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お葬式の疑問

お葬式や法事で座る場所に決まりはあるの?食事の時はどこの席に座る?

白い宮形の祭壇が飾られている葬儀式場

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな疑問に答えます
  • お葬式のときには誰がどこに座ればいいの?
  • お葬式後の食事のときには誰がどこに座ればいいの?
  • お葬式と法事では座る場所が違うの?

「皆様、間もなく開式の時刻となりますので式場内へとお進みください。」

葬儀場のスタッフからこのような声掛けがありました。

さて、あなたはどの席に座りますか?

お葬式(お通夜)の時、お葬式後の食事の時、法事の時に座る場所(席順)には、ある程度の決まりがあり、自由に座ってはいけません。

何も知らずに好きな場所に座ると恥をかいてしまうかもしれませんよ。

この記事では、

  • お葬式(お通夜も同じ)の時に座る場所(席順)
  • お葬式後の食事(精進落とし)の時に座る場所
  • 法事の時に座る場所

について書いています。

最後まで読んでいただければ、お葬式や法事に参列する人が【どのような立場の人がどこに座ればよいか】がわかりますので、ぜひチェックしてみてください。

お葬式で座る場所(席順)に決まりはあるの?

葬儀式場に並べられた青い椅子

あなたは、お葬式で【自分はどこに座ればいいのか】で迷ったことはありませんか?

お葬式(お通夜)の時に座る場所(席順)というのは、ある程度決まっているのです。

空いている席から自由に座っていいわけではありません。

お葬式の会場に着いたら、あなたが座るべき席がどこなのかを【あなた自身で判断できる】ようにしておきましょう。

ちなみに、図にするとこんなカンジです。

お葬式の会場で参列者が座る席を示した図

故人との関係性によって席が決まる

お葬式で座る場所(席順)というのは、『故人との関係性』によって決まります。

具体的に言うと、まずは、

故人と血縁関係の近い人の順に、前列から座っていく

のが基本となります。

また、お葬式の会場の中央には通路が設けられており、通路を境にして親族席と一般席に分かれています。

祭壇に向かい、通路を挟んで、

  • 『右側』が【遺族・親族席】=故人との関係が近い人の席
  • 『左側』が【一般席】=仕事関係や友人など【故人との関係が遠い人】の席

となります。

このとき、親族席・一般席ともに中央の通路側が上座になるので注意が必要です。

そして、故人との関係性が近い順番は、

  1. 喪主
  2. 遺族
  3. 親族
  4. 一般(仕事関係や友人関係)

となります。

このように、故人との関係性で座る場所を決めることによって『お焼香』をする順番も同時に決まるので、スムーズにお焼香が進みます。

このことを知っている人は、会場のどこに誰が座っているかを見れば、座っている人と故人との関係性がある程度は分かるのです。

しかし、厳密に故人との関係性の順だけで座っていくと、同じ家族でも離れて座る、というケースも出てきてしまうので、実際のところは家族単位でまとまって座ることが多いです。

喪主と遺族席

親族席の中でも前列に座るのは遺族です。

では、故人との関係性において、遺族とはどの範囲の人を指すのでしょう。

一般的な家族構成であれば、

  • 故人の両親
  • 故人の配偶者
  • 喪主(故人の長男であることが多い)
  • 喪主の家族

というような関係性の人です。

故人の配偶者が喪主となる場合も多いですが、故人の長男が喪主を務めると想定すれば、上記の人たちが遺族と呼ばれるでしょう。

喪主と遺族が座るのは、祭壇に向かい通路を挟んで右側の最前列》となります。

まず、喪主が座る場所ですが、

通路を挟んで右側の、最前列の一番左(通路側)の席

となります。

簡単に言うと通路を挟んで右側の、一番お坊さんに近い席です。

その他の遺族は、喪主の隣から故人との関係性が近い順番で座ります。

また、遺族席だけ別に設けられていることも多いです。

遺族席が別に設けられている場合、喪主は【最も祭壇に近い場所】に座ります。

他の遺族は、喪主の隣から故人との関係性が近い順番で、徐々に祭壇から離れるように座っていきます。

遺族席が別に設けられている場合、遺族は祭壇に向かうのではなく通路側に向かって座るような形になることがほとんどです。

これは、お焼香をする弔問客に向かって遺族が礼をするため、そのような座り方となるのです。

親族席

親族席には、故人とどのような関係性の人が座るのでしょうか。

親族席には、

  • 故人の長女夫婦とその家族
  • 故人の次男夫婦(次女夫婦)とその家族
  • 故人の兄弟や姉妹
  • 故人の配偶者の兄弟や姉妹
  • 故人の長男の配偶者の親

といった人達が座ります。

要するに『喪主と遺族以外の親戚が座る』ということですね。

親族が座る場所は、祭壇に向かい、通路を挟んで【右側】の、遺族席の【後ろの席となります。

親族席は、故人との血縁関係の近い人の順番で通路側から座っていきます。

そして、その中でも年配者から順番に、前の列から座っていきます。

でも、ぼくが今まで見てきた限り、親族席の座り方は【さほど決まりを気にせず自由に座っている】ように見受けられます。

一般席

故人との関係性において血縁関係が無い人は一般席に座ります。

一般席に座るのは、

  • 葬儀委員長
  • 故人の友人や知人
  • 仕事関係
  • お葬式の世話役

といった人達です。

一般弔問客が座るのは、

祭壇に向かい、通路を挟んで左側の席

となります。

この時、葬儀委員長がいる場合は、葬儀委員長が一般席の最上位の席、つまり最前列の一番通路側(右側)に座ります。

その他の人は座り方に決まりはありませんが、できるだけ年配の人から優先的に前の方に座るのがよいでしょう。

また、お通夜の場合ですが、一般席の人がお焼香を終えた後は、元の席には戻らずそのまま食事会場へ行くことが多いです。

一般席の人は親族とは違う立場なので、式場係員の案内に従って行動するようにしましょう。

親族席が祭壇に向かって【右側】である理由

先ほど、遺族席や親族席が通路を挟んで右側であることをお伝えしました。

では、なぜ【右側】なのでしょう?

故人との血縁関係が近い人を【優先】する

日本では昔から、正面に向かって、

右側が上位(上座)

左側が下位(下座)

という考え方があります。

よく『〇〇に関しては彼(彼女)の右に出る者はいない』と言いますよね?

この言葉は、誰にも真似できないような唯一の才能を持つ人に対して使われます。

だから、唯一の人=最上位となる人=それ以上は右に出る人がいない、ということになるのです。

ちなみに、仏教でも同様に『右側が上位(仏様=清浄)』『左側が下位(私たち=不浄)』という考え方があります。

つまり、お葬式などの法要においては、

故人との血縁関係が近い人は上位になる

と考えているのです。

しかし、これはべつに【故人との血縁関係の近い人の方が、一般参列者よりも偉い】ということではありません。

参列者を上位(上座)と下位(下座)に区別しているのは、故人との血縁関係を考えて『関係の近い人を優先しますからね』というだけのことです。

ですから、故人との関係が近い人は優先席(=右側)に座り、関係が遠い人はその他の席(=左側)に座る、というカンジです。

また、結婚式でも同じですが、優先順位が上位の人から前の席に座りますので、座る順番は、

  1. 喪主
  2. 故人の配偶者
  3. 遺族
  4. 親族
  5. 一般参列者

となるのです。

一般参列者による【配慮】の結果?

ここからは、ぼくがある先輩から聞いた話をします。

先輩が言うには、親族席が右側にあるのは、故人との血縁関係が近い人が優先的に座れるようにするための、一般参列者による【配慮】の結果ではないか、とのことです。

例えば、座席に何の決まりも無く、先着した人の順で前から座っていったとします。

そうすると、場合によっては後から来た【故人との血縁関係が近い人】が後列に座ってしまう、もしくは会場が小さければ座る席が無くなってしまう、という事態になるかもしれません。

そこで一般参列者は、上座とされている右側の席ではなく、下座とされている左側の席から座るようにしました。

日本人の心理として、【自分から上座に着く】というのは抵抗がありますよね?

この心理を利用して、まず左側の席から座るようにして、わざと右側を空けておけば、後から来た人は【自分から上座に着く】ことに抵抗を感じて右側の席には座りづらくなります。

このように、一般参列者が率先して左側から座ることによって、右側には故人との血縁関係が近い人の席が残るようにした、ということです。

これが習慣化されて、現在でも【通路を挟んで右側に親族、左側には一般参列者】という座り方となっている、とのことです。

まぁこれは、あくまでもぼくが聞いた話です。

でも、故人との関係性を考えた日本人らしい【配慮】が感じられる話だなと思います。

お葬式後の食事(精進落とし)の時に座る場所

和室で食事をする喪服姿の参列者と料理

お葬式の後には、喪主が参列者へ食事を振る舞います。

これを『精進落とし』といいます。

お葬式では故人との血縁関係によって座る場所が決まっていましたが、食事の席はどうでしょうか?

食事の席でも、お葬式と同じように座る場所がある程度決まっています。

しかし、お葬式とは座る場所の基準が変わりますので注意をしてください。

【関連記事】:精進落としの場所におすすめなのは火葬場!そもそも精進落としって何?

食事の席での上座と下座

お葬式の法要では祭壇に向かって右側が上座であることはすでにお伝えしました。

では、お葬式後の食事の席では上座がどこになるのでしょうか?

基本的に、最も上座となるのは、

  • 部屋の入口から1番離れた場所
  • 床の間に1番近い場所

の席です。

食事をする部屋の入口から1番離れている場所が最も上座となります。

また、和室の場合は基本的に【入口から1番離れた場所】に床の間があり、床の間に1番近い場所が最も上座とされています。

一方で、最も下座となるのは、

部屋の入口に1番近い場所

となります。

喪主は1番下座に座る

お葬式では、喪主が1番上座に座ります。

しかし、食事の時には全く反対の、

1番下座

に座ります。

これは、食事の時には施主が【食事を振る舞い、おもてなしをする立場】となるからです。

つまり、お葬式の時とは反対に、食事の時には参列者が上位(優先)となるわけです。

お坊さんは1番【上座】に座る

お葬式後の食事の席では、お坊さんが同席することもあります。

そのような場合、お坊さんが座る席は1番【上座】となります。

つまり、部屋の入口から一番離れた奥の席ということです。

ぼくはお坊さんをしていますが、本音を言うと、あまり上座に座りたくないなと思っています。

だって、ぼくの倍以上の年齢の大先輩よりも上座に座るんですよ、恐れ多くて仕方ない。

しかも、上座に座るのは喪主の親族の方々となり、普段からの面識がない人たちばかりなので、会話をするのに少し気を遣います。

でも、それはたぶん、ぼくの周りに座っている親族の方々も同じなんだろうと思います。

お坊さんに話しかけるのって、少し遠慮してしまいませんか?

大丈夫ですよ、お坊さんにはドンドン話しかけてあげてください。

じつは、その方がお坊さんも助かるのです。

普段から面識のある喪主やそのご家族は、参列者への挨拶とお酌で忙しく、お坊さんと話をしているヒマなんてありません。

ですから、お坊さんが一人ポツンと食事をしているということはよくあります。

そんな時に、話しかけてくれる人がいたら嬉しいものなんです。

そんな時の坊さんの本音を『お坊さんとの話が続かない時はこの話題!間を持たせる話題10選』の記事で書いていますので読んでみてください。

法事の時に座る場所

葬儀式場で数珠を手に持ち椅子に座っている喪服姿の参列者

お葬式での喪主の席は、祭壇に向かい通路を挟んで右側の最前列、さらに一番通路側(左側)です。

では、【法事】の場合、施主(法要の代表者)の席はどこになるのでしょうか?

法事の場合は、お葬式と違って席の配置があまり統一されていません。

特に、自宅で法事を執り行う場合は、式場のように整列された席があるわけではありません。

空いている場所から参列者が座っていく、というカンジです。

お寺の本堂であれば、ある程度は整列された席が用意されています。

つまり、法事をする場所によって席の配置が変わってしまうため、【施主は必ずこの場所、他の参列者はこの場所】というような明確な基準を決められないのです。

施主は【お坊さんに1番近い場所】に座る

施主が座る場所に明確な基準はありませんが、一応の【目安】となるものはあります。

それは、

施主は【お坊さんに1番近い場所】に座る

ということです。

お葬式の時も同じですが、法要の代表者は基本的に【お坊さんの1番近く】に座ります。

お葬式でも法事でも、基本的にはお坊さんに番近い場所が『最上位=最優先』となりますので、ここに法要の代表者が座ります。

その他の参列者は、故人との血縁関係が近い人から順に【お坊さんから徐々に遠ざかっていく】ように座ります。

法事の食事の時に座る場所

お葬式後の食事の席では、喪主が1番下座に座るということを先ほどお伝えしました。

では、法事の食事の場合はどうなるのでしょうか?

法事の食事の場合は、

お葬式後の食事の時と同じ

です。

つまり、

入口に1番近い場所

となる1番【下座】です。

お葬式後の食事の時と同様に、施主は参列者を【もてなす】立場になります。

ということは、もしもお坊さんが同席する場合、お坊さんの席は最上座に座ってもらうことになります。

お坊さんの席が決まったら、参列者の年配者から順番に上座に座ってもらうようにしましょう。

臨機応変に考えて席へ座る

葬儀式場に並べられた多くの青い椅子

これまでお伝えしてきたことは、あくまで『原則としての話です。

特に、喪主や施主以外であれば、座る場所にこだわりすぎず【臨機応変】に決めてよいと思います。

例えば、お葬式を執り行う際、遺族の人に【小さなお子様】がいる場合があります。

本来であれば、遺族席なので、上座となる前列に座ります。

しかし、小さなお子様は式の途中で泣き出してしまったり、退屈に我慢できずに騒ぎ出してしまうかもしれません。

お子様の年齢が小さいほど予想もしないようなことが起こるものです。

法要中に少しくらい泣いたり騒いだりしても全く問題はありませんが、小さなお子様は体調が急変してしまうことがあります。

親の立場としては、そのような時のためにすぐ式場を出られるよう態勢を整えておきたくなりますよね?

お葬式などでの席は、喪主や施主以外の人はあくまでも『原則』ですから、遺族であっても状況に応じて最後列に座ってもかまいません。

※お葬式に小さな子どもを連れて行くことに関しては『お葬式に小さな子どもを連れて参列するのは非常識?《お坊さんが答えます》』の記事でいろいろ解説していますので読んでみてください。

また、遺族の人で妊婦さんの場合は、なるべく【式場の出入口に近い端の席】へ座ることをおすすめします。

理由は、

  • 端の席の方が多少はゆったりと座れる
  • 急な体調変化などがあっても、すぐに移動できる
  • 周りの人にとっても安心

だからです。

しかし、式場の出入口に近い席は、冬場などは寒いかもしれません。

また、夏場でも端の席がクーラーの冷気が落ちる場所ということがあるかもしれません。

妊婦さんでなくても身体を冷やすのは体調不良に繋がりますので、そのような場合は、寒くない他の席へ移動しましょう。

喪主や施主でなければ、すべての席は【臨機応変】に考えて座ってかまいません。

まとめ:座る場所の『原則』だけは知っておきましょう

お葬式で参列者が座る場所(席順)は、故人との関係性によって決まっています。

また、お葬式後の食事の席や法事の席にも決まりはあります。

しかし、それは【必ずそこへ座るもの】というほどのものではありません。

あくまで『原則』にすぎません。

喪主や施主となる人は【法要の代表者】なので、最上座に座るべきではありますが、そういう立場でなければ【臨機応変】に考えて座ってかまいません。

ただ、『原則として座る場所は決まっている』ということは知っておいてもらいたいと思います。

あなたが一般参列者としてお葬式に参列する時、何も知らずに上座の席に座ってしまうことがないように、

  1. 喪主、遺族、親族の席は【祭壇に向かい通路を挟んで右側】
  2. 一般参列者の席は【祭壇に向かい通路を挟んで左側】
  3. 法事はお坊さんに近いほど【上座】となる
  4. 食事の席では、喪主や施主は出入口の近く【=下座】に座る

ということだけ覚えておいてくださいね。

※お葬式の持ち物にはそれぞれマナーがあります。忘れ物やマナー違反をしないように、こちらの記事を参考に準備をしてみてください。

【保存版】お葬式に参列するときの持ち物とマナーを詳しく紹介