お墓

お彼岸にお墓参りをする理由とお彼岸の意味をお坊さんが解説します。

お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

この記事はこんな人に向けて書いています
  • なぜお彼岸になったらお墓参りをしなきゃいけないの?
  • 普段からお墓参りはしているし、べつにお彼岸はお墓参りをしなくたっていいんじゃない?
  • そもそも『お彼岸』って何なの?

一年のうちに『お彼岸』と呼ばれる期間が、春と秋に一週間ずつあります。

あなたもお彼岸になるとお墓参りに行きますよね?

でも、なぜお彼岸になるとお墓参りをするのでしょう?

お彼岸のお墓参りには、命日供養やお盆の時とは少し違う意味があるんです。

この記事を読んでいただき、お彼岸の意味を知れば、どのような心持ちでお彼岸のお墓参りをするべきなのかがわかります。

お彼岸の意味

多くの人は『お彼岸』と聞くと【お墓参りをしに行く期間】という認識です。

それは間違いではありません。

しかし、そもそも『お彼岸』というものが何なのかを知っている人は少ないのです。

まずは、『お彼岸』の基本的なところから説明します。

彼岸とは何?

毎年、春と秋にある【お彼岸】。

いつも当然のように使っている【お彼岸】という言葉ですが、それにはどんな意味があるのでしょう?

【彼岸】という言葉は、『波羅蜜多(はらみた)』という仏教の言葉からきています。

波羅蜜多とは、

『到彼岸』=《悟りの世界》に到達すること

という意味です。

仏教の目指すところは『悟りの境地』に到ること、つまり、

あらゆる苦しみから解放され、絶対的な安らぎを得ること

です。

しかし、現実の私たちは、いつも何らかの苦しみにさらされ、それに耐え続ける日々。

私たちがいるような《苦しみや迷いに満ちた世界》のことを、此岸(しがん)】といいます。

反対に、《あらゆる苦しみから解放され絶対的な安らぎのある世界、つまり仏様たちがいる世界》のことを、

【彼岸(ひがん)】

といいます。

もう少し詳しく説明すると、

《悟りの世界》の前に流れている大きな川をはさんで、まだ悟りを得られていない私たちがいるのは、

此方(こちら)側のなので【此岸】

一方で、悟りをひらいた仏様たちがいるのは、大きな川をはさんだ向こう側、

彼方(あちら)側のなので【彼岸】

ということですね。

彼岸へ渡るには、お釈迦(しゃか)様のように悟りをひらく必要があり、そのためにはいろいろな仏道修行を続けていかなければなりません。

ですから、春と秋のお彼岸とは、

『到彼岸』を目指して努力(=修行)をする期間

なのです。

【暑さ寒さも彼岸まで】の意味

『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉があります。

この言葉は一般的に、

【夏の暑さ、冬の寒さ】というものは、お彼岸の時期を過ぎれば、ずいぶんとやわらぎますよ

という意味で使われます。

つまり、《気候の移り変わり》のことを言っています。

でも、これを仏教的な目線で解釈すると少し違います。

私たちが感じる、【暑い】とか【寒い】という感覚は、『苦しみ』の1つです。

あらゆる苦しみから解放された世界が【彼岸】なので、

【暑い】とか【寒い】という肌の感覚的な苦しみも含めて、

『あらゆる苦しみ』というものは、彼岸にわたる前までのものであって、修行をして彼岸に渡ってしまえば無くなるのですよ

という、【悟りへの道すじ】の意味になります。

やはり、彼岸へ渡るためには、修行が不可欠ということなんですね。

お彼岸の期間はいつからいつまで?

お彼岸は1年に2回、春と秋に1週間ずつあります。

では、それぞれのお彼岸の期間はいつからいつまでなのでしょう?

お彼岸の期間は、

  • 春彼岸】:春分の日と、その前後3日間を合わせた計7日間
  • 秋彼岸】:秋分の日と、その前後3日間を合わせた計7日間

です。

お彼岸の期間というのは、【〇月〇〇日~〇月▲▲日】みたいに、決まった日にちで固定されていません。

あくまで、『春分の日』と『秋分の日』を基準にして決めています。

じつは、その年によっては『春分の日』と『秋分の日』の日にちが変わってしまうことがあるのです。

とはいえ、毎年変わるというわけではありませんけどね。

ですから、お彼岸の日にちというのは、その都度インターネットなどでちゃんと確認をしておきましょう。

お彼岸にお墓参りをする理由

あなたは、3月の『春分の日』と9月の『秋分の日』をご存知ですよね?

どちらも休日ですし、しかも気候が良い時期なので、どこかへ出かけたくなりますよね。

でも、『春分の日』と『秋分の日』はぜひとも《お墓参り》をしてほしいです。

『春分の日』と『秋分の日』は、いわゆる【お彼岸の中日】にあたる日で、それはつまり、

お彼岸期間の真ん中の日

となります。

お彼岸の時期は『昼と夜の時間がほぼ半分ずつになる』のですが、【お彼岸の中日】はそのさらに真ん中なので、

昼と夜の時間が『ちょうど半分』

になるのです。

じつは、この『ちょうど半分』というのが重要であり、これがお彼岸にお墓参りをする理由なのです。

【中道】による解釈

仏教を世に広めたお釈迦様は、

『中道(ちゅうどう)』

という教えを説かれました。

中道というのは、

【両極端にかたよらない】考え方や判断をすることが大切である。

という教えです。

【両極端にかたよる】というのは、欲望のままに日々を過ごしたり、逆に、禁欲によって自分を押さえ込み過ぎる、ということです。

または、「これしかないのだ!」と、自分にとっての正解をひたすら探し続けて、他の大事なものに目を向けられない、ということです。

そんな《自分で自分を苦しめている人たち》に対して、お釈迦様は、

「どちらか一方へ極端にかたよるのではなく、ちょうど良いバランスになるような『真ん中の道』を進みなさい。」

と教えてくださったのです。

それで、中道の教えにしたがって、昼と夜の時間が同じになる時期に修行をするとよい、と考えられるようになりました。

じつは、お墓参りというのは日々の『先祖供養』であり、供養することは修行の1つなのです。

ですから、お墓参りをすることは、私たちにとって【修行】なのです。

それで、昼と夜の時間が半分になる『お彼岸』が修行に適しているので、お墓参りをするようになったというわけです。

極楽浄土への最短距離

お彼岸の時期に、昼と夜の時間がちょうど半分になるということは、つまり、

太陽が、『真東から昇って、真西に沈んでいく』ということです。

今度は『真西に沈んでいく』というのがキーワードです。

あなたは【阿弥陀如来(あみだにょらい)】という仏様をご存じですか?

たくさんいらっしゃる仏様たちの中でも、5本の指に入る実力者で、とてもありがたい仏様です。

阿弥陀様がいらっしゃる場所は【西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)】と呼ばれ、その名のとおり西の方向にある、とても清らかな世界です。

お彼岸の時期は、太陽が真西に沈むので、この時期に修行をすれば、

西にある極楽浄土への道を、迷うことなくまっすぐに最短距離で進むことができる

という考え方が生まれました。

それで、

太陽が真西に沈む時期(お彼岸)に修行の効果が最もあらわれるから、みんなでお墓参りをしましょうね。

ということになったのです。

【関連記事】:お墓参りをする意味とは?お墓参りの基本的な手順と注意点も詳しく解説します。

春彼岸と秋彼岸は何が違うの?

お彼岸は『春彼岸』と『秋彼岸』の年2回があります。

1年に2回あるということは、春と秋では何か違いがあるのでしょうか?

じつは、春彼岸と秋彼岸で、

違いはない

のです。

同じようにお墓参りをして、同じようにあなた自身の修行をしてください。

じゃあ、なぜ春と秋の2回も『お彼岸』があるのでしょうか?

それは、単純に、

『昼と夜の時間がちょうど半分になる日』が1年に2回あるから

です。

修行に最適な時期が1年に2回あるんだから、ちゃんと2回とも修行(=お墓参り)をやりましょう、ということです。

お彼岸のお墓参りでは何をすればいいの?

『お彼岸』は1年に2回ある重要な期間です。

では、『お彼岸』のときには普段と違ったお墓参りのやり方があるのでしょうか?

お彼岸のお墓参りのやり方については、

普段と同じで大丈夫

です。

服装も、お花も、お線香も、普段どおりでかまいません。

ただ、せっかくこの記事を読んでくれたのですから、

何のためにお彼岸のお墓参りをしているか

ということだけは意識するようにしてみてくださいね。

まとめ : お彼岸の意味を理解してお墓参りをしましょう。

お彼岸になると、ウチの寺にもたくさんの方がお墓参りに来られます。

ただ、お盆やご命日のお墓参りとは違って、

お彼岸のお墓参りは《私たち自身の修行》が目的です。

ですから、本来であれば、お彼岸の一週間は毎日お墓参りをすべきです。

えぇ、そうですよね、わかってますよ。

いくらなんでも毎日なんて無理ですよね。

さすがに、そんなことはウチの信者さんたちにだって言えません。

でも、せっかくお彼岸にお墓参りをするのなら、本来の意味を知っていてもらいたいです。

お彼岸は年に2回の貴重な修行の期間です、毎日でなくてもかまいませんから、せめて一度はお墓参りをしてみませんか?

お墓参りをして、あなた自身をさらに成長させていきましょう!

『未熟僧ブログ』トップページを見る >