お墓の中央部分には、楕円(だえん)形で少しくぼんでいる部分があります。
くぼんでいる部分は【水鉢(みずばち)】という名前で、その名のとおり水を注ぎ入れる場所です。
お墓参りのときに水鉢へ水を注ぐことで、より丁寧な供養になります。
しかし、水鉢へ水を注ぐときにはいくつか注意点があるのです。
この記事では、お坊さんの僕が以下について解説しています。
- 水鉢に水を注ぐ意味
- 水鉢への水の供え方
- 水鉢の取り扱い方と注意点
未熟僧お墓に関する新たな発見がありますので、最後まで読んでみてください。
筆者:未熟僧(みじゅくそう)
お坊さん歴25年超の経験をもとに、仏事(お葬式・お墓など)の疑問解消、人間関係の悩み対策、僧侶の裏事情について発信しています。
お墓の真ん中にある【くぼみ】の意味
ほとんどのお墓には、下の画像のように、2つある花立ての間に『楕円(だえん)形で少しくぼんだ部分』があります。


お墓の『くぼみ』の部分は【水鉢(みずばち)】といい、きれいな水を注ぎ入れるための場所です。
水鉢にきれいな水を注ぐのは、
- 仏様の喉を潤してもらう
- 仏様の教えを映し出す鏡の役割をする
- この世のすべての生物に施し(布施)をする
といった意味があります。
仏様は未熟な私たちを正しい方向へ導き、必要なときには手助けもしてくださいます。
そんな仏様のために、感謝の気持ちを込めて水鉢に水を供え、仏様たちの喉を潤してもらうわけです。
また、波がたたない水面は『鏡』のようになるので、水鉢に水を注ぐことによって『仏様の教えを映し出す鏡』を作る意味もあります。
そして、水はあらゆる生物にとって欠かせないものであり、言ってみれば『命の源』です。
水を供えることには、すべての生物に『命の源』を施すという意味があり、これは私たちにとっての仏道修行の1つにもなっています。
じつは、お墓参りというのは自分自身の仏道修行なので、日頃から施しの意識で水を供えることが大事なのです。
ちなみに、この記事のテーマでもある『水』を含めて、お墓参りでは【5つのお供え】をするのが基本となっています。
5つのお供えについては、別記事の『お墓参りの時にお供えする『5つの供物=五供(ごく)』の意味。』で詳しく紹介していますので読んでみてください。
お墓の水鉢には湯呑みやコップが必要か?
あなたは、誰かのお墓の水鉢に『湯呑み』や『コップ』が置かれているのを見たことがありませんか?
あれは、故人が生前に使っていた湯呑みやコップに水を入れて供えているのです。
それを見て「なるほどね、ああやって水をお供えしたらいいのか。」と真似をした人もいるはず。
でも、そんなことをする必要はありませんよ。
むしろ、水鉢には湯呑みやコップなどを置かない方がいいくらいです。
その理由は以下のとおりです。
- 器に入れる意味がないから
- 無駄に『器が割れるリスク』を負うだけだから
器に入れる意味がない
湯呑みやコップに水を入れるのは、
- ちゃんと器に入れて供えた方が丁寧
- 器があった方が仏様も水を飲みやすい
という理由です。
これは、仏様のことを大切に考え、心から敬っている証拠でしょう。
しかし、それでも水を器に入れる必要はありませんし、それをする意味もないのです。
水鉢というのは、その名前のとおり、水を入れるための【鉢】です。
【鉢】は言い方を変えれば【容器】ですから、水鉢そのものが【水を入れるための容器】の役目をしています。
お墓には最初から水鉢という容器があるので、そこへさらに他の容器(湯呑みやコップ)を入れなくてもよいわけです。
また、水を湯呑みやコップに入れなくても仏様に対して失礼にはなりませんし、水が飲みづらいこともないので安心してください。
無駄に『器が割れるリスク』を負うだけ
僕は今まで、割れた湯呑みやコップがお墓の前に転がっているのを何度も見てきました。
ハッキリ言って、水鉢に器を置くのは器が割れるリスクを無駄に負うだけだと思うんですよね。
墓地のほとんどは屋外にあるので、猫やカラスなどが墓地内に入り、そのときに湯呑みやコップを割ってしまうことがあります。
ただ割れてしまうだけなら仕方ありませんが、割れた器のせいで誰かがケガをするリスクがあるのです。
お墓参りには大人だけではなく、小さなお子様も来ます。
小さなお子様が割れた器を触ってケガをしたら大変ですし、万が一その破片を口の中に入れてしまったら…。
水鉢に湯呑みやコップを置くのは、意味が無いだけでなく、ケガのリスクを無駄に負うだけなのでヤメましょう。
どうしても何かの器に入れて供えたい場合は、比較的安全な『ペットボトル』を使うとよいでしょう。
水鉢にはお酒やジュースではなく 『きれいな水』を供える
ご先祖様の中にお酒やジュースが好きな人がいたら、お墓にも供えてあげたいですよね。
でも、水鉢にはお酒やジュースではなく『きれいな水』を供えてください。
なぜなら、仏様にはできるだけ『きれいな水』を供えるという決まりがあるからです。
お酒やジュースというのは、水以外のものがたくさん入っているので、仏様に供えるには不適切なんです。
僕が寺にこもって修行をしていたときは、水が最も澄むといわれている【午前2時頃】に仏様用の水を井戸まで取りに行ってました。
そのくらい、仏様にきれいで澄んだ水を供えることを徹底していたのです。
もしかして今「えっ、夜中の2時に?」と驚いたでしょうか。
修行中のお坊さんというのは、かなり特殊な生活をしています。
例えば、修行中は外部からの情報を遮断するために、現代人には必要不可欠なスマホを使うことができません。
お坊さんのスマホとの付き合い方については『修行中のお坊さんはスマホを使ってもいいの?』の記事で紹介していますので興味があれば読んでみてください。
脱線しましたので話を『水』に戻します。
なぜ、仏様に供えるのは『きれいな水』である方がよいのでしょうか。
その理由は以下のとおり。
- 仏様にはできるだけ『きれいに澄んだ水』を飲んでいただきたいから
- きれいな水は【仏様の澄み切った清らかな教え】を象徴するものだから
水を供えることには『仏様に対する敬意と感謝』の意味があるので、お酒やジュースではなく『きれいな水』がよいのです。
あと、水はできるだけ『自宅の水』を持って行くことが望ましいです。
昔は水道がなく、家で使っている井戸水などをお墓参りのときに供えていました。
現在では井戸のない家がほとんどなので、代わりに、
- ウォーターサーバーの水
- 販売されているペットボトルの水
- 浄水器を通した水
などの『きれいな水』を供えましょう。
※最近は、簡単に『きれいな水』を作れる便利なものがありますよ。
水鉢は汚れやすいのでキレイに掃除しよう
ほとんどのお墓は屋外にあるため、水鉢には雨水が溜まって汚れが蓄積し、そのまま長期間放置すると頑固な汚れが付着します。
水鉢は、仏様へ水を供える重要な部分であると同時に、汚れやすい部分でもあるので、きれいに掃除をするように心がけてください。
水鉢は、底の部分が磨かれておらずザラザラしている場合もありますので、水鉢を掃除するときには『歯ブラシ』を使うといいですよ。
歯ブラシなら水鉢のザラザラした部分や隅の部分でも汚れをかき出すことができます。
しかも、『たわし』のように強いチカラが加わりづらく、墓石が傷みにくいです。
また、歯ブラシは墓石の他の部分を掃除するときにも便利なので、お墓掃除専用に1つ買っておくと便利ですよ。
歯ブラシを使うことに抵抗がある人は、大手通販サイトなどで購入できる『お墓掃除用具セット』を使ってみてください。
まとめ:水鉢には何も置かず、きれいな水をそのまま注ぎ入れましょう。
お墓の中央にある『くぼみ』は【水鉢(みずばち)】といい、その名のとおり『水を供える』場所です。
湯呑みやコップに水を入れてから水鉢へ供える人がいますが、自宅から持参した『きれいな水』を直接注ぎ入れるだけでかまいません。
水鉢に湯呑みやコップを置くと、猫やカラスが引っかけてしまい、地面に落ちて割れてしまうことがあります。
お墓参りには小さなお子様も来ますので、割れた湯呑みやコップの破片などでお子様がケガをしたら大変です。
また、水以外の成分がたくさん入っている『お酒』や『ジュース』を供えるのも不適切です。
水鉢には何も置かずに、家から持ってきた『きれいな水』だけをそのまま注ぎ入れるようにしましょう。
【追記】お墓の維持管理や将来に不安を感じていませんか?
お墓参りをしていて、ふと「今後もちゃんとお墓を守っていけるかな…。」と不安になったりしませんか?
多くの人は、墓地継承者としての【責任感】あるいは【義務感】でお墓を守っています。
お墓を守っていくのは本当に尊いことであり、ご先祖様や亡き家族をとても大切に思っている証拠です。
でも、毎年の管理費の支払い、墓地の手入れや墓石の掃除、定期的なお墓参りなど、お墓の維持管理の負担を考えると将来が不安になりますよね。
さらに、あなたの子ども達に同じ負担をかけてしまうことも心苦しいでしょう。
もし、お墓の維持管理に限界を感じていたら、無理をせず『墓じまい』を検討してもよいと思いますよ。
お墓を持つこと以外の選択肢(墓じまいや改葬など)を知っておきたい場合は以下の記事を参考にしてみてください。
※今から『お墓の将来』について考えておくことも家族への愛情表現です。











