お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- お線香をあげに行きたいんだけど、相手に失礼にならないようにしたい。
- お線香をあげに行くときの注意点を確認しておきたい。
お葬式の知らせというのは、当たり前ですがいつも急に来ます。
ですから、場合によっては【お葬式に参列できなかった】ということもあります。
しかし、お葬式に参列できなかったからといって、そのままにはできませんよね?
あなたにとって故人がとても大事な人だったり、すごくお世話になった人だったりすると、ぜひお線香をあげたくなることでしょう。
そんなときは、
『後日に遺族の自宅へ訪問してお線香をあげる』
のがいいですよ。
というか、多くの人はそのようにしています。
ただ、お葬式が終わったとはいえ、遺族はまだ【家族を亡くした悲しみ】でいっぱいの状態です。
そんなときに自宅を訪問をするわけですから、絶対に故人や遺族に対して失礼があってはいけません。
そのためには、
お線香をあげに行くときの注意点
をちゃんと知っておく必要があります。
この記事では、お線香をあげに行くときに注意すべきことを、お坊さんとしての経験をもとに解説しています。
もしもあなたが何か失礼なことをしてしまい、その後ずっと遺族に「あの人は、あの時に〇〇をしたよねぇ。」と言われ続けないように、ぜひ最後まで読んでみてください。
お線香をあげる意味

お葬式に参列できなかった場合、『後日に喪主の自宅までお線香をあげに行く』という人が多いです。
お葬式に参列できなかったからといって、必ずお線香をあげに行かなきゃいけないわけではありません。
でも、故人が大切な友人だったり、とてもお世話になった人であれば、ぜひともお線香をあげに行きたくなりますよね。
では、あなたは何のために【お線香】をあげるのかを知っていますか?
今まで【何となくそういうもの】みたいなカンジでお線香をあげていませんでしたか?
わざわざ喪主の自宅まで行ってお線香をあげるんだから、
お線香をあげる意味
をちゃんと知っておいてくださいね。
お線香に火をつけると、【煙】とか【香り】が出てきますよね?
この、お線香から出てくる《香り》が大事なんです。
お線香やお焼香などの、
【お香】を燃やしたときに出る《香り》は、仏様の『食べ物』になる
のです。
これを、仏教の言葉で【香食(こうじき)】というんですよね。
ですから、お線香をあげることは、仏様や故人に対してお食事をしていただくということなのです。
お食事をしていただくことで、故人に敬意を表し、心を込めて【故人をもてなしている】わけなんですよね。
ということで、お線香をあげるときには、
- 「◯◯さん、生前はいろいろとありがとうございました。コレ、どうぞ召し上がってください。」
と、故人に対して感謝と敬意を込めながら供えてくださいね。
【関連記事】:お香(こう)を供える意味とは?焼香の作法や線香の供え方も紹介します
お線香をあげに行く時期に注意

お葬式に参列できなかった場合、なるべく早くお線香をあげに行きたくなりますよね。
でも、あなたの都合だけで訪問しちゃダメ。
例えば、【お葬式の翌日】なんかに訪問するのはヤメた方がいいです。
きっと、遺族はお葬式の疲れがドッと出ている頃ですから。
なので、お葬式が終わってから数日くらいは間を空けた方が遺族の迷惑になりません。
ただ、そうはいっても、あまり遅くなってしまうのもダメなんですよね。
どんなに遅くても、故人の【49日】を迎えるまでには訪問しておきましょう。
早すぎてもダメ、遅くなってもダメ。
お線香をあげに行くって、意外と気を使うものなんですよね。
じゃあ、どのくらいの時期に行けばいいのでしょうか?
お線香をあげに行くタイミングとしては、
お葬式の日から一週間後くらい
がいいですよ。
このくらいの時期であれば、
- お葬式の疲れがだいぶとれている
- 遺族の気持ちも少し落ち着いている
という状況でしょう。
これよりも後になると、遺族は役所の手続きなどで忙しくなってきます。
ですから、訪問するなら遺族が忙しくなる前がいいんです。
となると、遺族が心身ともに少し余裕が出てきて、まだ忙しくなる前で、さらに時期としても『早すぎず、遅すぎず』というような、ちょうどよいタイミングが【お葬式から1週間後くらい】なんです。
もちろん、「このタイミングなら絶対に大丈夫」というわけではないですよ。
これは1つの目安にすぎません。
なので、当たり前ですが、お線香をあげに行くときには必ず先に連絡をして、遺族の都合を確認しておきましょう。
遺族の自宅に着いてからも注意点があります。
まず1つめは、家の中へ上がる前に、
「この度はご愁傷様でございました。遅くなりましたが、お線香をあげさせていただいてもよろしいですか?」
という弔意を表す言葉を言うようにしてください。
そして2つめですが、
『絶対に長居しないこと』
これが重要です。
遺族の立場になって考えてみれば分かりますよね。
遺族としては、わざわざお線香をあげに来てくれたことはありがたいですが、なかなか帰ってくれないと・・・めっちゃ迷惑です。
ですから、少し【故人との思い出話】をしたとして、それでも【15分】以上はいない方がいいですね。
とにかく、用がすんだらさっさと帰りましょう、それが遺族に対する【配慮】です。
お線香をあげに行くときの服装に注意

お線香をあげに行くときに注意するのは【時期】だけではありません。
訪問するときの【服装】にも注意しましょう。
とはいえ、お葬式や法事のときみたいに【喪服】を着なくてもいいですよ。
お線香をあげに行くときには、
平服
でOKです。
というか、平服の方がいいですね。
喪服で行くと、少し【大げさ】な印象を与えてしまうでしょう。
あっ、念のために言いますが、平服とは【マジの普段着】のことではありせんよ。
平服とは、
『ラフではなく、正装に近いような服装』
という意味です。
ですから、
- 『グレー』や『濃紺』など、暗めの色の服
- シンプルなデザインで、装飾が少ない服
- デニム素材ではない服
- 光沢のない服
を着て行くようにしてください。
お線香をあげに行くときの手土産に注意

お線香をあげに行くのに、まさか【手ぶら】っていうわけにはいきませんよね。
できるだけ、
手土産
を持って行くほうがいいですよ。
まぁ、もちろん『絶対に手土産がなきゃダメ』というわけではないですが、後々のことを考えると持って行く方が・・・ねぇ?
でも、どんなものを持って行けばいいのか迷っちゃいますよね。
そこで、僕なりに手土産の基準を考えてみました。
手土産を選ぶときは、
- 菓子類
- 賞味期限が長い
- かさばらない
- 安価すぎない
というものがいいです。
例えば、コチラのようなものを選んでおけば問題ありません。
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手土産にはいろんなモノがありますけど、やはり『菓子類』が無難なんですよね。
手土産は【故人へのお供物】ではなく、遺族のために持参するものなので、何を持って行こうが自由ではありますが、念のため肉類や魚類のものはヤメておいた方がいいですね。
ちなみに、お葬式に参列できずにそのまま【香典】を渡していなかった場合は、手土産と一緒に渡すようにしましょう。
お葬式に参列できない場合、香典は、
- 現金書留で送る
- お葬式の後に訪問して手渡す
のどちらかで渡すのが一般的ですが、現金書留には抵抗があるという人は、後日にお線香をあげに行くタイミングで渡すことになります。
当然ですが、香典を先に送っているなら、お線香をあげに行くときに改めて香典を包みなおす必要はありませんからね。
また、あなたと遺族の家が遠く離れている場合は、無理に自宅までお線香をあげに行かなくてもいいですよ。
【関連記事】お葬式に行けない時は何をするの?失礼のない対応方法とは。
お線香をあげに行くときのお花に注意

お線香をあげに行く時には、故人に供えるための『お花』を持って行くこともあります。
供えるお花は【仏用】なので、ちょっとした注意点があります。
まずは、トゲのあるお花はダメ。
そして、ニオイの強いお花も好ましくない。
あとは、色にも気をつけておくといいです。
ちなみに、供えるお花の色は、
- 49日までは3色
- 49日以降は5色
がよいとされているんです。
でもまぁ、色に関してはさほど気にせず、本当に『一応の基準があるよ』という程度の認識でいいです。
・・・と、こうやって『お花』について書いていますが、じつは僕、
他人の家にお花を持って行くべきではない
と思っているんですよね。
だって、お花を受け取る側としちゃハッキリ言って『迷惑』じゃないですか?
そりゃもちろん、受け取ったときには「あら、すみませんね。ご丁寧にどうもありがとうございます。」って言いますよ。
そうは言うけど、内心は「うわ~、花かぁ・・・。」って迷惑に思ってますからね。
でも、受け取ってしまったら一応は供えないといけないし、時間が経つと枯れるから、その処分もしなきゃダメなんですよ?
受け取る側は、自分が望んだわけでもないのに、一方的に「はい、これを供えてね。」って強制的に渡されるんです。
他人の家にお花を持って行くことは、控えめに言って『大迷惑』です。
自宅に訪問して故人に供えるのはお線香だけで十分、それ以外はいらん!
だから、お線香をあげに行く時にお花を一緒に持って行くのはヤメましょう。
まとめ:お線香をあげに行くときの注意点を必ず守りましょう
お葬式に参列できなかったから後日にお線香をあげに行く、というのはよくあることです。
故人があなたにとって、大切な人、とてもお世話になった人であれば、ぜひともお線香をあげに行きたくなりますよね。
ただ、遺族は【家族を亡くした悲しみ】でいっぱいという状況であり、そんなときに家まで訪問するわけですから、
お線香をあげに行くときの注意点
は必ず守るようにしましょう。
お線香をあげに行くときは、
- 時期
- 服装
- 手土産
- お花
に注意しなくてはいけません。
訪問する時期は、あまり早すぎず、でも遅くならないように、【お葬式から一週間後くらい】がベスト。
服装は、平服でかまいませんが、地味な色で地味なデザインの物を着ます。
よそ様の家を訪問するときには手土産を添えた方が無難です。
まだ香典を渡していなかったら、このタイミングで渡しましょう。
お花を持っていくのは、遺族にとっては迷惑になるだけなのでヤメましょう。
このような注意点を守りながら、長居をせずに用が済んだらさっさと帰ることが大事です。
しかし、【お葬式に参列しない場合は必ず後日にお線香をあげに行かなきゃいけない】というわけではありません。
お線香をあげに行くかどうかは、あなたの意思で決めることです。
行きたくなければ行かなくてもいいんですよ。
あなたが形式的に訪問をしたところで、故人や遺族はそんなことを望んではいませんから。
お線香をあげに行くのは、あくまで【あなたの気持ち】であり、【あなたの都合】で訪問をしていることを忘れちゃいけません。
あなたの気持ちや都合で訪問をする以上は、故人や遺族に失礼のないよう十分に注意をして、心を込めてお線香をあげてくださいね。