仏事全般

数珠が切れた!これって縁起が悪いの?それとも良いの?切れてしまう原因や対処の方法

お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

今回の内容は要するにコレです
  • 数珠が切れたら【縁起が悪い】のか
  • 数珠が切れてしまう原因
  • 切れた数珠はどうすればよいのか

キヨシさん
キヨシさん
使っていた数珠が切れてしまった。何となく縁起が悪いのぅ・・・。

未熟僧
未熟僧
数珠が切れた?それは縁起が良いですね♪

仏事で使用する道具はたくさんあります。

その中でも出番が多いのは、

数珠(じゅず)

です。

お葬式、法事、仏壇に手を合わせる時などには数珠を使いますよね?

そんな数珠を長い間使っていると、珠を通しているヒモが切れてしまうことがあります。

それで、多くの人はこう思うんです、

  • 「わっ、数珠が切れちゃった!なんか縁起が悪いなぁ・・・。」

って。

そう思う気持ちは、ぼくにもよくわかります。

でも、はたして数珠が切れたら本当に縁起が悪いんでしょうかね?

この記事では、『数珠が切れる』ことをどう受け止めればいいのか、ということを20年以上お坊さんをしているぼくが解説しています。

あなたに安心して数珠を使ってもらいたくて書いた記事ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

数珠が切れた!これって縁起が悪いの?それとも良いの?

お葬式や法事などの仏事で必ず使われる道具といえば『数珠』です。

使用する機会が多いからでしょうね、長い間使っていると数珠が切れてしまうことがあります。

あなたは数珠が突然切れてしまったらどう思いますか?

たぶん、

  • 「わっ、数珠が切れるなんて、何だか縁起が悪いなぁ・・・。」

って思うんじゃないですか?

そうですよね、きっと多くの人はそう思いますよ。

ぼくは、20年以上お坊さんをしています。

ですから、今まで何度も数珠が切れてしまう経験をしてきました。

それでも、ぼくの場合は数珠が切れても【縁起が悪い】なんて思わないんですよね。

まったく反対に、

数珠が切れたのは【縁起の良いこと】である

と思ってるんですよ。

もちろん、数珠が切れると「あぁ切れちゃった。また修理しなきゃいけないなぁ。」と少し面倒な気分にはなりますよ。

でも、その後すぐに「まぁいいや。切れたことに感謝しなきゃな。」って思うんです。

どういうことかというと、数珠が切れることによって、

  • 自分自身がレベルアップした
  • 仏様が悪縁から守ってくれた

と解釈しているからです。

すみません、ぼくの言っている意味がわかりづらいですよね。

それでは、順番に説明をしていきます。

多くの人が【数珠が切れると縁起が悪い】と感じる理由

数珠が切れてしまうと、多くの人は【縁起が悪い】というふうに感じると思います。

あなたもそうですか?

なぜそのように感じるんでしょうね?

数珠が切れて縁起が悪いと感じる理由は、きっとコレ。

昔からの

『草鞋(わらじ)の鼻緒が切れると縁起が悪い』

という言い伝えに引っ張られているせいです。

そもそも、鼻緒が切れるとなぜ縁起が悪いの?というところから説明します。

昔は、亡くなった人のご遺体を棺に納めて、それを墓地や火葬場まで参列者が運んだんですよ。

その時に、棺を運ぶ人には新品の草鞋が渡され、それをはいて棺を運んでいました。

そして、無事にご遺体の埋葬が終わると、棺を運んだ参列者はその新品の草鞋の鼻緒を切って脱ぎ捨て、自分の草鞋をはいて帰ったんですよね。

この【お葬式の時に草鞋の鼻緒を切る】という習慣から、普段の生活で鼻緒が切れると『縁起が悪い』と言われるようになったわけです。

そして、いつの間にか【数珠が切れる】ことが【鼻緒が切れる】と同じように考えられて、そのまま『数珠が切れると縁起が悪い』となってしまったんですね。

でもね、どこからどう見ても鼻緒と数珠はまったくの別物でしょ?

鼻緒が切れるのと数珠が切れるのって全然関係ないと思いません?

極端ですが、何か物が切れたら、それはすべて縁起が悪いんか?っちゅう話ですよ。

だから、ぼくは数珠が切れたって【縁起が悪い】だなんて思わないんです。

縁起が良い理由

ぼくは、数珠が切れたら【縁起が良い】と思っています。

だって、何かが【切れる】ことは、悪いことばかりではないんですから。

例えば、今のあなたに【不運なこと】ばかりが連続して起きていたら、

  • 「何だかイヤなことが続くなぁ、早くこの悪い流れを断ち切りたい。」

って思うんじゃないですか?

あるいは、イヤな上司や同僚と仕事をしなければいけない時には、

  • 「あ〜もぅ〜、コイツとは縁を切りたい!」

って思うでしょ?

ほらね、【切れる】ことは悪いことばかりじゃない。

つまり、同じ【切れる】でも、

  1. より良い方へ向かうために、今の状況と決別する
  2. 『悪縁』が切れる

というのであれば、それは『良いこと』なわけですよね?

あなたの精進が一段落した

ぼく達お坊さんが使用している数珠は、珠の数が108個あります。

この『108』という数は、私たち人間が持っている【煩悩(ぼんのう)】の数と同じです。

煩悩っていうのは、簡単に言うと『欲望』です。

仏教には、

  • 108個の欲望を消し去ることができれば『悟り』の境地に到達する

という教えがあります。

ですから、この108個の欲望を消し去るためには、いろんな『精進(しょうじん)=修行や訓練』をしなければなりません。

お坊さんが常に108個の珠がある数珠を持っているのは、

「悟りを得るために私は精進します!」という心構え

を表しているんですよ。

そして、そういう心構えで長い間その数珠を使い続けていれば、いずれは切れてしまいますよね。

数珠が切れてしまうのは、『精進が中断してしまう』ということではなく、

ずっと精進をし続け、その精進が一定のレベルまで到達して一段落した

という意味なんです。

ですから、あなたの数珠が切れたのもコレと同じこと。

あなたの精進が一段落したんですよ、おめでとうございます!

数珠に宿る仏様の力が『悪縁』を断ち切った

数珠を使い続けていると、数珠に仏様の力が宿って、持ち主を守ってくれるようになります。

そんな数珠が、ある日突然切れてしまいました。

これは何を意味していると思いますか?

仏様の力が消えてしまったのではないですよ。

突然切れたのは、

数珠に宿った仏様の力が、あなたの『悪縁』を断ち切った

のです。

言い方を変えれば、

数珠があなたを守ってくれた

ということです。

悪縁というのは、息を潜めてあなたに近づいてくるんです。

もしも、あなたが、

  • 「最近なんだかツイてないな」
  • 「あまり会いたくない人と一緒になることが多い気がする」
  • 「自分の周りで不幸が続いているなぁ」

というのなら、少し気をつけてくださいね。

もしかすると、悪縁があなたのすぐ近くまで迫っているのかもしれません。

ちょっと脅かしてしまいましたが、悪縁が近寄ってくるなんて誰にでもあることなんですよ。

しかし、ほとんどの場合は【大したことないもの】です。

ただ、たまに【厄介でタチの悪いもの】というのもあるようです。

そういうものがあなたに近寄ってきた時には、数珠に宿った仏様の力でそれを追い払ってくれます。

でも、【厄介でタチの悪いもの】を追い払うには、それ相当のエネルギーが必要となるので、その反動で数珠が切れてしまうそうです。

数珠を持つということは、自分自身の精進だけでなく、仏様に守ってもらうことにもなるのです。

数珠を持つことの意味をもう少し詳しく知りたいという人は『数珠とは何か?数珠を持つ意味と使い方(持ち方)を説明します。』の記事を読んでみてください。

数珠が切れてしまう原因

数珠が切れてしまう原因のほとんどは、

『経年劣化』

です。

そうです、要するに【古くなってしまった】からですね。

他には、まれに【不良品だった】という場合もありますけどね。

珠を繋いでいるヒモの経年劣化

数珠には珠を繋いでいるヒモがあります。

この珠を繋いでいるヒモが劣化して切れてしまうんですよね。

ぼくの経験上、数珠の珠そのものが損傷してしまうケースはほとんどありませんね。

数珠を長い間使っていると、ヒモがだんだんと緩んできます。

そのまま使い続けていくうちに、ヒモに余計な負荷がかかって切れてしまいます。

また、ヒモの一部がほつれると、そこからどんどんほつれが広がって、そのうちヒモが切れてしまいます。

珠の【穴の角の部分】との摩擦

数珠の珠にはヒモを通すための穴が開いています。

数珠を使えば、珠の【穴の角の部分】とヒモが接触します。

この珠とヒモの接触による摩擦がヒモをほつれさせる原因なのですが、こればかりは仕方のないことです。

ただ、珠の【穴の角の部分】の加工が手抜きな数珠がたまにあるんですよね。

要するに【不良品】ということ。

角の部分の加工は、地味ですがとても大事なんです。

この部分がちゃんと滑らかに研磨されていないと簡単にヒモが切れてしまうんですから。

数珠の寿命をこの部分が決めていると言ってもいいくらいです。

もしも、あなたの使っている数珠のヒモが頻繁に切れてしまうようなら、一度この部分を確認してみてください。

穴の角を触ってみて明らかなザラつきがあるようならば即修理です。

数珠が切れたらどうすればいいの?

数珠のヒモが切れてしまったらどうすればいいのでしょう?

選択肢は、

  1. 専門業者へ修理に出す
  2. 新しい数珠を買う

の2つです。

仏具店か専門業者へ修理に出す

数珠のヒモが切れてしまった、あるいは、穴の角が明らかにザラついている、という場合は、

仏具店か専門業者へ修理に出す

ということが選択肢の1つになります。

ずっと使ってきたものなら愛着があるでしょうし、誰かにもらった数珠であれば思い入れだってあることでしょう。

これからもずっと同じ数珠を使い続けたい場合は『修理』をしてもらいましょう。

修理をするときに1つ気をつけておくことがあります。

数珠が切れた原因が【普通の経年劣化】によるものであれば、その数珠を購入したお店で修理に出せばいいと思います。

しかし、穴の角の加工が明らかに手抜きだった場合、もう二度とそのお店と関わってはいけません。

そのようなお店は、新作はやたらと売ろうとしますが、既にある商品の改善をしようとしません。

そのお店からどんな新作が出たところで、その商品だってどうせ手抜きです。

ですから、修理は他の仏具店か専門業者へ依頼してください。

切れたヒモを自分で修理するという方法もありますが、仕上がりはプロがやるのとは全然違ってしまいます。

数珠のヒモが切れるというのは、そうそうあることではありません。

ですから、修理費用も数千円程度なので、修理をするなら仏具店か専門業者に依頼するのが一番です。

新しい数珠を買う

もしも切れてしまった数珠がかなり古くなってしまっているのなら、いっそのこと新しく購入するのもアリですね。

1つのものを長く使い続けることは物を大事にすることなので、それはとても素晴らしいです。

でも、やっぱり新しいモノを欲しくなるのが人間心理ですよね。

なので、新しい数珠を買って、気分を変えてみるのもいいと思います。

ちなみに、数珠を買う時には【略式念珠】を選ぶといいですよ。

お坊さんの僕から見ても、あらゆる面で【略式念珠】はメリットが多いのです。

詳しくは、『初めて数珠を買うなら【略式念珠】を選ぶのが正解!』の記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。

では、切れてしまった数珠はどうやって処分するのか?という疑問がでることでしょう。

切れてしまった数珠は、いろんな処分方法がありますけど、できるだけ『お寺』にお願いして処分してもらうのがいいかなと思いますよ。

お寺なら、ちゃんと供養をしたうえで処分してくれるので安心ですからね。

もちろん自分で処分することも可能ですが、お坊さんとしては賛成できません。

【関連記事】:数珠の処分の方法(捨て方)をお坊さんが詳しく解説します!

まとめ:数珠が切れても縁起は悪くない。切れたら修理するか新しく購入しよう。

数珠はお葬式や法事など、仏事では必ず使います。

長い間使っていて、だいぶ愛着が湧いてきたという頃にブツっと切れてしまうんですよね。

数珠なんて基本的にはそうそう切れるものではありません。

しかし、長い間使っていると、ヒモが珠の穴との摩擦や、劣化によって切れてしまうんです。

日本人って、何かが【切れる】とか【割れる】というと、それがまるで『縁起の悪いこと』のように感じてしまいますよね。

でも、数珠が切れることは【縁起の悪いこと】ではないんですよ。

むしろ、逆です。

数珠は、『煩悩を消し去るための精進の心を象徴するもの』であり、『数珠に宿った仏様が、持ち主を守り清めてくれる』ものです。

それが切れたということは、

  1. 持ち主の精進が一段落(レベルアップ)した
  2. 仏様が何らかの悪縁から持ち主を守った

ことの証拠なんだと思います。

つまり、数珠が切れてしまうことは、

  • 縁起の良いポジティブな出来事

です。

とはいえ、あなたが大事に使ってきた数珠ですし、切れてしまったからといって捨てるのは嫌だということもありますよね?

愛着のある数珠なのであれば、もちろん捨てる必要はありません。

長い間使っている数珠には仏様が宿っていますから、できるだけ捨てずに修理をするというのは素晴らしいことです。

あるいは、房やヒモだけを新しいモノに変える、というのでもいいでしょう。

もちろん完全に新しい数珠を買ってもかまいません。

新しいものを買って気分を変えてみるというのも大事なことです。

数珠が切れてしまっても不吉に思わず、修理または新規購入をして、また大事に使ってくださいね。