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お墓の疑問

お墓の意味や役割とは何?お墓参りでお墓はパワースポットに育つ?

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いています
  • お墓にはどんな意味や役割があるの?
  • なぜ【お墓】というものができたの?
  • お墓を建てたら、やっぱりお墓参りをしなきゃいけないの?

大切なご家族のご遺骨が納められている『お墓』。

お墓に向かい手を合わせると、なんだか心が洗われたような気になりませんか?

それはたぶん、亡きご家族やご先祖様からのメッセージがお墓を通じてあなたに伝わったからです。

あなたがいつもお参りをしているお墓には重要な意味があるんです。

そして、ご遺骨を納めている以外にもありがたい役割を果たしているんですよ。

この記事では、

  • お墓の意味と役割
  • お墓の起源
  • お墓参りを続けるとどうなるのか

について解説しています。

最後まで読んでいただければ、お墓の意味と役割、そして昔の人がお墓を大事にしてきた理由もわかりますので、ぜひチェックしてみてください。

お墓の意味や役割って何?

あなたがいつも手を合わせている『お墓』。

あなたは『お墓』をどのようなものとして考えていますか?

例えば、

  • ただ単に遺骨が納められている場所
  • 神聖な何かが宿る石
  • よく分からないけど、何だか怖いモノ

みたいなカンジでしょうか?

人それぞれお墓に対するイメージは違うでしょう。

まずは、お墓とは何なのか、どのような意味があるのかなどを順番に説明していきます。

法律では【お墓】ってどんなもの?

お墓というのは好きな場所に建てられるわけではありません。

お墓に関しては、

『墓地、埋葬等に関する法律』

という法律がちゃんとあり、お墓とはどのようなものか、また、お墓を建ててよい場所についても定められています。

ちなみに、僕たちお坊さんは、この法律のことを『墓埋法(ぼまいほう)』と略して呼んでいます。

お墓や墓地については、 『墓地、埋葬等に関する法律』の第2条で、

《4》この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設をいう。

《5》この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域をいう。

《6》この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

と定義されています。

法律上だと、『お墓』ではなく『墳墓(ふんぼ)』あるいは『納骨堂』と表現されているんですね。

この法律を見ると、お墓というのは要するに、

死体や遺骨を埋めることを目的とする、都道府県知事に許可された場所

という意味になります。

なので、お墓には何でも自由に埋めることはできませんし、知事の許可を得た場所にしかお墓を建てられないのです。

【墓】という字の意味

墓という漢字は、【莫】という字と【土】という字が合わさっています。

【莫】という字には、

  • 『〇〇でない』
  • 『〇〇なかれ』

という意味があります。

例えば《莫大》という言葉がありますが、この言葉には『これよりきなものはない』といった意味があります。

つまり、【墓】という字は、【莫】と【土】とが合わさることで、

死体や遺骨をの中へ埋葬し、その姿を見ることができないようにした場所

という意味になるのです。

お墓の役割

お墓は死体や遺骨を埋葬するだけの場所ではありません。

お墓にはもう1つの側面があります。

それは、お墓が、

あの世とこの世を結ぶ場所

だということです。

じつは、お墓としてはこちらの役割の方が大事なんですよ。

新しくお墓を建てた時は、必ず『開眼(かいげん)法要』を行います。

開眼法要は『魂入れ(たましいいれ)』『御性根入れ(おしょうねいれ)』などとも呼ばれます。

この法要は、簡単にいうと、

墓石に仏様やご先祖様達に宿ってもらえる状態にする

ために行うものです。

建てたばかりの墓石は、まだ【ただの石】の状態なんですよね。

それが、開眼法要をすることで【お墓】となり、それでようやく私たちのメッセージがお墓を通じてご先祖様に届くようになるのです。

言ってみれば、開眼法要は『あの世とこの世の開通式』みたいなものですね。

また、開眼法要の後は、私たちもあの世からいろいろな【ご利益】や【お導き】といった恵みを、お墓を通じていただくことができるようになります。

つまり、お墓とは、あの世とこの世を結び、

私たちと仏様やご先祖様達が通じ合うための大切な場所

なんです。

そして、ご先祖様達と通じ合えるということは、その家にとってお墓は『弔いの象徴』になります。

また、お墓を通じて『感謝の気持ちを伝える場所』でもあります。

あなたはお参りをしている時は穏やかで幸せな気持ちになりませんか?

それは、ご先祖様や亡きご家族があなたに向けてたくさんのプレゼントをお墓を通じてあの世から届けてくださっているからです。

また、お墓はご先祖様や亡きご家族だけではなく、無数にいらっしゃる仏様達のご利益も一緒に届けられる場所なのです。

そう考えると、なんだか『お墓』って、あの世とこの世をつなぐための、今でいうSNSみたいですよね。

LINE 、Twitter 、Facebook 、お墓、みたいなカンジです。

【関連記事】:お墓参りをする意味とは?お墓参りのやり方と注意点も詳しく解説

お墓のはじまり

お墓の歴史は古く、どうやら縄文時代や飛鳥時代には『お墓のもと』になったものがあったようです。

その後、平安後期から鎌倉時代にかけて、現在のお墓の原型となる五輪塔ごりんとうが登場しました。

江戸時代になると、いま私たちがよく目にする形のお墓を建てるようになったそうです。

ただ、今とは違って、お墓は〔1人につき1つ〕で建てられていました。

また、この頃から政治的な理由により、お寺とお墓はセットのような関係になりました。

そして、現在のお墓は、和風なものから洋風なものまで、いろいろなデザインや用途で造られています。

他にも、お墓の起源としては、

  • 『古事記に出てくる千引石(ちびきいわ)』が起源である
  • 『お釈迦様の骨を埋めた盛り土』が始まりである
  • 『宇宙を構成している5つの要素』を表している

など、いろいろな説があります。

と、かなりザックリとですが、お墓の歴史や起源を書いてみました。

でも、お墓参りをする時に、そんなことをいちいち気にする人はいませんよね。

まぁ、さほど気にする必要がないんですけど。

お墓に関してもそうですが、仏教はあまり白黒をハッキリさせず、グレーのままにしている部分が多いのです。

テレビとかで見たことがありませんか?

よく画面の下の方に出てる

『※ 諸説あります』

とか

『※ 宗派によって違いがあります』

っていうやつ。

アレは、ぼく達お坊さんのよく使う『逃げのセリフ』です。

お墓ひとつにしてもいろいろな解釈があるので、正直なところ、何が唯一正しいのか、ぼく達お坊さんにもわからないのです。

なので、お坊さん達は「コレは必ずこうだ!」と断言できないから、便利な言葉を使ってお茶をにごしています。

お墓の歴史についても同じで、ぼく達お坊さんは断言なんてできないんです。

せいぜい「◯◯だと言われています」というのが精一杯なのです。

一方で、あなたがお参りしているお墓は、『ご先祖様たちによって代々にわたり大切に守られてきた場所』という確固たる歴史があるわけです。

ですから、あなたの家のお墓は間違いなく歴史ある神聖な場所です。

これからも、お墓参りをしたり掃除をしたり、神聖なお墓を大事に守ってください。

お墓は石で造らなければいけないの?

先日、ある信者さんからこんな質問をされました。

なぜお墓は石で造るんですか?たしか【木の柱】のお墓もありましたよね?

信者さんのおっしゃったように、墓地には『墓標(ぼひょう)』と呼ばれる木の柱を建てることもあります。

墓標は、お墓と同じ役目をするものです。

とはいえ、墓標は基本的に【墓石の代わり】として、ちゃんとした墓石を建てるまでの一時的なものなんです。

しかも、角材ですから、何年も雨風にさらされると根元が腐って倒れてしまいます。

一方で、石で造られていれば雨風にさらされても大丈夫ですから、長い間ずっとそこにあります。

ぼくがいる寺には、あえて墓石を建てずに何度も墓標を建て直している人がいますが、そのたびに高いお金を出しています。

べつに墓標を建てることが間違いではありませんし、信念をもって墓標を建て続けるというのでもイイです。

でも、今はいいのですが、世代がかわったときに後の人が大変な思いをするかもしれませんね。

お墓というのは何世代にもわたって受け継がれていくものですから、墓標よりも頑丈な石で造るべきではないでしょうか?

墓石はあなたのもの。墓地は管理者のもの。

お墓についていろいろと解説してきましたが、ここで大切なことをお伝えします。

あなたの家のお墓が建っている土地(=墓地)】はあなたのものではありません。

あなたの家のお墓(=墓石)はあなたのものです。

しかし、土地(=墓地)】の部分はお寺や霊園など『墓地の管理者』のものです。

お墓を建てるときには、必ず墓地を使用させてもらうために【永代使用料】を管理者へ支払います。

この【永代使用料】のことを【墓地の購入代金】だと勘違いする人が非常に多いんですよね。

そのような勘違いをしている人は、お墓を手放すときに、

墓地を売却するにはどんな手続きが必要なんですか?

なんて聞いてくるんです。

【永代供養料】というのは、

墓地を継承する人がいる限りずっと借地できる権利

を得るために支払うものです。

このことを説明すると、ガックリと肩を落とされて帰っていかれます。

墓地はあくまで借りているだけで、購入するわけではありませんので、そこはしっかりと理解しておいてください。

お墓参りでお墓はパワースポットに育つ?

お墓は、あの世とこの世を結ぶ場所だと先ほど言いました。

そのせいでしょうか、不思議なことに、お墓参りの回数を重ねるにつれ、お墓自体に【パワー】が生まれ、それが徐々に大きくなっていくような気がします。

何と言いますか、お墓参りをすればするほど、その分だけ、

お墓が【育つ】

というカンジです。

常にこの世とあの世の両方からお墓にパワーが注がれているからかもしれませんね。

そして、どうやら同じような現象が仏像にもおこるようです。

ぼくが日頃からメチャクチャお世話になっている先輩のお坊さんも、

「本堂を新築した時に、仏像を新しく作ったんだけど、その当時よりも今の方が『仏像が放つ力』が強くなっている。」

と言ってました。

気持ちを込めて拝むという行為は、その対象にパワーを注ぎ込む、ということなんだと思います。

ということは、多くの参拝客が訪れる大きなお寺の仏像なんかは、それはそれは巨大なパワーを持っていることでしょう。

奈良の東大寺にある大仏様は、あまりの迫力に圧倒されます。

仏像のサイズの問題ではなく、やはり大仏様自体が放つパワーのレベルが格段に違うのだと思います。

あなたの家のお墓も、ご先祖様が代々にわたりお参りをし、手を合わせてパワーを注いでこられたわけですから、立派な『パワースポット』となっているはずです。

つまり、お墓はあなたに対して、ありがたいご利益とお導き、そしてたくさんのパワーを与えてくれるものなのです。

ですから、これからも今までのようにお墓参りを続けてください。

そして、お墓をみなさんのパワーで育ててください。

すみません、なんだかスピリチュアルな話になってしまいましたね。

でも、宗教ってそんなもんですから♪

まとめ: お墓のチカラでご先祖様と通じ合いましょう

私たちは日頃から多くの仏様、またはご先祖様に守られながら生活をしています。

本当なら直接お会いして日頃の感謝の気持ちを伝えたいところなのですが、残念ながら、仏様やご先祖様の姿をこの目で見ることはできません。

しかし、あの世とこの世を結んでいる『お墓』を経由させれば、しっかりと感謝の気持ちを伝えることができます。

それと同時に、仏様やご先祖様の方からもたくさんの『恵み』が私たちに施されます。

この【あの世とこの世の通じ合い】が行われることによって、お墓がどんどん育っていきます。

お墓が育つと、さらに多くの『感謝の気持ち』があの世に伝わり、それに伴って、さらに多くの『恵み』がこの世に施されます。

ね?お墓って素晴らしいものだと思いませんか?

そこらへんの中途半端なパワースポットよりも、ずっと多くの『ご利益』や『お導き』をあなたに施してくれますよ。

せっかく先祖代々受け継がれてきたお墓があるんですから、できるだけお参りをして、お墓のチカラでご先祖様と通じ合ってほしいなと思います。

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