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お墓の疑問

お墓に供える花は【菊】が無難である理由。逆に、適さない花はどんな花?

お墓に供える花は菊が無難
こんな人に向けて書いています
  • なぜお墓に供えるお花は【菊】が多いんだろう?
  • お墓に供える花なんて、べつに何でもいいんじゃないの?
  • 結局は、お墓にはどんな花を供えればいいの?

お墓に供える花を選ぶのは意外と難しいと思いませんか?

花の種類は本当にたくさんあるので、

  • 故人が好きだった花
  • 色鮮やかなキレイな花
  • 良い香りのする花

など、どれにすればいいのかと考えれば考えるほど分からなくなります。

それなのに、誰かに、

お墓に供えちゃいけないお花もあるんだよ。

なんて言われてしまうと、どの花を選んでも失敗しそうな気分になりますよね。

そこで、この記事では、お坊さん歴20年以上の僕が、

  • お墓にはどんな花を供えればいいのか
  • お墓に供える花は【菊】が無難である理由
  • お墓に供えるのには適さない花の種類

について詳しく書いています。

お墓に供える花のことで悩まなくなりますので最後まで読んでみてください。

お墓に供える花は【菊】が無難

お墓参りで花を供えるのはとても大事なことです。

しかし、お墓参りの目的は、お墓を通じてご先祖様と繋がり、日頃の感謝の気持ちをお伝えすること。

だから、あまり花のことばかりを考えないでほしいのです。

ということで、お墓に供える花はどんなモノがいいのかをお伝えします。

お墓に供える花は『菊』が無難である理由

お墓へ供える花は【菊】が無難です。

お墓参りで菊を供えるのが無難であることには、それなりに理由があります。

菊は『最高の権威』の象徴

あなたは、天皇家の紋章が『菊』であることをご存じですか?

これは、後鳥羽上皇が【菊が大好き】だったことが由来なんだそうです。

本当に菊が大好きで、身の回りにあるいろんな物に【菊】の絵を入れさせました。

後鳥羽上皇といえば、日本史が大嫌いな僕でさえ聞き覚えがあるくらい歴史上の偉大な人物。

そんな偉大な人物が愛した菊だからということで、次の天皇の代でもそのまま【菊】をとても大事にしていました。

それが、同じように次の代、そしてそのまた次の代、と脈々と受け継がれていったのです。

つまり、後鳥羽上皇の菊好きが、後の代にまで受け継がれ続けて、結局そのまま天皇家の紋章として残っているんです。

このようなことからも、菊は『最高の権威』の象徴とされています。

ちなみに、菊の原産国は中国ですが、やはり【権力・尊厳・崇高】の象徴として考えられている花です。

私たちが今こうやって生きているのはご先祖様達がいてくれたからで、誰か一人だけでも欠けていたら今の自分は存在していません。

ならば、そんなご先祖様達には『最高の敬意』を示すべきだと思いませんか?

ですから、ご先祖様達に最高の敬意を示すために、お墓にはできる限り【最高の権威の象徴】である菊を供えるということなんですね。

菊は長持ちする

お墓に菊を供える理由は、ご先祖様に対して『最高の敬意』をはらうことだけではなく、じつは『実用的』な理由もあるんですよね。

あなたも聞いたことがあるかもしれませんが、菊は他の花よりも【長持ち】すると言われます。

たしかに僕の経験上でも、お墓に供えた菊を数日経ってからもう一度見ると、他の花に比べてキレイに残ってます。

花はできるだけ長待ちしてもらいたいですよね。

お墓にお供えするものですから、可能な限り【美しい状態】であってもらいたい。

しかし、花は【生き物】なのでずっと美しいままではなく、数日もすれば花の頭が垂れて変色し、やがて独特の異臭を放ち始めます。

しかし、菊であれば他の花よりも長持ちします。

さらに、菊は散った花びらが墓石にベットリと着くこともないんですよね。

他の花の場合、落ちた花びらが花筒に付着したまま乾いてしまうと、次に来たときの掃除がとても面倒。

しっかりと花筒をこすらないと汚れが落ちないのでイライラします。

菊であればそんな面倒な思いをしなくていいのですから、お墓に供える花に菊を選ばない理由がないんですよね。

菊は種類や色が豊富

菊がお墓に供えられるのには、他にもまだ理由があります。

それは、菊には種類や色が豊富にあるからです。

じつは、菊は『切り花』としての生産量が日本一なんです。

菊の花は、昔からある『和菊』はもちろんですが、近年では『洋菊』もたくさん生産されています。

これによって、お墓に供える花のバリエーションがさらに増えました。

以前のような【いかにも仏花】というようなモノが少なく、とても色鮮やかで贈り物の花束みたいなんですよね。

しかし、バリエーションが増えたせいで、より一層花選びに迷ってしまう結果となりました。

菊には【邪気を払うチカラ】があると言われている

じつは、昔から菊には【邪気を払うチカラ】があると言われています。

菊に【邪気を払うチカラ】があると言われる理由を簡単に説明します。

毎年9月9日には『重陽(ちょうよう)の節句』といって、菊の香りを移した『菊酒』を飲んで、邪気を払い長寿を祈願するという風習があるんですよね。

なぜ、9月9日にそのような菊にちなんだ風習があるのでしょうか?

昔の中国の考え方ですが、

  • 奇数=縁起がよい数=陽数
  • 偶数=縁起が悪い数=陰数

とされていました。

9月9日というのは、1番大きい陽数である【9】という数字が2つ重なる日なので、とても縁起のよい日とされていました。

そして、昔の9月9日というのは現在の《10月中旬頃》になり、この時期にキレイな花を咲かせるのが【菊】です。

ですから、とても縁起の良い時期に咲いている【菊】には邪気を払う効果があるとされたのです。

というわけで、お墓にお花を供えるなら、せっかくなので縁起の良いお花である菊を優先的にお供えしましょう。

お墓への菊の供え方

菊が仏花として最適なのはお分かりいただけたと思いますが、では、その菊をどのように供えればいいのでしょうか?

菊の色

まずは、菊の【色】について。

お墓に供える菊の色は、最低でも3色はほしいところです。

仏教において、『3』『5』『7』というのは非常に重要な意味があります。

せっかくですから、少なくとも『3』という数には絡ませたいので、お墓に供えるお花は最低でも3色使うようにしてください。

そして、その3色の中に『白』を入れるとさらに良いです。

なぜなら、『蘇悉地羯羅経(そしつじからきょう)』というお経の中の『供養花品(くようかぼん)』というパートの中に「仏には【白い花】を供えよ」と書いてあるんですよね。

ですから、仏様には【白い花】を供えるものなので、お墓に供える花も『白色』を軸にして選ぶのがセオリーです。

もしも「3色じゃ物足りない。」という人は『5色』使ってください。

もしも5色にするなら、

  1. 赤(ピンクで代用)
  2. 青(または緑)
  3. 黒(紫で代用)

がベストです。

この5色にはそれぞれ仏教的な意味があります。

仏教では、

  • 【白】お釈迦様の歯の色
  • 【赤】お釈迦様の血液の色
  • 【黄】お釈迦様の肌の色
  • 【青】お釈迦様の頭髪の色
  • 【黒】お釈迦様の着ている衣の色

と考えています。

【赤】はお釈迦様の血液の色を表し、あまり真っ赤だとリアルすぎるため、【ピンク】で代用した方が優しい色合いになってイイですよ。

また、【黒】はお釈迦様の着ている衣の色とされていますが、そもそも真っ黒な花自体が少ないので、同じ暗めの色なら【紫】で代用するのがいいです。

ということで、供えるお花を色彩豊かにしようと思ったら、【白・ピンク・黄・青・紫】の5色を使うのが理想的です。

菊の種類

次に、菊の【種類】について。

じつは、お墓に供える菊の種類に関しては、一切制限がありません。

和菊でもよし、洋菊でもよし、ダメなものはありません。

本当に種類がたくさんありますので、いろんな菊を組み合わせてみてください。

あなたが選んだ花で仏花を作ってもらったら、あとは心を込めてお墓へ供えるだけです。

お墓へ供えるのには適さないお花

お墓に供える花には【菊】が適しています。

そうはいっても、やっぱり【菊以外の花】を供えたいという人だって多いはず。

そうすると、

菊が適しているのなら、反対に【適さない花】って何なの?

と思いますよね?

仏様に供える花については、先ほども登場した『蘇悉地羯羅経』の中の『供養花品』というお経の中に、ある程度の基準が書かれているんです。

その中には、仏様に供えるには【適さない花】の定義が書かれています。

例えば、

  • 棘(とげ)のある樹から生える花
  • 毒の成分がある花
  • 香りの強い花
  • 味が苦い花

といったものです。

棘(とげ)のある樹から生える花

お墓へ供える花に関しては、まずダメなのが棘(とげ)のある樹から生える花です。

棘のある花といえば、代表的なのは『バラ』ですね。

バラっていい香りがしますし、見た目も優雅な感じがするので、ご先祖様にもお供えしたくなりますよね?

しかし、バラの花をお墓へ供えるのはヤメておきましょう。

では、なぜ棘がある花はダメなんでしょう?

あなたもお察しのとおり『先の鋭く尖ったものを仏様に向けてはいけないから』です。

先の尖ったものを相手に向ければ、それは攻撃的な意味になります。

ですから、仏様に対しても棘のあるものを供えてはいけません。

それに、バラに棘があるのは、動物などから身を守るためです。

つまり、先の鋭く尖ったものを身にまとい、近寄るものを『拒絶』しているのです。

それをお墓に供えるというのは、ご先祖様達を含むいろんな仏様からのご利益や恵みを拒絶することになってしまいます。

なので、【棘のある樹から生える花】を供えるのはヤメましょう。

・・・と言っているお坊さんは多いです。

でも、僕は『棘を除去すれば問題ない』と思いますよ。

要するに、仏様に尖ったものを向けなければいいわけです。

だったら、尖ったものが無い状態にすれば、お墓に供えても問題はないかと。

それに、もしも故人が【バラが大好き】な人だったら、ぜひお墓に供えてあげたいですよね?

だから、棘のある花をお墓に供えたいなら、棘を除去してから供えてあげてください。

毒の成分のある花

そして、次に『毒の成分のある花』も好ましくありません。

有名なところでは、例えば、

  • 彼岸花
  • 水仙
  • トリカブト

などが毒の成分を持つ花です。

この中でも『彼岸花』なんて、名前からしてお墓へ供えるには最適のようですが、そうじゃないんですよね。

ただ彼岸の時期に咲くから『彼岸花』というだけで、その根っこにはしっかりと毒があります。

水仙も愛らしい花を咲かせるので、仏様にも見せてあげたいところですが、やっぱり根っこの部分に毒がたくさん。

そして、殺人事件にも使用されていたトリカブト、こちらは危険な猛毒が同じく根っこを中心に含まれています、鮮やかな紫色が逆に怖い。

毒のある花を供えてはいけない理由はそのままで、『仏様に毒を供えること』になるからです。

ということで、【毒の成分のある花】を供えるのはヤメましょう。

香りの強いお花

お墓に供える花選びの意外な盲点となるのが、『香りの強い花はダメ』ということです。

花といえば、見た目の美しさはもちろんですが、その『香り』も魅力のうちの一つですよね。

しかし、それも度が過ぎるとダメなんですよね。

仏様に供えるものは【ちょうどよいもの】にしなきゃいけないわけです。

ただ、僕はこの基準がイマイチよくわからないんですよね。

香りが強いといっても、香りの感じ方は人によって違うので、香りの強弱の明確な基準がないんですよね。

強い香りというのは、半日くらい鼻から香りが取れないレベルでしょうか?あるいは目にしみるくらい強烈な香りとか?

基準があいまい過ぎて全然わかりません。

ということで、僕は、基準がわかりにくいから『香りの強い花』でもよいと思います。

あっ、もしかすると【百合(ゆり)】なんかは香りが強いかもしれませんね。

以前に、百合の花束を室内に置いていたら、香りが部屋中に充満してちょっと気持ち悪くなりましたからね。

僕は、そのせいで少し百合が苦手になりました。

ちなみに、百合は『香り』だけではなくて、花粉が付着するとタチが悪いので要注意です。

あのオレンジ色の花粉が衣服に着くと、洗濯しても全然落ちないですから本当に注意してください。

ただ、百合の花はお供え用としてもよく使われます。

だから、百合をお墓へ供えるのなら、花粉が着かないように十分に注意するか、あるいは、お花を購入する段階でお花屋さんに花粉に部分を除去しておいてもらうといいですよ。

味が苦い花はダメ

じつは、お墓へお供えする時に味が苦い花はダメというのもあるのです。

棘、香り、に続いて今度は【味】です。

苦い味のする植物は、私たち人間にとっては【あまり好まないもの】です。

それをわざわざ仏様に供えなくてもいいんじゃない?ってことですね。

味が苦い花といえば、例えば『センブリ』あたりでしょうか?

花自体はキレイなんですけどね、味だけでいうと、ご勘弁願いたくなります。

しかし、苦い味と言われても、供える前にいちいち味見するわけにもいきません。

それに、下手をすると有毒な成分を口にしてしまうかもしれないので、自分の舌で味を確かめない方がいいですよ。

まぁ、味に関しては花を選ぶときにはあまり気にしなくていいですよ。

どうしても気になるなら、事前にどの花がどんな味がするのかを調べておいて、花を選ぶときには除外しましょう。

お花を2束供える場合、左右ともに同じ種類の花を供える

ここまで、どんな花を供えればいいかを解説してきました。

でも、せっかく供える花を選んでも、『花の供え方』が雑だと台無しになってしまいます。

まず、お墓へ花を供えるときは、基本的には2束(左右に1束ずつ)を供えます。

このとき、この2束の花は、同じ種類の花を同じ数だけ供えるようにしましょう。

いろんな種類の花を供えたいからといって、左右で全然違う種類の花を供えてしまってはいけません。

左右で種類が違うと、統一感がないので、まるで『適当に供えた』ように見えてしまうのです。

また、2束の長さ(高さ)をちゃんと左右で揃えるようにしてください。

せっかく左右で花の種類を揃えても、左右の長さがバラバラだと見栄えが悪いですし、『義務的に供えた』ように見えてしまいます。

とはいえ、花の長さの微妙な調整というのは手ではなかなかできませんので、ちゃんと『剪定ばさみ』を持って行ってくださいね。

【関連記事】:お墓参りには剪定(せんてい)ばさみを持って行こう!剪定ばさみの選び方

まとめ

お墓に供える花は『菊』が無難です。

そして、仏様へ供えるお花の色は『白』がよいので、『白菊』を供えておけば間違いはありません。

ですから、お墓に供える花選びに迷ったら、『白菊』を主にして三色の菊で束を作れば大丈夫です。

もちろん、菊以外の花を入れてもかまいませんが、その場合は、

  • 棘のある樹から生える花
  • 香りの強い花
  • 毒の成分がある花
  • 味が苦い花

を入れないようにしてください。

しかし、ご注意いただきたいのは、お墓参りで大事なのは【どんなお花を供えるか】ではない、ということです。

お花を供えることよりも【ご先祖様に日頃の感謝の気持ちを伝えること】の方がずっと大事です。

この記事をご参考に、花選びにはあまり時間をかけず、できるだけ【お墓に手を合わせる時間】の方を大事にしてくださいね。

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