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法事の疑問

法事の日取りは友引や仏滅でもいいの?法事には六曜を考えるべき?

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いています
  • 法事の日取りは『友引』や『仏滅』にしちゃダメなの?
  • そもそも『友引』とか『仏滅』って何?
  • 法事はいつやるのがいいの?
  • 法事の日取りを決めるときは何に注意すればいいんだろう?

今度、法事をしたいんですけど、やっぱり『友引』とか『仏滅』の日にはしない方がいいんですか?

この質問、メチャクチャ多いんですよね。

僕がお坊さんになってから、もう何回聞かれたことか。

結論を言いますと、法事の日取りは『友引』でも『仏滅』でも大丈夫です。

お葬式は『友引』を避けて行われますが、法事の場合は『友引』と『仏滅』のどちらでも問題なし。

でも、このことを知らない人はけっこう多いんです。

それで、余計なことが気になって、なかなか法事の日程を決められなくなります。

それにしても、なぜ法事の場合は『友引』や『仏滅』でも問題ないのか不思議だと思いませんか?

この記事を読めば、

  • 『友引』や『仏滅』でも法事をしていい理由
  • 【六曜】のそれぞれの意味
  • 法事の日取りの決め方

がわかります。

法事の日程を決めるときの参考になりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

『友引』に法事はできるの?

法事の日取りを決めるにあたり、『友引の日に法事をするのはよくない。』と思っている人は多いです。

お坊さんとして言わせてもらうと、『友引』に法事をしても大丈夫なんですよね。

『友引』でもまったく問題はありませんから、どんどん法事をしてください。

じゃあ、なぜみんな【友引はよくない】と思うのでしょうか?

それはきっと、『友引』にはお葬式をしないからですね。

『友引』の日にお葬式をしないのは、あの世へ旅立つ故人が、淋しがって【友人を一緒に引き連れてしまう】と考えられているからです。

まぁ、こんなのは完全な《迷信》なんですけどね。

でも、昔からそういう考えのもとでお葬式を執り行ってきました。

それに、【友引=お葬式は無し】というのがあまりに定着しすぎて、火葬場まで『友引』がお休みになんです。

こうなると、完全な《迷信》であっても【友引にはお葬式をしない】という慣習に従わざるを得ません。

なので、お葬式に『友引』を避けるのであれば、法事だって同じように『友引』を避けるべきだと考えてしまうんでしょう。

しかしですね、お葬式と法事では話が違うんですよね。

法事をする頃には、故人はもうとっくにあの世におられます。

一度あの世に行った人は、わざわざこの世に戻って友人を引き連れて行こうとなんてしません。

だって、あの世にいる故人は【いろんな仏様に守られて、とても充実した穏やかな生活】を送っているのですから。

だから、淋しいなんて思わないし、むしろ友人たちを守る立場になるんですよ。

というわけで、『友引』に法事をしたって何も問題はありませんので安心してください。

『仏滅』に法事はできるの?

続いて『仏滅』の場合はどうなのか、ですね。

答えは、『友引』と同じで、『仏滅』に法事をしても大丈夫ですよ。

そうなんですよ、『仏滅』でも法事をしてかまわないんです。

たしかに『仏滅』は、【何をしても上手くいかない大凶日】とされる日です。

つまり、これ以上ないくらい最悪で最低の『どん底』みたいな日なんですよ。

しかし、私たちにとっては最悪で最低の日かもしれませんが、故人や仏様たちにとって『仏滅』は最良で最高の日なんです。

なぜなら、仏様の世界においては【吉凶】とか【縁起の良し悪し】なんていうものがないからです。

くだらない【吉凶】や【縁起の良し悪し】を気にしているのは、俗世(この世)にいる未熟な私たちだけです。

仏様のおられる世界(あの世)は、俗世の私たちなんかが想像できないほど『清らか』で『絶対的な安楽』に満ちた世界です。

つまり、仏様の世界は毎日が最良で最高なんです。

法事ってのは、故人の供養のためにするものですよね?

だったら、故人のことを基準にして考えましょう。

毎日が最良で最高の世界にいる故人にとって俗世の『仏滅』なんて関係ないですよね?

だから、『仏滅』なんか気にせず法事をして、故人の供養を大事にしてください。

そもそも『友引』とか『仏滅』って何なの?【六曜】の解説

あなたを含めて多くの人が気にしている『友引』や『仏滅』というのは、【六曜(ろくよう・りくよう)】といいます。

これは、古代中国の考え方が元になっていて、本来であれば『時間』を区切って吉凶を占う考え方です。

これが日本に伝わり、そこから長い時を経て現在のように『時間』だけでなく『日』で区切って吉凶を占う【六曜】という考え方に変化していきました。

つまり、私たちが気にしている六曜というのは【日本独自の考え方】なのです。

また、六曜は吉凶を占うものではありますが、原則としては、その日に【してはいけないこと】を意識するためのものなんですよね。

せっかくなので、もう少し具体的に【六曜】について解説します。

六曜というのは、六種類の指標を示しているものです。

六種類の指標とは、

  1. 先勝
  2. 友引
  3. 先負
  4. 仏滅
  5. 大安
  6. 赤口

の六つをいいます。

基本的にはこの順番で繰り返されています。

それでは、一つずつ紹介していきますね。

先勝

まず一つめは『先勝』です。

読み方は、【せんしょう・さきがち・せんかち】など、いくつかあります。

先勝は、『先んずれば、すなわち勝という意味です。

要するに、

  • この日に【急ぎの用事】をするといいよ
  • 大事なことは午前中にしようね
  • 午後は【凶】になるから注意してね

ってことですね。

だから、「この案件は早い者勝ちやぞ!」という場合は、この日の午前中に全力で取り組んでください。

しかし、午後になると、一変して【凶】の状態に入ります。

ですから、午後からは何事も慎重に取り組むように心がけましょう。

ちなみに、凶となってしまうのは【14時〜18時】という時間帯です。

友引

二つめは、この記事のメインテーマとなっている『友引』です。

読み方は、【ともびき・ゆういん】のどちらかですね。

友引は、『凶事に友を引く』という意味があります。

つまり、

あまり縁起の良い日ではないから、友人との行動は控えた方がいいよ

ということですね。

でも、友引はもともと『共引』という記載だったのです。

そして、その意味は字のとおり『共に引き合う』です。

『共に引き合う』ということは《優劣のない状態》を表しており、それはつまり【勝負がつかない】とか【ハッキリとした展望がない】ということを意味するのです。

でも、これが次第に陰陽道でいうところの、

友引日』:悪い方向(友曳方)に向かって物事を行うと、禍(わざわい)が友に及んでしまう日

と混同されてしまいました。

これが原因で【友引=友人が良くない方へ引っ張られてしまう】という意味合いが強くなりした。

しかし、『友引』は結婚式の日取りとして選ばれています。

私も『友引』に結婚式をしましたからね。

日本人って、他国の文化を自国の文化に都合良くアレンジしてしまいます。

『友引』についても、

縁起の悪いことをする場合には避ける日、でも、縁起の良いことをする場合には適した日

みたいに都合良く解釈しています。

だから、『友引』というのは解釈のしかたで良くも悪くもなっちゃうんですよね。

先負

三つめは『先負』です。

読み方は、【せんぷ・さきまけ・せんまけ】などがあります。

先負は、『先んずれば、すなわち負ける』という意味があります。

そうです、先ほどの【先勝】と真逆の日ということになりますね。

つまり、

  • この日はなるべく平穏に過ごそうね
  • 急ぎの用事があっても午前中はヤメた方がいいよ
  • 大事なことは午後に回した方がいいよ

ということです。

勝負事とか急ぎ事は避けて、心を落ち着かせて、午後になってからじっくりと物事に取り組んでください。

仏滅

四つめは『仏滅』です。

読み方は、ご存じのとおり【ぶつめつ】です。

仏滅には、『仏も滅するような大凶の日』という意味があります。

あなたもだいたいお察しのように、六曜の中でも最悪で、

  • 何をしても上手くいかないよ
  • この日に病気をしたら長引くかもね
  • 今日はもうアレコレと動かないで静かに過ごそうよ

ということですね。

この日は、どうせすべてのことが上手くいかないんだから、いっそのこと『何もしないでゆっくり休む』と割り切ってしまえばいいんじゃないでしょうか。

そういう意味では、疲れ切った日本人には『仏滅』が必要なのかもしれませんね。

大安

五つめは『大安』です。

読み方は、【たいあん・だいあん】です。

大安は、『大いに安し』という意味があり、よく【大安吉日】なんていわれますよね。

つまり、大安は、

  • とにかく縁起が良くて非常にめでたい日
  • 一日中、何をしても上手くいく
  • ガンガン挑戦しろ!

っていうような、六曜の中でも最良の日です。

でも、いくら『大いに安し』とはいえ、無茶なことをしても大丈夫ってわけじゃないですからね。

あなたの未来に向けて何かを始めようと思っていたなら、ぜひこの大安に始めの一歩を踏み出してみてください。

赤口

最後の六つめは『赤口』です。

読み方は、【しゃっこう・しゃっく・じゃっこう・じゃっく】などがあります。

赤口は、陰陽道の【赤舌日(しゃくぜつじつ)】という凶日からきています。

じつは、赤口は『仏滅に次ぐ凶日なのです。

赤口の【赤】という字の部分が【血液】を連想させて不吉なカンジがしませんか?

なんたって【赤い口】ですからね、「何かの動物を生きたまま食べたのかよ!」って言いたくなりますよ。

赤という字は血液だけではなく【火】も連想できますよね。

だから、赤口は、

  • 火の取り扱いに注意しなきゃダメ
  • 刃物や工具の扱いにも注意しなきゃダメ

っていう日でもあるんです。

法事の日取りの決め方。六曜を考えるべき?

法事をする日は『友引』でも『仏滅』でも、どちらも問題はありません。

では、法事の日取りはどのように決めればいいのでしょう?

ここからは法事の日取りの決め方を紹介します。

六曜を考えて決めるべき?

法事の日取りで『友引』も『仏滅』も問題ないとすると、じゃあ、六曜の中で【法事に適さない日】はどの日なのでしょうか?

じつは、六曜の中には、法事をするのに【適している日】とか【適さない日】とか、そんなものはないんです。

なぜなら、

六曜と仏教は何の関係もない

から。

『仏滅』なんて、いかにも仏教と関係がありそうですが、仏様の教えには六曜のことなんか出てきません。

私たち日本人が知っている【六曜】は、古代中国の占いの考え方が日本に伝わって、それが日本流にアレンジされて、さらに無理矢理に仏教へ取り入れられたものなんですよね。

だから、法事の日取りを決めるときに【六曜】のことは考えなくていいのです。

あなたが気にすべきことは、六曜のことではなく、あなたと参列者の【都合】だけ。

心から故人の供養をしたいと思ってくれる人たちが集まれる日はいつなのか、これだけを考えるようにください。

いつ法事をすればいいの?

六曜と仏教は何の関係もありませんので、法事の日取りはあなたが自由に決めて大丈夫です。

とはいえ、何を基準にして、どうやって法事の日取りを決めればいいのか迷うことでしょう。

というわけで、ここで『法事の日取りの決め方』を紹介します。

法事の日取りを決めるときには、

  • 可能であれば、ちゃんと『故人の命日』に行う
  • できるだけ『故人の命日』を過ぎないように行う
  • 参列者が多い場合は、『故人の命日』の少し前の土日祝日に行う

というのがいいでしょう。

故人の命日を過ぎないようにする

法事の日取りは、故人の命日を過ぎないことが原則です。

亡くなった人は、あの世でいろんな仏様たちに守られて、同時にたくさんの教えを学びます。

そして、亡くなった人みんなに、それぞれ【指導係となる仏様】がついてくださいます。

その【指導係となる仏様】は、同じ人をずっと守り導くのではなく、年回忌ごとに他の仏様へと交代していきます。

法事の目的は、故人の供養はもちろんですが、その他に『新たに指導係となる仏様へのご挨拶』の意味があるんです。

ご挨拶をするのに遅れてしまってはマズいので、『故人の命日』を過ぎない方がいいんです。

だから、できるだけ『故人の命日』の当日、あるいは少し早めの日に法事をすることが望ましいというわけです。

とはいえ、どうしても都合がつかず『故人の命日』を過ぎてしまう場合、それはそれで仕方ありません。

その場合は、遅れてもいいのでちゃんと法事をしてあげてください。

遅れるからという理由で法事をしないことの方が、よほど故人と【指導係となる仏様】に失礼ですね。

もしも命日より遅れて法事をするなら、別記事の『法事をするのを忘れた!遅れて法事をしてもいいの?』を参考にしてみてください。

参列者の数が多ければ土日祝日が無難、少なければ平日でもOK

法事の日取りを決めるにあたり【曜日】というのは非常に大事です。

曜日によって法事に参列する人数が大幅に変わりますから。

その理由は、あなたもすでにお察しのように、平日だと仕事を休めず法事に出られない人が多いからです。

なので、親戚が多い家など、参列者の数が多い場合は『土日祝日』に法事をする方が無難です。

一方で、ごく身近な人だけが参列するなど、参列者の数が少ない場合は、参列者全員の都合さえつけば『平日』でもOKです。

ちなみに、僕としては、参列者の数が少ないのなら、メリットが多い平日に法事をすることをおすすめします。

【関連記事】:平日に法事をするのはおかしい?平日の法事のメリットとデメリット

大型連休・お盆・年末年始は避ける

法事の参列者が多い場合は、できるだけ多くの人が集まりやすい『土日祝日』に日程を組むといいでしょう。

しかし、人が集まりやすいとはいえ、

大型連休・お盆・年末年始

に法事をするのは避けた方がいいですよ。

まず、大型連休というのは、日頃はなかなか行けないような遠くへ出かけたり、旅行へ行ったりと、外出する予定のある人が多いのです。

また、お盆の時期は会社が休みのところも多いので、帰省をしたり、大型連休のように外出する予定のある人が多いです。

年末年始は多くの会社が休みですが、この時期は『師走』というくらいですから、家のことで忙しい人が多いです。

多くの人に参列してもらうなら、大型連休・お盆・年末年始は避けて、それ以外の『土日祝日』を狙って日程を組んでみてください。

複数の仏様の年回忌が重なっている場合は?

あっ、今年は父の13回忌と母の7回忌が重なっているのか!こういう場合はどうすればいいんだ?

こんなケースって多いです。

複数の仏様の年回忌が重なった場合【どちらの命日に合わせればいいのか】で悩む人がほとんどです。

そのような場合は、複数の仏様の中で、

1番最初に命日を迎える仏様に合わせる

ようにしてください。

理由は先ほど言ったように、『指導係となる仏様への挨拶が遅れるのはマズいから』です。

遅れるのはダメですが、早めに行うのはOKです。

ですから、複数の仏様の年回忌をする場合は、誰1人として遅れないように日程を組んでください。

【関連記事】:法事で複数の仏様を同時に供養したい!併修の注意点を解説。

まとめ:法事に六曜なんて関係ないので、あなたや参列者の都合だけを考えればいい!

法事は『友引』でも『仏滅』でも、どちらの日でも問題なくできます。

なぜなら、【六曜】と仏教なんて本来は何の関係もないからです。

古代中国の考え方が日本に伝わり、それがいつの間にか【六曜】として日本独自の解釈をしてしまっているだけです。

だから、お葬式や結婚式で『友引』とか『仏滅』を過度に気にするのは本当であればおかしなことなんですよ。

ですから、法事と六曜は切り離して考えましょう。

つまり、法事の日取りを決める時にも、

あなたや参列者の都合だけを考えればいい

ということです。

これからはもう『友引』や『仏滅』なんか一切気にせず、自由に日取りを決めてください。

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