お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- もう使わない数珠があるから処分したい。
- 数珠の処分方法が知りたい。
- 数珠って一般ゴミで捨てちゃダメかな?
数珠をずっと使っていると、
- ヒモが切れた
- 落として珠が欠けてしまった
- もう使わない数珠が何個かある
- 新しい数珠を買った
などの理由で数珠を処分する機会が必ずあります。
でも、数珠を処分しようにもどうやって処分すればいいのか分からないですよね?
数珠を処分するには、
- お寺に持って行く
- 神社に持って行く
- 仏具店に持って行く
- 処分をしてくれる念珠店などに郵送する
- 自分で処分する
という5つの方法がありますが、この中で最適な処分方法はお寺に持って行くことです。
数珠というのは【仏具】なので、仏具の取り扱い方を熟知している『お寺』で処分してもらうのがベストなんです。
この記事では、
- 数珠を処分するタイミング
- 数珠を処分する5つの方法
について詳しく解説しています。
数珠を適切かつ丁寧に処分できる方法が分かりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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数珠を処分するタイミング

数珠をずっと使っていると、どこかのタイミングで数珠を処分することになります。
数珠は頻繁に取り替えるものではありませんが、以下で紹介するような場合は数珠を処分するタイミングとなるでしょう。
珠を通しているヒモが切れたとき
数珠には珠を通している【ヒモ】がありますが、ずっと使っているとそのヒモが切れてしまいます。
ですから、珠を通しているヒモが切れたときが数珠を処分するタイミングの1つです。
とはいえ、ヒモが切れたからといって必ず処分しなきゃいけないわけではありません。
ずっと使っていて愛着があったり、誰かに貰って思い入れのある数珠など数珠を処分したくない場合は、仏具店や専門業者に持って行って『修理してもらう』というのでもOKです。
ただし、購入後1年以内などにヒモが切れてしまうような数珠は、作りそのものに問題がある『不良品』である可能性が高いです。
そういう数珠はせっかく直したところで、またすぐに切れますので、新たな数珠を購入することをおすすめします。
また、数珠のヒモが切れるのは、まったく別の理由も考えられます。
ヒモが切れてしまうのは、もしかしたら数珠に宿った仏様が【悪縁】を断ち切ってくれたのかもしれません。
じつは、数珠には仏様が宿り、その仏様のチカラで数珠を持つ人を守るとされており、ときには【厄介な悪縁を断つため】に数珠が切れてしまうことがあるそうです。
もしも何の前触れもなく切れた場合は、数珠に宿った仏様があなたを守ってくれた可能性があります。
そのときは、まずはあなたを守ってくれた仏様に感謝して、次にその数珠を修理するか丁寧に処分をしましょう。
【関連記事】:数珠が切れたら縁起が悪いの?数珠が切れる原因と切れた後の対処方法を紹介
結婚など生活環境が大きく変わったとき
数珠を処分するタイミングには、生活環境が大きく変わったときもあります。
生活環境が大きく変わるといえば『結婚』です。
結婚を機に、独身のときに使っていた数珠から『夫婦で買った数珠』に替えるという人は多いんですよね。
結婚をすると、家具や家電など身の周りのいろんな物を買い替えますので、そのタイミングで数珠を買い替えるのもいいでしょう。
買い替えるときにどんな数珠を選べばいいのか迷ったら、『【2023年最新版】お坊さんが厳選したおすすめの数珠(男女別5選)を紹介』の記事を参考にしてみてください。
もちろん、独身のときに使っていた数珠を無理に処分する必要はありませんから、そのまま予備として持っておいてもいいです。
ただ、わずかですが余計に保管スペースをとってしまいますし、今後ずっとしまっておくだけの可能性が高いので、新しく夫婦で買ったら以前のものは処分してしまってもいいと思いますよ。
何となく新しい数珠に買い替えたとき
あなたは、店頭で販売されている洋服を見て「あっ、コレいいなぁ。似たような服を持ってるけど・・・いいや、新しいのを買っちゃおう♪」みたいなことはないですか?
数珠も同じように、処分するタイミングの1つとして、何となく新しい数珠に買い替えたときがあります。
じつは、多くの人にとって数珠を処分するキッカケとなるのが、この【何となく新しい数珠に買い替えたとき】なんですよね。
人間というのは、しばらく使っているうちに他のモノが欲しくなるものですから、そんな時には自分の気持ちに正直になって、新しい数珠に買い替えてもイイと思いますよ。
数珠はいろんな場所で販売されているので、数珠を買う時には『数珠はどこで買うべき?売ってる場所と数珠の選び方をお坊さんの僕が徹底解説!』の記事を参考にしてみてください。
とはいえ、お坊さんとしての本音を言えば、できれば数珠は1つのものを大事に使い続けてほしいです。
先ほども言いましたが、数珠には仏様が宿るので、それを大事にしてほしいんですよね。
でも、他のものを気に入ってしまったら、正直なところ今使っているものはあまり大事にしなくなりますよね。
一方で、自分が本当に気に入ったものならずっと大事にできます。
本当に気に入って大事にできる数珠が見つかったら、それまで使っていた数珠は「今までありがとうございました。」と御礼を言って処分しましょう。
数珠を処分する5つの方法(捨て方)

数珠を処分するには、
- お寺に持って行く
- 神社に持って行く
- 仏具店に持って行く
- 処分をしてくれる念珠店などに郵送する
- 自分で処分する
という5つの方法があります。
お寺に持って行く
あなたもご存じのとおり、数珠というのは【お葬式】や【法事】などの『仏事』で使うものです。
仏事のことをよく知っているのは《お坊さん》ですから、お坊さんは数珠などの『仏具の処分方法』についてもよく知っています。
だから、数珠はお寺に持って行き、お坊さんに処分をお願いすればいいんです。
仏具を処分するときには『魂抜き(閉眼供養)』という供養をします。
ただし、すべての仏具ではなく、位牌や仏像などの『仏様が宿る仏具』を処分するときに魂抜きをするんですよね。
何度も言いますが、数珠をずっと使っていると仏様が宿ると言われていますので、数珠を処分するときにはお坊さんにお願いして【魂抜き】をしてもらうのが理想的なんです。
このように、しかるべき供養があった後に処分してもらえるという点で、僕は『お寺』に持って行くことをおすすめしています。
基本的には菩提寺に持って行く
『お寺』には、
- あなたの家のお墓があるお寺(=菩提寺)
- 気が向いたときにお参りをしに行くお寺
の2つがあります。
あなたの家のお墓が『お寺』にあるという場合、数珠の処分はそのお寺にお願いしましょう。
つまり、数珠を処分するなら基本的には菩提寺に持って行くということです。
『菩提寺』というのは【自分の家のお墓があるお寺】のことをいいます。
そして、菩提寺にとっては、あなたの家が『檀家(だんか)』となります。
菩提寺は檀家に関するすべての供養を行う立場なので、もちろん数珠の処分も行います。
だから、檀家のあなたから【数珠の処分】をお願いされたら、菩提寺はそれをちゃんと引き受けてくれますよ。
万が一、数珠の処分を断られてしまったら、そのときは『気が向いたときにお参りをしに行くお寺』に持って行きましょう。
まぁ、檀家から数珠の処分を依頼されて、それを断る菩提寺なんてまずないですが、もしも断るような菩提寺なら、そこはロクなお寺じゃないので早めにお付き合いを解消した方がいいですよ。
【関連記事】:付き合いを解消するべきお坊さんの特徴5選。
自宅から最寄りのお寺
あなたの自宅の近くにお寺はありますか?
もしもあるなら、そのお寺に数珠を持って行ってもOKです。
本当なら菩提寺に持って行ってもらいたいところですが、【菩提寺が遠くにある】というケースだってあります。
そんなときは、自宅から最寄りのお寺に持って行ってみましょう。
先ほどの『気が向いたときにお参りをしにいくお寺』に持って行くのと同じことですね。
普通のお寺は檀家以外の人でも数珠の処分くらいなら引き受けてくれますが、その際には必ず処分費用を納めるようにしてください。
また、まれに【檀家以外の人からの依頼は断る】という残念なお寺もありますので、その点はあらかじめご了承ください。
お寺で処分する時の費用の相場
数珠を処分してもらうには『お寺』が1番です。
でも、基本的に『無料で数珠を処分してもらえる』ということはありませんので注意してくださいね。
たまに「数珠の処分くらいなら無料でやってくれますよ♪」みたいなことを言う人がいますが、そんなことを信じちゃダメ。
お坊さんに対して『数珠の魂抜き』をしてもらうための費用(お布施)を納める必要がありますから、ちゃんと現金を持って行ってくださいね。
数珠を魂抜きしてもらうための費用の相場は、
1,000円〜5,000円程度
です。
ごめんなさいね、お坊さんとしても本当は「無料でかまいませんよ♪」と言ってあげたいのですが、数珠の最終的な処分にはそれなりにお金がかかってしまうんですよ。
なので、供養料は無料にできたとしても最終的な処分にかかる実費の部分は請求せざるを得ないんです。
神社へ持って行く
数珠を処分してくれるのはお寺だけではなく、一部の『神社』でも処分をしてくれるところがあります。
なので、神社へ持って行くというのもアリです。
ずっと昔は、お寺の敷地内に神社があったり、またその逆のケースもありましたので、今でも仏事と神事が融合しているものがいろいろあって、御守や祈祷札の形なんかは、お寺でも神社でもほとんど同じです。
ですから、どこかに馴染みの神社があれば、そこに持って行ってみてください。
ただし、すべての神社で処分をしてくれるわけではありません。
神事では数珠を使わないので、「数珠はお寺へ持って行ってください。」と断られる場合もありますから、その点はご了承ください。
仏具店に持って行く
数珠を処分するにあたり、代わりに新しい数珠を購入することもありますよね?
新しい数珠を買うなら、処分する数珠を仏具店に持って行くのもいいと思います。
本来なら数珠の処分をするには費用がかかりますが、処分する数珠を仏具店に持って行き、そのお店で新しい数珠を買うのであれば、きっと処分費用が《割安》または《無料》になりますよ。
仏具店だって商売です、数珠を買ってもらえるなら処分費用くらいは負担します。
ただ、店員さんの上手な営業トークで不要なものまで買ってしまわないように注意してくださいね。
ちなみに、仏具店に数珠の処分をお願いした場合、その数珠はちゃんとお坊さんが供養してから処分されるため、そこら辺のゴミと一緒に捨てられることはありませんから安心してください。
処分をしてくれる念珠店などへ郵送する
数珠の処分は、お寺や仏具店などへ自分で持って行く以外の方法もあります。
それは、処分してくれる念珠店などへ郵送するという方法です。
いくつかの念珠店(数珠の専門店)では、使わなくなった数珠を郵送すると、それを処分してくれるところがあります。
そのような念珠店では、ちゃんとお坊さんに依頼して定期的に『数珠供養』を行い、その際に数珠の処分をするのです。
念珠店へ支払う処分費用はお寺とだいたい同じで、
1,000円~5,000円程度
くらいが相場で、これに【郵送費用】が加わるカンジです。
よく探してみると、郵送費用は必要ですが《処分費用は無料》なんていう良心的なところもあるので1度チェックしてみてください。
自分で処分する
最後はコレです。
自分が使ってきた数珠なので、自分で処分するという選択肢もあります。
じつは、僕と正反対の意見で「数珠には魂が入っていないから【普通の可燃ゴミ】で処分してもよい。」という人もいます。
たしかに、数珠は位牌や仏像とは違いますので、わざわざお坊さんに頼んで『数珠の魂入れの供養』なんてしません。
だから、『数珠には魂が入っていない』という意見が出るのも仕方のないことですし、どうしても自分で処分したいなら、そこはあなたの自由にしてイイと思います。
もしも自分で数珠を処分するなら、
- 仏壇の手前に数珠を置いて、ご本尊様に「この数珠を処分させていただきます。」と伝える。
- 封筒や半紙などに包んで見えないようにする。
- 一般のゴミとして出す。
といった手順で行いましょう。
よく「般若心経を読んでから処分する。」と言われていますが、その必要はなく、処分することをご本尊様にちゃんとご報告すればそれで十分。
自分で数珠を処分する場合、【一般ゴミ】に出すなら、数珠が見えないように封筒や半紙に包むようにしましょう。
また、数珠が木製だったら自宅の庭で燃やしてもいいですし、燃やせない場合は自宅の庭に埋めてもいいと思います。
でも、マンション住まいだったり、ご近所の目があるから庭で燃やせない場合、それはもう【一般ゴミ】として処分するしかありません。
ただし、石を使った数珠は可燃ゴミにならないので気をつけてください。
そして、もう1つ注意点があります。
たまに「数珠は【塩】をふって清めてから処分しましょう。」なんて言う人もいますが、そんなことをしてはダメです。
数珠に塩をふって《清める》ということは、そもそも数珠を《穢(けが)れているもの》として扱っていることになります。
仏様や故人の前で使用しているものが《穢れる》なんてことはありませんよ、手や腕の汗などで《汚れる》ことはありますけどね。
だから、数珠に塩をふるなんていうのは数珠に対して非礼極まりない行為ですからヤメてください。
というか、先ほどから言っているように、数珠は自分で処分せずにお寺などにお願いした方がいいです。
数珠を使うのは、お葬式や法事などの『故人の冥福を祈るとき』が多いため、故人の冥福を祈りながら数珠を握りしめていると仏様のチカラが自然に宿っていきます。
また、数珠はお墓参りやお仏壇参りのときにも使いますので、お参りのたびに数珠を持ちながら仏様やご先祖様に感謝の気持ちを伝えているため、数珠にはさらに仏様のチカラが宿っていきます。
ですから、数珠というのは仏様そのものなんですよね。
ということで、数珠は自分で処分をせず、お寺に持って行くようにしてくださいね。
腕輪念珠は自分で処分する

数珠と呼ばれるものの中には『腕輪念珠』もあります。
腕輪念珠とは、数珠の形をしている【ブレスレット】のことです。
腕輪念珠はずっと手首につけているので壊れやすく、処分をする機会も多いでしょう。
でも、腕輪念珠の処分方法については考え方を変える必要があります。
『腕輪念珠』は自分で処分をするようにしてください。
数珠の形をしていますが、腕輪念珠はあくまで【アクセサリー】にすぎないので、当然ながら腕輪念珠に仏様が宿ることはありません。
ただのアクセサリーなんですから、それは自分で処分をするべきものであって、お寺や神社で処分してもらおうというのは失礼です。
なので、腕輪念珠を処分するなら、紙か封筒に包んで一般ゴミで捨てましょう。
まとめ:数珠を処分するなら『お寺』に持って行こう
数珠を処分したいときに、「どうやって処分をしたらいいんだろう?」と悩む人はとても多いです。
数珠を処分するなら、『お寺』に持って行くのが1番いいですよ。
お寺だったら、あなたの大事な数珠をちゃんとしたカタチで処分をしてくれますから安心です。
ただし、お寺に数珠の処分をお願いするときには、1,000~5,000円程度の処分費用を納めることをお忘れなく。
でも、誰かに処分してもらうのではなく「自分で処分をしたい」という人もいます。
どうしても自分で処分をしたい場合は、まず数珠を仏壇に供えてご本尊様に「処分させていただきます。」と伝えて、それから半紙などに包んで中が見えないようにしてから一般ゴミで処分をしましょう。
この記事を読んでくれたということは、あなたは無意識のうちに数珠に対して『仏様』を感じているのです。
だから、処分する数珠でも粗末には扱えないわけです。
つまり、あなたは日ごろから仏様のことを大事に考えてくれているんです。
仏事において【仏様を大事に思うこと】はとても重要です。
これからもご先祖様や亡きご家族のことを大事にしてあげてくださいね。