お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- 土日祝日は忙しいから、平日に法事をしたいなぁ。
- 平日に法事をしたらおかしいかな?
- 平日に法事をするメリットとデメリットは何?
法事の日程を決める時に、多くの人は、土日あるいは祝日を選んでいます。
これは、できるだけ多くの人に来てもらうためには、【みんなの仕事がお休みの日】に日程を組む必要があるからです。
しかし、もし参列者の都合がつくなら「平日に法事をしたい。」という人もいることでしょう。
あなたもそうですよね?
とはいうものの、ほとんどの法事は【土日や祝日】に行われているので、平日に法事をしてもよいのか迷ってしまうことでしょう。
安心してください、
平日に法事をしても全然おかしくない
ですから。
法事は平日に行なってもまったく問題はありません。
なんなら、平日の法事の方がメリットが多いんですよ。
だから、僕としては【平日の法事に賛成】なのです。
この記事を読むと、
- 平日に法事をするのは、全然おかしくないこと
- 平日に法事をすることのメリットとデメリット
が分かります。
最後まで読んでいただければ、安心して【平日の法事】ができるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
平日に法事をするのはおかしい?

あなたもよくご存じのように、
法事は、土日や祝日に行う
というのが一般的です。
でも、あなたとしては土日や祝日ではなくて、
平日に法事をしたい
わけですよね?
平日にしたいんだけど、あまりそういうケースがないだけに、
と心配になっているのでしょう。
安心してください、
平日に法事をするのは、まったくおかしくない
ですから。
まず、仏教的には法事をするタイミングについて何も決められていません。
だから、法事なんていつでもOK!
じゃあ、なぜみんな土日や祝日に法事をしているのでしょう?
それは、
多くの人に参列してもらいやすいから
です。
そうなんです、【故人のため】ではなくて、『参列する人の都合』を考えた結果なんですよね。
ということは、参列する人たちの都合がつくのなら【平日】でもまったく問題ないわけですよ。
だから、あなたが平日に法事をしたいと思っているのなら、『平日でも参列者の都合がつくのかどうか』だけを考えればいいんです。
それさえクリアできれば、平日に法事をしても大丈夫。
お坊さんの僕が言ってはダメかもしれませんが、平日に法事をしたいなら『法事に招く人を減らす』ようにしちゃえばいいんですよ。
そしたら平日でも都合がつけやすいし、言い方は悪いですが【本当に故人の供養をしたい人】だけが来てくれます。
あなただって、親戚とかに【義理】とか【仕方なく】とかで参列してもらっても嬉しくないでしょ?
それに、参列の人数が減れば、法事の準備もいろいろとラクになります。
施主は法事の当日だけではなく、事前の準備がけっこう大変なんですよ。
だから、本当に故人の供養をしたい人だけを招いて、平日に少人数で法事をすれば、あなたの負担はかなり減るはず。
だから僕は、平日の法事には賛成です。
【関連記事】:法事の当日までに施主が準備するべきことを詳しく紹介します。
平日に法事をするメリット

僕が『平日の法事』に賛成するのは、それなりにメリットがあるからです。
パッと思いつくだけでも、
- 希望通りの日時で予約を取りやすい
- ちょうど祥月命日に法事ができる
- 参列者を絞ることができる
- 他の家の法事と重ならない
- 食事場所の予約が取りやすい
といったメリットがあります。
では、順番に解説していきますね。
希望通りの日時で予約を取りやすい
法事をする時に1番最初に決めなきゃいけないのは、
『法事の日時』
です。
多くの人は法事の日時を、
土日や祝日で、なおかつ【お昼前】くらいの時間帯
に予約しようとします。
土日や祝日で、なおかつ【お昼前】くらいの時間帯というのは、ものすごく【人気】なのですが、これは仕方のないことなんですよね。
だって、できるだけ多くの人に来てもらえて、なおかつ法要をした後の食事のことも考えるとなれば、どうしても同じような日時に予約が集中してしまうんです。
だから、法事をすると決めたら、遅くても2か月くらい前には予約しておかないと、希望の日時で予約がとれないんです。
でも、平日であれば、お寺や霊園、そして式場も法事の予約がほとんど入りません。
つまり、そんなに前もってではなくても、
あなたの希望どおりの日時で予約を取りやすい
のです。
ちなみに、あなたの自宅で法事をするのはヤメた方がいいですよ。
法事をするなら、あなたの自宅よりも、できればお寺で行うのが総合的に考えてもベストなのです。
その理由については『法事をするなら自宅よりお寺がおすすめ!それぞれのメリットとデメリットを解説』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。
ちょうど祥月命日に法事ができる
法事というのは、基本的に、
故人の祥月命日に行うもの
です。
でも、参列者の都合によっては必ずしも【故人の祥月命日】に法事ができるとは限りません。
というか、高確率でそんなことは無理。
じつは、祥月命日に法事をするのはとても重要なことなんですよ。
なぜなら、回忌にあたる祥月命日に『故人を守る仏様が入れ替わる』からです。
亡くなった人はあの世で常に仏様から守られています。
そして、故人を守ってくれる仏様は、回忌を迎えるたびに他の仏様に入れ替わると言われているんです。
ですから、法事の時には、これから故人を守ってくださる仏様に対して「よろしくお願いします。」と挨拶もしているのです。
だから、可能な限り、仏様の入れ替わりのタイミングとなる【故人の祥月命日】に法事をするべきなんですよ。
ちなみに、法事については、『法事をする必要性と意味。法事の注意点も合わせて解説します。』の記事で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
でも、【故人の祥月命日】がちょうど土日や祝日にあたること自体が少ないですし、しかもその日で予約が取れるとも限りません。
だから、ほとんど人は『故人の命日に近い土日や祝日』に法事をしているのが現状なんですよね。
しかし、これが『平日』だったら狙った日時で法事の予約を取りやすいです。
つまり、
ちょうど祥月命日に法事ができる
ようになるのです。
お坊さんという立場で言えば、この【故人の祥月命日】に法事ができるというのは、法事のおける最大のメリットだと思いますよ。
参列者を絞ることができる
あなたは、親戚との付き合いを『面倒くさい』と思ったことはありませんか?
僕は正直なところ「メチャクチャ面倒くせぇなっ!」と思っています。
もちろん親戚の全員が面倒くさいわけじゃありません。
面倒くさいのは、ほんの一部の親戚だけです。
そんな面倒くさい親戚を法事に招かない方法の1つが、【平日に法事をする】ということです。
平日だと仕事をしている人が多いので、法事に参列できなくなります。
だから、何らかの理由をつけて平日に法事をすることで、
ある程度は参列者を絞ることができる
のです。
ただ、これだと【ぜひ来てもらいたい人】にも来てもらえない場合がありますし、面倒くさい親戚がすでに仕事をリタイアしていたら意味がないんですけどね。
まぁ、【親戚は呼ばず、とにかく身内だけでやりたい】という場合は、わざと平日に法事をするのが有効であることを覚えておいてください。
【関連記事】:法事は身内だけでやりたい!親戚を呼ばないで法事をする時の注意点
他の家の法事と重ならない
お寺や霊園というのは、とにかく平日はヒマなんですよね。
平日に法事をしようという人はまだまだ少ないですからね。
だから、平日に法事を予約したら、その日はおそらく、
他の家の法事と重ならない
でしょうね。
他の家の法事と重ならないというのはイイですよ。
だって、駐車場だって広々と使えますし、話し声やトイレなどで他の家の人たちに気を遣わなくてもいい。
これが土日や祝日だったらそうはいきませんから。
さらに、【友引】や【仏滅】であれば更に重ならないですね。
特に【友引】は『法事には適さない日』だと多くの人が思っているんですよ。
お葬式の場合は【友引】を避けますが、法事の方はまったく気にしなくていいんですけどね。
このあたりの話は『法事の日取りは友引や仏滅でもいいの?法事には六曜を考えるべき?』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。
さらにもう1つ。
他の家の法事がないので、万が一あなたが遅刻してしまっても、さほど文句は言われません。
しかも、時間に余裕があれば、それだけお寺や霊園側のミスも減ります。
他の家の法事と重ならないことで、みんなに余裕が生まれるのです。
食事場所の予約が取りやすい
法事の後には【参列者みんなで食事をする】という人も多いです。
そして、法事の時は『普段は行かないような少し高級なお店』で食事をする人がほとんどなんですよ。
ちなみに、法事の後には【懐石料理】を食べることが多いですかね。
それで、そのようなお店って平日はお客さんが少ないんです。
少し高級なお店には家族そろって行く傾向にあるので、土日や祝日にはお客さんが多くなるんですよね。
だから、法事の後に食事をするなら、平日の方が、
食事場所の予約が取りやすい
のです。
しかも、料理の値段は変わらないのに、お店が空いている分だけ店員さんのサービスがよくなります。
なので、法事の後に食事をする予定なら平日にやった方がいいですね。
平日に法事をするデメリット

ご紹介をしてきましたように、平日に法事をするとメリットがたくさんあります。
でも、当然ながらメリットばかりではなく、それなりにデメリットもあります。
デメリットとしては、
- 参列者が限定される
- お寺から断られる可能性がある
- 道路や公共交通機関が混雑する
などが挙げられます。
ここからは平日に法事をすることのデメリットについて解説していきます。
参列者が限定される
さきほど、平日に法事をするメリットのところで紹介した『参列者を絞ることができる』ということが、逆にデメリットになってしまうことがあります。
つまり、平日に法事をすることで、
参列者が限定される
ということです。
当たり前ですが、平日には多くの人が【仕事】をしていますし、学生であれば学校に行っています。
もちろん、仕事や学校を休んで法事に参列することは可能ですけど、参列する方からすれば、できればそれはしたくないですよね?
また、仕事であれば【どうしてもその日は休めない】ということもあるかもしれません。
なので、平日に法事をすると、
来てほしい人に来てもらえない
というリスクがあるんですよね。
あと、もしかすると、
親戚に文句を言われる
という可能性があります。
あなたは招くつもりがなくても、その親戚の人は法事に参列するつもりかもしれませんよ。
そうなると、「なんで声をかけてくれないんだ!」と文句を言われる可能性もあるので、そこは覚悟しなくてはいけません。
道路や公共交通機関が混雑する
平日の法事には地味なデメリットがあります。
それは、
道路や公共交通機関が混雑する
ということです。
基本的に人の移動は【平日】の方が多いのです。
となれば、平日の方が道は混雑しますし、電車やバスも混みやすいです。
法事というのは基本的に午前中が多いんですよね。
そうすると、もしも車で長距離を移動する場合は少し早めに家を出なくてはならず、それで通勤時間と重なってしまうことがあるのです。
法事に遅れてくる人はけっこういますが、大半がこの【道が混んでいて間に合わない】という理由ですね。
ただ、最近ではリモートワークも普及し始めているので、以前に比べると少しだけ道路の混雑は減ってはいると思います。
お寺から断られる可能性がある
最後に、平日の法事には意外な盲点となるデメリットがあるんです。
それは、
お寺から断られる可能性がある
ということです。
あなたは、【お寺にはいつもお坊さんがいる】と思っていませんか?
それは違いますよ。
お坊さんの多くは『お坊さん以外の仕事』もしているんです。
そうしないと生活ができないんです、だってお寺の収入だけじゃぜんぜん足りないから。
ですから、お坊さんをしながら【平日は他の仕事をしている】ので、平日はお寺にいないことが多いわけです。
となれば、あなたが平日に法事を予約しようとしても断られてしまう可能性が高いのです。
これを聞いて、もしかすると、
って思ったかもしれません。
そうですね、たしかにそれは正論です。
正論なんですが、現実的ではありません。
お寺を維持するにはたくさんのお金が必要です。
信者さんから頂いたお布施のほとんどは、維持費のために貯めておかなきゃいけません。
となると、お坊さんがお寺からもらえるお金なんてほんのわずか。
かといって、信者さんに対して『高額なお布施』を要求することなんかできません。
だから、他の仕事をしなきゃいけないんですよね。
もし平日の法事を断られたら、きっとそのような事情でしょうから、その時はどうかご容赦くださいませ。
まとめ:平日に法事をしても全然おかしくない
法事は一般的に、土日や祝日に行われることがほとんどです。
でも、参列者の都合がつくなら、
平日に法事をしても全然おかしくない
ですよ。
とりあえず、平日に法事をすることは仏教的に何の問題もありませんので安心してください。
そして、平日の法事には、
- 希望通りの日時で予約を取りやすい
- ちょうど祥月命日に法事ができる
- 参列者を絞ることができる
- 他の家の法事と重ならない
- 食事場所の予約が取りやすい
といったメリットがあります。
これだけのメリットがあるので、【平日の法事】を検討してもよいのではないでしょうか。
ただし、一方で、
- 参列者が限定される
- 道路や公共交通機関が混雑する
- お寺から断られる可能性がある
というデメリットもありますので注意してください。
法事は、土日祝日でも平日でも、法要中にやることはまったく同じです。
これまでの法事が土日祝日に多かったのは『参列者の都合』を考えた結果です。
つまり、身内だけなど少人数でみんなの都合がつけば、べつに平日でもかまわないんです。
あとは、あなたが【どのくらいの範囲まで人を招くのか】を考えて、それに応じて『土日祝日にするのか平日にするのか』を決めるだけです。
この記事で書いてきたような『平日の法事のメリットとデメリット』をよく考えてから日程を決めてくださいね。