お墓の疑問

お墓参りで【お酒】を供える時の注意点。お墓にお酒をかけるのはNG!

お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

こんな人に向けて書いています
  • お墓参りの時に、故人が好きだった【お酒】を供えたい。
  • お墓へ【お酒】を供える時は何に注意すればいいの?

お墓参りをする時には、お線香やお花の他にも『故人が好きだったもの』を一緒にお供えします。

それで、故人が好きだった【お酒】を供える人も多いのですが、じつはお墓にお酒を供えるのは好ましくないのです。

とはいえ、絶対にダメというわけではないので、お墓にお酒を供えること自体は可能です。

ただし、お水を供えるときとは違って、お酒を供えるときには守るべき注意点があります。

この記事では、

  • お墓にお酒を供えることの可否
  • お墓でお酒を供える時の注意点

について詳しく解説しています。

お墓にお酒を供える時には必ず役立つ情報となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

※この記事では、日本酒だけに限らず、ビール・焼酎など全てのアルコールを【お酒】と表現しています。

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そもそも、お墓に【お酒】を供えてもいいの?

お墓参りで【お酒】を供えるという人は多いです。

特に『故人はお酒が好きだった』という場合、家族としてもお酒を供えてあげたいと思いますよね?

そう思う一方で「お墓にお酒を供えてもいいのかな?」という疑問も出てくるでしょう。

お墓にお酒を供えることに関して、お坊さんの僕としては『好ましくはないが、一応は大丈夫』という意見です。

亡くなった人はあの世(仏様の世界)で修行をするとされていますが、あの世で修行をするにあたり『お酒を飲んではいけない』という決まり事があるんですよね。

つまり、お墓にお酒を供えることは、お酒を飲まずに頑張って修行をしている故人に対して、お酒をすすめているようなものなんですよね。

でも、多くの人はそんなことを知らないので、

ほら、おじいちゃんの好きだったお酒だよ、どうぞ♪

と言ってお酒を供えます。

すると、故人としては、目の前に大好きなお酒があっても、それを飲んじゃいけない状態になってしまうんです。

家族だって、まさかお酒を供えることが【かえって故人を苦しめてしまう】なんて想像もしません。

これってとても残念な話ですよね。

ですから、故人にとっても、そして家族にとっても、お墓にお酒を供えない方がいいと思います。

とはいえ、家族としては【故人に喜んでもらいたい】からお酒を供えるわけですよね。

きっと、

  • 生前にとても可愛がってもらった
  • 生前にいろいろとお世話になった
  • 自分を産んでくれた親だから

といったように、故人に対して感謝をしているから喜んでもらいたいんですよね?

この『感謝の気持ち』というのが仏教ではメチャクチャ重要なんですよね。

だから、その『感謝の気持ち』を伝える方法の1つとしてお酒を供えているなら、「まぁ・・・いいかなぁ。」って思うところもあります。

それに、【お酒は絶対に供えちゃダメ!】なんていう決まりもないんですよね。

ですから、供えたお酒を故人が飲むかどうかは別として、お墓にお酒を供えても一応は大丈夫です。

お墓参りでお酒を供える時の注意点

当たり前の話ですが、【酒】と【水】では成分がまったく違います。

ですから、お酒の場合は【供える時の注意点】があるんです。

注意点の中には、あなただけではなく他のお墓にも関係する事項もありますので十分に気をつけましょう。

お酒を供える場所は水鉢?

お墓にお酒を供えたくても、どこへどうやって供えればいいか迷いますよね?

お墓には『水鉢(みずばち)』という、楕円形で少し凹んだ場所があります。

水鉢があるのは、お墓の中央部分で両方の花立ての間にあります。

この水鉢の部分には、自宅から持参した【水】を注ぎ入れます。

ということは、水鉢へ【水】の代わりに【お酒】を注いであげればいいと思うかもしれませんが、それはダメ。

後述しますが、墓石にお酒を触れさせると石の劣化を早めてしまうので良くないんです。

それに、水鉢は【水】専用の場所です。

仏教において【水】というのは非常に重要で必要なものですが、【お酒】については不要というか避けるべきなものなんです。

つまり、【水】を注ぐ場所に【お酒】を注ぐなんてことは言語道断なので、お酒は他の空いているスペースに供えてください。

したがって、お墓にお酒を供える場合は、ビンや缶のまま供えるか、他の容器に移して供えることになります。

もしも他の空いているスペースが無い場合は、仕方ありませんので水鉢にビンや缶などのまま供えてください。

要するに、水鉢にはお酒を直接注ぎ入れないでくださいということです。

【関連記事】:お墓の真ん中にある【くぼみ】は何?湯呑みやコップを置くための場所?

缶やビンのなどを開けて供える

お酒というのは、

  • ビン
  • 紙パック

などに入って販売されています。

ですから、購入したお酒をお墓へ供えるときには、缶やビンの【フタ】を開けて供えるといいですね。

買ってきたお酒を飲むには、フタを開けないと飲めないですよね?

ですから、お酒を供えるときにも同じようにフタを開けましょう。

先ほども言いましたが、故人は修行中なので【お酒を飲めない】にしても、ちゃんとフタを開けることで、せめて『お酒の香り』くらいは楽しんでもらいましょう・・・それだと余計にツラいですかね?

ちなみに、仏様というのは線香や焼香といった『お香』から出る【香り】を食べると言われており、これを仏教では『香食(こうじき)』といいます。

だから、もしかすると、お酒から出ている匂いを嗅ぐだけでも故人は喜んでくれるかもしれませんね。

【関連記事】:お香(こう)を供える意味とは?焼香の作法や線香の供え方も紹介します

できれば別の容器に注いで供える

あなたは自宅でお酒を飲むときに、

  1. 缶やビンのまま飲む
  2. グラスなど別の容器に注いで飲む

では、どちらの方が美味しく感じますか?

たぶん、【②番:グラスなど別の容器に注いで飲む】ではないでしょうか?

特にビールの場合は『泡』にこだわりがある人ほど、別の容器に注ぐことでしょう。

というわけで、せっかくお酒を供えるなら、それと同じことを故人にもしてあげてほしいので、できれば別の容器に注いで供えるようにしましょう。

ビンや缶のフタを開けたまま供えるのでもイイんですけど、さらに丁寧に供えるのなら『別の容器』に注いでください。

そして、お酒を注ぐ容器は『生前に故人が使っていたもの』がベストです。

故人の使い慣れた容器で、できるだけ美味しく召し上がっていただける状態で供えてあげてください・・・まぁ、故人は修行中なので飲めないんですけどね。

お参りが終わったら、お酒を砂利か土にまく

大事なことですが、供えたお酒をそのままにして帰ってはダメですよ。

お墓参りが終わったら、供えたお酒を何らかの方法で処分しなくてはいけません。

しかし、フタを開けたお酒をそのまま持って帰るのは大変ですから、できればその場で中身を処分したいところです。

あなたが故人の代わりにその場で飲むというのもアリですが、車でお墓参りに行っていたなら飲酒は絶対にダメです。

というわけで、現実的な処分方法としては『砂利か土にまく』のがいいです。

大量のお酒を毎日のようにまいてしまうとダメですけど、たまにであれば地面にまいてしまっても問題はありません。

もちろん、自分の家の墓地内にまくことが条件ですけどね。

仮に、墓地内に砂利や土がない場合は、仕方がないので通路の脇などにある土や砂にまくしかないでしょう。

ただし、近くに植木などが植えられている場合はお酒をまいてはいけませんよ、下手をするとアルコールによって枯れてしまいますので。

ちなみに、ほとんどのお寺や霊園には【水場】がありますが、【水場】にはお酒を流してはいけません。

【水場】は、お墓参りで使う水をくんだり、汚れた花筒を洗ったりする場所であって、お酒やジュースを流すための排水溝ではありません。

それに、【水場】へお酒を流してしまうと、ニオイが残ってしまい後から使う人に迷惑がかかりますのでヤメましょう。

絶対に他の家の墓石にかからないようにする

お酒を地面にまく時に注意してほしいことがあります。

それは、絶対に他の家の墓石にかからないようにするということです。

これは、自分の家の墓地に砂利や土がなく、通路の脇の土にまく時に注意が必要です。

土の上にお酒をドボドボまいていると、お酒がはねて他の家の墓石にかかってしまうことがあり、泥とお酒の混ざったものが墓石にベットリ付着してしまうんです。

それをその家の人が見たらもちろん怒りますし、必ずトラブルになりますので、土にお酒をまく時には、慎重にそ~っとまくようにしましょう。

お酒は絶対にお墓へ直接かけない

お墓にお酒を供える時のとても大事な注意点があります。

それは、お酒は絶対にお墓へ直接かけないということです。

たまに、【お墓の上からお酒をかけている】人がいるんですが、それは絶対にヤメてください。

お酒には【糖分】が入っていますので、それをお墓にかけてしまったらお墓がベトベトになります。

それをちゃんと完璧に拭き取ることができればイイですけど、きっとある程度は残ってしまいます。

そうすると、お墓に残った【糖分】のせいでアリなどの虫が寄ってくるんですよ。

それだけではありませんよ、お墓の細かい傷や穴からお酒が入り込んで、そこが変色したり、最悪の場合はそこの部分の劣化が進むのです。

大事なお墓なのに、いつも虫がたくさんいて、しかも変色したり一部が傷んでいたら、故人やご先祖様に対して申し訳ないですよね?

ですから、お墓には絶対に直接お酒をかけないようにしましょう。

空になった缶やビンは、できるだけ持ち帰って処分する

お墓参りが終わったら、先ほど紹介したように中身をちゃんと処分してください。

あとは【空になった缶やビン】の処分ですが、これに関しては『マナー』の問題かと思います。

僕としては、空になった缶やビンは、できるだけ持ち帰って処分するのがイイと考えています。

お寺や霊園には必ず『缶・ビン』用のゴミ箱がありますが、これはお墓参りに来た人が飲んだ後の缶やビンを捨てるためにあるのです。

基本的には『お供物』を捨てるためのゴミ箱ではないとうことを覚えておいてください。

お墓参りの原則として、花や線香以外の『お供物』はすべて自宅に持ち帰るものなんですよね。

ですから、お墓にお酒を供えるのなら、最後はそれを自宅に持ち帰って処分しなきゃいけないんです。

それなのに、持ち帰るのが面倒くさいからといって、お寺や霊園にある『缶・ビン』用のゴミ箱に捨ててしまうのはいかがなものでしょうね?

まとめ:お墓にお酒を供える時は注意点を守りましょう

お墓参りの時に【お酒】を供えるという人は多いです。

お墓にお酒を供えることは、本来であればあまり好ましい事ではないと思います。

あの世での仏道修行において『お酒を飲んではいけない』という決まりごとがあるからです。

しかし、家族としては「故人が好きだったお酒を供えてあげたい。」という気持ちもあるわけで、その気持ちも尊重されるべきものではあります。

ですから、実際に故人が供えたお酒を召し上がるかどうかは別にして、【家族の気持ち】が込められた『お供物』としてお墓へ供えてもよいでしょう。

また、お酒を供えるには、

  • 缶やビンのフタなどを開けて供える
  • できれば別の容器に注いで供える
  • お参りが終わったら、お酒を砂利か土にまく
  • 絶対に他の家の墓石にかからないようにする
  • 空になった缶やビンは、できるだけ持ち帰って処分する
  • お酒は絶対にお墓へ直接かけない

といった注意点があることを知っておきましょう。

お墓参りでは、ご先祖様や故人に対して【感謝の気持ち】を示すことが大事です。

あなたにとって【感謝の気持ち】を示すことの1つが『お酒を供えること』であれば、注意点を守ってお供えしてあげましょう。

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