お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- もう法事の食事はしないで、お弁当を渡しちゃっていいでしょ?
- お弁当はどんなものを用意すればいいんだろう?
- お弁当の【値段の相場】を知りたい。
でも、その場合は持ち帰り用の『お弁当』を渡してくださいね。
最近では、法事の後の食事(お斎)をしないという人が増えています。
まぁ、施主としても食事をしない方がラクですから、そのような人が増えているのも当然です。
この記事を読みに来てくれたということは、あなたも『法事の食事はしないつもり』ということですよね?
それでもイイと思いますよ、おそらく今後は【法事の後にみんなで食事をする】という時代ではなくなるでしょうから。
とはいえ、ただ単に「法事の後の食事はしません。」というだけじゃマズいです。
法事の食事をしない場合、参列者には必ず、
持ち帰り用の『お弁当』を渡す
ようにしてくださいね。
この記事では、
- 法事の食事の代わりにお弁当を渡すことの正当性
- 参列者へ渡すお弁当の選び方
について書いています。
法事で渡す『お弁当』の疑問や悩みが解消されますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
法事の後の食事をしないケースが急増中!

施主にとって【法事の後の食事】というのはけっこう大変ですし、正直なところ面倒ですよね。
法事の後に食事をするとなれば、
- 事前に必ず出欠の連絡をしてもらい、食事をする人数を確認する
- 食事の場所を選んで予約をする
- 料理の内容をよく見て、財布と相談しながら注文をする
- 参列者みんなに【食事の場所】を正確に伝え、予約時間にはちゃんと始められるようにする
- 食事の前の挨拶をする(事前に言う事を考えておく必要あり)
- 参列者みんなにお酌をしながら挨拶をして回る
- みんなが予想以上に飲み物を頼んでしまい、予算オーバーで気分が萎える
これらことをしなきゃいけないません。
うわぁ、何だか考えただけでも面倒くさい。
僕が施主だったら、可能な限り『法事の後の食事』を回避したいと思ってしまいます。
じつは、僕と同じように思っている人は多くて、
法事の後の食事をしない
というケースが急増中です。
きっと、ここ数年で【身内だけで法事をする】という家が増えたからですね。
少し前までは、法事をする時にはできるだけ多くの親戚を招いていましたもんね。
そうしないと、後からいろいろと文句を言われちゃいますから。
それで、たくさんの親戚を招いたからには食事の場を設けざるをえなかったんです。
ところが、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあってか、最近では多くの家が【身内だけ】で法事をするようになりました。
参列者が身内だけであれば、わざわざ【かしこまった食事の席】を設ける必要なんかないですよね。
食事をするにしたって、身内だけなら【ファミレス】でもOKですから。
食事がなければ、金銭面・精神面・体力面でかなり負担が減るので、どう考えたって施主にとってはメリットだらけです。
だから、みんな「ここがチャンス!」とばかりに、どんどん法事の後の食事をヤメてしまいました。
【関連記事】:法事は身内だけでやりたい!親戚を呼ばないで法事をする時の注意点
法事後の食事をしない時は【お弁当】を渡す

法事の後の食事をしなくなるというのは、これはもう時代の流れだと思います。
だから、もう無理に食事はしなくてもいいんじゃないでしょうか。
ただ、そうはいっても「食事はしません。」と参列者に伝えるだけじゃダメなんですよね。
それだけではなく、
法事の食事をしない時は【お弁当】を渡す
のがベストです。
先ほども言いましたが、以前までは法事に食事はつきものでした。
施主は、食事を振る舞うことで、参列者へ【感謝の気持ち】を伝え、おもてなしをしていたのです。
なので、ただ食事を無くしてしまうだけでは参列者の方々に失礼となってしまいますから、それなりに別のカタチでの配慮が必要になります。
そこで、【みんなで食事をする】のではなく、代わりに【お弁当を渡す】ことで感謝の気持ちを伝えて、おもてなしをするようになりました。
あと、もう1つ忘れちゃいけないことがあります。
お弁当を渡す時には、
必ず『返礼品』も一緒に渡す
ようにしてくださいね。
もしも「お弁当を渡すんだから返礼品はいらないでしょ?」と思っていたら、それは違います。
お弁当は【法事後の食事の代わり】ですが、『返礼品』には別の意味があります。
法事に参列する人は必ず【御仏前】を持参しますよね?
施主は、参列者から【御仏前】を頂いたことに対する御礼として『返礼品』を渡します。
だから、法事の後に食事をするしないに関係なく、法事に参列してくれた人には『返礼品』を渡すのが礼儀なんですよね。
ちなみに、『返礼品』は、
- サイズが小さいもの(30㎝四方以内)
- 重量の軽いもの(1kg以内)
- 残らないもの(お茶・食べ物・調味料など)
などを選ぶと、参列者に余計な負担をかけないのでイイですよ。
ということで、法事の後の食事をしない場合は、
- 参列者には『お弁当』を渡す
- 必ず『返礼品』も一緒に渡す
というのがベストな対応です。
法事のお弁当の選び方

法事の後の食事はしないと決めました。
ちゃんと返礼品も用意することになりました。
そしたら次は、
どんなお弁当を渡すのか
を考えます。
ここ、メチャクチャ大事なところです。
法事の食事の代わりに渡すお弁当ですから、参列者に失礼とならないようなものを選ぶ必要があります。
懐石料理の『折詰弁当』を用意する
あなたはいつも、大手チェーンのお弁当屋さんなどでどんなお弁当を買っていますか?
例えば、人気どころの、
- のり弁当
- 幕ノ内弁当
- シャケ弁当
- 唐揚げ弁当
- 焼肉弁当
あたりでしょうか?(例が完全に男側の趣味でごめんなさい・・・)
しかし、これらのような人気のある美味しいお弁当でも、法事の時に渡すお弁当としては不適切なんです。
法事の料理としては『懐石料理』が最も多いので、参列者へ渡すお弁当も《懐石料理と同じような内容》というのが基本です。
となると、お弁当は、
懐石料理の『折詰弁当』
が適しています。
折詰弁当の手配は、【仕出し弁当】を提供している料理業者へ注文すればOKです。
そのような料理業者であれば、あなたの指定した時間に届けてくれますし、お弁当の内容もしっかりしています。
また、【仕出し弁当】を提供するほとんどの料理業者は懐石料理の『折詰弁当』を取り扱っていますから、参列者に対して《十分に丁寧なお弁当》を渡すことができますよ。
お弁当に使われている食材に注意
折詰弁当といっても料理の内容にはいろんな種類があります。
この記事は【法事で渡すお弁当】がテーマなので、法事に適したお弁当にするための注意点について書いていきます。
精進料理にする必要はない
法事というのは【仏事】です。
そして、【仏事】における食事というのは基本的に『精進料理(しょうじんりょうり)』です。
『精進料理』とは、肉や魚などの食材、そして動物性の調味料を一切使用しない料理のことをいいます。
とはいえ、法事の食事に関しては『精進料理』じゃなくてもいいですよ。
もちろん、本来なら『精進料理』が理想的なんですよ、ただ、それだと内容がどうしても貧相というか物足りないんですよね。
施主としては、参列者に振る舞うものですから、せっかくなら満足してもらえるようなものを出したいんです。
なので、昔みたいに法事の食事で『精進料理』を出す人なんて今はほぼいません。
ということで、法事のお弁当は『精進料理』ではなく参列者に喜んでもらえるようなものを渡してくださいね。
できるだけ【長持ち】する食材を選ぶ
お弁当を持って帰ってもらうということは、お弁当に使われている食材が【傷みにくいもの】でなければいけませんよね。
参列者の中には、遠くから来ている人もいるでしょうから、そのあたりの配慮は必要です。
だから、お弁当の内容は、
できるだけ【長持ち】する食材を選ぶ
といいですよ。
別の言い方をすれば、可能な限り【生もの】を少なくしましょうということですね。
お刺身やお寿司などは懐石料理に欠かせないものなんですが、お弁当の場合はなるべく避けた方がいいかと。
最近では技術が進んでいるので長時間の保存も可能ですが、それでも季節によってはやはり心配です。
なので、【生もの】を完全に無くすことはできなくても、なるべく量を少なくするように心がけましょう。
『祝い』の要素が強い食材は避ける
次に、法事のお弁当の食材にはもう1つ大事な注意点があります。
それは、
『祝い』の要素が強い食材は避ける
ということです。
法事というのは《亡くなった人の供養》の場なので、【お祝い】の要素はない方がいいんですよね。
なので、「お弁当が貧相だと失礼になるから」といって、豪華に【鯛】とか【伊勢海老】などの食材を使ったり、金箔を入れたり、紅白の組み合わせになっていたりと、『祝い』の要素が強いメニューはヤメておきましょう。
とはいえ、べつにお葬式ではないですから、そこまで気にしなくていいのかもしれませんけどね。
でも、たまに【マナーにうるさい親戚】とかいるじゃないですか。
そういう人に後からウダウダ言われると面倒なので、一応は【祝いの要素の強い食材は避ける】ように気をつけた方が無難です。
お弁当の値段の相場
最後に多くの人が気になっていることについて紹介します。
何といっても気になるのは、
お弁当の値段の相場
ですよね。
法事のときに渡す折詰弁当の相場は、
4,000円~7,000円(税込み)
くらいです。
僕としてもこのくらいの範囲で選んだ方がいいと思いますよ。
なぜなら、この金額以下だと明らかに【もの足りない】ですし、逆にこれ以上だと【豪華すぎて恐縮させる】ことになってしまうんですよね。
なので、折詰弁当を選ぶ際には、上記の範囲で注文するようにしましょう。
法事で渡すお弁当は【洋食】でもよい
法事の食事というのは懐石料理などの『和食』が基本です。
でも、和食より『洋食』が好きな人もいますよね、僕みたいに。
では、参列者に渡すお弁当は『洋食』じゃダメなんでしょうか?
僕は、
法事で渡すお弁当は【洋食】でもよい
と思いますよ。
先ほども言いましたように、法事で渡す『お弁当』には【参列者への振る舞い】の意味があります。
そして、最近では法事の食事として精進料理が選ばれることはほぼありません。
この2点を考えれば、べつに『和食』にこだわる必要がないと思いませんか?
参列者に喜んでもらえるお弁当を渡すことが大事なんですから、場合によっては『洋食』でもイイじゃないですか。
実際に、今まで僕が施主様からいただいたお弁当の中にも『洋食』の品がたくさん入っています。
だったら、お弁当の中身がいっそのこと全部『洋食』だっていいはずですよ。
日本の食文化が変わってきているのですから、法事のお弁当の内容も変えていかなくちゃ。
ということで、法事のお弁当は『和食』でも『洋食』でも、その辺は柔軟に考えて選んでOKですよ。
まとめ:法事の食事をしないなら【折詰弁当】を渡しましょう
以前は、法事の後に参列者みんなで食事をするのが一般的でした。
しかし、最近では食事をせず、代わりに『折詰弁当』を渡すことが多くなっています。
法事での『折詰弁当』はきっと今後も増え続けることでしょう。
僕はそれでいいと思っています。
だって、その方が施主にとっても参列者にとっても【ラク】ですから。
法事は【故人の供養をする】ものであって、【参列者で会食をすること】が目的ではありません。
でも、ただ単に「今回は食事をしません。」と伝えるだけじゃダメです。
法事の食事をしないなら『折詰弁当』を渡しましょう。
折詰弁当の内容を選ぶ際には、
- 長持ちする食材を使う
- 祝いの要素が強い食材は避ける
という配慮はお忘れなく。
また、折詰弁当の価格としては、
- 4,000円~7,000円(税込み)
が相場で、料理の内容もこれくらいの価格帯が丁度よいです。
今後はきっと、以前のように法事の時に『参列者みんなで集まって食事をする』という慣習は無くなるでしょう。
法事にふさわしい内容と量の折詰弁当を用意して、ちゃんと返礼品も一緒に渡していれば、参列者から文句を言われることもありません。
ですから、安心して、堂々と、法事の後には折詰弁当を渡してください。