- お線香をあげる意味
- お線香をあげに行くときの注意点
お葬式の知らせは急に来ます。
場合によっては『お葬式に参列できなかった』ということもあるでしょう。
故人があなたにとって特別な人であればあるほど、お葬式に行けなかったことがずっと心残りになるはずです。
お葬式に参列できなかった場合は、『後日に遺族の自宅へ訪問してお線香をあげる』という方法があります。
ただし、お線香をあげに行くときには遺族の負担を減らすための大事な注意点があるので気をつけてください。
この記事では、お坊さんの僕が【お線香をあげに行くときにどのように振る舞えばよいか】について解説しています。
未熟僧遺族と故人に対して失礼のないよう、参考にしてみてください。
この記事を書いている僕『未熟僧(みじゅくそう)』は、お坊さん歴25年以上。仏事の疑問を解消するいろんな情報を発信しています。
お線香をあげる意味
お葬式に参列できなかった場合、後日に喪主の自宅までお線香をあげに行く人が多いです。
最後に故人を見送ることができなかったのですから、せめてお線香をあげに行きたくなりますよね。
でも、あなたは『何のためにお線香をあげるのか』をご存じでしょうか。
もしかして「何となく、そういうものだから。」という感じでお線香をあげていませんか?
わざわざ喪主の自宅まで行ってお線香をあげるのですから、まずは『お線香をあげる意味』を知っておいた方がいいと思います。
お線香に火をつけると、【煙】と【香り】が出てきますよね。



じつは、お線香から出てくる【香り】が非常に大事なんです。
お線香やお焼香などのお香を燃やしたときに出る【香り】は仏様の食べ物になります。
つまり、お線香をあげることは、仏様や故人に食事をしていただくことなのです。
これを仏教では『香食(こうじき)』といいます。
お香を供えて食事をしていただくことで、故人に敬意を表し、心を込めて『おもてなし』をしているんですよね。
お線香をあげるときには「生前はいろいろとありがとうございました。これ、どうぞ召し上がってください。」と、故人に対して感謝と敬意を込めながら供えましょう。
お線香をあげに行く『タイミング』に注意
お葬式に参列できなかった場合、なるべく早くお線香をあげに行きたくなりますよね。
でも、あなたの都合だけで訪問をしてはいけません。
例えば、お葬式の翌日に訪問するのはやめた方がいいですよ。
きっと、遺族はお葬式の疲れがドッと出ている頃ですから。
お葬式が終わって数日くらい間を空けて訪問する方が、遺族の迷惑になりません。
そうはいっても、あまり遅くなってしまうのも迷惑になります。
早すぎてもだめ、遅くなってもだめ、お線香をあげに行くのって意外と気を使うものなんですよね。
では、どのくらいのタイミングで行くのがよいのか。



僕はお葬式の日から5日後~7日後くらいがよいと思います。
このくらいの時期であれば、
- お葬式の疲れがある程度とれている
- 遺族の気持ちも少し落ち着いている
という状況でしょう。
これよりも後になると、遺族は役所の手続きなどで忙しくなるので、訪問するなら遺族が忙しくなる前がいいですよ。
もちろん、お葬式の日から5日後~7日後なら絶対に大丈夫というわけではなく、これは1つの目安にすぎません。
ですから、お線香をあげに行くときは必ず先に連絡し、遺族の都合を確認しておきましょう。
また、遺族の自宅に着いたあとにも注意点があります。
まず1つめの注意点は、家の中へ上がる前に、弔意を表す言葉を言うようにしてください。
具体的には「この度はご愁傷様でございます。遅くなりましたが、お線香をあげさせていただいてもよろしいですか?」などです。
そして2つめの注意点は、絶対に長居しないようにしてください。
遺族の立場になって考えてみましょう。
遺族としては、わざわざお線香をあげに来てくれたことはありがたいのですが、なかなか帰ってくれないと…ちょっと迷惑です。



少しだけ『故人との思い出話』をして、15分程度で帰るくらいがいいと思います。
お線香をあげたら長居せずに帰る、それが遺族に対する『配慮』です。
お線香をあげに行くときの『服装』に注意
お線香をあげに行くときは『服装』にも注意しましょう。
とはいえ、お葬式のときみたいに喪服を着なくてもいいですよ。
喪服で行くと、少し大げさな印象を与えてしまいます。
お線香をあげに行くときは『平服』でかまいません。
平服とは、本当の普段着のことではなく、正装に近いような服装を意味します。
ですから、
- 『グレー』や『濃紺』など、暗めの色の服
- シンプルなデザインで、装飾が少ない服
- デニム素材ではない服
- 光沢のない服
を着て行くようにしてください。
お線香をあげに行くときの『手土産』に注意
お線香をあげに行くときは『手土産』を持参してください。
もちろん手土産が絶対に必要というわけではないですが、後々のことを考えると持って行く方が無難です。
でも、どんなものを持って行けばよいのか迷いますよね。
手土産を選ぶときは、
- 菓子類
- 賞味期限が長い
- かさばらない
- 安価すぎない
というものがいいです。



手土産にはいろんなものがありますが、やはり『菓子類』が無難です。
また、お葬式に参列できず、その後もまだ『香典』を渡していなかった場合、手土産と一緒に渡すようにしましょう。
一般的に、お葬式に参列できない場合、香典は、
- 現金書留で送る
- お葬式の後に訪問して手渡す
のどちらかですが、現金書留で送ることに抵抗がある人は、お線香をあげに行くタイミングで渡すことになります。
もちろん、香典を先に送っているなら、お線香をあげに行くときに改めて香典を包む必要はないですよ。
また、あなたと遺族の家が遠く離れている場合は、無理に自宅までお線香をあげに行かなくてかまいません。
お線香をあげに行くときの『お花』に注意
お線香をあげに行くときには、故人に供える『お花』を持参することもあるでしょう。
故人に供えるお花は、
- トゲのあるお花を避ける
- ニオイの強いお花を避ける
- お花の色の数を制限する
という点に注意してください。
この中で分かりにくいのは『お花の色の数』でしょう。
故人に供えるお花の色は、
- 49日までは、3色まで。
- 49日以降は、5色まで。
がよいとされています。
とはいえ、色の数に関してはさほど気にする必要はないので、『一応の基準がある』という程度の認識でかまいません。
…と、こうやって『お花』について書いていますが、本音を言うと、僕は他人の家にお花を持って行くべきではないと思っているんですよね。



お花は、遺族にとって『迷惑』になるかもしれません。
もちろん、お花を受け取った遺族は「ご丁寧に、どうもありがとうございます。」とお礼を言います。
でも、内心は「お花かぁ…困ったな。」と思っている可能性が十分にあります。
お花を受け取ったら一応は供えないといけないし、時間が経つと枯れるので処分もしなきゃいけません。
受け取る側は、自分が望んだわけでもないのに、「はい、これを供えてね。」と一方的に渡されるわけです。
それって、遺族の『迷惑』になっていると思いませんか?
お線香をあげに行くときは、お花を持って行かない方が遺族の負担を減らせるのです。
だから、自宅へ訪問して故人に供えるのはお線香だけで十分です、それ以外は必要ありません。
お花もそうですが、『ありがた迷惑』になるものは最初から渡さないことが本当の優しさだと思うんですよね。
例えば、【お墓】も同じです。
よく「自分がお墓を建てておけば、後代の人たちが入る場所を用意してあげられる。」と言う人がいますが、それって後代の人たちが望んでいることなのでしょうか?
お墓を維持管理するのは大変なことなので、後代の人たちは「お墓はいらない」と考えるかもしれません。
そのため、近年では、お墓の負担を後代へ残さないために【海洋散骨】をする人が増えています。
海洋散骨をすれば遺骨が残らないので、お墓も必要なくなり、それだけ後代の人たちの負担を減らせます。
もしも「子どもや孫に、お墓のことで迷惑をかけたくない」と少しでも思うなら、海洋散骨の基礎知識を解説した別記事も読んでみてください。
お花もお墓も、自分の考えだけで行動せず、その先にある『相手の気持ち』も考えてくださいね。
まとめ
お葬式に参列できなかった場合、後日にお線香をあげに行くことはよくあります。
故人があなたにとって特別な人であれば、ぜひともお線香をあげに行きたくなりますよね。
遺族は家族を亡くした悲しみでいっぱいなので、お線香をあげに行くときは十分に注意しましょう。
お線香をあげに行くときは、
- 訪問のタイミング
- 服装
- 手土産
- お花
に注意しなくてはいけません。
訪問するタイミングは、あまり早すぎず、でも遅くならないように、お葬式から5日後~7日後くらいがベスト。
服装は、平服でかまいませんが、地味な色で地味なデザインの物を着ます。
訪問するときには手土産を持参し、まだ香典を渡していなければ、このタイミングで渡しましょう。
お花を持っていくのは、遺族にとっては迷惑になるだけなのでやめた方がいいです。
このような注意点を守りながら、長居をせずに用が済んだら早めに帰るようにしてください。
しかし、お葬式に参列しない場合は必ず後日にお線香をあげに行く、という決まりはありません。
お線香をあげに行くのは、あくまで『あなたの気持ち』であり『あなたの都合』であることを忘れてはいけません。
あなたの気持ちや都合で訪問をする以上は、故人や遺族に失礼のないよう十分に注意をして、心を込めてお線香をあげてくださいね。
※香典袋を書くときは、こちらの記事を参考にしてみてください。










