お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- お墓参りに飼い犬を連れて行っても大丈夫かな?
- 何とかして飼い犬と一緒にお墓参りをしたい。
- お墓参りに飼い犬を連れて行くときには、どんなことに注意するべき?
飼い犬は【家族の一員】なので、出かけるときは一緒に連れて行きたいと思いますよね。
しかし、お墓参りをする場合は、なるべく飼い犬には家で留守番をしてもらう方がいいです。
なぜなら、お墓という場所に犬がいることがあまり好ましくないからです。
とはいえ、「絶対に連れて行ってはいけない」というわけではなく、犬を連れるときの注意点を厳守していれば、飼い犬と一緒にお墓参りができます。
この記事では、
- お墓参りに飼い犬を連れて行かない方がいい理由
- お墓参りに飼い犬を連れて行くときの注意点
について書いています。
※すぐに『犬を連れてお墓参りに行くときの注意点』を知りたい方はコチラからどうぞ。
お墓参りに犬を一緒に連れて行くのはダメ?
犬を飼っている人の中には、
僕は犬が好きなのでその気持ちはよく分かりますが、それでも、お墓参りをするなら飼い犬には《家でお留守番》をしてもらう方がいいと思います。
どんなに賢い犬でも失敗をしたりトラブルを起こす可能性があり、その場合、相手の怒りや恨みが犬に向かってしまうこともあるんですよね。
しかし、飼い犬を連れて行くことが【絶対にダメ】というわけではありません。
後ほど紹介する『犬を連れるときの注意点』を厳守していれば、一緒にお墓参りをすることは可能です。
それに、愛犬だけを家に残すというのは心配でしょうし、きっと外出先でも愛犬の様子が気になって仕方ないですよね。
ちなみに、最近では『家にいる犬の様子をスマホで見られる』という便利なアイテムがあります。
それを使えば留守番をしている愛犬の様子をリアルタイムで確認できるため、安心してお墓参りができますよ。
スマホさえあれば、いつでもどこでも愛犬の様子を見られて便利なので、興味のある方はチェックしてみてください。
お墓参りに犬を連れて行かない方がいい理由
飼い犬と一緒にお墓参りをしたくても、それができないケースがあります。
じつは、お寺や霊園ではペットの連れ込みを禁止しているところが多いんですよね。
お寺や霊園でペットの連れ込みを禁止するのには、それなりに理由があるので詳しく説明します。
どんな犬でも【失敗】をしてしまう可能性がある
お墓参りに犬を連れて行かない方がいい理由の1つめは、どんな犬でも【失敗】をしてしまう可能性があるからです。
普段はとてもお利口さんで行儀のよい犬でも、そこはやはり動物なので、本能的な反応が出て失敗をしてしまうこともあります。
例えば、もしもあなたの飼い犬が【他の家のお墓にオシッコをかけてしまった】としたらどうでしょう?
その家の人は間違いなく怒りますよね、大切なお墓に知らない犬がオシッコをかけたわけですから。
そうなると、飼い主がどんなに謝罪をして、どんなに完璧にそのお墓を掃除したとしても、その家の人はずっと、
と忘れることはありません。
あなたも、それ以後はその家の人に合わせる顔がないですよね?
お墓以外にも、お寺や霊園の建物、通路、植栽などの『共有スペース』にオシッコやフンをしてしまう可能性もあります。
また、飼い犬の機嫌が悪くて、何かの拍子に【他の人に噛みついてケガをさせた】なんてことがあると大変です。
そうですよね、きっとあなたのワンちゃんはそんな失敗をしないのでしょう。
しかし、あなたにはそのことが分かっていても、他の人にとっては『何をするか分からない存在』なんです。
ですから、お寺や霊園としては、みんなが安心してお墓参りができるようにペットの連れ込みを禁止しているのです。
鳴き声がうるさい
お墓参りに犬を連れて行かない方がいい理由の2つめは、犬は鳴き声がうるさいからです。
犬が好きな人はあまり気になりませんが、犬が苦手な人にとっては犬の鳴き声が【騒音】として聞こえるんです。
例えば、誰かの家の前を歩いていて、垣根のむこうから急に「ワンッ!」って吠えられたときは、本当にビックリしますし、その後もしばらくは心臓がバクバクしていますからね。
それに、犬が苦手な人にとっては【犬の鳴き声】そのものが怖いのです。
お墓参りというのは【心静かに手を合わせる】ものですが、すぐ近くで犬がワンワンと吠えていたら、それができないと思いませんか?
犬は『畜生(ちくしょう)』だと考えられている
お墓参りに犬を連れて行かない方がいい理由の3つめは、犬は『畜生道』の世界を生きているからです。
仏教の考え方に、
悟りを得るまでは、
- 天道(てんどう)
- 人道(にんどう)
- 修羅道(しゅらどう)
- 畜生道(ちくしょうどう)
- 餓鬼道(がきどう)
- 地獄道(じごくどう)
という6つの苦しみの世界=六道(ろくどう)の中で生死をくり返す。
というものがあります。
仏教では6つの苦しみの世界から離れることを目指しており、1番目の『天道』に近づくほど苦しみが少ない【仏界に近い世界】となります。
そして、私たち人間は2番目の『人道』の世界を生きていて、犬などの動物は4番目の『畜生道』の世界を生きているんです。
これは、同じ空間にいても人間と犬ではそれぞれに【違う世界】を生きていること、そして人間は他の動物よりも【高い次元の世界】に生きていることを意味します。
それで、ここからが大事です。
お墓というのは『この世とあの世を結ぶもの』であり、さらに『仏様たちが宿る場所』でもあります。
ですから、墓地は『仏様の世界とつながっている清らかな場所』なんですよね。
私たちは、ご先祖様や亡き家族に対して日頃の感謝の気持ちを伝えたり、家族のいろんな報告をするために、この世とあの世を結んでいるお墓にお参りをしています。
そういう清らかな場所に、人間よりも低い世界(=畜生道)に生きる犬を連れて行くことは不適切ということになってしまうのです。
犬を連れてお墓参りに行くときの注意点
僕は「犬を連れてお墓参りに行ってはダメ!」と言っているわけではありません。
犬を連れてお墓参りすることは可能です。
しかし、犬を連れて行くには、
- ペットの連れ込みが可能かどうか、お寺や霊園に必ず確認をする
- 必ずリードをつけて絶対に目を離さない
- できるだけ自宅で排泄させる
- ペット用のオムツをつける
- 他の家の墓地には入れない
- 他の家のお墓に置いてある供物を食べないようにする
- 犬が苦手な人は意外と多いことを意識する
- 夏は犬を日陰に入れてあげる
という注意点を守る必要があります。
ペットの連れ込みが可能かどうか、お寺や霊園に必ず確認をする
犬と一緒にお墓参りをしたいと思っても、勝手に連れて行ってはいけません。
先ほども言ったように、ペットの連れ込みを禁止しているお寺や霊園が多いです。
お墓参りへ行く前に、ペットの連れ込みが可能かどうかを必ずお寺や霊園に確認してください。
ちなみに、『ペットと一緒に入れるお墓』や『ペット専用のお墓』がある霊園ならペットの連れ込みを許可しているところが多いです。
最近では、様々な要望に対応している霊園が増えているので、スマホやパソコンでいろんな霊園を検索してみてください。
【関連記事】:犬などのペットと一緒にお墓に入りたい場合はどうすればいいの?
必ずリードをつけて絶対に目を離さない
犬を連れてお墓参りをするときは、必ずリードをつけて絶対に目を離さないということだけは厳守してください。
これはもちろん、
- 他の人に噛みつかないようにするため
- 他の家のお墓にオシッコをかけないようにするため
- 他の人に「ちゃんと飼い主が見ているんだな」と分かってもらうため
です。
要するに、他の人に迷惑をかけないように必ずリードをつけてくださいということです。
また、お墓参りに犬を連れて行くなら、しっかりと犬の動きを制御するために『スタンダードタイプのリード』を使用するのが望ましいです。
伸縮しないリードなのでワンちゃんにとっては動きにくいですが、お墓参りの間は我慢してもらいましょう。
できるだけ自宅で排泄をさせる
あなたは外へ出かける前にはトイレに行きますよね?
それは犬も同じで、お墓参りに出かける前に、できるだけ自宅で排泄させるように心がけましょう。
とはいえ、一声かければ自分から排泄をしてくれる犬はあまりいないと思うので、出かける前に排泄するように促すだけでいいですよ。
もちろん、その子に合った促し方をしてもらえればかまいません。
ペット用のオムツをつける
いくらお利口な犬でも、出かける前に排泄できないことだってありますよね。
そのようなときにはペット用のオムツをつけてあげてください。
オムツをつけていれば墓石にマーキングしてしまうことがないので安心です。
ただ、オムツを嫌がる子もいると思います。
そうなると、【排泄するのを待ってから出かける】か、あるいは最終手段で【いつも使用しているトイレシートを持参する】といった対策が必要になります。
他の家の墓地には入れない
先ほども言いましたが、お墓は【この世とあの世をつなぐもの】であり、とても神聖な場所です。
そんな神聖な場所ですから、他の家の墓地に犬を入れないように十分に注意をしてください。
わざとではなかったり、犬が何もイタズラをしなかったとしても、それでもダメです。
キツイ言い方になりますが、勝手に動物を墓地に入れることは、その墓地を穢し、その家の仏様たちを冒とくする行為となってしまいます。
ですから、他の家の墓地の前を通るときには十分に注意してくださいね。
他の家のお墓に置いてある供物を食べないようにする
犬を連れてお墓参りをするときは、飼い犬が他の家のお墓に置いてある供物を食べないように注意してあげてください。
あなたもご存じのように、犬の嗅覚は非常に優れており人間の【100万倍~1億倍】とも言われています。
それで、お墓の前を通るとき、そこに美味しそうな匂いの供物があると、クンクンクン・・・パクッ!なんてこともあるのです。
最近の霊園では小さなお墓を建てる人が増えており、小さなお墓は《通路と墓石の距離》がほとんどないため、通路からそのままお墓へ、線香・お花・供物を供えることができます。
しかし、それは犬にとっても『口が届く距離』となるので、小さなお墓の前を通るときには特に気をつけましょう。
犬が苦手な人は意外と多いことを意識する
僕は昔から犬が好きですが、世の中には【犬が苦手な人】も大勢います。
お墓参りをする人は愛犬家ばかりではなく、犬に近寄ることさえできない人だっているんですよね。
もしも、あなたの犬が通路をふさいでしまい、その人がお墓まで行けなくなっていたら迷惑です。
あなたの可愛い愛犬が誰かを怖がらせてしまう可能性もあることをしっかりと認識してくださいね。
夏は犬を日陰に入れてあげる
最近の夏の暑さは異常です。
夏のお墓参りに犬を連れて行くなら犬を日陰に入れてあげるようにしましょう。
気温が上がると、それだけ地面の温度も上がりますが、真夏の場合はアスファルトの表面温度が60℃を超えることもあるそうです。
最近ではお寺や霊園の通路がちゃんと舗装されているので、アスファルトと同じような温度になってしまいます。
あなたは【顔の近くがずっと60℃以上の状態】でどのくらいの時間耐えられますか?あまりにツラくて、1~2分が限界なんじゃないですか?
だったら、愛犬にもそんなツラい思いをさせてはいけませんよね。
ですから、基本的に犬は日陰に入れてあげて、すぐに水分の補給もできるように準備をしてあげましょう。
小中型犬ならペット用のキャリーカートに入れてあげればOK!
あなたの飼っているワンちゃんが『小中型犬』の場合はお墓参りに連れて行きやすくなります。
なぜなら、小中型犬であればペット用のキャリーカートに入れてあげられるからです。
飼い犬をキャリーカートに入れてあげれば『犬を連れてお墓参りに行くときの注意点』の多くをクリアできます。
小中型犬の場合は《ずっと抱いておく》という方法もありますが、それも意外と大変ですし、ワンちゃんにとっても少し窮屈でしょう。
一方でキャリーケースがあれば、
- 飼い主も犬もラク
- 犬を雨や日差しから守ってあげられる
- 小物などを入れておく収納スペースがある
- 他の人も安心できる
というメリットがあります。
ペット連れのお墓参りができるお寺や霊園で、なおかつ飼い犬が小中型犬の場合はキャリーカートに入れてあげてお墓参りをしてください。
犬を車の中で待たせるのはダメ!
何度も言いますが、犬の連れ込みを禁止しているお寺や霊園は多いです。
そのせいでしょうか、お墓参りをしている間は犬を【車の中】で待たせている人がけっこういます。
たしかに、車の中なら誰にも迷惑をかけないのですが、でも、それって犬を一緒に連れて行く意味がありますか?
もしかすると、とりあえず家の外へ連れ出してあげることが目的なのかもしれませんが、それだったらちゃんと散歩させてあげた方がいいかと。
しかも、犬を夏の車中で待たせるのは非常に危険です。
窓を開けてあげればいいのですが、全開にするわけにはいきません。
それに、たかが10cm~20cmくらい窓を開けただけじゃ、車内温度はものすごく高いままです。
それに、ワンちゃんだって、少しの時間なら家でお留守番をしても大丈夫ですよね。
わざわざ危険を冒してまで車内で待たせるくらいなら、飼い犬には一番落ち着く【自宅】で待っていてもらいましょう。
まとめ:お墓参りに行くなら飼い犬は留守番。連れて行くなら必ず注意点を守る
飼い犬は【家族の一員】なので、「どこへ出かけるにも一緒に連れて行ってあげたい。」という気持ちになります。
しかし、お墓参りに行くなら飼い犬には家で留守番をしてもう方が無難です。
犬は思わぬ失敗をしたり他の家の人とトラブルを起こす可能性があります。
ただし、犬をキャリーカートに入れてあげるなど『犬を連れるときの注意点』を厳守していれば、一緒にお墓参りをすることは可能です。
犬を連れて行く場合は、
- ペットの連れ込みが可能かどうか、お寺や霊園に必ず確認をする
- 必ずリードをつけて絶対に目を離さない
- できるだけ自宅で排泄させる
- ペット用のオムツをつける
- 他の家の墓地には入れない
- 他の家のお墓に置いてある供物を食べないようにする
- 犬が苦手な人は意外と多いことを意識する
- 夏は犬を日陰に入れてあげる
といった点に注意しましょう。
飼い犬と一緒にお墓参りをするときは、本記事をご参考に、最低限のマナーを守った上でのお墓参りをお願いします。
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