仏事全般

不祝儀袋【御香典(御香奠)・御霊前・御仏前】の意味、書き方、お札の入れ方を詳しく解説。

この記事はこんな人に向けて書いています
  1. 不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)って何なの?
  2. 『御香典』と『御霊前』と『御仏前』、それぞれの意味の違いがよく分からない
  3. 不祝儀袋の【書き方】を知りたい
  4. 不祝儀袋には、どうやってお札を入れたらいいの?

どうも、お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

あなたは今まで、お葬式や法事に何回くらい参列したことがありますか?

もしかすると【ほんの数回程度】ではないでしょうか?

あなたくらいの年齢の人は、お葬式や法事に参列する機会がまだ少ないのはごく普通のことです。

しかし、今後はそのような機会が増えていきます。

ですから、いざという時に恥をかかないように、今のうちから『仏事の基本的なマナー』を知っておいた方がいいですよ。

仏事にはたくさんの決まり事やマナーがありますが、この記事では【不祝儀袋】についてお伝えします。

不祝儀袋って何をどうすればいいのか、よく分からないですよね?

大丈夫ですよ、あなたのためにお坊さんの僕が詳しく説明しますから。

この記事を読めば、

  • 不祝儀袋そのものの意味
  • 不祝儀袋の種類と、それぞれの意味
  • 不祝儀袋の書き方
  • 不祝儀袋へのお札の入れ方

が分かります。

既にある程度はご存じかもしれませんが、改めて確認をする意味でも、ぜひ一度読んでみてください。

なお、この記事は項目ごとに詳しく説明しているため長文となってしまいました。

お急ぎの場合は、目次からあなたの知りたい項目へと飛んでご覧ください。

不祝儀袋の意味

お葬式や法事に参列する時は、『御香典(御香奠)』や『御仏前』といった袋に現金を包みますよね?

お葬式や法事など、【故人を弔う(供養する)】ための法要を『滅罪(めつざい)法要』といいます。

滅罪法要へ参列する際に現金を包む袋のことを、

『不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)』

といいます。

または、『香典袋(こうでんぶくろ)』ともいいます。

あなたは、結婚式などでお祝い金を包む『祝儀袋(しゅうぎぶくろ)』というのは聞いたことがありますよね?

結婚式はお祝い事(慶事)なので【祝儀】です。

それに対して、お葬式や法事は亡くなった人を弔う(供養する)ためのもの(弔事)なので、お祝い事とは反対の意味の【祝儀】となります。

不祝儀袋には、

  • 水引の色
  • 中袋の有無
  • その土地の風習

など、地域によって違いがあります。

この記事では、一般的に使用される不祝儀袋について書いていますので、基本的な部分を押さえながら、それぞれの地域のやり方に従って包むようにしてください。

不祝儀袋の書き方

あなたは不祝儀袋を書いたことがありますか?

今まで祝儀袋を書く機会はあっても、不祝儀袋はあまりないでしょう。

大丈夫ですよ、多くの人がそうですから。

不祝儀袋の書き方には一応の決まりがあります。

不祝儀袋は、あなたが参列する法要の内容によって書き方が変わりますので、しっかりと区別できるようにしておきましょう。

お葬式の時に渡す不祝儀袋

不祝儀袋を使う機会は、主に、

  1. お葬式(またはお通夜)の時
  2. 法事(回忌法要)の時

です。

お葬式と法事では法要の内容が違いますから、不祝儀袋の書き方も違います。

まぁ、少しくらい書き方を間違えたところで誰かに文句を言われることはないと思いますが、基本を知っておいて損はないです。

御香典(御香奠)

まずは、お葬式(お通夜)の時に包む不祝儀袋の書き方です。

お葬式(お通夜)の時には、お悔やみの気持ちとして、

【御香典(おこうでん)=御香奠】

の袋へ現金を包みます。

『御香典』とは、お葬式(お通夜)の際に、故人の弔いのため祭壇前に供えられた現金や供物のことをいいます。

しかし、本来の意味だと、御香典とは、

故人のために供えた【お香】

のことなんです。

御香典は『御香奠』とも書きますが、【】という字には、

神仏のために物をお供えする

という意味があるんです。

ですから、御香典(=御香奠)は『神仏に【お香】を供える』という意味になるのです。

じゃあ、なぜ【お香】を供えるのでしょう?

仏様となられる方は、お香から出る『香り』を召し上がると言われています。

これを『香食(こうじき)』といいます。

故人を偲び、お香を供えることによって【故人へお食事を振る舞う】という意味があるのです。

それが現在では、何かと出費の多くなるお葬式を支援する意味で、お香やお供え物ではなく現金を【御香典(御香奠)】として包むようになりました。

お香についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ一度ご覧ください。

お香(こう)を供える意味とは?焼香の手順や線香の供え方も紹介します

御霊前

御香典と同じ目的で使用されているものに、

御霊前(ごれいぜん)

があります。

お葬式(お通夜)で現金を包む際には、【御香典】と【御霊前】のどちらで書いてもかまいません。

では、『御霊前』とはどのような意味なのでしょうか?

人が亡くなると、

  • 四十九日を迎えるまで故人の魂(=霊魂)はまだこの世に残っている

と言われています。

故人の霊魂は四十九日を境に【仏様の世界(あの世)】に旅立たれ、仏の世界におられる『精霊(しょうりょう)』に変わります。

ですから、四十九日を過ぎるまでは、故人はまだ霊魂としてこの世に残っている状態のままなのです。

ですから、『故人の霊(=霊魂)の前にお供えします』という意味で【御霊前】と書きます。

薄墨で書く

お葬式(お通夜)で使用する御香典や御霊前を書く際には、なるべく、

薄墨(うすずみ)

で書くといいでしょう。

薄墨とは、通常の墨の色(濃さ)ではなく、もっと薄い墨の色で書くことです。

薄墨で書く理由は、

  1. 悲しみのあまり、涙が硯(すずり)に入ってしまい墨の色が薄くなった
  2. 予想もしないような出来事で、慌てて墨をすり、十分に墨の色が出ていない

という、『突然の訃報に悲しみが消えない』という気持ちを表現するためです。

ただし、『必ず薄墨で書け!』というわけではないですよ。

あくまで、悲しみの気持ちを表現しているだけなので、薄墨で書いていないからといって『マナー違反』というほどではありません。

また、御香典や御霊前を書く時には、本物の墨汁と筆を使うのではなく筆ペンで書いてかまいません。

最近の筆ペンは本物の毛筆のような書き心地のものもあります。

さらに、【薄墨】専用の筆ペンも販売されています。

もしもの時のために一つ購入しておいてよいかもしれませんね。

ちなみに、ぼくがいる寺で貸出用に用意しているのはコチラの筆ペンです。

毛の部分の長さや固さがちょうど良くて、めっちゃ書きやすいのでおすすめです。

えっ、筆ペンは苦手ですか?

どうしても筆ペンが苦手だという人は、マジックペンで書いても大丈夫ですよ。

法事(回忌法要)の時に渡す不祝儀袋

お葬式の時だけではなく、法事(回忌法要)の時にも不祝儀袋に現金を包みます。

ただし、お葬式やお通夜の時とは違い、薄墨ではなくしっかりとした墨の色(濃い黒色)で書くようにしてください。

御仏前

お葬式(お通夜)の時に包むのは【御香典】または【御霊前】です。

しかし、法事(回忌法要)の時に包むのは、

御仏前(ごぶつぜん)

の袋となります。

御仏前は、字のとおり【仏様の前にお供えするもの】という意味です。

故人はあの世で、たくさんの仏様に守られ導かれて過ごしています。

つまり、御仏前というのは、故人に対してだけではなく、故人を守ってくれている仏様にも供えているのです。

御仏前は『御前』と書くこともあります。

『佛』という字は『仏』の旧漢字なので、意味は同じです。

ですから、御仏前の書き方は、『御仏前』と『御佛前』のどちらでもかまいません。

四十九日忌法要は、御霊前?御仏前?

ぼくが今までお坊さんをしてきて何度も質問されたのが、

四十九日忌法要の時には、『御霊前』と『御仏前』のどちらで包むのが正しいのか?

というものです。

さきほど、四十九日まで故人の霊魂がこの世に残っているので、お葬式の時には『御霊前』と書いてもよい、と言いました。

となると、

  • 「じゃあ、あの世へ旅立つ当日となる四十九日には御霊前と御仏前のどちらになるのか?」

という疑問が出てくるわけです。

ぼくは、四十九日忌法要の時に包む袋の表書きは、

御仏前

でよいと思いますよ。

四十九日の段階では、故人はもう『霊魂』ではないのですが、かといって、まだ『仏様』というわけでもない状態なんです。

つまり、本当は、

『御霊前』と『御仏前』のどちらでもない

となってしまうのです。

しかし、ぼくは、

四十九日を迎える故人は、もう間もなく『仏様の世界の住人』となられるので、法要当日は【故人は既にあの世で仏様に守られている存在】として扱ってよい

と考えています。

ですから、四十九日忌法要の際には『御仏前』で問題ありません。

一般的にも四十九日忌法要に包む不祝儀袋には『御仏前』と書く人が多いです。

不祝儀袋を書く時の注意点

不祝儀袋の書き方は、御香典、御霊前、御仏前、いずれも基本的には同じです。

不祝儀袋には、

  • 【外袋】と【中袋】がある
  • 連名での書き方がある
  • 数字は【旧漢字】を使用する

といった注意点があります。

注意点をふまえた上で、故人に対する供養の気持ちを筆に込めて、ゆっくりと丁寧に書きましょう。

外袋の書き方

外袋には、中央で上下を分けるように結び切りの水引があります。

まず、水引の結び目の上部には『御香典』や『御仏前』といった表書きを書き入れます。

表書きの文字の大きさですが、市販されているような一般的な袋のサイズであれば、

  • 一文字あたり、縦2cm×横2cm

くらいで書くと、袋全体に対する文字の大きさのバランスがよくなります。

次に、水引の結び目の下部には、あなたの名前をフルネームで書き入れます。

名前の文字の大きさは、字数にもよりますが、だいたい、

  • 一文字あたり、縦1.2cm~1.5cm×横1.2cm~1.5cm

くらいが丁度いいですよ。

袋の中心へきれいに書き入れるためには、

  1. 袋に左右の中心線を引く。※後で消せるように鉛筆で薄く線を引く
  2. 中心線の上に表書きと名前を書き入れる
  3. 書き入れた文字を十分に乾かす
  4. 鉛筆で引いた中心線を消しゴム等で消す

といった方法がいいですよ。

これは、ぼくが普段やっている書き入れ方です。

不祝儀袋を連名で出す時の書き方

お通夜やお葬式の場合は、不祝儀袋を連名で書いて包み、代表者だけが参列するということもあります。

あなたが代表して参列する場合、お金を包む人の名前をあなたが書かなくてはなりません。

その場合、どのようにして書くのがよいのでしょうか?

『御香典』などの表書きは先にお伝えしたような要領で書きます。

問題は、連名での名前の書き方ですよね?

まずは、【2名分】を書く場合ですが、

  1. 中央に【目上の人】の名前を書く
  2. その左隣にもう一人の名前を書く

となります。

次に、【3名分】を書く場合は、

  1. 中央に【一番目上となる人】の名前を書く
  2. その左隣に【二番目に目上となる人】の名前を書く
  3. さらにその左隣に最後の一人の名前を書く

となります。

4名以上での連名となると、一つの袋に全員分の名前を書くのではなく、

  1. 袋には『〇〇一同』と書く
  2. 袋の他に別紙(白い便箋や和紙)を用意し、目上の人から順番に右側から縦書きで名前を書く

という方法が好ましいでしょう。

中袋(内袋)の書き方

市販の不祝儀袋には、外袋の他にも中袋(内袋)がセットになっているものが多いです。

中袋は必ず使用しなければならないというものではありません。

不祝儀袋のタイプによっては中袋が付いていないものもあります。

中袋がある場合には、

  • 包む現金の金額
  • 氏名
  • 住所

を書き入れます。

中袋は、お葬式の後で喪主が【どこの誰がいくら包んでくれたのか】を確認する時に使用しますので記入しておきましょう。

中袋がないタイプのものは、外袋の裏側へ、金額、氏名、住所を書き入れます。

数字は【旧漢字】で書く

不祝儀袋の中袋または外袋の裏側には包む金額を書き入れますが、縦書きの場合には、

数字は【旧漢字】を使って書く

というのが一般的です。

不祝儀の相場の金額を旧漢字で書くと、

  • 『3,000円』⇒【参阡圓(円)】
  • 『5,000円』⇒【伍阡圓(円)】
  • 『10,000円』⇒【壱萬圓(円)】
  • 『30,000円』⇒【参萬圓(円)】
  • 『50,000円』⇒【伍萬圓(円)】
  • 『100,000円』⇒【壱拾萬圓(円)】

となります。

また、旧漢字で金額を書き入れる時には《金〇〇圓也》とするのがよいでしょう。

不祝儀袋の金額欄が横書きタイプの場合、金額はアラビア数字で書き入れます。

不祝儀袋へのお札の入れ方

不祝儀袋を書き終わったら、現金を包みます。

この時に、【お札が新券かどうか】と【お札の向き】に注意をしましょう。

結婚式でご祝儀を包む時と同様に、不祝儀を包む時にもお札の取り扱いにマナーがあります。

しかし、これから紹介するのは、あくまで【マナー】であって【儀式における必要な決まり事】ではありません。

一般的なマナーとして知っておくだけで十分です。

御香典や御霊前には新券を使用しない

不祝儀袋にお札を入れる前には、お札が【新券かどうか】を確認してください。

お葬式(お通夜)の時に包む『御香典』や『御霊前』には、

新券を使用しない

というマナーがあります。

これは、

新しいお札を使うと、まるで【不幸を予想していた(待っていた)】かのような印象を喪主やご家族に与えかねないから

という理由です。

『御香典』や『御霊前』を包む時に、もしも新券しか持っていない場合は、軽くお札を折っておけば問題ありません。

なので、「明らかに新券だとわかるお札を避けておけばいい」というくらいに考えておけばOKです。

とはいえ、あまりにボロボロのお札を使用するのも逆にマナー違反なので、常識的な範囲でお札を入れるようにしてください。

お札の入れ方

次に『お札を入れる向き』にも一応の決まりがありますのでご紹介します。

中袋がセットになっている不祝儀袋の場合は、

  1. 中袋へ書き入れた内容に誤りがないか再度確認する
  2. 中袋を【裏面が見える】ように持つ
  3. お札を【人物が見える】ように持つ
  4. お札の向きを【人物が下側になる】ように持つ
  5. その向きのままお札を中袋へ入れる
  6. お札の入った中袋を【表面が見える】ようにひっくり返す
  7. 外袋を【表面が見える】ように持つ
  8. 外袋と中袋が【表面が見える向き】にしたまま、中袋を外袋の中へ入れる

という手順でお札を入れます。

外袋のみというタイプのものは、

  1. お札を【人物が見える】ように持つ
  2. お札の向きを【人物が下側になる】ように持つ
  3. お札をそのまま裏返す
  4. 外袋を【表面が見える】ように持つ
  5. 外袋の中へお札を裏返したままの向きで入れる

という手順でお札を入れます。

中袋がある場合も無い場合も、お札は人物が裏面を向くように入れます。

これは、

  • 『お札の人物の顔が見えないようにする=悲しみのあまり顔を伏せている』

ということを表現しています。

御仏前には新券を使用してもかまわない

『御香典』や『御霊前』には新券を使用しないのが一般的なマナーです。

では、法事(回忌法要)の時に包む『御仏前』の場合はどうでしょうか?

法事の時に包む『御仏前』には、

新券を使用してもかまいません。

お葬式は急に日程が決まり、そして法要の日まで数日しかないので、参列者は新券を用意する時間がありません。

一方で、法事はお葬式と違って法要の日程が予めわかっています

先の日程がわかっていて、しかも法要当日まで十分な日数がある場合は、新券を使用した方がよいでしょう。

とはいえ、【仏事全般に新券を使うのはマナー違反】という認識の人も多いので、『御仏前』であっても新券を使用しない人も多数おられます。

ぼくの経験上、新券を使用する人としない人の割合は、ちょうど半々かと思います。

まとめ:不祝儀袋の事だけでも知っておきましょう

不祝儀袋はお葬式や法事など、さまざまな仏事において頻繁に使用されるものです。

つまり、不祝儀袋に関する知識は【仏事の基本的な知識】ともいえます。

しかし、あなたの年齢くらいだと、その【仏事へ参列する機会】そのものが意外と少ないのです。

ですから、仏事について知らないことが多いのは当たり前なんですよね。

ただ、社会人の一般知識として仏事のこともある程度は知っておくべきでしょう。

まずは、今回の記事のテーマである『不祝儀袋』について知ってほしいと思います。

あなたの部下から「不祝儀袋はどう書けばよいのですか?」と訊かれた時に、すぐに答えられるようにしておいてください。

願わくば、仏事の作法やマナーだけでなく、その先の『仏の教え』についても知っていただけると嬉しいです。