するように伝えてください。
離檀というのは、お寺にあるお墓を『墓じまい』して、お寺との付き合いを解消することです。
離檀については、ここですべて解説するのは難しいので、興味があれば下の記事を読んでみてください。
※離檀について詳しく解説しています。
檀家になることのデメリット
ここからは、『檀家になることのデメリット』について書いていきます。
普通はメリットから説明するものですが、あえてデメリットから紹介します。
それくらい、檀家になることはデメリットばかりなのです。
永代使用料が高い
お墓を建てるためには、土地(墓地)が必要です。
まずは、お寺から土地(墓地)を借りる手続きから始めなければなりません。
土地を借りるには『永代使用料』を寺に納める必要があります。
これを納めることによって、あなたの家のお墓が継承され続けている間は、ずっとその土地を使うことができます。
しかし、お寺の場合は『永代使用料』がとても高いのです。
試しに、お墓関連のWebサイトなどで、お寺と霊園の永代使用料を比較してみてください、驚くほど違いますから。
檀家はお寺を支える立場なので、永代使用料が霊園よりもずっと高くなってしまうんですよね。
ここで、大事なことを改めて言います。
お墓を建てる土地は、お寺や霊園などの管理者から【借りている】だけですから、ここはちゃんと理解しておいてください。
決して【購入した】わけではないので、土地の売却はもちろん、勝手に他の人へ貸すこともできません。
もしもお墓を継承する人がいなくなったら、建っている墓石を全部撤去して、墓地を更地に戻した上でお寺に返還しなくてはいけないのです。
墓地はあなたの所有物にはならないので、十分にご注意ください。
お寺の年間行事への申し込みを強く要請される
お寺にはいろんな行事があります。
例えば、
- 節分
- 涅槃会(ねはんえ)
- 彼岸会(ひがんえ)
- 花まつり
- お盆
- 除夜の鐘
などです。
お寺の行事があると、檀家は積極的に行事への申し込みや参加をしなければいけません。
お盆は先祖供養の行事なので、申し込みに抵抗は少ないかと思いますが、それ以外の行事には「これって申し込まなきゃだめなの?」と思うはずです。
はい、そうです、必ず申し込むんです。それが檀家としての役目ですから。
檀家である以上は『お寺を支えること』を優先的に考えなければならず、それがとても大変なので、最近では霊園が大人気です。
法事や葬儀をしなきゃいけない
檀家になるということは『そのお寺の所属する宗派の信者になる』ことを意味します。
日頃から宗派の教えを信仰し、同時に【ちゃんと供養をしていく姿勢】が必要です。
家族に不幸があれば、お葬式を執り行うことが義務づけられ、ゼロ葬や生前葬なんて言語道断。
もちろん、お葬式だけではなく、その後の法事もちゃんと行わなくてはいけません。
檀家になることは『そのお寺が所属する宗派の信者となること』という重要な認識が、多くの人にはあまりないんですよね。
だから、平気で「ウチは無宗教ですから」なんていう無自覚な発言をするのです。
お墓を建てる場所にあまりこだわらないなら『お寺以外の所』にお墓を建てましょう。
【寄付】を要求される
お寺にある物って、すべて値段が高いんですよね。
相場を知らない人が値札を見たら、「はっ?何でこんなに高いの!?」って絶対に思います。
小さなものならお寺の蓄えで買えますが、大きなもの、例えば『お堂』を建てる場合なんかは【寄付】が必要です。
もちろん、誰から寄付を集めるかといえば、もちろん檀家です。
何の目的の寄付であるかにもよりますが、一般的に寄付では『数万円~数十万円程度』は要求されます。
ちなみに、小さなお寺は寄付を集める頻度が上がりますよ。
小さなお寺は檀家の数が少なく、それだけ収入もありませんので、必然的に寺の蓄えも少ないです。
ちょっとした改修をするだけでも寄付を集めなきゃいけないんですよね。
たまに「あそこの大きいお寺は、大勢の人から寄付を集めていろいろと建てるんだよ。」っていう人がいますが、それは違います。
大きなお寺は檀家の数が多いので、日頃から十分な収入が確保できており、わざわざ寄付を集めなくても寺の蓄えだけで間に合うんですよ。
しかし、それほど大きなお寺はあまりないので、基本的に『檀家には寄付がつきもの』と覚悟をしなくてはいけません。
変なお坊さんが住職になってしまうと大変
あなたの周りに「あの人ちょっとオカシイんじゃないの?」という人はいませんか?
何人か思い当たる人がいますよね。
そういう『オカシイ人』はお坊さんにもいます、というか、お坊さんには『オカシイ人』が多いです。
そういうオカシイお坊さんが住職になると、檀家さんはとても苦労をします。
僕の所属する宗派の僧侶に、刑事事件を起こして全国放送までされてしまった人がいます。
僕はその人を知っていましたが、彼は昔から変わった言動が多く、集団行動も苦手な人でした。
もちろん檀家さんとの衝突はあるし、葬儀社とモメることも多かったのです。
そして、とうとう彼は刑事事件を起こしました。
僕は彼のお寺の檀家さんたちが気の毒でなりませんでした。
たった1人のオカシイお坊さんのせいで、ご先祖様たちが守り続けてきた寺の名前を汚されたのですから。
もちろん、そのようなお坊さんをお寺から追放する方法はありますが、そう簡単には進まないのが現実です。
お寺に関するあらゆる権限は、そのお寺のお坊さんが握っています。
もしも、オカシイお坊さんが住職に就任してしまったら、何かあっときのしわ寄せをすべて檀家が受けるのです。
しかも、そういうお寺は近所のウワサになっています。
あなただって、「あぁ、あのオカシイ坊主のいるお寺にお墓があるんだね。」なんて言われたくないですよね?
今後は廃寺が多くなる
日本全国にはお寺が約7万5千もあり、少し前までは「コンビニよりお寺の数の方が多い」なんて言われていました。
しかし、それだけたくさんのお寺があるにもかかわらず、人口は猛烈なスピードで減少しています。
人口は減っているのに、仏事に興味のない「仏は、ほっとけ」という人の数は急増しているのです。
お寺に興味がなくなり『墓じまい』をする人が増え、やがてお寺を維持できずに【廃寺】となるケースも増えています。
廃寺となったお寺を近所のお寺が代わりに運営するケースもありますが、必ずそうなるという保証はありません。
ちなみに、人口が減るということは、当然ながらお坊さんの数も減ってしまいます。
せっかくあなたがお墓を建てても、数年後にはそのお寺が潰れてしまうかもしれないのです。
だったら、最初からお寺の墓地なんかにお墓を建てない方が賢明ではないでしょうか。
『入檀料』や『離檀料』を要求されることも多い
新規に檀家になることを『入檀(にゅうだん)』といいます。
今ではだいぶ少なくなってきましたが、この入檀の際に永代使用料とは別に『入檀料』を要求するお寺があります。
入檀料というのは、墓地の使用者が「これから末永くよろしくお願いします。」という挨拶の意味で納めるものです。
つまり、使用者側の『気持ち』で納めるものなんですよね。
なのに、それをお寺の方から要求するんですからね、まぁなんとタチの悪いことか。
入檀料はお寺によって違いますが、数万円~数十万円程度は要求されるでしょう。
反対に、檀家ではなくなることを『離檀(りだん)』といいます。
離檀のときにも『離檀料』などといってお金を要求されることがありますよ。
離檀料というのは、言ってみれば「今までお世話になり、どうもありがとうございました。」という使用者の御礼の意味で納めるものです。
それを、またしてもお寺の方から「最後に御礼をしなさいよ!」と言わんばかりに要求するんです。
どうですか?悪いことは言いませんから、お寺の墓地にお墓を建てない方がいいと思いますよ。
お坊さんの僕が言っているんですから間違いありません。
檀家になることのメリット
お寺の檀家になることはデメリットばかりではありません。
ほんの少しだけならメリットもありますので、一応は紹介しておきます。
広い墓地が使える
お寺の墓地は、1区画あたりの面積が霊園などに比べて広いです。
ですから、「大きなお墓を建てたい」という人にとってはメリットになります。
ただし、墓地が広いということは、お墓を建てるときにそれだけ多くの石材が必要になるので、数百万円程度の費用が必要です。
また、墓地が広ければ雑草が生える面積や掃除をする範囲も広くなりますので、お墓を建てた後の管理がとても大変なのです。
それらを承知の上で、それでも面積の広い墓地を希望するのであれば、寺の墓地を選ぶとよいでしょう。
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格式の高いお寺にお墓があると、それがステータスになる
あなたが住んでいる地域に、地元で有名な『大きくて立派なお寺』はありませんか?
大きなお寺というのは【由緒ある格式の高いお寺】である可能性が高いです。
ですから、「格式のある大きなお寺にお墓を持つことがステータスになる」と考えている人にとっては、檀家になることがメリットになります。
しかし、それはそう思っている人だけの自己満足です。
どこのお寺でも供養の方法は似たようなものですから、お寺の規模の大小なんて関係ないのです。
ただ、ブランド品を好む人がいるように、有名なお寺にお墓を持ちたいという人も一定数おられます。
そのような人にとっては有名で大きなお寺であれば『お寺の墓地にお墓を建てること』に意味を感じるかもしれません。
まとめ
お寺の墓地にお墓を建てる予定なら、もう1度よく考えましょう。
お寺にお墓を建てるということは、あなたが『檀家』となって今後ずっとお寺を積極的に支える立場になるのです。
そして、檀家となった人のほとんどは【檀家のデメリット】に悩まされています。
僕はお坊さんなので、たくさんの人が檀家として苦労しているのを見てきました。
本当に申し訳なく、大変心苦しいのですが、現実問題として檀家の協力なしではお寺を維持できないのです。
もしもお寺の墓地にお墓を建てるなら【檀家になるデメリット】を受け入れ、それが後代にも受け継がれることを覚悟しなくてはいけません。
それでもよろしければ、お寺は全力であなたの家のご先祖様を守り、末永く供養をさせていただきます。
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