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お葬式の疑問

お葬式の後に体へ塩をまく意味。『清めの塩』の使い方と必要性の有無を徹底解説!

陶器の小皿に盛られた粗塩

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いています
  • なぜお葬式の後に体へ塩をまくの?
  • どうやって体に塩をまいたらいいんだろう?
  • 塩は必ずまかなきゃダメなの?

お葬式に参列して帰ってきたら、家へ入る前に体へ【塩】をまきますよね。

お葬式へ参列した後に体へまく塩のことを『清めの塩』といいます。

清めの塩は、よく返礼品と一緒に入っていたりしますが、その意味をちゃんと理解している人は少ないです。

清めの塩は、体からけがれや邪気じゃきを払って清めるためにまくものですが、じつは必要というほどではないんです。

この記事では、『清めの塩』の意味や使い方、そしてその必要性について詳しく解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

未熟僧
未熟僧
お葬式に参列する機会は必ずありますから、きっとお役に立てるはずですよ。

お葬式の後に体へ塩をまく意味

お葬式に参列して帰ってきたら、玄関の外で体に【塩】をまいてから家の中に入りますよね。

このお葬式の後に体へまく塩のことを『清めの塩』といいます。

清めの塩を体にまくことによって、

  • 穢れや邪気を払う
  • 体を清める

という意味があります。

なぜお葬式に参列した後には穢れや邪気を払ったり体を清めたりするのでしょう?

私たちは『遺体』に対してあまり良いイメージを持っていません。

なぜなら、昔から私たちは『遺体』を、

  • 恐れ
  • 穢れ

の対象として見てきたからです。

未熟僧
未熟僧
特に神道ではそのような考え方が強いです。

人が亡くなると、だんだんと遺体の腐敗が進み、生前どんなに美しかった人でも、やがて変わり果てた姿となってしまいます。

昔の人たちはその様子を見て、人の死に対してものすごく恐怖を感じたんですよね。

また、遺体にはいろんな病原菌やウイルスがありますので、うかつに近寄ったり触ってはいけませんでした。

ですから、お葬式などで遺体のそばにいると【体が穢れに触れてしまう】と考えられていたんです。

そして、それをそのまま家の中まで持ち込まないようにするために、玄関の外で『清めの塩』を体にまきました。

このように、お葬式での穢れや邪気を払い落すために、玄関の外で『清めの塩』をまくという習慣が定着したのです。

なぜ『塩』でなければいけないの?

あなたは、どこかの家や店舗の玄関先で【三角形に盛られた塩】を見たことはありませんか?

あれは『盛り塩』といって、やはり穢れや邪気を払うために置かれているものです。

清めの塩もそうなんですが、昔から【塩】には穢れや邪気を払う効果があると信じられています。

どうして塩が穢れや邪気を払うの?塩じゃなきゃダメなの?

じつは、塩が穢れや邪気を払うと言われる理由は『塩を作る過程』にあるんですよね。

塩は、海水を煮詰めて作られるものです。

つまり、【塩】を作るためには『海水』と『』が必要になります。

未熟僧
未熟僧
この『水』と『火』の両方が必要であるところが大事です。

昔から『水』は穢れを洗い流し、『火』は魔除けや穢れを焼き払う効果がある、と信じられています。

ですから、塩が作られる過程で『水』と『火』の両方の効果が合わさっているため、穢れを払うには最適だということなんです。

したがって、同じ【塩】であっても食用の塩ではなく、100%海水から作られた塩がいい、ということになります。

食用の塩はどうしても『味』が大事なので、余計な成分まで入っているんですよね。

ですから、【穢れや邪気を払う】という意味で塩をまくのであれば、海水100%で作られた塩を使わないといけないわけです。

清めの塩の使い方

清めの塩は適当にふるのではなく、一応は使い方があります。

ここからは【清めの塩の使い方】について書いていきます。

体に塩をまく場所

まず、「清めの塩はどこでまけばいいのか?」という疑問があると思います。

塩をまく場所としては、

  • 門の外(一軒家の場合)
  • 玄関の外(集合住宅の場合)
  • 車に乗る前

のいずれかです。

最近では、返礼品と一緒に『清めの塩』が入っていますので、それを使いましょう。

あるいは、受付のところに【ご自由にお持ち帰りください】みたいなカンジで置いているところもありますね。

もしも、塩をもらえず、どうしても塩をまきたい場合は、帰宅する途中でお店に寄って塩を買いましょう。

塩をまくが用意できたら、基本的には自宅の門の外あるいは自宅の玄関の外でまいてください。

あるいは、式場まで自動車で行った場合は、帰りの車に乗る前に塩をまいても大丈夫ですよ。

要するに、体に塩をまいてから家の中へ入るということが大事です。

また、お葬式や通夜の後に、他の用事のために別の場所へ移動したり、職場へ戻ることもあるでしょう。

その場合は、葬儀式場を出たところで地面に塩を少しだけまいて、それを踏んでから移動してください。

あるいは、参列者のために出口付近に【塩を敷き詰めた場所】を用意している葬儀式場もありますので、式場を出るときにそこで塩を踏んでから帰るとよいでしょう。

塩をまく順番

次に、塩をまく順番について説明します。

体に塩をまくときは、

  1. 背中
  2. 腕や手(先に手を洗っていれば不要)
  3. 服についている塩を払い落とす
  4. 地面に落ちた塩を踏む

の順番で行なってください。

ちなみに、これは『血流』の順になっています。

まずは、最初に心臓のある部分を清めて、そこから末端へ向かって順番に清めていくわけですね。

そして、最後に【地面に落ちた塩を踏む】ことによって足の裏まで清めて、それでようやく家の中に入ることができるのです。

少しくらい順番を間違えたって大丈夫ですが、一応はこういう決まりがありますので頭の片隅に記憶しておいてください。

清めの塩は使い切る

体に塩をまくといっても、お相撲さんみたいに多量の塩を『わしづかみ』にしてバサッとまくわけではありません。

指先で少量をつまんでパッパッとふりかけるだけです。

そのため、清めの塩が余ってしまうことがあり、この余った塩の処分に困るんですよね。

まずは、原則として清めの塩は使いきるように心がけてください。

それでも余ってしまった場合は、普通に【可燃ゴミ】として捨ててかまいません。

未熟僧
未熟僧
『清めの塩』と言っていますが、あくまで【ただの塩】です。

そして、余った塩の処分について、

  • 庭にまく
  • 台所で流す
  • トイレで流す

という人もいますが、それはあまりおすすめできません。

塩は植物を枯らしてしまいますし、いくら【ただの塩】とはいえ穢れや邪気を払ったものを台所やトイレに流すのも何となく気が引けることでしょう。

ですから、余った塩は半紙に包むかビニール袋へ入れて可燃ゴミとして捨ててください。

清めの塩は必ず自分自身でまく

たまに「家族がいる場合は、外に出てきてもらい、家族にまいてもらってください。」という意見があります。

しかし、清めの塩は必ず自分自身でまくようにしてください。

お葬式に参列すると穢れや邪気を身につけてきてしまうから、体に塩をふって清めているわけですよね?

だったら、その穢れや邪気を少しでも家族から遠ざけるべきです。

まだ塩で清めていない【穢れている状態】のあなたに大事な家族を近づけるようなマネをしてはいけません。

あなたが自分自身で塩をふって、ちゃんと体を清めてから家族のそばに行ってください。

『清めの塩』は必要というわけではない

多くの人は【お葬式に参列した後は、家の中へ入る前に『清めの塩』を体にまく】ということを知っています。

でも、それは必ずしなきゃいけないものなのでしょうか?

じつは、『清めの塩』は必要というわけではないんです。

『仏式』のお葬式なら体に塩をまく必要はない

先ほどから説明していますように、お葬式の後に『清めの塩』をまく目的は【穢れや邪気を払い体を清める】ことです。

これは、遺体を【恐れ・穢れ】の対象として見ているから体を清める必要があるわけです。

しかし、じつは人の死を穢れとして見るのは『神道』の考え方であって、仏教では人の死を【恐れ・穢れ】の対象として見ていません

ですから、『仏式』のお葬式なら体に塩をまく必要はないんですよね。

そして、日本の場合、お葬式のほとんどが『仏式』で執り行われています。

未熟僧
未熟僧
お葬式といえば【お坊さんがお経を読む】というイメージがありますよね。

お坊さんがいるということは『仏式』でお葬式を執り行っているわけです。

つまり、日本のほとんどのお葬式では『清めの塩』が必要ないということになります。

特に『浄土真宗』の場合は、【亡くなった人はすぐに極楽浄土へ行き仏様となる】という教えがあるので、《故人が亡くなった時にはもう仏様となっているから穢れることはない》と考えますから、最初から塩なんてまく必要がないのです。

ですから、お葬式が『神式』で執り行われた場合は体に塩をまいてもいいと思いますが、『仏式』であれば全く気にしなくて大丈夫。

そして、ここで1つ誤解のないように大事な説明をします。

神道では人の死を【穢れ】として扱うのですが、べつにこれは『故人が穢れ(汚れ)ている』という意味ではないですよ。

人が亡くなったときは【気が枯れた状態】なのです。

これが、いつの間にか【気が枯れた=気枯れた=けがれた=穢れた】という表現になってしまったんですよね。

そして、気が枯れてしまうと、それを見た魔物などの邪気が集まってしまうのだそうです。

つまり、故人が穢れているという意味ではなく、故人の周りにたくさんの邪気が集まっているという意味なんですよね。

となれば、お葬式に参列すると【邪気に満ちた中】へ入ることになりますので、参列者はたくさんの邪気に触れてしまいます。

そこで、お葬式で触れてしまった邪気を家の中まで持ち込まないようにするため、まずは『清めの塩』を体にまくのです。

ただ、そうはいっても、現在の日本の仏教というのは神道の考え方も混合されています。

いくら『仏教では塩をまく必要はない』と言われたところで、心情的に「それでもやっぱり払っておきたいなぁ」という気持ちになってしまうものです。

ですから、日本のお葬式のほとんどの場合は『清めの塩』が必要ないのですが、どうしても気になる場合は塩をまいてください。

親族のお葬式なら塩をまく必要はない

『清めの塩』をまく必要がないケースはもう1つあります。

それは、親族のお葬式の場合です。

お葬式をするときに、あなたの親族の中に、

うわ~、なんか穢れそうだなぁ・・・。

なんてことを言う人がいたらどう思いますか?

きっと「穢れがどうとか言ってないで、遺族の気持ちに寄り添ってやれよ!」と思いませんか?

親族の場合は一般参列者とは違いますので、より一層【遺族の気持ちに寄り添う立場】にあるんですよね。

親族のお葬式の場合は、「自分と関係の近い人が亡くなったんだから、遺族と同じ気持ちで故人の冥福を祈ろう。仮にそれで穢れてしまったとしてもかまわない。」という気持ちで参列するものです。

なので、親族のお葬式に参列したときには『清め塩』をまく必要はありません、というか、それは故人や遺族に対して失礼な行為なのでやめましょう。

まとめ:『清めの塩』は仏式だと必要ないので特に気にしなくてもいい。

お葬式から帰ってきたときに体へまく『清めの塩』。

清めの塩は、お葬式に参列したことで体についた穢れや邪気を払い、体を清めるためにまくものです。

しかし、人の死を【穢れ】と考えるのは神道であって、仏教にそんな考え方はありません。

日本で行われるお葬式の多くのは【仏式】なので、本当なら『清めの塩』が登場する機会は少ないはずです。

しかし、私たち日本人には《人の死は怖いもの》という感覚があるせいか、何となく体を清めておきたくなるんですよね。

ですから、べつに僕は「神式のお葬式以外は清めの塩をまくな!」なんて言うつもりはありません。

結局は人それぞれの考え方次第ですが、お坊さんとしては、仏式のお葬式なら『清めの塩』はそんなに気にしなくてもいいんだよと言いたかったんです。

どうしても気になるなら塩をまけばいいと思いますよ♪

※お葬式で忘れ物をしないよう、こちらの記事を読んでおいてください。

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