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仏事全般

【多くの人が知らない】寺院や神社で賽銭を納める本来の意味。

「賽銭の意味」という文字の左にある賽銭箱

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いています
  • 賽銭にはどんな意味があるの?
  • 賽銭はいくら納めればいいんだろう?

あなたはお寺や神社で賽銭を納めたときに何か【お願い事】をしていませんか?

もしも答えが『YES』なら、あなたは賽銭について誤解をしています。

せっかく賽銭を納めるのですから、ちゃんと意味を知っている方がイイです。

この記事では『賽銭を納める本来の意味』について解説しています。

仏様や神様に失礼のないよう、ぜひ最後まで読んでみてください。

賽銭の本来の意味とは?

あなたは寺院や神社で賽銭を納めるとき、

  • 健康
  • 人間関係
  • 金運
  • 仕事

など、自分の願いが叶うように【お願い】をしていますよね?

そして、賽銭を納める金額が大きければ大きいほど、その分だけ仏様や神様が【お願い】を叶えてくれる、というような気がしていませんか?

もしも何かを【お願い】しているのであれば、それは本来の賽銭の意味からズレてしまっています。

賽銭を納める本来の意味は、いつも私たちを守ってくれている仏様や神様に対し【感謝の気持ち】を表すということです。

手を合わせて、「いつもありがとうございます。ほんの気持ちですが納めさせていただきます。」と言って納めるのが賽銭です。

賽銭をあなたの願いを叶えてもらうための『労働対価』のように考えないでください。

仏様や神様は、私たち人間のように『金銭の多少』で物事を決めるような愚かなことは絶対にしませんよ。

ですから、【賽銭の金額】と【お願い事が叶うこと】とは何の関係もありません。

もしも叶えたい【願い】があるのなら、賽銭を納めて【お願い】するのではなく、まずは自身の力で懸命に【努力】をしてみてください。

そんなあなたを見た仏様や神様は、必要な分だけ力を貸してくださるでしょう。

もちろん、それに対する『見返り』みたいなものは求めておられません。

ただし、仏様や神様は、最初から最後まで全部助けてくださるわけではなく、私たちが幸せになるようヒントを与え導いてくださるだけです。

仏様や神様のヒントによって無事に【願い】を達成できたら、そのお礼をするために、また参拝をしてください。

そのときは、「ありがとうございました。ほんの気持ちですが、納めさせていただきます。」と言って賽銭を納めてください。

しかし、どうしても自分の力だけでは叶えられないような【お願い事】もあると思います。

そのときは賽銭ではなく、別に志納金を納めて【祈祷】をしてもらいましょう。

祈祷は、仏様や神様のお力を借りて【願い】を成就してもらうことを目的とした儀式です。

普段のお参りとは違い、しっかりとした儀式を執り行いますので、必ず予約をするようにしてください。

ただし、祈祷の効果は人によって違い、全ての願いが成就するわけではないので、期待しすぎるとガッカリします。

本当に必要な願いを本当に必要なときにだけ【祈祷】という形で祈願してもらうようにしてください。

祈祷に関する詳細は『お寺の祈祷は効果があるの?祈祷をする意味や体験談をお坊さんが解説します』の記事で解説していますので読んでみてください。

お賽銭はいくら納めればいいの?

僕も他のお寺や神社に参拝することがあって、もちろんそのときは賽銭を納めます。

そして、僕と同じタイミングで他の人も賽銭を納めていることがよくあります。

それで、ついつい気にしてしまうんですよね、他の人が賽銭をいくら入れているのかを。

賽銭は『感謝の気持ちの表れ』ですから決められた金額なんてありません。

1円でもイイですし、100万円でもイイんです。

でも、多くの人はいろんな『語呂』に合わせて賽銭の金額を決めています。

その中で僕が昔からよく聞く『縁起の良い金額』があります。

それは、たぶんあなたも聞いたことがある『15円』です。

これは、『仏様あるいは神様からの、【十分(=10円)】な【ご縁(=5円)】で守られますように』との願いが込められた金額です。

一方で、『縁起の悪い金額』もありますので、2つ紹介します。

1つめは、比較的有名な『10円(10円玉)』です。

【10(じゅう)】という数字は『とお』とも読みます。

これを『10円(=とおえん)』と読むと、

『10円(=遠縁)』という【良いご縁が遠のく】の意味に語呂合わせができてしまいます。

だから、10円玉1枚だけを賽銭にすると縁起が悪いとされています。

もう1つが『500円(500円玉)』です。

今私たちが使用している硬貨の中で一番高額なのは『500円』ですよね。

この『500円』を賽銭として納めると、これ以上の【硬貨(こうか)=効果(こうか)】はないという語呂合わせができてしまい、更なるご利益が見込めないことから、縁起が悪いとされています。

ここまでくると、ほとんど【ダジャレ】です。

私たち日本人は、何につけても『語呂合わせ』とか『ゲンをかつぐ』のが好きですから、賽銭ひとつにしても考えてしまいますよね。

ちなみに、《縁起が良い》とされている金額には、15円の他にも以下のようなものがあります。

  • 【5円】ご縁がありますように
  • 【21円】割り切れない数なので、良い関係が続くことを意味する
  • 【25円】二重にご縁がありますように
  • 【45円】始終ご縁がありますように
  • 【115円】いいご縁が訪れますように
  • 【485円】四方八方からご縁がありますように

今度どこかへお参りするときの参考になればと思います。

じつは、縁起の良い金額はまだ他にもありますが、語呂合わせに無理があるものは省略しました。

ちなみに、硬貨ではなく紙幣を賽銭箱に入れる時には、『紙幣をむき出しにせず半紙などの白い紙で包む』のが良いとされています。

まぁ、そんなことをする人はほとんどいませんけどね。

僕は20年以上お坊さんをしていますが、ウチの寺で紙幣を半紙で包んで賽銭箱に入れた人は今まで2人だったと記憶しています。

次に、10円や500円以外にも《縁起が悪い》とされている金額があるので紹介します。

  • 【65円】ろくにご縁がない
  • 【75円】なんのご縁もない
  • 【85円】やっぱりご縁がない

これらは語呂合わせに無理があるので、あまり気にする必要はないと思います。

いろいろと金額のことを書いておいて、いまさら言うのも何ですが、賽銭の金額にこだわり過ぎるのは好ましくありませんよ。

今のあなたの感謝の気持ちを、できる範囲で賽銭箱へ納めればいいんじゃないでしょうか。

ちなみに、賽銭はできるだけ静かに納めて【投げ入れない】ようにしましょう。

仏様や神様に納めるものを【投げる】のは失礼です。

あと、もう一つご注意をいただきたいのは、ご法事やご祈祷の最中にお賽銭を納める場合です。

ご存じのように、賽銭箱に硬貨を納めるとそれなりの音が出ます。

寺の場合は特に賽銭箱がお堂内に置いてあることが多いので、法要中は極力静かに賽銭を納めてください。

先日も、法要の途中で賽銭を納めに来られた方がいて、硬貨の入る音が本堂内に響いてしまいました。

その方も、さすがに【あっ、うるさかったかな、ごめんなさい】というふうに思われたことでしょう。

そういう場合は良い方法があります。

賽銭箱に入れてもほとんど音が出ない紙のお金を入れればイイんですよ♪

まとめ

賽銭の【賽】という字は『仏様や神様への御礼』という意味です。

お参りをするときには、【お願い】をするのではなく、当たり前のように無事に過ごせている毎日への【感謝の気持ち】を込めてください。

その気持ちの表れが【賽銭】なので、納める金額は自由です。

たまに、語呂合わせを気にするあまり、うまく小銭が用意できていないと、わざわざ紙幣を崩しに行く人もいますが、仏様や神様はそんなことを望んでいませんよ。

賽銭なんていくらでもいいんです、小銭で語呂合わせなんかしないで、ポーンッと紙幣を納めましょうよ。

それくらいの気持ちで感謝の気持ちを納めてください。

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