お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- 法事にはどんな服装で行けばいいの?
- 法事の案内に書いてある『平服』ってどんな服装?
- 何回忌まで喪服を着ればいいの?
多くの人は『法事の服装』で悩んでしまいます。
お葬式なら【喪服】を着れば間違いないのですが、これが法事になると分からなくなりますよね。
結論を言いますと、法事では【喪服】を着るというのが基本です。
法事の服装は、お葬式のときほど細かいマナーはありませんが、それでも《故人の供養》をする場面なので【喪服】を着用するのが適切です。
しかし、法事の服装については「七回忌以降は喪服を着なくてもいい。」など他の意見もあります。
法事の服装については意見が分かれるところですが、施主から何の指定もなければ喪服を着た方無難です。
この記事では、
- 法事での適切な服装
- 「平服でお越しください」の意味
について書いています。
法事は《故人の供養》をするための大事な法要ですから、最後までお読みいただき失礼のない服装で参列をしましょう。
法事にはどんな服装で行けばいいの?
法事の服装って何を着ればいいのかイマイチ分かりませんよね。
あなたが法事の服装で悩んでしまうのも仕方ないですよ。
なぜなら、
という意見もあれば、
というように、人によって法事の服装に対する考え方が違うのですから。
では、法事にはどんな服装で行くべきなのか、お坊さんの僕が解説していきます。
基本的に法事のときには【喪服】を着る
法事の受付をしているときに信者さんからよく受ける質問があります。
それは、
です。
お葬式なら【喪服】を着ればよいのですが、これが『法事の服装』となると分からなくなってしまいますよね。
しかし、法事の服装としては【喪服】が基本です。
法事は、亡くなった人を偲んで冥福を祈るため、つまり供養のためにするんですよね。
喪服を着ることの意味を考えれば、亡くなった人の供養をするときには、施主だけではなく参列者も喪服を着ることが望ましいのです。
ただし、後ほど解説しますが、施主の意向によっては喪服を着ないケースもあります。
喪服を着ることの意味
法事で【喪服】を着るべき理由は、喪服を着ることの意味にあります。
多くの人は、「仏事では喪服を着るものだ」というふうに【何となく、そういうもの】として認識しています。
しかし、当然ながら『喪服を着ること』にはちゃんとした意味があるんですよね。
喪服を着ることには、喪服を着ている人の『故人を偲び、冥福を祈る』という弔意を表す
という意味があります。
つまり、喪服を着ることで『私は心から故人を供養したいと思っています』ということを施主や故人に対して意思表示しているんです。
法事というのは『故人の供養』をするものですから、参列者が『故人の供養』のために集まっているのなら、その全員が喪服を着るべきなんですよね。
つまり、喪服を着ることの意味を考えれば、自然と法事の服装は【喪服】という結果に到ります。
喪服については『喪服を持っていない時はどう対処する?喪服の意味と必要性を解説します』の記事でもっと詳しく解説していますので読んでみてください。
七回忌以降は喪服を着なくてもいい?
先ほどから言っているように、法事の服装は【喪服】であるべきです。
しかし、法事の服装に関しては他の意見もあるんですよね。
例えば『七回忌以降は喪服を着なくてもいい』というものです。
なぜ七回忌以降は喪服を着なくてもいいんでしょう?
「七回忌以降は喪服を着なくてもいい」と言われる理由
じつは、喪服というのは本来『遺族だけが着るもの』だったんです。
そして、喪服を着ることは【故人を偲び、身を謹みます】という遺族の意思表示の意味があります。
しかし、それがやがて参列者も『私もご遺族と同じくらいの気持ちです』という意思表示のために喪服を着るようになったのです。
それが、いつの間にやら、
- 七回忌くらいになったら、もう身を慎まなくてもよい。
- 故人を亡くした悲しみも少しは和らいできた頃である。
- 亡くなってから6年が経つので、そろそろ気持ちを切り替えてなくてはいけない。
という理由で、『七回忌以降は喪服を着なくてもいい』という考え方が広まっていきました。
たしかに、どこかで区切りをつけて前へ進むことは大事ですから、1つの区切りをつけるためにも『七回忌からは喪服を着ない』というわけですね。
しかし、喪服を着ることで故人に対する敬意を示す意味もあるので、経過年数に関係なく、法事では喪服の着用が適切であることには変わりません。
「平服でお越しください」の意味
法事をするときに、施主は事前に参列者へ【法事の案内】をします。
法事の案内は、ハガキを郵送する場合もあれば電話連絡などの場合もありますが、ハガキの場合は「当日は平服でお越しください」と書かれているケースがあります。
もしも施主が『平服』と指定した場合は、その意向に従うようにしてください。
ちなみにこの『平服』という言葉は、仏事で頻繁に出てくる単語なので注意をしましょう。
平服というのは『普段から着ている衣服、また、その服装』という意味ですから、Tシャツやジーンズなど、あなたがいつも着ているような服装のことですね。
施主が「当日は平服でお越しください」と言っているんですから、あなたはTシャツを着たりジーンズを履いて行けばいい・・・というわけではありませんよ。
普段着のまま法事に行ってしまったらメチャクチャ恥ずかしい思いをしますし、それを一生言われ続けますので要注意。
施主の言っている『平服』というのは喪服に近い服装という意味です。
喪服に近い服装というのは、
- 黒・濃紺・濃いグレーなど暗い色のもの
- 中に着るワイシャツは白色で無地のもの
- 靴下やストッキングは黒色のもの
- 靴は金具の付いていない黒色のもの
- 黒色でも【光沢】のないもの
などです。
ということで、施主が「平服でお越しください」と言った場合は、その意向に従って【平服】を着て行くようにしましょう。
しかし、逆に施主が服装に関して何も言わなければ【喪服】で行くようにしてください。
法事の服装は、原則としては【喪服】を着る、ただし施主が『平服』と指定したらその意向に従うと覚えておきましょう。
実際にはみんな喪服を着ている
じつは、法事での服装について他の人たちはどんなことを言っているのか気になり、以前にネットで少し調べてみました。
すると、他のサイトの多くは『七回忌以降は喪服を着なくてもいい』と言っていました。
しかし、僕が調べたどのサイトにも、肝心な【七回忌以降は喪服を着なくてもいい理由】については書いていないんですよね。
理由を書けないのは、喪服には【◯◯年経ったら着なくてよい】といった明確な基準がないからです。
喪服には【◯◯までは着用する】という期限について何の決まりもありません。
なのに、「喪服は七回忌以降は着なくてもいいですよ」みたいに、まるでそれが普通かのように言っているサイトが多いんですよね。
僕としては「特に決まりもないのに、区切りをつけてしまうのは少し無責任じゃないの?」と思うんです。
でも、こんなことを言うと、
という意見が出てくるかもしれません。
しかし、先ほども言ったように、喪服を着るのは【故人を偲び、冥福を祈ります】という『供養の気持ち』を表すためであり、故人に対する敬意を表すためでもあります。
あなたは何をしに法事に行くのですか?
それを考えてみると、法事のときには喪服が適切であるという答えが出てくることでしょう。
ここであなたにお知らせします。
僕は今まで6千回以上も法事をしてきましたが、七回忌以降でも90%の方々は【喪服】を着ていらっしゃいますよ。
そうです、いろんな人がさまざまなことを言っていますが、実際はみんな喪服を着ているんですよね。
もちろん、これは地域によって違うかもしれませんし、僕がたまたまそのような人たちの法事をしていただけかもしれません。
しかし、多くの人が七回忌以降も【喪服】を着ていることを知っておいた方がいいですよ。
いろんなサイトで『七回忌以降は喪服を着なくてもいい』なんて言ってますが、本当にその情報が正しいのか、念のために知人の方々にも確認をしてみてください。
まとめ:法事の服装は基本的に【喪服】だが、施主の意向に合わせる。
お葬式では【喪服】を着るのが当たり前です。
でも、『法事』となると服装で悩んでしまう人が多いです。
法事では、基本的には【喪服】を着るようにしましょう。
参列者が喪服を着るというのは、『私も喪主と同じくらい故人を偲び、冥福を祈っているんですよ』という供養の気持ちを表現することなのです。
ですから『法事』においても喪服の着用が適切です。
ただし、施主が『平服』を指定した場合は、ちゃんとその意向に沿ってください。
なので、法事の服装は基本的に【喪服】だが、施主の意向に合わせると覚えておきましょう。