「今年は父の◯回忌と母の◯回忌が重なるのですが、どうすればいいですか?」
法事をしようと思ったら、じつは他にも年回忌に該当する仏様がいたというのはよくある話。
一年のうちに何回も法事をするのは大変なので、複数の仏様を1回にまとめて供養をしても大丈夫ですよ。
複数の仏様を同時に供養することを、『併修(へいしゅう)』といって、ごく普通に行われることなので何の問題もありません。
この記事では、
- 併修の意味
- 併修の注意点
について解説しています。
もう何も迷うことなく安心して複数の仏様の供養ができるようになりますので最後まで読んでみてください。
法事で複数の仏様を同時に供養したい
あなたの家の仏壇には位牌がいくつ安置されていますか?
古くから代々続いている家ほど、位牌の数、つまり仏様の数も多いはずです。
そうなると、同じ年に複数の仏様の回忌が重なる、ということもあるでしょう。
そのような場合は、ちゃんと『個別に法事をする』のが正解です。
とはいえ、年に何回も法事をするのは大変で、正直なところ面倒ですよね。
本来なら個別に法事をするものではありますが、実際のところは『複数の仏様を同時に供養する』のが現実的な対応です。
というか、これは多くのお寺や霊園でも普通に行われていることなので安心してください。
複数の仏様を同時に供養することを『併修(へいしゅう)』といいます。
複数の仏様を併せて供養を修めるから『併修』というわけですね。
最近では身内だけで法事を行うケースも増えましたが、少し前までは親戚を数十人招くというのは普通でした。
法事をするというのは、施主はもちろん、参列する側も大変なんですよね。
施主としては、事前にいろんな準備をしなくてはならず、法要当日は気を遣いっぱなしで、費用だって結構かかります。
本音としては、身内だけで費用を抑えて気楽に法事をしたいけれど、親戚同士の付き合いがある以上そういうわけにもいかない。
一方で、法事に招かれた側も「正直、面倒くさいなぁ。」と思いながらも、親戚同士の付き合いがあるので、わざわざ仕事を休んで、しかも『御仏前』まで用意します。
法事というのは施主と参列者の両方にとって大変で、まぁまぁ疲れるイベントなんですよね。
なのに、それが年に何回もあったら…。
大変なことは1回で済ませてしまった方がいいですし、それに対して文句を言う人もいないでしょう。
でも、「自分たちの都合で法事を1回にまとめるなんて仏様に失礼ではないかな?」と心配になりますよね。
大丈夫、法事は1回にまとめてかまいません。
供養の方法よりも、仏様を供養しようという気持ちが重要です。
あなたには「年回忌にあたる仏様みんなを供養しよう」という気持ちがあります。
その気持ちさえあれば、仏様ごとに個別ではなく、1回にまとめて供養してもかまいませんよ。
もちろん、まとめて供養したからといって、それぞれの供養が手抜きになることもありません。
そこは私たちお坊さんにお任せください。
個別だろうが併修だろうが、お坊さんはそれぞれの仏様の供養はしっかりと行います。
複数の仏様の回忌が重なってしまう場合は、遠慮せず『併修』を選んで大丈夫です。
『違う年』に回忌を迎える仏様と併修する場合
回忌にあたる仏様が『同じ年』に複数いる場合は、併修をすればOKです。
では、『違う年』に年回忌を迎える仏様と併修することは可能なのでしょうか?
例えば、【今年は父の13回忌、そして来年は母の7回忌にあたる。2年連続で法事をするのではなく、今年の父の法事のときに、できれば母も一緒に供養をしたい。】みたいなパターンです。
結論を言うと、原則として、同じ年に回忌を迎える仏様なら併修はOK、違う年の仏様はNGです。
わずか1年違いのケースでも、年が違えば併修をしません。
とはいえ、実際のところ、僕がいる寺では、回忌を迎える年が違っても一緒に供養しています。
法事が続くと施主も親戚も大変です。
そうすると、施主も親戚もみんな「仕方ないから法事をする(参列をする)」みたいな気持ちになってしまうんですよね。
それじゃ、仏様が可哀想というか、非常に失礼です。
だったら、少し年が違うくらいであれば一緒に供養してあげた方がダンゼンいいと思います。
というわけで、僕がいる寺の場合は、回忌を迎える年が違う仏様同士でも、施主の要望があれば併修をしています。
ただし、一応の基準があって、
- 1年違いならOK。
- 2年以上違うならNG。
- 33回忌以降の仏様の併修は年数不問でOK。
としています。
これは僕がいる寺の基準であり、あなたとお付き合いのあるお寺がどのように考えているかは分かりません。
併修をしたいときには、
- 併修が可能なのか
- どのくらいの年の違いであれば可能なのか
を必ずお寺に確認をしてください。
ちなみに、もしも「法事をするのを忘れていた」という場合は、年が違うことなどは気にせず、遅れてでもかまわないので併修をしてあげてください。
年が違うという問題の以前に【遅れたから何もしない】という方がよほど仏様に対して失礼です。
併修をするときの注意点
併修をしても問題はありません。
ただし、併修はあくまで【特別措置】です。
併修をする場合には、以下のことに注意してください。
- 親戚には併修で執り行う旨を通知しておく
- お寺や霊園に併修が可能であるかを確認する
- 回忌にあたる仏様だけを併修にする
- 三回忌まではなるべく併修にしない
- 一番早く命日を迎える仏様を基準にして法事の日程を決める
- 仏様が複数になれば納めるお布施は多くなる
- 併修にする仏様全員分の塔婆を建てる
意外と注意点が多くて面倒に感じてしまうでしょうか。
でも、何回も法事をすることに比べればずっとラクですよ。
逆に言えば、これらの注意点さえ守れば堂々と併修ができるということです。
親戚には併修で執り行う旨を通知しておく
法事をするときは、基本的に親戚も招きます。
親戚に法事の案内を出すときは、文中で『併修で執り行う旨』を通知する方が無難です。
世の中には『本来のやり方』にものすごくこだわる人がいますが、そのような人があなたの親戚にもいたら厄介です。
当日になってから併修であることを伝えたら、やれ「どうして別々に供養しないんだ!」とか、やれ「事前に知らせるのが普通だろ!」みたいなことを言う人がいるんですよね。
だから、後になって文句を言われないよう「父の◯回忌と母の◯回忌を同日に行います」と、先に通知しておきましょう。
お寺や霊園に併修が可能であるかを確認する
法事に関して『本来のやり方』にこだわる人はいますが、それはお坊さんも同じです。
まぁ、お坊さんこそ『本来のやり方』にこだわるべきなのかもしれませんけどね…。
お坊さんによって考え方は違いますが、だいたいは併修を了承してもらえます。
しかし、お坊さんの中には「供養を1回にまとめるなんて、そんなの仏様に対して失礼だ!」と併修を認めない人もいます。
法事というのは『仏様の供養』を第一に考えるべきです。
だから、施主や参列者の都合で併修にするのは、『自分達の都合』を第一に考えてるように見えるかもしれません。
でも、年に何回も法事をしなきゃいけないと思ったら【供養をしようという気持ち】が少しずつ萎えちゃうんですよね。
そうなると仏様の供養をやめてしまう危険性があります。
仏様の供養を第一に考えるなら、施主や参列者の都合に配慮することも必要なわけです。
もちろん「施主の要求をすべて受け入れるべき」というわけではありませんよ。
でも、あまりに『本来のやり方』にこだわるお坊さんは、時代の流れに合わせることを考えた方がいいと思います。
もっと言えば、もしも併修を認めないようなお坊さんがいるお寺なら、いっそのこと霊園にお墓を移した方がいいです。
時代の変化に対応できないお寺に、明るい未来はありません。
一方で、霊園なら併修はもちろんのこと、いろんな希望を受け入れてくれる柔軟性があります。
そういう意味では、あえてお寺に併修を持ちかけて、それでどう対応するかで、そのお寺の質が判断できますね。
原則として、回忌にあたる仏様だけを併修にする
併修をするなら、「Aさんの7回忌と、Bさんの17回忌が同じ年だ」というように、回忌にあたる仏様だけを併修にするようにしましょう。
でも、回忌にあたらない仏様も一緒に供養したいケースもありますよね。
ここで、お坊さんによって考え方が異なります。
併修そのものは認めても、「回忌に該当しない仏様の併修は認めない」というお坊さんもいます。
このあたりは「併修そのものを認めない」というお坊さんとは違い、柔軟な考え方をした上で、そのお坊さんの【こだわり】の部分です。
ちなみに、僕の場合は、回忌にあたらない仏様がいても、それが1年くらいのズレなら、施主と参列者の都合を優先させて併修をします。
なので、原則として回忌にあたる仏様だけを併修にするようにして、回忌に該当しない仏様も併修したいときは、事前にお寺へ確認をしておきましょう。
三回忌まではなるべく併修にしない
併修をするときによく言われるのが、『三回忌まではなるべく併修にしない』というものです。
これは「亡くなってからあまり年数が経っていないから、ちゃんと単独で供養するべきだ。」という故人に対する敬意を表した考え方です。
また、三回忌は『阿弥陀如来(あみだにょらい)』様とご縁の深い回忌で、三回忌からは阿弥陀如来様が故人の面倒をみてくださいます。
だから、阿弥陀如来様に故人をお任せするまではしっかりと個別に供養してあげようということなのです。
とはいえ、「三回忌までは絶対に単独で供養をしなきゃダメだ!」というほどではありません。
やはり、施主と参列者の都合を優先させた方がいいですから、「三回忌まではなるべく併修にしない」くらいの意識でOKです。
一番早く命日を迎える仏様を基準にして法事の日程を決める
法事をするためには、まず日程を決めなきゃいけません。
法事の日程を決めるときには、故人の命日を過ぎないようにする、というのが基本です。
これをふまえた上で、法事は一般的に、
- 故人のちょうど命日
- 命日の直前の土日祝日
に行うことが多いです。
併修をしたい人の多くが「複数の仏様を供養するなら、誰の命日を基準にして日程を決めればいいのか。」ということで悩んでしまいますが、併修の日程の決め方は簡単です。
併修の場合は、【一番早く命日を迎える仏様】を基準にして法事の日程を決めるといいですよ。
例えば、命日が、3月、6月、12月の3人の仏様を供養する場合は、3月が命日の仏様を基準にして日程を組んでください。
回忌法要には、故人を導いてくれる仏様へ挨拶をする、という意味があります。
故人を導いてくれる仏様へご挨拶をしなきゃいけないのに、まさか遅れるわけにはいきませんよね。
反対に、挨拶が早いぶんには問題ありません。
だから、誰1人として遅れることのないように、一番早く命日を迎える仏様に合わせて日程を決める、ということなのです。
また、法事の日程を決めるときには、友引や仏滅などは無視しても大丈夫なので、施主や参列者の都合で決めてください。
仏様が複数になれば納めるお布施は多くなる
法事をすれば、供養をしてくれたお坊さんへ『お布施』を渡します。
そうなると、「供養する仏様の数が増えたら、お布施の金額も増えるのかな?」と心配になりますよね。
正解です、併修をする場合は納めるお布施が多くなると思ってください。
例えば、
- 仏様1人だけの供養料⇒5万円
- 仏様2人分の供養料合計⇒6万円〜8万円
みたいに、仏様の数が増えるほど供養料合計も増えていくと思った方がいいですよ。
場合によっては単純に、仏様が2人なら2倍、3人なら3倍になるかもしれません。
本来なら単独で供養すべきところを施主側の都合で一回にまとめるわけですから、お布施が仏様の数だけ2倍3倍となっても基本的には仕方ないことなんですよね。
とはいえ、お経や説法を2倍も3倍もやるかというと、そんなことはありません。
団体割引ではないですが、併修の場合は一人あたりのお布施が少し安くなるのが普通です。
でも、お布施に関してはお寺や霊園によってまったく違うのでハッキリしたことは言えません。
ちなみに、併修をする場合、仏様全員分のお布施を包む『のし袋』は1つにまとめて大丈夫です。
のし袋の書き方については、表面の上部には『御布施』と書き、下部には『氏名』または『〇〇家』と書いてください。
併修にする仏様全員の塔婆を建てる
法事をするときは、一般的に『塔婆(とうば)』を建てます。(※浄土真宗の場合は建てません。)
塔婆は、故人の供養において重要な意味があります。
しかも、塔婆を建てると、故人だけではなく建てた人にも大きなメリットがあるんです。
そのため、お坊さんの僕としては、法事をするなら塔婆を建てることを強くおすすめしています。
そうなると、併修の場合、塔婆はどのように建てるのがいいのでしょうか。
併修の場合は、併修にする仏様全員分の塔婆を建てることが望ましいですね。
例えば、併修する仏様が2名いるなら2名分の塔婆を建てる、ということです。
最低でも施主はそれぞれの仏様の塔婆を建てましょう。
まとめ:単独でも併修でも、ちゃんと故人の供養をすることに意味がある
同じ年に複数の仏様の回忌が重なってしまうのはよくあることです。
そんなときは『併修(へいしゅう)』という方法で、複数の仏様を同時に供養してあげてください。
これは多くの人がやっていることで、供養の面でも特に問題はありません。
ただし、併修をする場合には
- 親戚には併修で執り行う旨を通知しておく
- お寺や霊園に併修が可能であるかを確認する
- 年回忌にあたる仏様だけを併修にする
- 三回忌まではなるべく併修にしない
- 一番早く命日を迎える仏様を基準にして法事の日程を決める
- 仏様が複数になれば納めるお布施は多くなる
- 併修にする仏様全員分の塔婆を建てる
という点に注意しましょう。
個別でも併修でもかまいませんので、「仏様を供養したい」という気持ちを大切にしてください。
※法事で施主をする人は、こちらの記事をご参考にどうぞ。




