お坊さん歴20年以上の未熟僧と申します。
- お葬式の様子を携帯電話で撮影して、記録に残しておきたい。
- 棺の中の故人を撮影しちゃダメかな?
- お葬式の写真を撮るときは何に注意すればいい?
お葬式は故人にとって『最後の晴れ舞台』であり、故人の姿を見ることができる最後の機会ですから、その様子をちゃんと記録に残しておきたいですよね。
じつは、お葬式の記録を残すために【携帯電話のカメラ機能】を使ってお葬式の様子や故人の姿を撮っておきたいという人が増えています。
しかし、お葬式という悲しみの場面で、その様子を撮影することに少しためらいを感じてしまうでしょう。
お葬式の様子を撮影するのは問題ありませんが、それには必ず喪主の許可を得ることが条件となります。
この記事では、
- お葬式の様子を撮影してもよいのか
- ご遺体を写真に撮ってもよいのか
- お葬式の写真を撮るときの注意点
について書いています。
故人との最後の思い出作りに、この記事が参考になれば幸いです。
お葬式の様子を携帯電話で撮影してもいい?
お葬式では、親戚や知人などが集まって故人との最後のお別れをします。
お葬式は故人にとって『最後の晴れ舞台』であり、せっかくみんなが集まっているのですから、お葬式の様子や故人の姿をちゃんと写真に残しておきたいですよね?
お葬式の様子を携帯電話で撮影しても問題はない
あなたはきっと「お葬式で写真を撮るのは不謹慎かな?」と、少しためらいを感じていることでしょう。
さらに、『携帯電話のカメラ機能』を使って撮影をしたいんですよね?
結論を言うと、お葬式の様子を撮影しても問題はないですし、携帯電話を使って写真を撮ることも問題ないですよ。
最近の携帯電話のカメラ機能はとても高性能なので、あなたのように携帯電話を使ってお葬式の写真を撮りたいという人は大勢います。
僕がお葬式をお勤めしていても、携帯電話でお葬式の様子を写真に撮っている人はよく見かけます。
故人の人生の締めくくりとなるお葬式の様子を携帯電話で撮影してあげることは何も悪いことではありません。
もちろん、『お葬式の様子を撮影したから故人が成仏できない』なんていうことはないのでご安心ください。
故人の姿を撮影したい
お葬式は故人の姿を見られる本当に最後の機会です。
故人には綺麗に化粧がされていて、本当に【ただ眠っているだけ】のように見えます。そのような姿が見られるのも最後だと思うと、ぜひ写真に撮って残しておきたいですよね。
しかし、参列者の中には【故人の最後の姿は記憶に残しておくものだ】という考えの人もいます。というか、多くの人がそのように考えているかもしれません。
あなたもそんなことは分かっていても、それでもやっぱり故人の姿を画像で残しておきたいですよね。
故人の姿を撮影することに関しては賛否両論があり、否定的な人は「亡くなった人にカメラを向けることは、故人に対する【冒とく】だ。」と言います。
しかし、僕は故人の姿を撮影してもよいと思います。
例えば、子どもが生まれたときには、その可愛らしい姿を写真に撮りますよね。それ以降も、入学式・卒業式・結婚式など、子どもの人生の節目の記録として写真に撮って残しておきます。
お葬式は故人の最後の節目なのに、なぜここだけは写真を撮ることが【故人の尊厳を傷つける】ことになるのでしょうか?
あなたが故人の姿を携帯電話のカメラで撮っておきたいのであれば、どうぞ、最後の姿を撮ってちゃんと記録に残しておいてあげてください。
写真を撮る時の注意点
お葬式の様子や故人の姿を撮影しても問題はありません。
ただし、写真を撮るにはいくつか注意点がありますので、これらは必ず守るようにしてください。
お葬式は、深い悲しみの中で執り行われる【非常に繊細な場面】です。
あなたの行動がお葬式全体に迷惑をかけてしまい、故人の最後の晴れ舞台を【台なし】にしてしまわないよう、最低限のマナーを守って慎重に写真を撮るようにしましょう。
必ず喪主の許可を得る
写真を撮る前にあなたが絶対にやるべきことがあります。
それは、必ず喪主の許可を得るということです。決して勝手に写真を撮ってはいけません。
あなたにとって故人は大切な存在であり、だからこそ写真に残しておきたいんですよね?しかし、喪主や家族にとってはもっと大切な存在なのです。
例えば、あなたの愛する人の姿を、他の誰かが勝手に写真に撮っていたら気分が悪いですよね?たぶん「今撮った写真をすぐに消せ!」と怒鳴りたくなるじゃないですか?
それと同じことだと思いますよ。喪主の許可なく写真を撮ることは【盗撮】と同じなんです。
ですから、写真を撮るときには必ず喪主の許可を得るようにしてください。
写真を撮るなら、iPhoneのビデオ撮影の『静止画撮影機能』を使うといい
携帯電話のカメラ機能は、撮影時に「カシャっ!」というシャッター音が出ます。
この音が出るのは、たしか防犯上の理由だったと思いますが、原則として音を消すことができません。
あなたもご存じのように、そこそこの音量で「カシャっ!」と音が出るので結構目立ってしまいます。
音が出ないようにするために専用のアプリをダウンロードして使ってもいいのですが、どのようにして使うのかなど、慣れるまでに時間がかかってしまい意外と面倒です。
そこでおすすめなのが、あなたが持っているiPhoneに最初から付いている機能の、ビデオ撮影中の『静止画撮影機能』を使うという方法です。
操作方法は、
- カメラアプリを起動(タップ)する
- 撮影開始ボタン(白丸ボタン)の上の部分を横にスライドして『ビデオ』モードに切り替える
- 撮影開始ボタン(赤丸ボタン)を押す
- 画面の右下に出た『静止画像撮影ボタン(白丸ボタン)』を、シャッターボタンのように写真を撮りたいタイミングで押す(※ボタンを押すたびに、無音で写真撮影がされます。)
- 撮影をやめるときは終了ボタン(赤四角ボタン)を押す
という手順です。
この機能を使えば写真を撮るときのシャッター音が出ないので式のジャマになりにくいです。
また、この機能の素晴らしいのは、シャッター音が出ないことだけではありません。
基本的にはビデオ撮影をしているものなので、動画を撮影しながら同時に静止画を撮れるんです。つまり、ビデオとカメラの機能をいっぺんに果たしているんですよね。
とても便利なので一度試してみてください。
とはいえ、この方法にも弱点があります。
それは、写真を撮るときのシャッター音は出ないのですが、最初の【ビデオ撮影の開始時】と最後の【撮影終了時】だけは「ピコッ♪」という音が出てしまうことです。
これについては「写真を撮るたびにシャッター音が出るよりかはマシだ。」と割り切ってください。
もう一つの弱点は、写真だけでなく動画も撮影しているので、その分だけストレージ(画像や動画などの保存領域)の容量を多く使ってしまうことです。
動画と静止画をいっぺんに撮れることは、メリットにもデメリットにもなるんですよね。
また、写真だけが必要だという人にとっては、後で動画の部分を削除する作業が面倒になるかもしれません。
必要最低限の一部の人にだけ見せる
あなたが撮ったお葬式の写真は、現像をして喪主に渡したり、あるいは画像データを転送してもいいと思います。
でも、あなたが撮った写真は、必要最低限の一部の人にだけ見せるようにしてください。
間違ってもSNSなんかにアップしてはいけません。どうしてもSNSにアップしたいのであれば、喪主は当然のこと、画像に写っている全ての人に許可を得てからにしましょう。
先ほども言いましたが、お葬式は深い悲しみの中で執り行われる【非常に繊細な場面】です。
あなたが撮った写真の中には、涙を拭う喪主や親戚の姿が写っていることでしょう。
その姿を不特定多数の人に見せることになるので、僕ならSNSにアップなんかしませんけどね。
SNSでなくとも、お葬式の写真を見せるのは【故人や喪主に関係する一部の人だけ】にしておくのが最低限のマナーです。
火葬場は【写真撮影禁止】です
お葬式では喪主の許可が得られれば写真を撮ることはできます。
しかし、火葬場では【写真撮影禁止】です。
火葬場での写真撮影が禁止されているのは、
- 『火葬場の職員』や『他のお葬式の参列者』が写ってしまうから
- 心霊写真と誤解されるようなものが写る可能性があるから
という理由です。
『火葬場の職員』や『他のお葬式の参列者』が写ってしまう
火葬場に着くと、火葬場職員さんの誘導のもと、最後のお焼香をして、故人はいよいよ火葬されます。
火葬が終わると、収骨室で同じく火葬場職員さんの案内のもと、故人のご遺骨を骨壺へ納めていきます。
収骨の最後には、職員さんが故人のご遺骨を丁寧に集めて、すべてのお骨を骨壺へ納めてくれます。
あなたは、このような火葬されたばかりの他人のご遺骨を扱う仕事ができますか?
火葬場の仕事は絶対に必要なものでありながら、昔は【敬遠される職業】でした。
ひどい場合には差別的な扱いをされることもあったそうです。そのため、火葬場の職員さん自身もあまり自分の仕事のことを他人には言わなかったそうです。
そこへ、もしも誰かが写真を撮って他の人へ見せてしまい、たまたま職員さんの知人がそれを見てしまったらどうなるでしょう?
現在ではそんな偏見はありませんが、火葬場職員さんだけでなく、場合によっては他のお葬式の参列者が写り込んでしまいます。
このように、火葬場職員さんや他の人のプライバシーを保護する意味でも、火葬場での写真撮影は禁止されているんです。
ですから、火葬場での写真撮影はヤメましょう。
心霊写真と誤解されるようなものが写る可能性がある
写真を撮ると、光の入り方などのいろんな条件が偶然重なり、まるで『心霊写真』のようなものが撮れてしまうことがあります。
言うまでもなく、あくまで『心霊写真』のようなものが撮れてしまうだけであり、それは本当の霊魂が写ったわけではありません。
しかし、『悪事千里を走る』ではありませんが、心霊写真のような【霊的現象の噂】はすぐに広まってしまいます。
僕がいつも行く火葬場にもそのような噂があり、「◯◯火葬場の◯◯式場には霊が出る」みたいに、けっこう内容が具体的でしたが、霊なんて一度も見たことがありません。
ところが、噂を聞いて「あそこの火葬場は霊が出るから、故人の火葬は他の所でしたいな・・・。」と思ってしまう人は少なからずいます。
じつは、火葬場というのは1つの市町村にたくさんあるわけではないんです。
もしも1つの火葬場に変な噂が流れてしまい、そこを使いたくないという人が増えてしまうと、他の火葬場がすぐにパンクしてしまい、多くの人に迷惑をかけることになります。
そのような事態を万が一にも招かないように、火葬場では写真を撮ることは控えましょう。
まとめ
お葬式の様子や故人の姿を撮影することはとくに問題ありません。
しかし、写真を撮るときには【必ず喪主の許可を得る】ようにしましょう。
撮影時には、シャッター音やフラッシュはもちろん、他の人たちの迷惑とならないように細心の注意を払いましょう。
お葬式は、悲しみの中で執り行われる【非常に繊細な場面】ですから、マナーを守って故人との最後の思い出を記録してください。
そして、その記録は、喪主やご家族など必要最低限の一部の人たちだけで分かち合ってください。
お葬式の様子や故人の姿を写真に撮っておきたいということは、あなたが故人のことをとても大切に思っている証拠です。
あなたがそれほど故人のことを大切に思っているなら、最低限のマナーを厳守した上でぜひ写真を撮ってあげてください。
故人もきっとあなたの気持ちを嬉しく思い、感謝することでしょう。
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