お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- 法事って面倒くさいし、できれば欠席したい。
- 他の人たちはどんな理由で法事に出たくないと思っているんだろう?
- 法事を欠席する場合はどんなことに注意すればいいの?
あなたは今までに何回くらい法事に参列したことがありますか?
法事は《数年に一度のこと》とはいえ同じ人の供養を何度もしますので、何回も法事へ参列しているうちに、
という気分になってきます。
ですから、じつのところ『本当はあまり法事に出たくない』という人がとても多いのです。
法事に出たくない理由は人それぞれにありますが、どうしても気が進まないのであれば法事を欠席してもいいですよ。
大丈夫です、【法事に出ないこと】はあなたが思っているほど悪いことではありませんから。
この記事では、
- 法事を欠席することに対する考え方
- 多くの人が法事を欠席したくなる理由
- 欠席する時の注意点
について詳しく書いています。
法事の欠席についてどう考えればいいかを【お坊さんの立場】として書いてみましたので、ぜひ最後まで読んでいただいてから、法事に欠席するかどうかを決めてください。
法事に出たくないなら欠席してもいい

法事に出席するって大変ですよね。
法事のたびに、
- 貴重な休日を使って(もしくは、わざわざ仕事を休んで)
- 慣れない喪服を着て
- 『御仏前』を用意して
- 退屈な法要に参列して
- 親戚の人たちと気を遣いながら会話をして
- ヘトヘトになって帰宅する
これらをしなくてはいけません。
しかも、同じ家で他にも亡くなった人がいれば、その人の分まで参列することになり、「なんだか毎年のように法事に出席してないか?」みたいなこともあります。
そうなると、「もう法事には出たくないなぁ・・・。」って思いますよね?
だからといって、簡単に法事を欠席することもできず、結局は気がすすまないけれども出席するという流れになるんです。
「法事に出たくない」と思ってしまうのには人それぞれにいろんな理由があります。
そして、それは他人からすれば【大したことがない】理由のように思えても、当事者にとっては【重大な】理由だったりします。
そして、あなたは今「法事に出たくない。」と思っていますよね?
もしも法事に出たくない理由があなたにとって【重大な】ことであるなら法事を欠席してもいいですよ。
そもそも、法事は『故人を供養するため』に行うものですから、法事には『施主やご遺族と一緒に故人を供養したい』という気持ちのある人だけが参列すればいいのです。
そうですよね、あなたにだって『故人を供養したい気持ち』はあるでしょう。
そういう気持ちはあっても、法事に出たくない重大な理由のせいで、
法事に出たくない>故人を供養しよう
という状態になってしまっているだけですよね?
それなら無理をして法事になんか出なくてもいいんですよ、故人だって今のあなたの気持ちや状況をちゃんと理解してくださいますから。
ただし、あなたが【故人の遺族】である場合は、よほどの理由がない限り法事に必ず出るようにしましょう。
一般的に【遺族】と呼ばれるのは、故人との関係が、
- 配偶者
- 子
- 両親
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
にあたる人です。
これだけ近い関係なのに大した理由もなく法事に出ないというのは、あなたの『人間性』を疑われる可能性があります。
ですから、場合によっては気が進まなくても我慢して出席することが必要ってことですね。
法事への欠席を決める前に、故人とあなたの関係性、つまり『あなたの立場』をまずはよく考えましょう。
法事に出たくない理由

あなたは、なぜ法事に出たくないのですか?
その理由は、あなたにとって一体【どのくらい重大なこと】なのでしょう?
法事に出たくない理由は人それぞれですが、じつはみんな似たようなケースに該当してるんですよね。
ここからは、僕が今まで聞いた《法事に出たくない理由》の中でよくあるものをご紹介します。
親戚との関係が悪い
あなたには【会いたくない親戚】がいるんじゃないですか?
じつは、『どうしても顔を合わせたくない親戚がいる』という人はとても多く、統計によれば3人に1人は【親戚間の悩み】を抱えているのだそうです。
僕が今まで聞いた《法事に出たくない理由》の中で最も多かったのは『会いたくない親戚が来るから』というものでした。
あなたもご存じのとおり、人にはさまざまな『好き嫌い』があって、当然ながらそれは【人間】に対してもあるわけです。
だから、【どうしてもソリが合わない】という人が親戚の中にいたって全然おかしくない、というか、それはよくある話なのです。
じつは、あなたに【苦手な親戚がいる】ことは周りの親戚に何となく伝わっています。
それで、周りにいる親戚は、そんなあなたに気を遣っているわけですが、あなたはそのことにちゃんと気付いてましたか?
つまり、あなたが嫌な思いをしながら法事に出席していると、じつは周りの親戚も嫌な思いをするということです。
だから、どうしても会いたくない親戚がいるのなら、他の親戚のためにも、思い切って法事は欠席してしまいましょう。
出費が大きい
法事に参列するときには、手ぶらで行くわけにはいきません。
必ず施主に『御仏前』を渡します。
あなたと故人との関係性にもよりますが、『御仏前』の相場としては、
10,000円~30,000円
くらいです。
これって結構大きな金額ですよね?
場合によってはここに交通費が追加されますから、サラリーマンにとってこの出費はなかなかの痛手です。
法事に招かれた人の中には、経済的に余裕がなくて『毎月ぎりぎりの生活』をしている人もいるかもしれません。
そのような人は、
と思うでしょう。
そりゃそうですよ、1万円もあれば他の【生活に必要なもの】がいろいろと買えますからね。
それに1万円を稼ぐというのは簡単なことではないですから、経済的に本当に余裕がないという場合は、まずは自分の生活を優先して法事は欠席してください。
遠いから移動するだけで大変
法事に出席すること自体は前向きに考えることができても、物理的な問題がそれをジャマすることもあります。
よくあるのが法事の行われる場所が自宅からとても遠い場合で、これだと法事に出席しようという気が薄れてしまいます。
隣の市町村くらいだったらあまり問題はないでしょうけど、もしも、
- 飛行機や新幹線を利用しなくてはいけない
- 何時間も高速道路を走行しなくてはいけない
というような距離だと、移動するだけでも大変ですし、それだけ交通費もかかります。
すると、
という気持ちになってしまいます。
ですから、出席するかどうかは【あなたと故人の関係性】で決めてしまいましょう。
あなたと故人の関係性が【数年に1度会う程度】だったのであれば、いっそのこと法事を欠席してください。
でも、注意することが1つあります。
いくら遠いからといったって、法事に『毎回』欠席するのではなく、『3回に1度』くらいは出席した方がいいですよ。
あなたの本音としては、
本当は法事になんか行きたくない。でも施主や他の親戚から「あの人はいつも来ない」と言われるのもイヤ。
ですよね?
だったら、あくまでも『供養したい気持ちはあるけど、遠くてなかなか毎回は行けないんですよ』という体裁でいなければダメです。。
そのためにも、数回に1度は法事に出席しましょう。
法事そのものに意味を感じない
以前、ある信者さんから面と向かって言われたことがあります。
それは、
です。
お坊さんの僕に向かってこれを言うってことは、よほど法事に対して疑問と不信感を抱いているのでしょうね。
その信者さんが言いたいことは、要するに「法事なんか1回やれば十分でしょ?」ということです。
そうですよね、いくつか【法事に出たくない理由】を紹介してきましたが、根本的な理由はおそらくコレでしょう。
何のために法事をするのか、なぜ何回も供養をするのか、この大事な部分がわかりにくいから、法事に出たくなくなるんですよね。
じつは、法事をするのは故人はもちろんのこと、参列者全員のためでもあるのです。
法事をする意味の詳細については『法事をする必要性と意味。法事の注意点も合わせて解説します。』の記事で説明していますので読んでみてください。
法事をする意味を知って、それでもやっぱり納得がいかないというのであれば法事を欠席してもかまいません。
法事を欠席する時の注意点

法事を欠席すると決めたら、ただ欠席の旨を知らせるだけではなく、それなりに【やるべきこと】があります。
やるべきことをする際にも、いくつか注意点がありますので、ここからは『法事を欠席する時の注意点』について書いていきます。
法事を欠席する理由とお詫びの気持ちを伝える
送られてきた『法事の案内』に返信ハガキが付いている場合は、返信ハガキの《欠席》に印をつけて返送すればよいと思います。
でも、ただ印を付けて返送するだけではいけません。
欠席に印を付けたら、その近くの空きスペースへ簡潔に欠席の理由を書いて『お詫び』をしておく方がいいです。
ここで大事なのが、欠席の理由とお詫びの文はあまりダラダラと書かず【簡潔に書く】ということです。
法事を【誰が聞いてもやむを得ない事情】で欠席するのなら仕方ありませんが、それ以外の理由は、ほとんどが【ただの言い訳】に過ぎません。
ですから、欠席の理由とお詫びは短くスパッと書くべし!
例えば、
「当日はどうしても都合がつかず、誠に申し訳ございませんが欠席をさせて頂きます。」
みたいな文言を書くだけでOKです。
ヘタに欠席の理由をダラダラと書くのは逆効果ですし、しかもそれはマナー違反とされているのです。
次に、お詫びの文を書いたら返信ハガキはさっさと送り返すようにしてください。
遅くなってから送ってしまうと、「何だよ、返事が遅いくせに結局は欠席するのか!」と施主に悪い印象を与えてしまいます。
何でもそうですが、【マイナス】なことは先に、そして早めに伝えるのが鉄則です。
そういう意味では、返信ハガキを送る前に、念のため欠席の旨を先に電話で施主へ伝えておくとさらにいいですよ。
まずは電話で先に伝えて、その後に改めてハガキで伝える方が誰からも文句を言われないでしょう。
施主の家が近いなら【御仏前】はなるべく直接手渡す。
法事への欠席を電話や返信ハガキで施主に伝えたら、次は【御仏前】を渡さなければなりません。
もしも、あなたの自宅から施主の家が近いなら、できる限り法要の日までに施主の家へ出向いて直接【御仏前】を手渡した方がいいですよ。
御仏前を手渡すときは、現金をそのまま渡すのではなく、ちゃんと『不祝儀袋』に入れるようにしてくださいね。
そして、そのときに法事を欠席することをちゃんとお詫びしておきましょう。
ちなみに、【御仏前】を渡しに行く際には手土産をお忘れなく!
法事への欠席を詫びるのですから、まさか『手ぶら』で行くわけにはいきません。
持って行く手土産は【値段が安すぎず、高すぎず、なおかつ日持ちのするもの】を選ぶようにしましょう。
施主の家が遠い場合は【現金書留】で御仏前を郵送する
施主の家が近くではないということも当然あります。
そのような場合は、御仏前を【現金書留】で郵送するようにしましょう。
ちなみに、御仏前の袋をそのまま現金書留の封筒に入れると、おそらく封筒がパンパンになっちゃいます。
かといって、現金だけをそのまま封筒に入れてしまうのは失礼ですから、御仏前の袋をそのまま現金書留の封筒へ入れるしかないのです。
ですから、現金書留で郵送する場合、御仏前の袋はできるだけ小さなものを買うようにしましょう。
便箋でお詫びの文を添えておく
現金書留を郵送する場合には、【御仏前】の他に便箋などでお詫びの気持ちを伝えておくようにしましょう。
お詫びの文章は、先ほどの返信ハガキと同じで【簡潔】に書くようにしてくださいね。
必要最低限の簡潔な文章となると、例えば、
この度は、◯◯様の△△回忌法要にお招きをいただき、大変恐縮に存じます。
心よりお礼を申し上げます。
さて、お招きをいただきました件につきましては、当日やむを得ない事情により、不本意ながら欠席させていただくことをご容赦ください。
当日のお参りが叶いませんこと、誠に残念ではございますが、◯◯様のご冥福をお祈り申し上げます。
心ばかりのものを同封いたしますが、またあらためてお参りをさせていただきたく存じます。
と、こんなカンジでかまいません。
御仏前と一緒に送るなら、お花ではなく菓子折が無難
法事を欠席するときのマナーとして、
と言う人がいます。
たしかに、「せめてお花くらいは送っておきたい。」という気持ちになりますし、その方がより一層『故人を供養したい気持ち』が施主に伝わるかもしれません。
しかし、それってじつは【施主にとっては迷惑になる】こともあるんですよね。
お花を送ったところで、はたして本当に施主は嬉しく思っているのでしょうか?
故人が【お花が大好きだった】というのであれば話は分かりますが、もしそうではないならお花を送るというのは控えるべきです。
お花って、仏壇に供えるときも、後でそれを処分するときにも、それなりに手間がかかります。
しかし、面倒だからといって送られてきたお花を【そのままゴミ箱へ捨てる】なんてことは心情的にできません。
それで、
みたいな扱いになってしまうんですよ。
お花を送るというのは、結果的に【相手に余計な負担をかけてしまう】ことが多いのです。
ですから、法事を欠席する場合、施主には御仏前と便箋を送るだけで十分なんです。
どうしても何かを一緒に送りたいのなら、ちょっとした【菓子折り】がいいと思います。
それ以上は、施主にとって『ありがた迷惑』となる可能性がありますから控えましょう。
じつは、参列者の少ない方が施主は助かる?

ここで、あなたに1つ朗報があります。
あなたは、法事を欠席したいと思う一方で、
と心配になりませんか?
もしもそうなら、そこは安心して大丈夫ですよ。
きっと、施主は『あなたが欠席すること』をさほど気にはしませんから。
たしかに、施主も最初は「えっ、欠席するの?」と眉をひそめるかもしれませんが、それはほんの一瞬だけです。
なぜなら、じつは参列者の少ない方が施主は助かるからです。
最近では、お葬式も法事も参列者の数が減って『規模の縮小化』がどんどん進んでいます。
それはつまり、喪主や施主が【あえて参列者を絞り込んでいる】ということなんです。
その理由は簡単で、大勢の人が来ると全てにおいて【面倒】だからです。
喪主や施主は、建前としては「できるだけ多くの人に来てもらって故人の供養をしたい。」と言いますが、本心はまったく違います。
本当は、
と思っています。
だから、あなたが法事に欠席すると伝えても、施主は心の中では「そっか、まぁそれならそれでいいや。」と思うことでしょう。
ということで、あなたがどうしても法事を欠席したい理由があって、すべきことをすれば、法事には出なくてもかまいませんよ。
まとめ:自分の立場をよく考えて、それでも法事に出たくないなら欠席すればいい。
法事に参列するのが面倒になることもありまが、それはあなただけではありません。
面倒になってしまうのには人それぞれにいろんな理由があります。
いろんな理由があって、本当は法事に出たくないと思っていても、多くの人はそんなことを口にはできません。
それで、出たくはないけど【我慢】をして仕方なく法事に出席しています。
でも、法事に出たくないなら、べつに欠席してもいいんですよ。
法事は『自分も一緒に故人を供養したい』という気持ちがある人だけが出席すればいいわけで、『◯◯だから出たくない』という気持ちの方が大きい場合は、無理に出席する必要なんかないんです。
それに、施主はあなたの欠席をさほど気にしていません。
ただし、あなたが故人の【遺族】である場合は話が別ですから、法事に出るか出ないかは《あなたの立場》をよ〜く考えてください。
よ〜く考えた上で、それでも法事に出たくないなら、やるべきことをやった上で欠席をしてください。
そして、できれば次回こそは法事に出席してもらいたいなと思います。