お仏壇

位牌分けのやり方や費用についてお坊さんが詳しく解説!

お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

この記事はこんな人に向けて書いています
  • 『位牌分け』って何なの?
  • 『位牌分け』はあまり良くないことなのかな?
  • 『位牌分け』って何をすればいいんだろう?
  • 『位牌分け』にかかる費用ってどれくらい?

20年以上お坊さんをしていると、信者さんからいろんな質問を受けます。

その中でもお葬式の後によく受ける質問が、【故人の位牌を複数作ること】についてです。

つまり、

『位牌分け(いはいわけ)』

に関する質問です。

具体的に言うと、『位牌分けのやり方』についての質問が多いですね。

位牌分けは、手順そのものはべつにそんなに難しいことはないですよ。

位牌分けでやることは、

  1. 位牌を必要な数(兄弟姉妹の人数分など)だけ作製する
  2. お坊さんに依頼して、全部の位牌に『位牌開眼供養(かいげんくよう)』をしてもらう
  3. それぞれの自宅に持ち帰り、毎日ちゃんと手を合わせる

だけです。

この記事を読めば、位牌分けに関する考え方や手順が分かるので、迷うことなくスムーズに位牌分けをすることができます。

お坊さんの立場として書いていますが、できるだけわかりやすく解説していますので、ぜひ一度読んでみてください。

ちなみに、浄土真宗の場合は『位牌』そのものを必要としません。

ですから、もしもあなたが浄土真宗の信徒である場合、この記事を読む必要はありません。

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位牌分けとは何?どんな意味があるの?

人が亡くなると、故人のお戒名などが記された『位牌』を作ります。

そして、基本的に位牌を守っていくのは1人です。

その1人のことを、『祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)』といいます。

この『祭祀承継者』は、位牌はもちろん【お墓】や【仏壇】も守っていく立場なんですよね。

だから、仮に故人に子供が複数人いて、長男が『祭祀承継者』となった場合、他の兄弟姉妹はそれらを守ることはしません。

しかし、長男以外の兄弟姉妹にとっても故人が自分の親なわけですから、「自分の家にも親の位牌を置きたい」と思うことだって当然あるんですよね。

そこで、祭祀承継者以外の兄弟姉妹のために故人の位牌を複数作りそれぞれの家で安置するという方法が生まれました。

これを、

『位牌分け』

といいます。

こうすれば、祭祀承継者だけでなく他の兄弟姉妹もそれぞれの自宅で自分の親の位牌に手を合わせることができます。

ですから、地域によっては、この『位牌分け』が慣習となっているところもあります。

しかし、そのような地域に住んでいない人にとっては、

「同じ人の位牌を何個も作るなんて、そんなことをして大丈夫なのかな?」

と心配になることもあるでしょうね。

ご安心ください、位牌分けをすることは何の問題もないですから。

あなたは『分骨(ぶんこつ)』というのをご存じでしょうか?

分骨とは、字のごとく【故人の遺骨を分ける】ことです。

分骨に関する詳しいことは、『分骨は良くないの?分骨した後はどうするの?親の遺骨を分けて自宅に置きたい人は必見です!』の記事をご覧ください。

分骨については、『故人の体をバラバラにしてしまうようなもの』という理由で、あまり良くないことだと言う人もいます。

しかし、分骨は昔から行われている供養方法ですし、そもそも仏教を開かれたお釈迦様の遺骨を弟子達で分けていたんですよね。

それに、遺骨を分けることは法的にも全く問題ありません。

だから、たとえ2つとない故人の遺骨を分けるようなことでも普通にやっているのです。

分骨という方法があるように、位牌を分ける『位牌分け』という方法があっても何も問題はないわけです。

しかも位牌は、遺骨と違っていくつでも分けることが可能です。

ですから、位牌分けをすること自体はまったく問題ないのです。

また、兄弟姉妹で宗派が違っても位牌分けは可能ですよ。

仏教のどの宗派にも【位牌分けに関する決まり】なんてありませんので。

位牌分けをすることの意味

位牌分けをすることは特に問題はありません。

でも、位牌分けをする前に、

  • そもそも、なぜ位牌分けをするのか?

ということを考えた方がいいです。

位牌分けをするのは、

  1. いつでも故人を身近に感じて手を合わせたい
  2. 継承者の家やお墓まで遠い

といった理由からです。

お坊さんの立場としては、①番の『いつでも故人を身近に感じて、手を合わせたい』の部分を大切にしてもらいたいです。

位牌分けは、このためにするんですからね。

祭祀承継者だけでなくて、「ぜひとも自分も故人のために手を合わせたい」と思うからこそ位牌分けをするんです。

兄弟姉妹で【ただ位牌を分けるだけ】のために位牌分けをするのなら、そんなことしても何の意味もないですし、無駄だからヤメましょう。

だから、

位牌分けをするからには、毎日ちゃんと位牌に手を合わせる

ことが必須ですよ。

これができないのなら、位牌分けなんかしちゃダメ。

位牌はとても大事なものなんです。

位牌は『故人の魂が宿るモノ』であり『故人へ直接メッセージを伝えられるモノ』です。

つまり、位牌分けをしたら、それぞれの位牌に故人の魂が宿り、それぞれの位牌から故人に向けていろんなメッセージを届けることができるんです。

だから、位牌を置くからには『毎日ちゃんと手を合わせる』ってことをしなきゃダメなんです。

位牌分けは、そういう気持ちがある人だけがするものです。

決して『ただの慣習』とか『親戚に対する体裁』みたいな【くだらない理由】で位牌を作らないでくださいね。

【関連記事】:位牌とは何なの?位牌の意味や必要性をお坊さんが解説します。

分けた位牌を【夫側の仏壇】に安置する時は要注意!

どんなに『故人を想う気持ち』があるとしても、位牌分けをする時には注意すべきことがあります。

これは、主に『女性』の注意点です。

現在の日本では、女性が結婚をしたら多くの場合は【夫側(嫁ぎ先)の姓】を名乗ります。

そして、もしも夫が『祭祀承継者』であれば、仏壇と位牌を守る立場にあるわけです。

そこへ、妻が【位牌分けをした自分の親の位牌】を勝手に夫側の仏壇に安置するとトラブルになるかもしれません。

もちろん、結婚をしたんですから、夫側の仏壇に妻の親の位牌を安置すること自体は特に問題はありませんよ。

でも、【勝手に】はマズイでしょうね。

もともとは【夫側の家の仏壇】なので、そこへ妻側の仏様の位牌を置くとなると、ちゃんと了承を得ておく方が無難です。

夫や義父母はもちろんのこと、夫側の【口やかましい親戚】の了承くらいは得ておいた方が後々のトラブルがなくなります。

どこの家にも『面倒くさい親戚』ってのはいるもんです。

とりあえず、面倒くさい人からカタをつけてしまいましょう。

それが終われば、後はもう堂々と夫側の仏壇に位牌を安置してあげてください。

未婚者には位牌分けをしない?

位牌分けには私がイマイチ納得できない『謎の条件』があるんですよ。

それは、

  • 未婚者には位牌分けをしない

というものです。

コレ、何でなん?

だって、同じ【兄弟姉妹】やろ?

みんな同じ【故人の子供】なんやで?

既婚と未婚で、何がそんなに違うねん!?

どうやらですね、

  • 位牌というものは『代々にわたり大事に守り続けていくもの』であり、未婚者だと後を継ぐ人がいないから、位牌を持つ資格がない。

と、こういう理由らしいですわ。

あぁ、なるほど、そういうことか・・・って、

アホか!!!!

位牌というのは『代々にわたり守り続けること』が大事なのではない。

そうじゃなくて、先ほど説明したような【位牌を祀ることの意味】をしっかり理解をして、『故人を偲んで心を込めて手を合わせる』ことが位牌を祀る上で一番大事なわけですよ。

だから、それは既婚だろうが未婚だろうが一切関係ない。

位牌は、『故人を偲んで心を込めて手を合わせたい』という人に分けるべき。

そして、それは一人だけである必要はまったくない。

故人だって、位牌を通じて自分の子供全員からのメッセージを受け取りたいと思うはず。

べつに位牌を受け継ぐ人がいなくたっていいじゃないの。

故人のことを大切に思って手を合わせる人がいるのなら、そこに位牌があることはすごく当然のこと。

『受け継ぐ事』の方を重視するなんて、まったくの無意味です。

ということで、お坊さんとして言わせていただくと、

『未婚者にも位牌を分けるべし!』

となります。

位牌分けをするタイミング

兄弟姉妹で話し合って、位牌分けをすることが決まりました。

では、その位牌分けはいつやればいいのでしょうか?

位牌分けをするタイミングとしては、

49日忌

がいいですよ。

49日忌であれば、位牌を作製するまでの日数にも余裕がありますので、どんな位牌を作るかをじっくりと考えることができます。

それと、後ほど解説しますが、位牌を作ったら必ずお坊さんに供養をしてもらう必要があります。

そして、多くの場合、新しく作った位牌は49日忌法要のときに一緒に供養をしてもらいます。

あっ、べつに49日忌のとき以外でも位牌分けをしてかまいませんよ。

ただ、そのためだけに再度お坊さんに依頼をしなきゃいけませんし、位牌を受け取るために兄弟姉妹がもう一度集まる必要があるので面倒ではあります。

位牌分けの手順

ここからは、位牌分けの手順について解説していきます。

位牌分けをする手順は、

  1. 位牌を必要な数(兄弟姉妹の人数分など)だけ作製する
  2. お付き合いのあるお坊さんに依頼して、全部の位牌に『位牌開眼供養(かいげんくよう)』をしてもらう
  3. それぞれの自宅に持ち帰り、毎日ちゃんと手を合わせる

この3つだけです。

位牌を必要な数(兄弟姉妹の人数分など)だけ作製する

まずは、位牌分けに必要な数だけ位牌を作製します。

位牌は、仏具店に依頼して作ってもらいます。

仏具店であれば、位牌だけではなく、仏壇や数珠などあらゆる仏具が販売されていますよ。

依頼する仏具店は、あなたのお住いの最寄にある仏具店でもいいですし、あるいは、葬儀社から仏具店を紹介してもらうこともできます。

最近では、インターネットでも位牌作製の注文ができるようになりましたので、忙しくて時間がない場合は便利だと思いますよ。

位牌を作製する時には、故人の、

  • お戒名
  • 故人の氏名
  • 死亡年月日
  • 故人の年齢
  • 宗派

を仏具店に伝えておきます。

あとは、位牌の材質・サイズ・書体などを決めれば2~3週間くらいで出来上がります。

位牌作製にかかる費用は、

20,000~50,000円(税込)

くらいが一般的な金額だと思いますよ。

位牌を作る時は、前もってインターネットでいろんな位牌を見ておいて、どんなものをつくるのかを先にイメージしておくことがコツです。

【いい仏壇】

お坊さんに依頼して、全部の位牌に『位牌開眼供養(かいげんくよう)』をしてもらう

位牌が出来上がったら、次はお坊さんに依頼して、全部の位牌に『位牌開眼供養(かいげんくよう)』をしてもらいます。

日頃からお付き合いのあるお寺があれば、そこのお寺のお坊さんに全部の位牌に『位牌開眼供養』をしてもらってください。

お付き合いのあるお寺がなければ、葬儀社に頼めばお寺を紹介してもらえますよ。

この『位牌開眼供養』は必ず行なってくださいね。

位牌を購入するだけでは意味がないんです。

位牌開眼供養をすることで【故人の魂が宿る】状態となり、あなたのメッセージが故人に届くようになります。

『位牌開眼供養』のときにお坊さんへ納める費用(お布施)は、位牌1つにつき、

3,000~10,000円

くらいが相場です。

位牌の数が多いときは、例えは悪いですけど『セット割引』みたいなカンジで少し安くなることが多いですよ。

とはいえ、費用についてはお寺によって全然違いますので、依頼するお坊さんに必ず確認をしてください。

それぞれの自宅に持ち帰り、毎日ちゃんと手を合わせる

位牌開眼供養が無事に終わったら、兄弟姉妹みんなでそれぞれ一つずつ位牌を自宅に持ち帰ります。

自宅に持ち帰り、仏壇があれば仏壇内に安置してください。

仏壇がなければ、【位牌を祀るためのスペース】を作って、そこへ安置しましょう。

その後は、

毎日、位牌に手を合わせる

ようにしてください。

位牌分けをする以上は、必ずこれをやってくださいよ!

位牌や仏像などは、ただの仏具ではなく、仏様が宿ることができる『特別な仏具』なんです。

だからこそ、必ずお坊さんに開眼供養をしてもらうのです。

位牌とはそういうものなのだということを理解して扱ってくださいね。

位牌を作ったら仏壇も必要なのか?

位牌分けをする人の中には【自宅に仏壇が無い】という人だっていることでしょう。

位牌といえば『仏壇の中にあるもの』というイメージがありますよね?

じゃあ、位牌を祀るためには仏壇がなければいけないのでしょうか?

そして、仏壇がなければちゃんと購入しなきゃダメなんでしょうか?

結論としては、

仏壇が必要というほどではないが、位牌は仏壇に安置することが望ましい。

ということになります。

ごめんなさいね、何だか中途半端な結論で。

でも、こういう結論になっちゃう。

仏壇の中には必ず『ご本尊様』がおられ、仏壇の中だけでなく家全体を守ってくださいます。

仏壇はご本尊様に守られた清らかな空間なので、位牌はできるだけ仏壇内に安置するのが理想的なんです。

それに、仏壇というものは【家族の誰かが亡くなってから購入する】というものではありませんので、誰も亡くなっていない家に仏壇があること自体は変ではないのです。

仏壇に関する詳しいことは、『仏壇の意味と役割とは?仏壇の準備からお参り方法まで丁寧に解説』の記事をご覧ください。

そうはいっても、仏壇もそれなりに高価なものですし、置く場所だって確保しなくてはいけません。

ですから、仏壇があることが【理想的】ではありますが【必要】とまではいえません。

仏壇がなければ、【位牌を祀るためのスペース】を作って、そこへ祀りましょう。

ちょっとした【座卓】や【テーブル】のようなものでもいいので、必ず『位牌を置く専用のスペース』を作ってあげましょう。

とにかく、位牌をそこら辺に置いてしまうのではなく、専用のスペースを設けて、位牌を大切に扱うということを心掛けていれば、無理に仏壇を購入する必要はないと思います。

まとめ:位牌分けをするからには、毎日ちゃんと位牌に手を合わせましょう。

親が他界をし、その子供たち全員が同じ位牌を作るといったように、故人の位牌を複数作ることを『位牌分け』といいます。

以前は位牌分けをするというケースもけっこう多かったのですが、少子高齢化の影響でしょうか、最近ではあまりないです。

だから、いざ『位牌分けをしよう』と思っても多くの人は何をすればいいのか分かりません。

位牌分けですべきことは簡単です。

位牌分けは、

  1. 位牌を兄弟の人数分だけ作製する
  2. お坊さんに依頼して、全部の位牌に『位牌開眼供養(かいげんくよう)』をしてもらう
  3. それぞれの自宅に持ち帰り、毎日ちゃんと手を合わせる

ということをすればいいだけです。

ただし、位牌分けをしたからには、その後は兄弟姉妹みんなが、

毎日ちゃんと位牌に手を合わせる

べきです。

ただ単に『位牌分けをした』というのでは何の意味もないです。

位牌には故人の魂が宿り、あなたと故人を結ぶ役割をしているものです。

位牌を通じてあの世の故人にいろんなメッセージをお伝えするわけです。

なのに、それを何もせずに【ただ置いている】だけなら、位牌分けをする意味がないし、なんなら位牌分け自体をすべきではない。

位牌分けの手順も大事ですが、位牌分けをする意味を理解した上で、兄弟のみなさんで位牌を作っていただきたいなと思います。

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