お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- 夏にお墓参りをするときは何に注意しなきゃいけないの?
- お墓参りの暑さ対策には何を用意すればいいの?
お盆になるとお墓参りをします。
お盆というのは夏ですから、非常に暑くてお墓参りをするのがとても大変です。
また、夏のお墓参りは意外と『危険』なのです。
暑いのに無理をすると、ケガをしたり、場合によっては救急搬送されるような事態を招いてしまいますので、十分に注意しなくてはいけません。
この記事では、
- 夏のお墓参りの注意点
- お墓参りのときの暑さ対策として用意するもの
について紹介しています。
この記事で紹介している注意点を守れば安全にお墓参りをすることができますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
※お墓参りはいろんな持ち物がありますので、こちらの記事でチェックしてみてください。
夏のお墓参りは注意点がいっぱい
近年の夏の暑さは異常です。
「人間の体温かよっ!」と言いたくなるような気温の日が当たり前のようにあります。
そんな異常な暑さの中でお墓参りをすると、やはりそれなりに危険があるのです。
ですから、夏の場合は他のシーズンとは違って注意点が多くなります。
夏のお墓参りの注意点としては、
- 熱中症
- 日焼け
- 服装
- 高温の墓石
- 虫刺され
- できるだけ香水や整髪料をつけない
- お供物の後処理
- 小さな子ども
- 突然の雨
- 複数人で行く
が挙げられます。
注意点の中でも特に注意しなきゃいけないのが『熱中症』です。
『熱中症』というのは、症状が重いと救急搬送をしなくてはいけません。
そして、最悪の場合は【命を落とす】こともあります。
僕のいる寺でも、命を落とすほどではありませんが、お墓参りで体調を崩してしまう人が毎年おられます。
夏のお墓参りはけっこう大変ですが、だからといって『夏だけお墓参りをしない』というわけにもいかないんです。
なぜなら、夏には【お盆】があるからです。
お盆は、年に一度『ご先祖様や亡き家族が自宅に帰ってくる期間』です。
お盆の初日には、お帰りになるご先祖様たちをお墓までお迎えに行きます。
そして、お盆の最後の日はお墓まで行ってお見送りをします。
お盆というのは年に一度しかない大事な期間なので、やはりお盆のお墓参りは欠かせません。
お盆を含めて、夏のお墓参りはこれから紹介する注意点を守って安全に行いましょう。
【関連記事】⇒お盆の意味や由来。お盆の供養と風習についても詳しく解説
夏のお墓参りの注意点
ここからは、夏のお墓参りの注意点について詳しく解説していきます。
どれも安全にお墓参りをするための大事な注意点なので、しっかりとチェックしておいてくださいね。
熱中症に注意。水分補給はこまめに!
先ほども言いましたが、夏のお墓参りで1番注意しなきゃいけないのが、
熱中症
です。
たしかに《お墓参り》をしている時間そのものは大したことはありません。
でも、トータルで考えるとけっこうな時間になるんですよ。
例えば、車を降りてからお墓の前に着くまでに何分かかっていますか?
それに、お参りをする前に、まず【墓石の掃除】とか【除草作業】とかをするんじゃないですか?
それから、お花・お水・お供物を供えて、線香に火をつけて、最後に手を合わせます。
そして、ちゃんと後片付けをしてから帰るんです。
ほらね、1回のお墓参りでも意外と時間が必要なんですよ。
これを35℃を超える気温の中でやってみてください、若い人でもけっこう体力を消耗しますから。
最初から少し体調が悪かった場合はなおさら体がシンドイはずです。
お墓参りに来る人の中には【高齢者】もいます。
高齢者はどうしても身体の機能が低下していますし、暑さに対する感覚も鈍くなりがち。
だから、熱中症を発症しやすいのは圧倒的に高齢者なんです。
熱中症は、体温が上がりすぎてしまうことで、体内の水分と塩分のバランスが崩れて起こります。
なので、上手に汗をかいて【体温調整】をしないと熱中症になってしまうんです。
上手に汗をかくためには、
『こまめな水分補給』
が必要です。
しかも、ただの水ではなくて、できるだけ『良質な水分』の補給が望ましいです。
つまり、 スポーツドリンクや経口補水液のような『水分と塩分を適切なバランスで補給できるもの』がよいのです。
もちろん市販品でOKですから、夏のお墓参りのときには必ず『良質な水分補給』ができるモノを持って行くようにしてください。
日焼けに注意。日焼け止めは必須!
夏は、突き刺すような【強烈な日差し】が私たちを襲います。
この強烈な日差しのせいで、
日焼け
をしてしまいます。
女性なら強烈な日差しによる【日焼け】の恐ろしさをよくご存知のはず。
日焼けの恐ろしさは、日焼けした部分が赤くなってヒリヒリして痛いことです。
・・・。
・・・はい、日焼けの本当の恐ろしさはそんなことじゃないですよね。
そう、日焼けの本当の恐ろしさとは、
『シミ』や『しわ』の原因になる
ということです。
ですから、夏のお墓参りのときは必ず『日焼け止め』を塗りましょう。
というか、夏だけに限らず、お墓参りをするときは毎回塗った方がいいかもしれませんね。
夏の強烈な日差しは、【上空】からだけではなく、鏡のように磨かれた【墓石】からも反射されて、容赦なくあなたに襲いかかります。
ですから、女性は特に日焼け止めを塗らずにお墓参りをするのは絶対に避けるべきです。
日焼け止めはあなたが使い慣れたものを使えばいいです。
夏の場合は、紫外線がとても強いので【SPF50】のモノを使っていいんじゃないでしょうか?
僕は今までちゃんとスキンケアをしてこなかったせいで、顔にたくさんのシミができてしまいました。
そして、頭皮のケアもしてこなかったせいで、どんどん薄毛の道を歩み続けています(これは日差し以外の要因も多いかもしれませんが)。
それで、最近では人に顔を見せるのが何となく恥ずかしくなってしまいました。
とはいえ、顔を見せないでお坊さんの仕事はできません。
今となっては、ちゃんとスキンケアをしなかったことをとても後悔しています。
ですから、あなたは引き続きちゃんとスキンケアをしてくださいね。
服装に注意。できるだけ長袖や帽子を着用する
夏の強烈な日差しを防ぐためには、日焼け止めを塗る以外にも方法があります。
そうです、日差しが肌に当たらないよう、
服装
に注意すればよいのです。
念のために言っておきますが、お墓参りだけをするなら喪服を着る必要はありません。
喪服を着てお墓参りをするのは、法事やお盆供養をした後のお墓参りです。
月命日や彼岸のお墓参りのときには【普段着】でまったく問題ありませんので、季節や天候に合わせた服装でお墓参りをしてください。
夏のお墓参りでは、暑いかもしれませんが、日焼けの予防のために『長袖』を着る方がいいですよ。
日焼けの予防以外にも、掃除などで体を墓石にぶつけたときにも長袖の方がケガは少ないです。
とはいえ、あまり生地が厚すぎると熱中症の危険がありますので、そのあたりの調整は上手くやってくださいね。
また、着用する服の『色』にも注意が必要です。
夏のお墓参りでは、できるだけ【黒色】の服を着ないようにしましょう。
黒色というのは、太陽の光をよく吸収して熱をもつ色です。
ただでさえ暑いのに、黒色がさらに熱を追加してしまいます。
光を反射する【白色】と比べると、【黒色】は10℃以上温度が高くなることもあるのです。
ですから、夏の法事やお盆供養で《喪服》を着ているときは、お墓参りの時間をできるだけ短くすることをおすすめします。
また、本来であれば、お墓参りには『暗めで落ち着いた色』の服を着る方がよいのですが、夏に限っては安全を優先して『明るめの色』でもよいと思いますよ。
亡き家族やご先祖様だってその辺はちゃんと理解してくださいますから。
そして、強烈な日差しから【頭部】も守らなくてはいけません。
ですから、頭部を日差しから守るために、できるだけ帽子をかぶるようにしましょう。
夏にかぶる帽子は【通気性】が大事ですから、中に熱がこもってしまうようなものは避けましょう。
あとは、首に日差しを受け続けるのも危険なので、首の周りもカバーできる帽子があるとさらにいいですね。
夏のお墓参りで着用する帽子に関しては、見た目を気にせず機能性重視なのであれば『麦わら帽子』が最強ですよ。
『麦わら帽子』であれば、通気性、日よけできる範囲、価格、どれをとっても超優秀です、まぁ見た目は良くないですけどね。
ちなみに、僕がお墓で作業をするときには必ず『麦わら帽子』を着用しています。
高温の墓石に注意
夏の強烈な日差しは、人間だけではなく墓石もガンガン照りつけます。
そのせいで夏の墓石はメチャクチャ熱いです。
なので、夏のお墓参りのときは、
高温の墓石
に注意してください。
僕は今までに2回ほど【焼けた墓石】を触ってヤケドをしたことがあります。
ヤケドをしてしまったのは、いずれも【墓石の拭き掃除】をしていたときです。
少し体制を変えようとして、うっかり焼けた墓石に手をついてしまったのです。
しっかりと左の手のひらをヤケドしましたね。
墓石の素材が、昔よく使われていた【大谷石】であれば、石の表面がデコボコなので触ってもそんなに熱くないんです。
でも、最近の墓石は、耐久性のある【御影石】が主流です。
御影石の墓石は表面をピカピカに磨きあげますので、触ったときには手のひらと焼けた表面がぴったりと密着してしまいます。
それでしっかりとヤケドをしちゃうんです。
なので、あなたの家の墓石がピカピカに磨かれているなら、うかつに手をついてはいけませんよ。
もしも、その墓石が黒色だったらさらに熱いですから十分に注意してくださいね。
虫刺されに注意。虫よけを塗る&長ズボンをはく
夏の頃には、そこらじゅうに蚊が飛んでいます。
だから、夏のお墓参りのときには、
虫刺され
に注意です。
虫刺されに注意するというのは、要するに、
- 虫よけを塗る
- 長袖を着たり、長ズボンをはく
ということです。
蚊に刺されると、もちろんカユいです。
しかも、歳をとると蚊に刺された部分が痕になり残ってしまうこともありますよね。
なので、とりあえず蚊に刺されないようにすることが大事。
そのために、まずはちゃんと『虫よけ』を塗りましょう。
個人的には、ガス噴射で「シューッ!」っと体に吹きかけるタイプの虫よけはおすすめしません。
そうではなく、ピュッと手のひらに出せる『ローションタイプ』がおすすめです。
その方が、虫よけパウダーを吸い込まずにすみ、手でしっかりと塗ることができるからです。
特に、小さな子どもと一緒にお墓参りをする場合にはガス噴射でない方がパウダーを吸わせずにすみます。
また、虫よけは肌に付けるものですから、なるべく皮膚に優しい成分が使用されているモノがいいですよね。
そのような虫よけなら、大人だけではなく小さな子どもと一緒に使えて便利です。
虫刺されの対策としては、『長ズボン』をはくというのも有効です。
『長ズボン』でも、ピタッとしたものではなく、少しダボっとした余裕のあるものがいいですよ。
ピタッとしたズボンだと、布の上からでも刺されてしまうのです。
一方で、ダボっとしたズボンであれば布と脚との間に【すき間】ができるので刺されません。
それに、布と脚との間に【すき間】がある方が、風が通りやすくて涼しいのです。
さらには、長ズボンであれば、下半身の日焼け防止にもなりますので一石三鳥ですよ。
できるだけ香水や整髪料をつけない
外出をするときに【香水】や【整髪料】をつけるという人は多いです。
しかし、夏のお墓参りでは、
できるだけ香水や整髪料をつけない
ようにしましょう。
まず、お墓参りをするときに体から良い匂いがしている必要はありません。
そして、髪型がバッチリ決まっている必要もありません、寝ぐせが直してあれば十分です。
お墓参りで余計な香りは必要ありません、というかジャマになります。
じつは、お墓に供えた線香から出ている香りは【仏様の食べ物】になるのです。
だから、そこへ不要な香りはできるだけ無い方がよいのです。
理由はそれだけではありません。
夏のお墓参りで【香水】や【整髪料】をつけていると、あなた自身が危険にさらされる可能性があるんです。
【香水】や【整髪料】の匂いというのは、スズメバチなどの蜂を寄せ付けてしまう危険性があります。
【香水】や【整髪料】によっては蜂の本能を刺激してしまう成分が入っているからですね。
僕の見てきた限りでは、特に危険なスズメバチは5月~10月の暑い時期に活動しています。
匂いに敏感なスズメバチですから、あなたの【香水】や【整髪料】に反応して襲ってくるかもしれません。
もちろん、蜂のすべてが人を襲うわけではありませんが、それでも自分のところに蜂が寄ってきたら怖いですよね?
ちなみに、僕のいる寺が管理している霊園では、スタッフみんな香水をつけていません。
その理由は、匂いには人それぞれ好みがあるので、霊園使用者に不快感を与えないようにするため、そして、虫や蜂などを引き寄せないようにするためです。
これはきっと他の霊園でも同じだと思いますよ。
ということで、夏のお墓参りをするときには、できるだけ余計な匂いをさせずに線香の香りだけが漂うようにしましょう。
【関連記事】:お線香のあげ方やマナーを場面別に詳しく紹介。お焼香の作法も合わせて紹介
お供物の後処理に注意。夏のお供物は食べずに廃棄
お墓参りをするときには『お供物』を供える人も多いでしょう。
夏のお墓参りの場合は、
お供物の後処理
に注意してください。
まず、大前提として、『お供物』をお墓に置きっぱなしのまま帰ってはいけません。
お墓参りが終わったら『お供物』は必ず持ち帰るようにしてください。
そして、持ち帰った『お供物』は、食べずにそのまま廃棄しましょう。
本来であれば、お墓参りが終わったら『お供物』は家族みんなで食べるのが基本です。
しかし、夏の場合は、お墓に供えた『お供え物』を食べると危険なのでヤメておきましょう。
夏というのは、気温がだいたい【25℃~35℃】ですよね。
このくらいの気温は、食べ物についた菌が最も繁殖しやすい気温なのです。
仮に、お墓に供える直前まで冷やして保管していたとしても、夏の炎天下で熱せられたお墓に置いたら、すぐに『お供物』の温度は上がります。
ですから、食べずに廃棄する方がよいのです。
【参考記事】:お墓参りをする意味とは?お墓参りのやり方と注意点も詳しく解説
小さな子どもに注意
お墓参りは【家族みんな】で行くことも多いでしょう。
もしも家族の中に小さな子どもがいるなら十分に注意してあげてください。
夏の外出のときは、お墓参りに限らず、
小さな子ども
に注意が必要です。
まず、小さな子どもは大人よりも頭が地面の近くにあります。
真夏のアスファルトだと表面温度が60℃くらいあるんです。
そんなところに長時間いたら非常に危険です。
最近のお寺や霊園の通路はちゃんと舗装されているので、それだけ表面温度も高くなってしまうのです。
小さな子どもと一緒にお墓まりをするなら、基本的には日陰で待たせましょう。
日影がないようなら、せめて日傘をさしてあげましょう。
そして、いつでも水分補給できるように準備をしてあげてください。
また、先ほども言いましたが、夏の墓石はメチャクチャ熱いです。
小さな子どもはそのことが分かりませんから、誤って触ってしまうかもしれません。
子どもの皮膚はまだ薄いので、ヤケドしてしまうと可哀そうですよ。
小さな子どもは、まだ自分でいろんな判断ができません。
ですから、周りの大人たちが目を離さないようにしっかりと見守ってあげてくださいね。
【関連記事】:小さい子どもをお墓参りに連れて行く時の注意点。
突然の雨に注意
最近の夏は本当に暑いですよね。
暑い( =気温が高い )ということは、それだけ上空に積乱雲ができやすくなり、結果的に、
突然の雨
が降ります。
最近では局地的に降る大雨のことを『ゲリラ豪雨』なんて言ったりしますよね。
ゲリラ豪雨は気温の高いときに降りやすいので、午前中のお墓参りであれば心配しなくていいでしょう。
ただ、午後に行くなら【突然の雨】があり得ることを覚悟しておくべきです。
なので、午後に行くときには、お墓参りの持ち物以外に、
- 雨傘
- レインコート
- タオル
など、雨の準備をした方が無難ですよ。
とはいえ、夏の大雨って、何となく雰囲気で分かりませんか?
空がどんどん暗くなっていくし、急に風が吹き始めます。
もしもそのような変化があれば、お墓参りは早めに切り上げて、さっさと帰宅しましょう。
【関連記事】:雨が降っていてもお墓参りをしていいの?雨の日のお墓参りの注意点。
複数人で行く
お墓参りにはできるだけ家族みんなで行くことが望ましいです。
その方がご先祖様も喜んでくれるでしょうから。
しかし、お墓参りに1人で行くことがダメなのではありませんよ。
お墓参りというのは1人で行ってもまったく問題はありません。
ただし、夏の場合は話が別です。
夏に限っては、
複数人で行く
という方がいいかもしれませんね。
これまで紹介してきましたように、夏のお墓参りは、他のシーズンに比べてトラブルは多めです。
ですから、もしも何かトラブルがあったときには複数人の方がしっかりと早く対処できます。
特に高齢者の家族が「1人でお墓参りに行ってくる。」なんて言った場合は、できれば一緒に行ってあげてください。
【関連記事】:1人でお墓参りに行ってはいけない?そんなの気にせず1人で行け!
まとめ:夏のお墓参りは、注意点をしっかり守って安全にお参りをしましょう。
『夏のお墓参り』には意外と危険が潜んでいます。
ですから、【夏のお墓参りの注意点】をちゃんと知っておいた方がいいんですよね。
夏のお墓参りで注意すべきは、
- 熱中症
- 日焼け
- 服装
- 高温の墓石
- 虫刺され
- できるだけ香水や整髪料をつけない
- お供物の後処理
- 小さな子ども
- 突然の雨
- 複数人で行く
です。
ここ近年の暑さは異常です。
少し油断をしたら簡単に体調を崩してしまうレベルの暑さです。
ですから、夏の場合は、他のシーズンよりも十分に気をつけてお墓参りをしなくてはいけません。
ただでさえ暑いのに、注意事項まで増えてしまうのでとても大変です。
だからといって、夏にはお盆がありますから、お坊さんの立場としては「夏はお墓参りをしなくてもいいですよ。」とは言えないんですよね。
でも、この記事で紹介した【夏のお墓参りの注意点】を守っていれば安全にお墓参りをすることができます。
全部とはいかないと思いますが、できる範囲で対策をしてからお墓参りをしてくださいね。
※お墓参りへ行く前にコチラの記事もぜひご覧ください。