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数珠

数珠が切れたら縁起が悪い?数珠が切れた意味と原因をお坊さんが詳しく解説。

数珠が切れた!でも心配無用ですというテキストの背景にある切れた数珠

普通に数珠を使っていたのに、急にブチッ!と切れてしまったことはありませんか?

いきなり数珠が切れたら「うゎっ、なんだか縁起が悪いなぁ。」と心配になりますよね。

でも安心してください、じつは数珠が切れのは『縁起の良いこと』なんです。

この記事では、お坊さん歴20年以上の僕が、

  • 数珠が切れたことの意味
  • 数珠が切れてしまう原因
  • 数珠が切れたらどうすればいいのか

について詳しく解説しています。

数珠が切れたことへの不安が解消されますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

数珠が切れたことの意味

切れた白い紐

多くの人は、数珠が切れたことを『縁起が悪いこと』のように感じます。

でも、ご安心ください。

じつは、数珠が切れたのは『縁起の良いこと』であり、喜ぶべきことなんです。

数珠が切れたことには2つの良い意味がある

何かが『切れる』と、それが悪いことのように思えますよね?

しかし、『切れる』というのは悪いことばかりではありません。

例えば、不運なことばかりが続いていたら、

何だかイヤなことが続くなぁ、早くこの悪い流れを断ち切りたい

と思いませんか?

あるいは、どうしても苦手な人に対しては、

あ〜もぅ〜、あの人とは縁を切りたい

と思いますよね。

このように、『切れる』というのは悪いことばかりではないんです。

数珠が切れたとしても、

  • より良い方へ進むために、今の状況と決別する
  • 『悪縁』が切れる

ということであれば、それは【良いこと】になります。

じつは、数珠が切れることも同じように、

  1. 自分自身がレベルアップした
  2. 数珠に宿る仏様のチカラが『悪縁』を断ち切った

という2つの良い意味があるのです。

自分自身がレベルアップした

お坊さんが使用している数珠には108個の珠があります。

この『108』という数は、人間が持っている【欲望】の数を表しています。

仏教には、

108個の欲望を消し去ることができれば『悟り』の境地に到達する

という教えがあり、この108個の欲望を消し去るためにいろんな修行をしなきゃいけません。

お坊さんがいつも【108個の珠がある数珠】を使っているのは「私は悟りを得るために修行するぞ!」という心構えの表れなんです。

そして、修行を続けていると、いずれは数珠が切れてしまいますが、それは修行が一定のレベルまで到達したことを意味します。

あなたの数珠が切れたのも同じことで、数珠が切れたのは自分自身がレベルアップしたという証拠なのです。

※数珠を持つことの意味を詳しく知りたい人は、別記事の『数珠とは何か?数珠を持つ意味と使い方(持ち方)を説明します。』を読んでみてください。

数珠に宿る仏様のチカラが『悪縁』を断ち切った

数珠というのは、使い続けていると数珠に【仏様のチカラ】が宿り、持ち主を清め守ってくれるとされています。

では、数珠が切れたのは《仏様のチカラが無くなったこと》を意味するかといえば、そうではありません。

数珠が切れたのは、数珠に宿った仏様のチカラであなたの『悪縁』を断ち切ったからです。

要するに、数珠があなたを悪縁から守ってくれたのです。

悪縁というのは、静かにあなたの所へ近づいてきますので、

  • 最近なんだかツイてない
  • あまり会いたくない人と一緒になることが多い
  • 自分の周りで不幸が続いている

ということがあるなら注意してください。

もしかすると、悪縁があなたのすぐ近くまで迫っているかもしれません。

少し脅かしてしまいましたが、じつは悪縁が近寄ってくることは誰にでもあり、そのほとんどは【大したことないもの】です。

しかし、たまに【タチの悪いもの】 が近寄ってくることもあり、そんなときは数珠に宿った仏様のチカラで追い払ってくれます。

ただ、【タチの悪いもの】を追い払うには大きなエネルギーが必要で、その反動で数珠が切れてしまうことがあるのです。

このように、数珠を持つことにより私たちは仏様のチカラで守られていますので、もしも数珠が切れたら、悪縁から守ってくれた仏様に感謝をしましょう。

数珠が切れると【縁起が悪い】と感じてしまう理由

私たちはなぜ【数珠が切れる=縁起が悪い】と感じてしまうのでしょう?

それはきっと、

わらじの鼻緒が切れると縁起が悪い

という言い伝えがあるからです。

昔は『わらじの鼻緒が切れると、身近な人に不幸がおきる』と考えられており、とても【縁起の悪いこと】とされていました。

これにより、わらじの鼻緒が切れるのと同じように、数珠が切れることも縁起が悪いと感じてしまうのです。

では、そもそも、なぜ【わらじの鼻緒が切れると縁起が悪い】のでしょうか?

昔は、遺体の納められた棺を参列者が墓地まで運んでいました。そして、棺を運ぶ人たちには『新品のわらじ』が渡され、それを履いて棺を運んでいたんです。

無事にご遺体の埋葬が終わると、棺を運んだ人たちは履いていた新品のわらじの鼻緒を切ってその場に脱ぎ捨て、自分のわらじに履き替えてから帰宅しました。

このことから、わらじの鼻緒が切れると《お葬式》が連想され、そのため『縁起が悪い』と言われるようになったのです。

そして、それがやがて【わらじの鼻緒】と【数珠のヒモ】が同一に扱われ、そのまま『数珠が切れると縁起が悪い』となってしまいました。

しかし、どう見ても【わらじの鼻緒】と【数珠のヒモ】はまったくの別物ですよね。

ですから、わらじと数珠は無関係であり、数珠が切れても『縁起が悪い』なんてことはありません。

数珠が切れてしまう物理的な原因

原因というテキストが入った虫メガネ

ここからは、数珠が切れる原因を物理的に解説していきます。

数珠が切れてしまう原因の多くは、

  • 珠を繋いでいるヒモの【ゆるみ】や【ほつれ】
  • 珠にある【穴の角の部分】の摩擦
  • 雑な保管方法
  • 不良品だった

というケースです。

珠を繋いでいるヒモの【ゆるみ】や【ほつれ】

数珠には珠を繋いでいるヒモがあります。

このヒモのゆるみ】や【ほつれ】が原因で数珠が切れてしまうことが多いです。

数珠を長期間使用しているとヒモが徐々にゆるみますが、そのまま使っているとヒモに余計な負荷がかかり続け、やがて切れてしまいます。

また、ヒモの一部がほつれると、そこからどんどんほつれが広がり、そのうちヒモが切れます。

じつは、数珠のヒモが切れるときには、

  • 珠と珠の間隔が広がる(珠1個分くらい)
  • ヒモの一部だけが細くなる

という【切れる予兆】があるので、数珠を使うときは必ず事前に確認をしておきましょう。

もしも予兆が出ていたら、他の数珠を使うか、いっそのこと新規購入するのもアリです。

数珠を修理するという選択肢もありますが、修理には【1ヵ月~2ヵ月】くらい必要なので、お葬式や法事の直前に修理へ出さないよう注意をしてください。

珠にある【穴の角】とヒモの摩擦

数珠の珠にはヒモを通すための穴があいており、その穴の端には角(かど)があります。

数珠を使えば、珠の【穴の角】とヒモがこすれます。

この『穴の角とヒモのこすれ』がほつれる原因なのですが、こればかりは仕方のないことです。

しかし、たまに【穴の角】の加工が雑な数珠があります。

角の部分の加工がちゃんと滑らかに研磨されていないと簡単にヒモが切れてしまうので、数珠の寿命をこの角の部分の加工が決めていると言ってもいいです。

あなたの使っている数珠のヒモが頻繁に切れてしまうようなら、一度この部分を確認してみてください。

穴の角に明らかなザラつきがあれば、すぐに修理または新しい数珠を購入しましょう。

保管方法が悪い

数珠が切れてしまう原因としては『保管方法』も大きく影響します。

せっかく高品質な数珠を買っても、

  • 数珠をずっとどこかに引っ掛けておく
  • 日光の当たる場所へ置きっぱなしにする
  • 房が《折れたまま》や《絡まったまま》にする

などのように『保管方法』が悪いと破損しやすくなります。

数珠をずっとどこかに引っ掛けておく

数珠をフックなどにずっと引っ掛けている人がいますが、これはヤメましょう。

数珠をずっと引っ掛けていると、数珠のヒモの同じ部分だけに負荷がかかり続け、そこに折り目がついて部分的に劣化が進んでしまいます。

数珠を保管するときは、何かに引っ掛けるのではなく、箱や数珠袋に入れて寝かせるというのが基本です。

日光の当たる場所へ置きっぱなしにする

数珠は《置き場所》にも注意が必要です。

数珠を【日光の当たる場所】へ置きっぱなしにするのはNGです。

数珠を日光の当たる場所へ置きっぱなしにすると、房が一気に色焼けしちゃいます。

また、珠を通しているヒモも色焼けしますし、材質によっては珠も一緒に劣化が進んでしまうんですよね。

日光に当たり過ぎると数珠全体の劣化が進んでしまうので、数珠はできるだけ日光に当てないように箱や数珠袋の中に入れておいてください。

房が《折れたまま》や《絡まったまま》にする

数珠を箱や数珠袋に入れるときにも注意点があります。

数珠の房が《折れたまま》あるいは《絡まったまま》の状態で箱や袋の中へ入れてはダメです。

房が折れたり絡まったままの状態で入れると、房の形が崩れて変なクセがついてしまい、その部分だけ劣化しやすくなります。

数珠を箱や袋の中へ入れるときは、必ず房の形を真っすぐに整えるようにしましょう。

【参考記事】:お坊さんもやっている『数珠の洗い方』と『曲がった房の直し方』を紹介

不良品だった

どんな商品でも製造過程で『不良品』が出てしまうことがあり、それは数珠も同じです。

購入した数珠が切れてしまったのは、それがたまたま『不良品』だったのかもしれません。

そのような『不良品』を回避するには、価格が【3千円~2万円】くらいの、ある程度【高品質な数珠】を買うことが大事です。

価格が3千円以上の数珠であれば、専門の職人によりしっかりと作り込まれており、【珠】【ヒモ】【房】に使用されている素材の品質も高いので『不良品』である可能性は低くなります。

あなたが持つ大切な数珠ですから、ちゃんと品質の良い数珠を購入し、できるだけ長く使ってくださいね。

※数珠を購入するときはコチラの記事をご参考にどうぞ。

【女性用】お坊さんの僕がおすすめする数珠3選

【男性用】お坊さんの僕がおすすめする数珠3選

数珠が切れたらどうすればいいの?

左斜め上を見ながら考えている男性

数珠のヒモが切れてしまったらどうすればいいのでしょう?

選択肢は、

  1. 仏具店か専門業者へ修理に出す
  2. 切れた数珠は処分し、新しい数珠を買う

の2つです。

仏具店か専門業者へ修理に出す

数珠のヒモが切れてしまった、あるいは、穴の角が明らかにザラついている場合は、仏具店か専門業者へ修理に出すということが選択肢の1つになります。

ずっと使ってきたものには愛着があるでしょうし、誰かにもらった数珠であれば思い入れだってありますよね。

これからもずっと同じ数珠を使い続けたい場合は『修理』をしてもらいましょう。

数珠の修理にかかる費用は、

3千円~7千円(税込)

くらいで、修理にかかる期間は【1ヵ月~2ヵ月】くらいです。

ここで、修理をするときの注意点があります。

数珠が切れた原因が【普通の経年劣化】によるものであれば、その数珠を購入したお店で修理をしてもらってください。

しかし、穴の角の加工が明らかに手抜きだった場合、もう二度とそのお店と関わってはいけません。

粗悪品を売っているお店は、新作は一生懸命に売ろうとしますが、既にある商品の改善をしようとはしません。

そのお店からどんな新作が出たところで、その商品だってどうせ粗悪品ですから、以後は他の信頼できるお店へ修理を依頼してください。

ちなみに、切れたヒモを自分で修理するという選択もありますが、仕上がりはプロがやるのとは雲泥の差です。

せっかくの数珠をダメにしてしまう可能性が高いので、自分で修理するのはヤメましょう。

切れた数珠は処分し、新しい数珠を買う

切れてしまった数珠がだいぶ古くなっているなら、いっそのこと新しい数珠を購入するのもアリです。

数珠は1つのものを大切に使い続けることが理想的ですが、やっぱり新しいモノを欲しくなるのが人間の心理。

しかも、修理代金の3千円~7千円があれば新品の数珠が1つ買えます。

その数珠に『処分したくない理由』がなければ、気分を変えて新しい数珠を買ってみるのもいいと思います。

とはいえ、数珠を買うにしても「どこで数珠を買えばいいのか分からない。」という人もいるでしょう。

数珠の購入場所については、別記事の『数珠を買うにはどこへ行けばいいのか。数珠の購入場所を詳しく紹介』を参考にしてみてください。

新しい数珠を買ったら、次に『切れた数珠の処分』をしますが、数珠の処分は『お寺』にお願いするのがいいですよ。

もちろん自分で処分することも可能ですが、お寺なら数珠を供養した上で処分してくれるので安心です。

数珠の処分方法について詳しく知りたい方は、別記事の『【数珠の処分方法5選。処分に困った数珠の捨て方をお坊さんが詳しく紹介』を読んでみてください。

腕輪念珠が切れても何も気にしなくていい

水晶の腕輪念珠

数珠と同じようなものに『腕輪念珠』があります。

腕輪念珠が切れた場合は、べつに縁起が悪くも良くもないので何も気にすることはないですよ。

腕輪念珠はただのアクセサリー

腕輪念珠はただの【アクセサリー】であって、数珠ではありません。

数珠に仏様のチカラが宿るのは、数珠の持ち主が仏様に感謝の気持ちを伝えたり、故人の冥福を祈った結果です。

一方で、ただのアクセサリーである腕輪念珠には仏様のチカラは宿らず、数珠の役割もありません。

ですから、腕輪念珠が切れてしまった後は修理でも買い直しでもあなたの自由にして大丈夫ですよ。

『数珠が弾けた』は誤解

数珠が切れたことを「数珠が弾けた!」と言う人がいますが、僕はまだ一度も数珠が『弾けた』という経験がありません。

もちろん、20年以上お坊さんをしているので数珠が切れたことは何度もありますが、それでも『弾けた』ことはないです。

僕の経験上、数珠が切れるときは『弾ける』のではなく『ひもが静かにブツッ!と切れて珠がポロポロ落ちる』というカンジです。

無理やり引きちぎれば弾けると思いますが、普通に使っていれば数珠が弾けることはないでしょう。

数珠が弾けてしまうのは、それが『腕輪念珠』だからです。

腕輪念珠のヒモは【ゴム】なので、これが切れると弾けます。

ですから、数珠が弾けたのではなく、正確には『腕輪念珠というアクセサリーのゴムが切れて珠が弾けた』のです。

たまに、数珠が弾けたことを《悪い霊現象》だと心配する人もいますが、それは単純に、

  • 腕輪念珠の経年劣化
  • 腕輪念珠が不良品だった
  • 腕輪念珠の使い方や管理方法が適切ではなかった

というだけなので心配無用です。

まとめ:数珠が切れても縁起は悪くない。切れたら修理するか新しく購入しよう。

数珠を長い間使っていると、珠の穴との摩擦や経年劣化によってヒモが切れてしまいます。

日本人は何かが【切れる】と、それがまるで『縁起の悪いこと』のように感じてしまいます。

しかし、数珠が切れるのは『縁起の悪いこと』ではなく、

  • 数珠の持ち主の修行が一段落(レベルアップ)した
  • 仏様のチカラが数珠の持ち主を悪縁から守った

という【縁起の良いこと】を意味します。

つまり、数珠が切れてしまうことは縁起の良いポジティブな出来事なので、何も心配することはないんです。

また、大事に使ってきた愛着のある数珠であれば、切れたからといって捨てる必要はなく、修理をしたり、房やヒモだけを新しいモノに変える、というのでもいいでしょう。

もちろん新しい数珠を買ってもかまいません。

これからは、もしも数珠が切れたら「あっ、縁起が良いね。」と喜びましょう。

※数珠を購入するときはコチラの記事をご参考にどうぞ。

【女性用】お坊さんの僕がおすすめする数珠3選

【男性用】お坊さんの僕がおすすめする数珠3選