法事

お斎(法事の食事)は必ずしないといけないの?お坊さんが解説します。

この記事は、

今回の内容は要するにコレです
  • お斎(法事の食事)は必ずしないといけないのか
  • お斎をしない場合はどうすればいいのか

ということについて書いています。

法事の時には、参列者みんなで故人の話などをしながら食事をします。

昔は、法事の時に食事をするのはごく当たり前のことでしたが、近年では必ずしもそうではなくなってきています。

あなたも「できることなら、法事の時に【食事はなし】にしたいなぁ。」と思っていますよね?

一方で、「でも、そんなことして大丈夫なんだろうか?」という不安もありませんか?

あなたのように考えている人はとても多いのですよ。

施主となる人は考えなきゃいけないことが多くて大変です。

この記事は、そんなあなたのために、法事の食事について【お坊さん側の意見】もふまえて書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。

お斎(とき)とは何?

法要の後にお坊さんや参列者に対し感謝の気持ちを表すため、食事をふるまってもてなすことを、

『お斎(とき)』

といいます。

ぼくは、最初にこの言葉を聞いた時は「んっ?オトキって何なん?」というカンジで、それが食事を意味することをまったく知りませんでした。

『お斎』なんて難しい言い方をせず、普通に【法事の食事】って言えばいいのにと今でも思っていますが、多くの地域でそのように使われている言葉なので仕方ありません。

『お斎』という言葉の由来は、仏教の言葉の、

斎食(さいじき)

です。

斎食とは、厳しい修行をしている僧侶たちが【決められた時間に食事をすること】をいいます。

正午などの決められた時間になると、僧侶たちが決められた場所に集まり、『斎食儀』という作法をしてから食事をするのです。

僧侶たちはお腹がペコペコなのに、食べ物を目の前にしながら、まず初めに読経などの作法を行わなければなりません。

これって僧侶達にとっては結構イライラするんですよね。

例えは悪いですが、犬がご飯を食べる前の「待て!」の状態ですから。

この時の僧侶たちのお経を読むスピードったら、それはそれは速いもんですよ。

ぼくも修行中はこれをやっていました、何だか懐かしいです。

話を戻します。

この『斎食』というものは、本来はお坊さん達の食事のことなのですが、それが法事の食事に対しても使われるようになったというわけです。

そもそも斎食は、【大地の恵み】や【仏様】に感謝をして、ありがたく食事をいただくことなんですよね。

つまり、お斎も同じように、

  • 大地の恵み
  • 生前に故人から受けた恩

に対して感謝をしながら食事をいただく、という前提でなければなりません。

ですから、お斎というものは、まずは『大地の恵み』と『生前に故人から受けた恩』に対して十分に感謝するという趣旨であるべきです。

それらがあった上で、ようやく次に『参列者』や『お坊さん』へ感謝の気持ちを表す、という順番で考えながら食事をすべきものなんです。

本来のお斎の意味では、参列者やお坊さんへ感謝の気持ちを表すことは二次的なもの、ということですね。

したがって、法事の食事を『お斎』と呼ぶからには、それが【ただの会食】であってはならないわけです。

ねっ?どうですか?

今のぼく、とても面倒くさい事を言っているでしょ?

だから、『お斎』なんて言わずに、普通に【法事の食事】って言えばいいのになぁと思っているんですよね。

お斎(法事の食事)は必ずしないといけないの?

お斎の意味はおわかりいただけたと思います。

では、その『お斎』は必ずしないといけないものなのでしょうか?

ぼくは、

お斎はしなくても全く問題ない

と考えています。

まず、法事の目的は、

故人の供養をすること

です。

誰が何と言おうと、法事をする目的はこの『故人の供養』です。

じゃあ、故人の供養をするには何が重要なのか?

それは、【法要を執り行うこと】です。

親戚などが集まり【食事をすること】が重要なのではありません。

法要を執り行うことが最優先で、そこへ『お斎』という食事の場が付随しているだけです。

本当は、『法事』とは《法要とお斎を合わせたもの》のことをいうのですが、その目的はあくまで【故人の供養】です。

一番重要な『法要』をちゃんとしていれば、それ以外のものをするかどうかは、

あなたが自由に決めていい

のです。

【関連記事】:法事をする必要性と意味。法事の注意点も合わせて解説します。

お斎をしない場合

お斎をするかどうかは、あなたの自由です。

となると、たぶんあなたは、

  • 「よっしゃ、じゃあ、もうこの際お斎は無しにしよう!」

と思うことでしょう。

それでいいんですよ、あなたの自由なんですから。

ただ、お斎をしないと決めたら、その代わりにいろいろと【やるべきこと】があります。

お斎はあくまで二次的なものではありますが、残念ながら『ただ省略していいもの』というわけでもないです。

参列者へ食事がないことを通知しておく

お斎をしないという人は今でこそだいぶ増えてきましたが、それでもまだ「法事の時には食事をするものでしょ。」という考えの人は多いです。

なので、そのつもりで参列した人は、当日になってお斎がないと知ったら「えっ?食事しないの?」と思うことでしょう。

参列者の中には【お斎があるもの】と思って食事をしてこない人だってきっといるはず。

そのように参列者に迷惑をかけないためにも、前もって郵送する法事の案内に【食事はしません】という内容を入れなければいけません。

しかも、あなた側の都合で食事を無くすのですから、それなりに参列者にも納得のいくようにしなくてはいけません。

そこで、法事の案内の中に【お香典は辞退させていただきます】という趣旨のことを記載しておきます。

要するに、

「食事はしないので、その代わり『お香典』とか『御仏前』は用意しなくていいですからね。」

ということを伝えるのです。

法事に参列する時に包む『お香典』とか『御仏前』というのは、実際のところは【お斎の自分の食事代くらいは自分で負担させていただきます】という意味もあるんですよね。

それを予めご遠慮いただくことで参列者の負担を減らし、法要だけ執り行うことに納得してもらうのです。

持ち帰り用の折詰弁当を渡す

事前に参列者へ、【食事をしないこと】と【お香典や御仏前は必要ないこと】を伝えればそれでもう大丈夫・・・とはいかないんですよ。

食事をしないとはいえ、法要に参列してくれた人たちに対して何らかの形で【感謝の気持ちを表す】ことはしなくてはなりません。

そこで、参列者には、法要やお墓参りを終えて帰る時に、

返礼品と一緒に、持ち帰り用の【折詰弁当】を渡す

という人が多いです。

ぼくは、この【折詰弁当を渡す】というのは良い方法だなと思います。

なぜなら、お斎には《デメリット》があるからです。

お斎というものは、人(参列者)によっては、

『出席するのが億劫(おっくう)なもの』

となることもあるのです。

例えば、もしも親戚の中に『どうしても苦手な人』がいる場合、お斎があると、その人と法要だけでなく食事まで共にしなくてはなりません。

少しの時間なんだから我慢すればいいのですが、そう簡単に割り切れないのが人間の心理です。

どうしても苦手な人がいると、せっかくのお斎が【苦痛な時間】となってしまうかもしれません。

また、お斎には『参列者の時間をさらに拘束してしまう』という側面もあります。

お斎は、食事が始まってから終わるまで【1~2時間】程度はかかると思います。

1~2時間ってそれなりに長い時間ですよ?

あなたも今まで法事に参列したことがあると思いますが、正直なところ「できれば早く帰りたいなぁ。」と思いませんでしたか?

そのように思っている人は多いんですよ、だって、ぼくは今までそういう意見をたくさん聞いてきましたから。

それに、参列者だけではなくお坊さんの時間も拘束してしまいます。

お坊さんとしても、お斎に出ている時間があれば【別の家の法事ができる】ので、正直なところお斎に出るのは時間効率が悪いのです。

とはいえ、せっかくお斎の席に招かれたのですから、ありがたく出席させていただいているのです。

このように、お斎は施主側だけでなく参列者やお坊さんにとってもそれなりに大変なものなんですよね。

そんなお斎の《デメリット》を、持ち帰り用の折詰弁当が解決してくれます。

折詰弁当を渡すことで、

  • 食事の代わりの役割をする
  • 参列者やお坊さんの拘束時間を減らす
  • お斎の目的である『感謝の気持ち』を表す

ことができます。

折詰弁当は、ちゃんと『お斎』の要素を取り入れながら拘束時間も削減できる優れたものだと思います。

【関連記事】:法事で食事をしない時は、持ち帰り用のお弁当を渡すのがベスト!

返礼品だけ渡すのも可

ぼくは、お斎の代わりに折詰弁当を渡すことを推奨しますが、折詰弁当にもやはり《デメリット》があります。

それは、

  • 弁当なので消費期限が短い
  • 電車などに乗る時に【弁当の匂い】がする
  • 荷物になる

ということです。

このようなデメリットがあるので、折詰弁当ではなく、

  • 少し高級な返礼品だけを渡す

という人もいます。

お斎もしないし折詰弁当も渡さない代わりに、一般的な返礼品ではなく『少し高級な返礼品』を渡すのです。

お斎や折詰弁当のような『食べ物』ではなく、『食べ物以外のもの』を渡すことで、参列者に感謝の気持ちを表しているわけです。

ただ、食べ物ではない返礼品ということは、これは【お斎の代わり】ではなくなります。

お斎は【斎食】が由来なのですから、最低でも食事に関するものでなければなりませんからね。

でも、もしかすると、人によっては『少し高級な返礼品』の方が嬉しいかもしれませんね。

最近では返礼品の種類は本当にたくさんありますので、何を渡すかはあなたが自由に決められます。

返礼品を選ぶ時には【かさばらないもの】であったり【なるべく軽いもの】にしましょう。

せっかく返礼品を渡すのですから、相手に「持ち運びがしづらいなぁ」なんて思われないように気をつけてください。

ちなみに、ここ5年くらいで急増している返礼品は、

『カタログギフト』

です。

あなたもカタログギフトの利便性はご存じですよね?

返礼品って、何にしようかといろいろ考えるのがけっこう面倒でしょ?

カタログギフトなら、相手が品目を自由に選択できますし、持ち帰る時にもコンパクトで便利です。

何より、カタログギフトなら【あなたの負担】が減らせます。

返礼品を何にするか迷ってしまったら、思い切って『カタログギフト』にしてしまうのもアリですよ。

というか、返礼品だけを渡すのであれば、ぼくはむしろ【カタログギフト一択】くらいに思っていますよ。

カタログギフトにするのならコチラのようなもので、5,000円程度のモノがよく選ばれています。

《Amazon》香典返し専用カタログギフト PREMIUM CHOICE (DOコース)

お坊さんには【お膳料】を包む

お斎をしない場合、お坊さんに対しては何をするべきでしょうか?

この場合はいくつか選択肢があります。

ぼくの今までの経験では、

  1. 【お膳料】を包む
  2. 参列者と同じ返礼品を渡す
  3. 何も無し(=お布施だけを渡す)

のどれかです。

そして、お斎がない場合、圧倒的に多いのが、

【お膳料】をもらう

ことです。

ですから、あなたも法事でお斎をしないのであれば、お坊さんへ、

  • 5,000〜10,000円程度

の【お膳料】を渡せば大丈夫ですよ。

お膳料に関して詳しく知りたいという方は、『お車代やお膳料は用意する必要があるの?包む金額はいくら?』という記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

返礼品は数年前まではよくいただきましたが、最近ではその回数は減りました。

たまに返礼品をいただく時は、先ほども言いましたが『カタログギフト』が多くなってきています。

最後に、じつは意外と多いのが、お斎がない場合はお坊さんに『お布施だけを渡す』というパターンです。

つまり、折詰弁当も返礼品も無し、ということです。

あっ、勘違いしないでくださいね。

ぼくはお坊さんをしていますが、べつに「お布施の他にも何かくれ」と言っているのではありません。

お坊さんには『お布施』だけを渡せば、もうそれで十分な感謝の気持ちの表れになっていますよ、と言いたいのです。

まとめ:お斎はしなくても問題ありません。

お斎は、参列者やお坊さんへの感謝の気持ちを表し、おもてなしをするために食事をふるまう席です。

昔は、法事をすればほとんどの場合はお斎がありました。

もちろん、今でもお斎をするという人はたくさんおられます。

しかし、近年では【お斎をしない】という人が増えてきています。

これは別に、参列者やお坊さんへの感謝の気持ちがないというわけではありません。

食事の席をもうけることは、場合によっては【参列者やお坊さんの時間をさらに拘束してしまう】ことにもなります。

食事をふるまうことだけが『感謝の気持ちを表す方法』ではありませんよね?

感謝の気持ちを表すのであれば、【折詰弁当】や【返礼品】という形でも問題はありません。

つまり、予めお知らせをしておき、食事に代わるものをきちんと用意していれば、

お斎はしなくても問題ない

と思います。

ぼくは、施主はもう少し【楽(らく)】をしてもいいと思いますよ。

法事が毎回大変なものだと、きっと法事そのものをしたくなくなりますよね?

できるだけ楽をして、そして、その分だけなるべく法事を続けてもらえると嬉しいです。