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仏事全般

お布施はいつ渡すのがいい?お葬式や法事でお布施を渡すタイミングと渡し方。

御布施の袋と数珠と数珠袋

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いた記事です
  • いつお坊さんにお布施を渡せばいいの?
  • 失礼のないようにお布施の渡し方を知っておきたい

お葬式や法事をするときは、お坊さんに供養をしてもらいます。

そして、供養をしてもらう際には、お坊さんに『お布施』を渡します。

そんな『お布施』に関して、

お布施はいつ、どうやって渡せばいいんだろう?

と疑問に思う人が多いです。

未熟僧
未熟僧
仏事は決まりごとが多くて、お坊さんにお布施を渡すだけでも身構えちゃいますよね。

結論から言いますと、お布施は、いつでも、どのように渡してもいいですよ。

本来ならお布施の渡し方に決まりはないのですが、《マナー》というか《一応の形式》みたいなものがあります。

それらをふまえて、この記事では、

  • お布施を渡すタイミング
  • お布施の渡し方

について詳しく紹介しています。

お布施を渡すタイミングと渡し方について【お坊さんの立場】で解説していますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

お布施はいつ渡すのがいい?

白色と黄色の水引で結ばれた御布施用ののし袋

お葬式(またはお通夜)をするときには、お坊さんに依頼をして故人の供養をするのが一般的です。

そして、供養をしてもらったお坊さんには【お布施】を渡します。

ここで多くの人は、

  • お布施をいつ渡せばいいのか
  • どのようにしてお布施を渡せばいいのか

という疑問が出てきます。

お布施というのは喪主(施主)の気持ちとして納めるものなので、タイミングや納め方に決まりはありません。

とはいえ、お布施を渡すときの《一応の形式》みたいなものがありますので、それは知っておいてもよいと思います。

お葬式(お通夜)で渡すタイミング

まずは、お葬式やお通夜のときにお布施を渡すタイミングについてお伝えします。

お葬式やお通夜のときには、

  • 開式前にお坊さんの控室で渡す
  • 式の後でお坊さんが帰るときに渡す
  • 後日に渡す

この3つのタイミングのどこかで渡します。

お寺によっては、お布施を納めてもらうタイミングを指定しているところもあります。

しかし、お寺から何も言われなければ、上記3つのいずれかのタイミングでお布施を納めましょう。

開式前にお坊さんの控室で渡す

僕がいる寺の場合、お布施は開式前にお坊さんの控室で納めてもらうということがほとんどです。

お葬式やお通夜が始まる前に、喪主は『お坊さんの控室』を訪ねて、そこで挨拶をします。

控室では、故人の思い出話や戒名のことなどいろんな話をしますが、多くの場合このときにお布施を納めてくださいます。

喪主としては、お布施を渡すところを誰にも見せずにすみますし、お坊さんとしてもお布施を受け取る姿を他の誰にも見られずにすみます。

ただし、これは金銭管理の面で少し不安があります。

お坊さんは、お布施を受け取った後に法要をお勤めすることになるので、法要中はお布施を控室で保管しておくケースも多いです。

そして、お葬式の最中に誰かがお坊さんの控室に入らないとも限りません。

未熟僧
未熟僧
お布施は大きな金額なので、もしも盗難が発生したら大変です。

そのような盗難を防止するために、最近では司式控室に金庫が設置されているところが多くなりました。

式の後でお坊さんが帰るときに渡す

開式前にお布施を渡すと、式中にお坊さんの控室で盗難が起こってしまうかもしれません。

ですから、式の後でお坊さんが帰るときに渡すというのもよいと思います。

お坊さんが帰るときに渡せば、お坊さんは頂いたお布施をそのまますぐに持ち帰ることができます。

しかし、この場合は、喪主やご家族がお布施をどこかへちゃんと保管しておくか、式中と食事のときにもポケットやカバンなどに所持しておかなくてはいけません。

未熟僧
未熟僧
大金を持ち歩くことが心配な人は他のタイミングで渡す方がよいでしょう。

ただし、一般的には『お坊さんが帰るときに、お礼の挨拶をしてお布施を渡す』という人が多いのも事実です。

後日に渡す

喪主の仕事はとても多く、お葬式の当日はかなりバタつきます。

ですから、お布施はお葬式の当日ではなく後日に渡すというのでもかまいません。

お葬式が終わったら、およそ1か月半後には【四十九日忌法要】がありますよね。

お寺へ行って四十九日忌法要の申し込みをするときに、「先日のお葬式では大変お世話になりました。遅くなりましたがお布施を納めさせていただきます。」というカンジでお葬式のお布施を渡してもいいですよ。

ただし、後日にお布施を渡す場合は、予めお寺に【後日に渡す旨】を伝えておく方がいいですよ。

お寺としても、喪主がどのタイミングでお布施を納めてくれるのか教えてくれると助かります。

未熟僧
未熟僧
受領証の用意など、何かと準備がしやすくてありがたいんですよね。

しかし、お葬式を【葬儀社から紹介してもらったお坊さん】に依頼する場合は、後日に納めるというわけにはいきません。

初めて依頼したお寺の場合は必ずお葬式(お通夜)の当日に渡すようにしてください。

法事でお布施を渡すタイミング

お葬式(お通夜)のときと同じように、法事をするときにもお坊さんへお布施を納めます。

僕の個人的な意見ですが、法事の場合はお布施を渡すタイミングや渡し方などはあまり気にしなくてよいと思います。

施主となる人は他にもいろいろやる事があって大変なので、当日お布施を渡すタイミングはいつでもかまいません。

とはいえ、お布施を渡すタイミングの目安みたいなものはお伝えしておきますね。

法事の場合は、

  1. 法要開始前に渡す
  2. 法要終了後に渡す
  3. 法要当日よりも前の日に渡す

だいたいこの3パターンでしょう。

法要開始前に渡す

法事のお布施を渡すタイミングは、法要開始前に渡すという人が多いです。

法要の前に「今日はよろしくお願い致します。」と、お坊さんに挨拶をするときにお布施を渡します。

僕の場合、このタイミングでお布施を頂戴するというのが一番多いです。

法要終了後に渡す

法事のお布施を渡すタイミングとして法要終了後に渡すというのもあります。

法要を終えた後、お坊さんへ「今日はどうもありがとうございました。」とお礼の挨拶をするときにお布施を渡します。

もしかすると、この【法要終了後】のタイミングが一般的なのかもしれません。

僕が今まで法要終了後にお布施を頂いたのは【自宅】で法事を執り行ったときが多いです。

自宅の法事の場合、お坊さんが施主の自宅に着く頃には、参列者の皆様全員がすでにお揃いになっていることが多いんですよね。

そうすると、参列者の皆様をお待たせしないように、着替えが終わるとすぐに法要を始めます。

ですから、施主や参列者の皆様といろんなお話ができるのは法要後となってしまいます。

すると結果的に、法要を終えて、施主やご家族の方々といろんなお話をした後にお布施を頂戴するとういう流れになるのです。

法要当日よりも前の日に渡す

あなたに『日頃からお付き合いのあるお寺』がある場合は、法要当日よりも前の日に渡すというのでもよいでしょう。

法事の当日は、位牌や写真や供物といった持ち物がたくさんあります。

そして、親戚などの参列者の皆様への接待もありますので、何かと忙しくなるものです。

ですから、先にお布施を納めてしまうというのは合理的かもしれませんね。

僕のいる寺の信者さんにも「当日は慌ただしくなるし、忘れちゃうといけないから先に納めます。」という人がたくさんいます。

このような【先に納めてしまう派】の人たちは、法事の申し込みに来られたときに納めていくことがほとんどですね。

【関連記事】:法事の当日までに施主が準備するべきことを詳しく紹介します。

お布施の渡し方

袱紗の下に置かれた御布施の封筒と3枚の1万円札

お布施を渡すときは、タイミングだけではなく【お布施の渡し方】にも注意をしましょう。

御布施と書かれた『のし袋』で渡す

まずは、基本的な注意点から。

お布施を渡すときに、現金を何にも包まず裸のまま渡すというのはヤメましょう。

お布施の渡し方に【仏教的な決まり】はありませんが、現金を裸のまま渡すのは行儀が悪いです。

おそらく、お坊さんに「常識のない人だな。」と思われるでしょう。

最低でも、

  • 『御布施』と書かれた市販の【のし袋】
  • 白い無地の封筒

に包んでから渡すようにしましょう。

ちなみに、お布施は【のし袋】に包んで渡すことがほとんどです。

また、現金を包んだのし袋や封筒は、

  1. 上半分には『御布施』という表書き
  2. 下半分には『◯◯家』という苗字

が記載された状態にしてください。

切手盆に乗せて渡す

お坊さんへお布施を納めるときは、切手盆(きってぼん)に乗せて渡すというのが正式な作法です。

切手盆とは、冠婚葬祭で使われる漆塗りのお盆のことで、ご祝儀やお布施を渡すときに使用されます。

切手盆にはいくつかのサイズがありますが、『8号サイズ(17cm×24cm×2cm)』が一般的ですね。

とはいえ、切手盆を持っている人は少ないです。

それに、多くのお坊さんは【お布施を切手盆に乗せること】にあまりこだわりません。

ですから、後述しますが、切手盆の代わりに袱紗を使用する、または引出物に乗せて渡す、というだけで十分です。

それでも、「私は正式な作法でやりたい。」という人は、ぜひ切手盆を使ってお布施を渡してください。

最近ではそういう人が少ないので、きっとお坊さんから【一目置かれる存在】になると思います。

ちなみに、お葬式の場合は葬儀社が切手盆を貸してくれますので、わざわざ自分で購入する必要はありません。

そして、切手盆に乗せてお布施を渡すときには、お坊さんから見て文字が読める向きで渡すようにしてくださいね。

袱紗(ふくさ)から取り出して渡す

切手盆を使わずにお布施を渡す場合は、『袱紗(ふくさ)』を使用します。

袱紗を使う場合は、少しだけ作法がありますので注意してください。

まず、予めお布施を袱紗の中に入れておきます。

そして、

  1. お坊さんの前で袱紗を取り出す。
  2. 袱紗を開け、四隅をそのまま反対側へ折りたたむ。
  3. 中身(お布施)をお坊さんが文字を読める向きに直す。
  4. そのままお坊さんに受け取ってもらう。

という手順です。

ただし、袱紗を使うときはお布施を床に直接置かないように気を付けましょう。

引出物に乗せて渡す

お布施を渡すときは切手盆に乗せたり袱紗に包むのですが、それらが用意できないというケースもあります。

そのような場合は、引出物に乗せて渡すといいですよ。

お坊さんには、お布施だけでなく【引出物】を一緒に渡すということも多いです。

ですから、もしもお坊さんのために引出物を用意するのであれば、お布施と一緒に渡しましょう。

お札の入れ方

お布施はちゃんと、のし袋あるいは白い封筒に包んで渡しましょう。

そして、現金を包むときには一定のマナーがあります。

ここからは『お札の入れ方』について紹介します。

お札は、できるだけ【新券】を使う

お坊さんへ渡すお布施には、できるだけ新券を使用しましょう。

えっ、お葬式では新券を使っちゃダメなんでしょ?

じつは、多くの人が勘違いしていることが1つあります。

それは、お葬式に参列したときに受付で渡す『御香典』『御霊前』と、お坊さんへ渡す『御布施』を同じように考えていることです。

『御香典』や『御霊前』に新券を使わないのは、【不幸を予測していた】という印象を与えないように喪主やご遺族に対して配慮しているからです。

一方で、『御布施』はお坊さんへ渡すものなので【新券】でも【折れたお札】でもかまいません。

ただ、「お坊さんに渡すものだから」ということで、お坊さんへの配慮として新券をできるだけ使用するのです。

また、人によっては【家族を亡くした悲しみ】と【お坊さんへの礼儀】の両方を表現するために、わざと新券と折れたお札を混ぜて入れるという人もいます。

何度も言いますが、お布施の渡し方に【仏教的な決まり】はありません。

人それぞれいろんな考え方がありますので、その人なりに仏様の事を考えて渡せばいいと思います。

お札の包み方

お札の包み方にも一応のマナーがあります。

お札の包み方は【外袋だけ】のタイプであれば、

  1. 表面(おもてめん)が見えるように持ち、袋を開く。
  2. 新券(できれば)のお札を、人物の顔が見えるように持つ。
  3. 人物の顔が上になるように向きを直す。
  4. そのままお札を袋の中へ入れる。
  5. 袋を閉じる。

という手順で包めば大丈夫です。

そして、【中袋がセットになっている】タイプのものは、

  1. 外袋の表面が見えるように持ち、袋を開く。
  2. 中から中袋を取り出す。
  3. 中袋に、名前、金額、住所などを書き入れる。
  4. 中袋の表面が見えるように持つ。
  5. 新券(できれば)のお札を、人物の顔が見えるように持つ。
  6. 人物の顔が上になるように向きを直す。
  7. そのままお札を中袋の中へ入れる。
  8. お札を入れた中袋を表面にしたまま、外袋へ入れる。
  9. お札、中袋、外袋がすべて表面を向いているか確認する。

という手順で包みます。

【関連記事】:不祝儀袋(御香典・御霊前・御仏前)の書き方とお札の入れ方を詳しく解説。

まとめ:お布施を渡すタイミングや渡し方に決まりは無い

あなたは、『お布施をいつ渡せばよいのか』そして『お布施の渡し方』を知りたくてこの記事を見に来てくださいました。

しかし、お布施のこともそうですが、仏事の多くが【仏教的な決まり】というわけではなく、かなりの部分が『日本独自の一般的なマナー』にすぎません。

ですから、本来はお布施をどのタイミングでどのように渡しても自由であり、決まりというものはありせん。

でも、実際のところマナーを完全に無視するわけにもいきませんよね。

そこで、この記事では【この辺まで意識をしていれば大丈夫】ということだけを書きました。

もしも今後あなたが喪主や施主という【法要の代表者】になったときには、この記事のことを思い出して少しでも参考になればいいなと思います。