お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- 「雨の日にお墓参りをしてはいけない。」と言われるけど、どうしてダメなの?
- 天気予報では【雨】らしい。でも、都合上どうしてもその日にお墓参りをしたい。
- 雨の日にお墓参りをする場合は、どんなことに注意しなきゃいけないの?
お墓参りをする機会は、
- 命日
- 法事
- お盆
- お彼岸
など、一年のうちに何度もあります。
すると、お墓参りをしようと思っていた日に雨が降るということもあります。
じつは、昔から『雨の日にはお墓参りをしてはいけない』という言い伝えがあるのですが、そんなのは単なる【迷信】なので、注意点を守っていれば、雨の日でもお墓参りをして問題ないです。
この記事では、
- 雨の日にお墓参りをしても問題ない理由
- 雨の日にお墓参りをするときの注意点
について分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただければ、雨の日でも安心してお墓参りができるようになりますので、ぜひチェックしてみてください。
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雨の日にお墓参りをしても問題ない
お墓参りへ行こうと思っていたのに雨が降っていることはよくあります。
雨が降ると着ているものが濡れてしまうため、雨の日のお墓参りを避ける人が多いです。
そして、他の理由で雨の日にお墓参りをしない人もいます。
じつは、昔から『雨の日にお墓参りをしてはいけない』と言われており、雨の日のお墓参りは【縁起の悪いこと】とされているんです。
でも、これはハッキリ言って【迷信】であって、どこかの誰かが勝手に言い始めたことなんですよね。
ですから、もちろん仏教のどの宗派でも 『雨の日にお墓参りをしてはいけない』 なんていう教義はありません。
ですから、雨の日にお墓参りをしても問題ないですよ。
というか、お墓参りをするのに天気の良し悪しは一切関係ないです。
あなたがお墓参りをしたいと思ったら、天候なんか気にせずお墓参りをしてください。
【関連記事】:お墓参りにはいつ行くべき?お墓参りをするタイミングと時間
なぜ 雨の日にお墓参りをしてはいけないの?
なぜ 『雨の日にお墓参りをしてはいけない』 なんて言われるようになったのでしょう?
それは、
- 安全のため
- 衛生面
- 陰陽の考え方
が理由となっていると考えられます。
安全のため
『雨の日にお墓参りをしてはいけない』 と言われる1つめの理由は、安全のためです。
墓地というのは、墓石や敷石などがあってとにかく【石だらけ】ですし、墓石はキレイに磨き上げているので、水に濡れるとすごく滑るんですよね。
日頃から墓石に関わっているお坊さんの僕でさえも、気を抜くとズルッと足を滑らせることがあります。
これがもし高齢者だったりしたら、そのまま転倒してしまい、墓石に身体を打ちつけてケガをしてしまうかもしれません。
そのようなことを予防するために『雨の日にお墓参りをしてはいけない』と言われるようになったのでしょうね。
でも、逆を言えば、雨の日でも滑らないように対策をとるなど十分に注意していれば、お墓参りをしても問題はないんですよね。
衛生面
『雨の日にお墓参りをしてはいけない』 と言われる2つめの理由は、衛生面です。
これは要するに、墓地の不衛生な土汚れなどを、家まで持ち帰ってしまわないようにするためです。
昔は遺体をそのまま土の中へ埋葬する【土葬】が一般的でした。
土葬された遺体は、だんだんと腐食し、やがて病原体が発生しますので、雨が降り続くと、土中から病原体が染み出してくることもあるのです。
雨の日にお墓へ行くと、その病原体が靴や衣類に付着して、そのまま家まで持ち帰ることになりますので、それを予防するために雨の日にはお墓に近づいてはいけない、ということになったんですね。
しかし、現在では【火葬をした後に遺骨が骨壺に納められた状態】で埋葬をしますので、土中から病原体が出てくることはありません。
よって、少なくとも現在においては、衛生面についてはお墓参りをしてはいけない理由がありません。
陰陽の考え方
『雨の日にお墓参りをしてはいけない』 と言われる3つめの理由は、陰陽の考え方によるものです。
陰陽では、
- 『晴れ』というのは【陽=プラス要素】
- 『雨』というのは【陰=マイナス要素】
と考えられています。
だから、ご先祖様にご挨拶をしに行くのなら、陰である『雨の日』は避けるべき、ということになるのです。
しかし、僕はイマイチこれに納得ができないんですよね。
雨というのは、要するに『水』です。
『水』というのは、ほとんどの生物や植物にとって生命維持のために必要不可欠な要素、つまり命の源となる超重要なものなのに、どうしてそれが【陰】なのでしょう?
【陰】どころか、かなりの【陽=ポジティブ要素】じゃないですか?
というわけで、雨の日にお墓参りをしても、【陰】ではなく【陽】なんだから何の問題もないです。
【関連記事】:お墓参りをする意味とは?お墓参りのやり方と注意点も詳しく解説
雨の日にお墓参りをする時の注意点
雨が降っていてもお墓参りをして大丈夫です。
ただし、晴れている時とは違って、雨の日ならではの【注意点】があるので、その中の大事なことを4つ紹介します。
足元が悪い
雨が降ると、道がぬかるんでいたり水たまりがあって足元が悪いので十分に注意してください。
昔からあるお寺や霊園の場合、通路が砂利や土だったりするので、気をつけないとズルッと足を滑らせてしまうことがあります。
また、通路がしっかりと整備されていない所には水たまりができやすいので、足がハマってしまわないように注意しましょう。
雨が降っていると、片手は傘を持っていて、もう片方の手にはお墓参りの道具などを持っていることが多いです。
その状態で足を滑らせたり水たまりにハマったら、とっさに動くことができませんし、場合によっては転倒して大ケガにつながります。
雨の日は、お墓に到着するまでの道のりから注意が必要なのです。
ちなみに、最近では、持ち手の部分が『C型』になっている傘があって、これなら手首や腕を持ち手に引っかければ両手が使えて便利です。
しかも、逆折りたたみ式&自立式ですから、帰宅してからの傘の管理もラクなのでおすすめです。
お墓の掃除もするつもりなら【雨がっぱ】を着る
多くの人は、雨が降っていたら傘をさしながらお墓参りをしています。
もしも、ちょっと手を合わせに行くだけとか、お線香だけ供えるというようなお墓参りだったらそれでもいいでしょう。
しかし、お墓参りだけではなく、お墓の掃除もするつもりなのであれば、傘だけではなく雨がっぱも持って行くことをおすすします。
僕も雨の中でいろいろと試してみましたが、雨の日の作業にはやっぱり【雨がっぱ】が一番いいんですよ。
傘をさしながらでも墓地の掃除ができないこともないですが、普通の傘だと、
- 常に片手がふさがるので掃除がしづらい
- 両手を使いたくて、頭をかしげながら首と肩で傘の持ち手を挟んでも、ちょっとした風でも傘がグルンと動いてしまう
- 頻繁に傘が墓石にカチカチ当たってしまう
といったように作業がしづらいのです。
それに、そんなことを繰り返していると、どのみち掃除が終わる頃には雨で全身が濡れていることでしょう。
だから、雨の日にお墓の掃除までちゃんとするなら【雨がっぱ】を着た方がいいんですよ。
さらに言えば、ちゃんと上着とズボンに分かれているタイプの雨がっぱなら全身を完全防備できて、なおかつ動きやすくていいです。
ちなみに、いわゆる『ポンチョ』のタイプはやめておきましょう。
『ポンチョ』のタイプは、見た目はとても良いですが、掃除をする時に墓石にすそが引っかかりますし、しゃがんだりすると結局は下半身が濡れてしまうんです。
そのようなことを気にしながらお墓参りや掃除をしていると、肝心な足元の注意がおろそかになって滑ってしまうだけではなく、とっさに体勢を立て直すことができずにそのまま転倒してしまうことだってあるんです。
ですから、見た目は少しくらい悪くても、しっかりと上着とズボンが分かれているタイプの雨がっぱにした方がいいですよ。
雨で滑るので、とにかく【すべての動作をゆっくり】が鉄則
あなたがまだ小さかった頃に、親から「こらこら、そんなに走ったら転んじゃうよ。」って言われたことはないですか?
幼い子どもとその親が一緒に道を歩いているときの決まり文句ですから、おそらく95%の人が親からこの言葉を言われたはずです。
でも、逆に「こらこら、そんなにゆっくり歩いたら転んじゃうよ。」と言われたことはないですよね?
ものすごく当たり前のことですが、動作を素早くすると勢いがつくので、転んだり滑ったりしやすくなるんです。
それは雨が降っていたら、なおさらのこと。
墓地にある墓石はキレイに磨き上げられており非常に滑りやすいので、雨が降っているときのお墓参りは、すべての動作を『ゆっくり』が鉄則です。
雨の日は気をつけていても滑るくらいですから、普段のようにパッパッと動かず、一つ一つ周囲を確認しながら動作は【ゆっくり】でお願いします。
お線香に火をつけるときにはターボライターを使う
雨のお墓参りで苦戦するのが【線香に火をつけること】です。
線香に火をつけるのって、晴れていてもけっこう苦戦するものなので、雨だとさらに手こずってしまうわけです。
ですから、いっそのこと雨の日は無理にお線香を供えなくてもいいですよ。
もちろん、本来であれば、お墓参りをするときにはお線香を供えるべきですが、雨が降っていたら『普段どおり』にはできないですよね?
ですから、雨が降っていたら『手を合わせる』だけにして、お線香を省略することも仕方ないかなと思います。
たまに、
と言う人もいますが、線香へ火をつけずに供えるくらいなら、何も供えない方がマシです。
お線香というのは、燃やしたときに出る【香り】に意味があるんですよね。
なので、【香り】の出ていないお線香を供えても無意味ですし、ただ香炉(=お線香を供える場所)を汚すだけなのでヤメましょう。
ただ、雨が降っていても、ちゃんとお線香を供えたいという人もいますよね。
雨の日にお線香を供える場合は、早く火をつけられるように『ターボライター』を使った方がいいですよ。
火をつけるのにモタモタしていると雨がどんどん線香を濡らしてしまい、最終的には何をしても線香に火がつかなくなります。
だから、晴れの日はもちろんのこと、雨の日こそ火力の強力な『ターボライター』が活躍するんです。
とはいえ、100円くらいで買えるような安いターボライターだと火力が弱すぎて、雨の日には使い物になりませんのでダメです。
※お坊さん歴20年以上の僕が自信を持っておすすめできるライターがありますので、詳しくは別記事の『【火がつかないイライラを解消】お墓参りに1番適したライターはこれだ!』を読んでみてください。
雨の日は無理にお墓参りをしなくてもよい
この記事では、これまで【雨の日でもお墓参りをしてもいい理由】そして【雨の日のお墓参りの注意点】について書いてきました。
それなのに、今さらこんなことを言うのもアレですが、雨の日は無理にお墓参りをしなくてもいいですよ。
たとえその日が故人の命日でも、お墓参りが数日程度遅れるくらいなら何の問題もありませんし、命日にお墓参りができないから故人が怒るなんてこともありません。
だから、天候が悪ければ、お墓入りは後日に延期するというのもアリです。
とはいえ、「雨が降っていても、やっぱりお墓参りをしておきたいな。」と思う人もいることでしょう。
そのように思っているのなら、ぜひお墓参りをしてください。
雨の中わざわざお参りをしてくれているあなたに対して、ご先祖様や亡きご家族はきっと喜んでいらっしゃるはずです。
ただ、もしも体調がすぐれない場合などは、雨の日には無理をしてお墓参りをしないようにしてくださいね。
まとめ:雨の日でもお墓参りをして問題ない。でも、注意点は守ってください。
お墓参りは、あなたの都合の良いタイミングで行けばいいです。
たとえ、それが『雨』が降っているような日でも、あなたがお墓参りをしたいと思ったら行くべきです。
本来なら毎日のようにお寺へ行き、本堂のご本尊様に手を合わせて、そしてお墓参りをするものですから、もちろん雨が降る時だってあります。
とはいえ、実際のところ毎日お墓参りなんてできませんし、それはお墓と家が近くにあるのが普通だった時代の話。
現代では、命日、法事、お盆、お彼岸のような【仏事の節目や行事】のときだけお墓参りをする人が大多数ですから、お墓参りに行こうとしていた日に雨が降ることも十分にあり得ます。
雨が降ったらお墓参りはダメなんてことはないです。
雨でも晴れでも同じこと、お墓参りに天気の良し悪しは一切関係ありませんよ。
ただし、雨の時のお墓参りはケガをしないように普段よりも慎重にお願いしますね。
そして、雨のお墓参りの時には相応の格好や準備をしておいてください。
ご先祖様も、雨の降る中あなたがわざわざお墓参りに来てくれたことをきっと喜んでいることでしょう。