仏事全般

お寺の祈祷は効果があるの?祈祷をする意味や体験談をお坊さんが解説します

護摩祈祷をする僧侶
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こんな疑問が解消できる記事です
  • お寺で祈祷をしてもらうと本当に効果があるの?
  • 祈祷をしてもらったら、どんな効果があるんだろう?
  • 祈祷をしてもらっている時ってどんなカンジなのかな?
  • 祈祷の後にもらった【祈祷札】はどうすればいいの?

あなたは仏様を信じていますか?

そして、仏様のご利益を信じますか?

ぼくは、20年以上お坊さんをしていますので、もちろん仏様を全面的に信じています。

仏様の力を拝借して、わたし達の願いが成就するよう一心にお祈りすることを『祈祷』といいます。

祈祷は多くの寺で行われており、たくさんの人が願いを成就させるために祈祷を受けています。

でも、祈祷にはどれほどの効果があるものなのか、よくわからないですよね?

じつは、祈祷の効果というものは、

人によって大きく変わります。

この記事では、

  • 祈祷の効果
  • 祈祷の体験談
  • 祈祷札の取扱い方

について詳しく解説しています。

祈祷というものを知っていただいた上で、ぜひ一度祈祷を体験してもらいたいなと思います。

祈祷の効果はある!

良縁成就、悪縁退散、祈願と書いた願い木

祈祷を受けると、

  • 家内安全
  • 交通安全
  • 良縁成就
  • 厄除け
  • 方位除け

など、私たちのさまざまな願いが成就するといわれています。

はたして本当に、祈祷には願いを成就させるような効果があるのでしょうか?

結論から言うと、

祈祷の効果はあります。

でも、

その効果は、人によって大きく変わる

ものです。

そして、大変申し訳ないですけれども、

無条件に全部の願いが成就するわけではありません。

あ、あれっ?もしかして、「はっ!?だったら祈祷なんかしねぇよ!!」って思いました?

でも、実際のところ祈祷とはそういうものなんですよね。

残念ながら、あなたの願いが【全て思ったとおりに成就する】というのは無理でしょう。

本当はあなたも気づいてましたよね?

じゃあ、なぜ多くの人が祈祷を受けるのか不思議じゃないですか?

祈祷を受けるのは、

願いがちゃんと成就したことがあるから、

または、

願いの全部は成就しなくても、地味にそれなりの効果があるから

でしょう。

正直に言うと、祈祷は過度の期待をしない方がいいんですよ。

だからといって、全く何の効果もない、ということもありません。

必ず何らかの効果をあなたに及ぼしています。

祈祷の効果というのは、

  1. 誰かに祈ってもらうことの効果
  2. 気持ちの切り替わりによる効果

の2つがあるんですよ。

どういうことなのか、順に解説していきます。

誰かに祈ってもらうことの効果

祈祷というものは、字のごとく願いが成就するように『祈る』ものです。

ここでまず、祈ることによって、どのようなことが起こるのか、あるいは何も起こらないのか、といった、

祈ることの効果や影響

について解説します。

ある大学で、『祈り』に関する興味深い検証を行なっていました。

簡単に言うと【祈ることの効果】があるのかどうかを検証したものです。

検証の内容は以下のとおり、

『同じ病気を抱える患者およそ400人を対象にして、そのうちの半数である200人に対しては「病気が早く治りますように」と、およそ1年間祈り続けました。

一方で、残りの200の人に対しては何もせずにいました。

そして、400人の患者全員と、彼らの治療に携わる医療従事者の全員は、このような検証を行なっていることを知りません。

また、祈りを受けている患者200人と、祈りを捧げている人たち(さまざまな地域に住む無作為に選ばれた約1,000人)は、皆がそれぞれに顔見知りではありません。

祈りを捧げている人たちは、患者の名前・病名・現在の状況だけを教えてもらっています。』

このような条件をもとに、どのような違いがあるのかを検証していました。

つまり、全く見ず知らずの他人から「病気が治りますように。」と祈ってもらったことで何か変化は起こるのか、を検証したわけです。

結果は、

祈りを受けなかった患者よりも、祈りを受けた患者の方が、【症状の回復が早い】または【症状悪化の進みが遅い】といったような、患者にとって良い結果が多く出たそうです。

この検証結果は、単なる偶然かもしれませんし、祈りの効果を科学的に証明しているものでもありません。

しかし、私たち人間には未だに解明できていないことが多くあります。

もしかすると、祈るという行為には何か不思議な力が働くのかもしれませんね。

ぼくは、それが仏様の力だと思っているのです。

お坊さんがあなたのために一生懸命に祈り、あなたのもとには、

お坊さんから『祈ってもらった効果(=仏様の力)』が届き、

それによって、あなたは自然と良い方向へ進むことができ、結果的に願いが成就する

目に見えるような大きな変化はありませんが、じつは『お坊さんから祈ってもらった効果』がちゃんとあなたに影響しているのではないでしょうか?

これが、祈祷のもつ効果の一つだと思います。

気持ちの切り替わりによる効果

もう一つ、祈祷を受けたことによる効果で、とても大きいなと思うのが、

あなたの気持ちが切り替わること

です。

『前向き』な気持ちに切り替わる

ぼくは、祈祷をする主な目的は祈祷を受ける人の気持ちを切り替えることだと思っています。

たとえば、こんな経験はありませんか?

あなたが、

「これは自分の実力では無理そうだなぁ・・・」

と思っていたことでも、誰かに、

「わたしには到底できないけど、あなただったらできるんじゃないかな?」

なんて言われて、急にヤル気と勇気が湧いて、チャレンジしてみたら無事にこなせてしまった、

みたいなこと。

祈祷もたぶんそういうことなんじゃないかなと思いますよ。

要するに、祈祷を受けた人の心を『前向き』に誘導するのです。

人間は弱いので、自分の力だけでは何もできません。

自分自身のことでさえも、自分の力だけではコントロールできないことがあります。

ですから、時には誰かに助けを求めたり、すがりたくなります。

そして、誰かの助けがあれば何とかなりそうな気がしてきます。

そこで、祈祷の出番です。

祈祷を受けることによって、

仏様が「もうこれで心配しなくてもいいよ。」と、あなたを優しくて包み込んでくださいます。

あるいは、なかなか一歩を踏み出せないあなたの背中を、仏様が「大丈夫だから、やってみなさい。」とトンッ♪と押してくださいます。

なおかつ、『お坊さんから祈ってもらった効果』があなたに届きます。

祈祷を受けた後は、「よしっ、これでもう大丈夫のような気がする。」と気持ちが少し『前向き』に切り替わると思います。

気持ちが前向きに切り替わると、自然と行動も前向きに変わります。

そうすると、あなたは無意識のうちに【願いの成就】に向けて積極的に動きはじめます。

積極的に行動するので、その分だけあなたの願いが成就する確率はグッと上がります。

結果として、

【祈祷を受けて積極的に行動できたあなた】と【祈祷を受けていない人】とでは、同じ願いがあった二人だとしても成就する確率は大きく変わります。

『信じる度合い』で気持ちの切り替わり方が違う

では、2人の人が同じ願い事のために同じ場所で同じように祈祷を受けた場合、同じ効果となるのでしょうか?

おそらく、同じ効果にはならないでしょう。

というのも、【祈祷の効果を信じる度合い】が人それぞれに違うからです。

同じように祈祷を受けた2人でも、【祈祷の効果を深く信じた人】と、【疑念を持っていた人】とでは、気持ちの切り替わり方が全然違います。

もちろん、深く信じた人の方が、より『前向き』に気持ちが切り替わりますので、疑念を持った人よりもずっと積極的に行動をしていきます

その結果、2人にどのような違いが出るか、あなたはもうおわかりですよね?

ですから、祈祷の効果というものは、

まず、

人によって違う

そして、

信じる度合いで変わる

ものなのです。

祈祷の体験談

体験談と書かれた白い紙

ここからは、

  • ぼくが祈祷を受けた体験
  • ぼくが祈祷をする時に行なっていること

を紹介します。

祈祷は実際に受けてみて初めてその効果を実感できるものなので、まずは体験してみることをおすすめします。

もちろんですが、祈祷は宗教行為なので、それを怪しいとか信じられないという人に対して無理にはすすめません。

でも、この記事を読んでくださっているあなたには、ぜひ一度体験してもらいたいですね。

祈祷を受けた体験

祈祷を行う寺はたくさんあります。

あなたの近くに有名な『◯◯大師』や『◯◯不動』というような寺はありませんか?

それらの寺は祈祷をしてくれるはずです。

ぼくは、今までいろんな寺で祈祷を受けてきました。

同じ祈祷といっても寺によってやり方が違いますし、それぞれの寺の特色が出るので見ていて面白いですよ。

ぼくの場合は、同業者がどのようなやり方をするのか参考にさせてもらっています。

ここで、今まで祈祷を受けてきた時のことを簡単に書きます。

祈祷はお堂の中で行われることがほとんどです。

お坊さん達が堂内に入ってくると、一気にピーンと空気が張りつめます。

そして、読経が始まると、太鼓や読経の声が堂内に響きわたり、次第に圧倒されて自然と背筋が伸びてきます。

しばらくすると、どこからか火を焚くニオイと煙が漂ってきます。

このあたりからが祈祷のメイン部分となり、最大の見せ場にもなります。

火が大きくなり、お坊さんが全力で祈り、鳴り物もガンガン音を出していきます。

太鼓の大きな音、きれいに揃った読経の声、燃えた木の節が弾ける音、これらの音を聞いていると鳥肌が立ち心が震えてきます。

ここで心が震えているのは、仏様の力が体の中に入ってきているからでしょう。

たぶん、心が仏様を感じて大きく反応しているのだと思います。

もしぼくが、最初から【怪しい】とか【信じられない】という気持ちで参加していたら、あまり心が震えないでしょう。

もしかすると、全く震えないかもしれません。

でも、ぼくは仏様の力を全面的に信じているので、バンバン心が震えます。

祈祷を受ける時のコツは、恥ずかしがらずに【信じてみる】ことです。

『信じる者は救われる』という言葉がありますけど、あながちウソではありませんよ。

せっかく祈祷を受けるのですから、その時だけでも仏様の力を信じてみましょう!

祈祷が終わると、少し『前向き』な気分になると思います。

そうです、だいたいの場合は【少し】だけです。

ぼく自身の経験や今まで聞いてきた話では、祈祷を受けて劇的に気分が変化することは少ないです。

祈祷は、目に見えるような大きな変化はなくても、じつは地味に効果が出てくるっていうカンジです。

だから、祈祷を受けたからといって「あ〜、なんかすごく気分が変わった〜っ!」ということはないでしょう。

ぼくは、そういう【あえて全部をわかりやすく与えない】ところが仏様の良いところだと思いますし、好きなところです。

全部を一気に与えてしまうと、ぼく達人間はダメになることを仏様はよくご存じなんです。

でも、安心してください、ちゃんと祈祷の力を【信じた】人は、後からジワジワと祈祷の効果が出てきますから。

祈祷をする側が行なっていること

ぼくはお坊さんなので、ぼくが【祈祷する側】にもなります。

仏様の力を拝借して祈祷することを、別名『加持祈祷(かじきとう)』といいます。

仏様というものを自分の中でじっくりと感じながら、仏様と私たちが心を通わせ一体となることを加持といいます。

つまり、仏様と私たちが一つの存在となって、あなたの願いを成就するよう一心に祈ることが、加持祈祷なのです。

仏教の祈祷では、主に『護摩(ごま)』という方法を用いて複数の僧侶が読経する中で行いますが、その時にも加持祈祷でお勤めしています。

護摩とは、お坊さんが壇上で火をあげて、そこへ仏様をお招きして、その仏様とお坊さんが一体となって願主の願いが成就するように祈ることです。

あなたもテレビなどで、お坊さんが四角い壇の上で火を焚いているのを見たことありますよね?

あれをしているお坊さんは、目の前で火を上げるのでとても暑いのです。

しかも、火の近くにある金属の仏具がとても熱くなるので、うかつに触るとヤケドをします。

しかし、しばらく護摩の修法(作法)をしながら火を見ていると精神が集中していくんです。

精神が集中したくらいのタイミングで、願主の願いが成就するように【祈る】体勢に入ります。

まず、仏様と自分が一体になる様子をイメージします。

これがとても大事なので、じっくりと時間をかけます。

具体的には、【仏様が自分の体内に入ってくる】というイメージをし、それから、【仏様の全身と自分の全身が完全に一致した】とイメージする、みたいなカンジです。

次に、本格的に【祈り】に移ります。

願主の顔を思い浮かべ、願いが成就して笑顔になる様子を頭の中に描きながら祈ります。

病気を治したいという願いがあれば、事前に患部の場所を聞いておき、患部に仏様の力が届く様子を頭の中に描きながら祈ります。

このように祈祷をしていると、目の前で火が上がっていても、その時にはさほど暑さなんて感じません。

祈祷を終えて、祈祷を受けた人の顔を見ると、だいたいは少し【明るく】なっています。

ぼくはそれを祈祷の効果があった証拠かなと思って見ています。

護摩札の置き場所は?

掛軸のある床の間の脇に仏壇が置かれた仏間

祈祷を受けると、多くの場合は護摩札(祈祷札)をもらいます。

祈祷をした護摩札には仏様の力が宿り、札に書かれた願い事を成就してくれる、といわれています。

そして、もらってきた護摩札は、一般的には1年間ほど自宅に置いておきます。

では、もらった護摩札は自宅のどこへ置くのがよいのでしょうか?

あなたの家に仏壇があって、なおかつ仏壇の中に護摩札を置けるスペースがあるのなら、ぜひ仏壇の中に置いてください。

仏壇がなければ、どこかあなたの目線より上となる場所】に置いてください。

もしも、あなたの目線より上で、なおかつ【家中を見渡せる場所】があるのなら、そこへ置くと更にいいかなと思います。

まぁ、お坊さんとしての本音を言うと、お寺でもらった護摩札は仏壇の中に置いていただくのが理想的なんですけれどもね。

もしも現在あなたの家に仏壇がないのなら、いっそのこと購入してもいいのではないかと思いますよ。

えっ?「ウチの家は誰も他界していないから、仏壇はまだいらない」ですって?

多くの人は誤解をしていますが、仏壇というのは、誰も他界していなくたって購入していいものなんですよ。

その理由は、『仏壇の意味と役割とは?仏壇の準備からお参り方法まで丁寧に解説』の記事で詳しく説明していますので一度お読みください。

まとめ : 祈祷の効果は人によって違います

祈祷を受ける多くの人は、きっと「今、自分の願うことが100%成就してほしい」と思うはずです。

自分にはできないことを、仏様の力で実現させてください、と願うわけです。

しかし、残念ながらそれは仏様の力だけではどうにもなりません。

仏様は真剣に私たちの事を考え守ってくださっているので、そんな簡単に願いを成就させてはくれません。

仏様は、ただ【大事なきっかけ】を与えてくださるだけです。

その仏様からいただいた【大事なきっかけ】をちゃんと活かすかどうかは祈祷を受けた人次第なんです。

だから、祈祷の効果はあるのですが、人によって大きな違いが出ます。

最後に、まだ祈祷を受けたことのないあなたに提案です。

もしも祈祷に興味があるのなら、まずは一度、試しに体験してみてはどうでしょう?

あなたはこの記事を最後まで読んでくださいました。

きっとあなたのような人には大きな効果があるはずですよ♪

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