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法事の疑問

法事は身内だけでやりたい!親戚を呼ばないで法事をするときの注意点

「ご遠慮ください」というテキストの背景で正座をしている木製の人形

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いた記事です
  • 法事はとにかくお金をかけず簡単にすませたい!
  • 親戚を呼ぶと何かと面倒だから身内だけで気楽に法事をしたい。
  • 【親戚を呼ぶ法事】と【身内だけの法事】には何か違いがあるの?
  • 身内だけで法事をやるときの注意点が知りたい。

法事をするというのは遺族にとって大変なことです。

事前の準備ではやることがたくさんあり、当日も参列してくれた親戚にいろいろと気を遣うので、家に帰る頃にはヘトヘトになっています。

ですから、

法事は身内だけで簡単にすませたいなぁ・・・。

と思う人がメチャクチャ多いんですよね。

安心してください、法事は親戚を呼ばずに身内だけでもOKです!

法事には【絶対に親戚が参列するべき】なんていう決まりはないので、どうぞ身内だけで法事をしてください。

未熟僧
未熟僧
ただし、身内だけの法事には注意点もありますよ。

この記事では、

  • 身内だけで法事をしてもよい理由
  • 身内だけの法事とはどのようなものか
  • 身内だけで法事をするときの注意点

について詳しく書いています。

余計な気を使わずに【故人の供養】だけを考えた『良い法事』ができるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

法事は親戚を呼ばなくてもできる!

右手でOKサインをしている中年女性

法事といえば、故人の家族や親戚みんなで法要や食事をするものというイメージがありますよね?

でも、じつは多くの人が、

親戚を呼ぶといろいろ大変だし、法事は身内だけじゃダメなのかな?

と思っています。

大丈夫、親戚を呼ばずに身内だけで法事をやっても問題はないですよ、なんなら『参列者が1人だけ』でも法事はできます。

実際、僕は参列者が一人だけという法事を何回もやったことがありますし、法事は【参列者の数】が重要なのではありません。

重要なのは、心から【故人を供養したい】と思っている人がその場にいることであり、親戚同士の付き合いのために義理で参列するものではないんです。

故人だって「いや、べつにそんな無理して参列なんてせんでもエエから・・・」って思うんじゃないですかね?

あなたは『故人の冥福を心から願ってくれる人』だけを法事に招けばいいのです。

そのような人は絞られてくるはずで、

  1. 故人の家族
  2. 故人の親
  3. 故人の兄弟(姉妹)
  4. 故人の子ども
  5. 故人の孫

といった人たちくらいでしょう。

これらの人たち以外は、法事に参列することをおそらく「ちょっと面倒くさいなぁ」と思っていますよ。

僕は20年以上お坊さんをしてきて感じていますが、ハッキリ言って故人のことを本当に偲んでいるのは【身内だけ】なんですよね。

未熟僧
未熟僧
気分を害されたらすみません。でもこれが現実です。

しかし、これは仕方のないことなのかもしれません。

法事に呼ばれた側だって、そのために忙しい中で予定を空けて、長い道のりを移動して、さらには《御仏前》まで置いてこなきゃいけないんです。

よほど故人に対する思い入れがないと、法事に呼ばれても『面倒くさい』と思ってしまう気持ちも理解できます。

もちろん、そんなこと誰も口にはしませんよ、でも、それが自然な心理かと。

だったら、最初から身内だけを集めて【心から故人の冥福を願っている人】だけで法事をすればよいと思います。

お坊さんという立場でありながら、なぜ僕がこんなことを言うのか。

その理由は、親戚に気を遣いすぎて施主や遺族が【故人の供養】に集中できていないからなんですよ。

故人にとっては、身近な存在である【施主】や【遺族】が心を込めて供養してくれるのが一番嬉しいはず。

それなのに、法事の当日になると、施主や遺族は故人ではなく『法事に参列してくれた親戚』にばかり意識を向けることになってしまうんですよね。

特に施主となる人は、

  • みんな遅刻しないで来てくれるかな?
  • 返礼品はちゃんと人数分あるかな?
  • 料理もちゃんと人数分あるかな?
  • みんなから受け取った『御仏前』を無くさないようにしなきゃ
  • お寺に頼んでおいた塔婆は、まさか名前を間違えてないよね?

みたいなカンジで、ろくに【故人の供養】に意識が行かなくなるんです。

せっかく故人のために法事をしているのに、【故人の供養】に集中できなければ本末転倒。

ならば、いっそのこと法事には親戚を呼ばない方がいい。

参列者の人数が少なければ、施主にとっては体力的にも金銭的にもラクです。

親戚を呼ばずに身内だけで法事をすることは、あなたと親戚のお互いにとって都合がいいことなんです。

ですから、もしも身内だけで法事をしたいなら、無理に親戚を招く必要はありません。

また、本当に故人のことを供養したいと思ってくれている親戚がいても、その人が高齢である場合や、住まいが遠く離れている場合は、参列をご遠慮いただいた方がいいでしょう。

気持ちだけをありがたく受け取って、無理をさせないようにしましょう。

その代わりに、法事が終わったら、後で法事のときの様子などを詳しく報告してあげてくださいね。

【身内だけでの法事】に関してよくある勘違い

「勘違い!?」というテキストの下にある木製人形

身内だけの法事となると、人数が少ないからでしょうか、『本来のやり方ではなく省略したやり方をする』みたいに思う人がいます。

そのような人はいくつか勘違いをしていることがあります。

それは、

  1. 法要が略式になる
  2. お寺の本堂は使えない
  3. 服装は【喪服】でなくてもいい

というものです。

法要が略式になる

まず一つ目の勘違い。

法事に参列する人数が少ないということで、法要が略式になると思っている人がいます。

人数が少なければ、それだけ法要の時間が短くなって、本来よりも省略された供養になるだろうと思うわけですね。

でも、決してそんなことはありませんからね。

参列者の数に関わらず『法要の内容』は同じですよ。

ただし、参列者が大勢いると【お焼香】に時間がかかるため、それで法要時間が延びることはありますけどね。

お焼香に時間がかかりそうな場合、お坊さんはお経を追加して意図的に法要時間を延ばしています。

ですから、故人の供養において無理矢理にお経を追加することはあっても『省略する』ことはありません。

ですから、納めてもらう『お布施』も参列者数の多少に関係なく同じです。

だから、もしかして「人数が少なければ法要が略式になって、お布施も少なくてすむかも♪」なんて思っていたなら、それは無いのでご了承ください。

【関連記事】:【お坊さんが伝授】高すぎるお布施を値切る方法。値引き交渉のコツと注意点を紹介

お寺の本堂は使えない

勘違いの二つ目です。

法事に参列する人数が少なければお寺の本堂は使えないと思っている人がいます。

安心してください、そんなことはありませんので。

お寺の本堂は、人数が少なくても使えます。

先ほども言いましたように、参列者の人数の多少に関係なく同じお布施で同じ供養を行いますので、当然ながら本堂も同じように使います。

また、故人の供養は『お寺の本堂』で執り行うのが理想的なんですよね。

ですから、人数に関係なく、故人の供養のときにはできるだけ『お寺の本堂』で行うことをおすすめします。

服装は【喪服】でなくてもいい

最後に、勘違いの三つ目です。

法事に参列する人数が少ないということで、服装は【喪服】でなくてもいいと思っている人がいます。

しかし、仏事では【喪服】を着用するのが基本です。

参列者が1人でも100人でも何も変わりません、法事は【仏事】ですから基本的には喪服を着用するようにしてください。

喪服の着用に関しては、たまに【故人が亡くなってからの年数】で決めている人がいるんです。

以前に、13回忌の法事で「故人が亡くなってから12年が経っているし、もう喪服じゃなくてもいいよね。」と普段着で来た人がいました。

たしかに、法事は『お葬式』ほどたくさんの決まり事やマナーはないですが、それでも故人を供養する【仏事】であることに変わりはありません。

やむを得ない事情でもない限り、法事では喪服の着用をするようにしてください。

【関連記事】:法事の服装で悩む人が続出!喪服と平服のどちらを着るべきか。

身内だけで法事を行うときの注意点

「注意!!」と書かれた紙を示している指さし棒

法事は身内だけでもできますが、それにはいくつかの注意点がありますので紹介します。

お寺や霊園にも身内だけであることを伝えておく

まずは、身内だけの法事をしたいなら、その旨をお寺や霊園に必ず伝えておくようにしてください。

そして、具体的な参列者数も伝えておくとさらにいいですよ。

人数が少なくても法要の内容は変わりませんが、お寺や霊園としては【来客者を迎えるための準備】が必要なんです。

控室のお茶、本堂のイスや座布団など、いろんなものを来客数に合わせて準備をしていますので、事前に人数を知っておきたいんです。

そして、当日になって「じつは人数に変更がありまして・・・。」というのはできればヤメてほしいんですよね。

もしも人数に変更があっても【人数が減る】という場合ならまだいいのです、ただ数を減らせばいいだけですからね。

逆に予定よりも【人数が増える】という場合、お寺や霊園としては正直なところ「何やねん、せめて朝に電話の一本くらいよこさんかい!!!」って思います。

何でもそうですが、『事前に連絡をしておく』という配慮は必要ですよね。

親戚には身内だけで済ませる旨の案内を出す

法事を身内だけでやろうと決めたら、とりあえず親戚には身内だけで済ませる旨の案内を事前に出すということはしておいた方が無難です。

どうしても事後報告にしたい場合は、たぶん親戚から文句を言われると思いますが、それでもかまいません。

とにかく【何の通知もしない】というのは親戚とのトラブルを招く原因となってしまいます。

中には、本当は来る気もないくせに「え〜っ、何で呼んでくれなかったんだよ〜。」とかいう面倒くさい人もいますが、カタチだけでも【法事を身内のみで行う】旨を知らせてあげてください。

後日に個人的に訪問してくる場合もある

親戚に対してちゃんと事前に【身内だけで法事を行う】ことを通知したとしても、後日に個人的に訪問してくる場合もあるので、その辺は覚悟しておきましょう。

すでにお気づきかもしれませんが、僕は【親戚付き合い】が得意ではありません。

なんなら、『親戚関係=面倒な関係』くらいに思っています。

ですから、「親戚側は法事に呼ばれなくてホッとしています。」なんて言っていますが、みんながそうではないことはわかっています。

あなたの親戚の中には『ちゃんと法事に参列するつもりでいた』という人もいるはずで、そのような人は後日に個人的に訪問してくる可能性があります。

わざわざ個人的に訪問してくるような人は、本当に故人の冥福を願っているのだと思います。

だったら、もしも可能であれば、次回の法事には一声かけておいた方がいいかもしれませんね。

故人とごく近い関係でも【御仏前】は包む

あなたは法事に参列するときに【御仏前】を包んでいきますよね?

それは、故人がごく近い関係である場合も同じです。

身内だからわざわざ包まなくてもよいと思うかもしれませんが、基本的には故人とごく近い関係でも【御仏前】は包むものです。

また、法事で包んでもらう御仏前は、法要後の食事の有無によって金額が変わります。

参考のためにそれぞれのケースごとの『御仏前の金額』の相場を紹介します。

『法要後の会食をしない場合』の御仏前の金額

最近では、親戚を呼ばずに法事をする人が増えていますので、それにともなって法要後に食事をしないケースも増えています。

食事がなければ、それだけ包む御仏前の金額は少なくなります。

法要後の食事がない場合は、

  • 故人との関係が【親・子・兄弟】なら、1万円~2万円
  • 故人との関係が【おじ・おば・孫】なら、5千円=1万円

くらいが御仏前の相場です。

『法要後の食事がある場合』の御仏前の金額

法事というのは、一般的に《法要》と《食事》がセットです。

食事をしないという選択もありますが、参列者が身内だけでも一応は【従来のやり方】で食事をしたいという人もいます。

食事があるということは、それだけ施主の金銭的負担が多くなるため、参列する側としては、自分に振る舞われる食事代を考えて、御仏前の金額も多めに包みます。

法要後の食事がある場合は、

  • 故人との関係が【親・子・兄弟】なら、2万円~5万円
  • 故人との関係が【おじ・おば・孫】なら、1万円~3万円

くらいが御仏前の相場です。

まとめ:法事は親戚を呼ばすに身内だけでもできる

法事をしようと思っても、ついつい【おっくう】になることがありますよね。

その理由は、事前準備が大変なこともありますが、参列してくれた親戚に気を使うからという人が多いです。

ならば、いっそのこと親戚の人に参列をご遠慮いただくというのもアリです。

極端ですが、法事は施主一人だけでも成立します。

親戚を呼んで気疲れしながら故人の供養をするよりも、身内だけで気分良く供養をした方がいいです。

それに、親戚側だって、正直なところ「法事に参列するのは少し面倒くさい」と思っています。

きっと、「家族だけで執り行います」って言われたら内心はホッとしてますよ。

法事というものは、参列者が【身内だけの場合】でも【たくさん親戚がいる場合】のどちらでもやることは同じです。

ですから、

  • 身内だけだと、法要が略式になる
  • 身内だけだと、お寺の本堂が使えない
  • 身内だけだと、喪服は着なくてもいい

ということはありません。

違うのは【人数が少ない】ということだけ。

法事は人数が多ければいいというものではないので、本当に故人を供養したいと思っている人だけが参列すればいいんです。

本当に故人の供養をしたいと考えている身内の人だけで、こころを込めて法事をしてあげてください。

※法事で施主をする人はコチラの記事を参考にしてみてください。

法事の当日までに施主が準備するべきことを詳しく紹介します。