- ヤバい、お葬式に参列しなきゃいけないのに喪服を持ってない!
- 喪服がない時はどうすればいいんだろう?
- お葬式ではどうしても喪服を着なきゃダメ?
- 喪服を着ることに何の意味があるの?
お葬式や法事など、仏事のときに着用する【喪服】。
喪服って普段は使わないものなので、ついつい購入を先延ばしにしていたり、買ってあったけど体型が変わってしまって肝心な時に使えない、なんてことがありますよね?
それで、お葬式の日までに喪服が必要なのに、用意をする時間がなくて慌ててしまうという人は多いものです。
原則として、喪服を持っていない人は購入をしましょう。
でも、もしも買いに行く時間がなければ、
- 喪服に準じた服装をする
- レンタルをする
という方法があります。
この記事では、お坊さん歴20年以上の僕が、
- 喪服を持っていない時はどう対処するのか
- 喪服の意味と必要性
について詳しく解説しています。
この記事を読めば、なぜ多くの人が喪服をちゃんと持っているのかが分かりますので、ぜひチェックしてみてください。
喪服を持っていない時の対処の方法
人の命はとても儚(はかな)いもので、昨日まで元気に挨拶をしていた人が、今日にはもう帰らぬ人となってしまう、ということもあります。
ですから、訃報の知らせというものはいつも突然やって来ます。
もしも故人が、とても親しい方、あるいは大変お世話になった方であれば、一刻も早く駆けつけて手を合わせたいという気持ちになりますよね?
でも、ちょっと待ってください、あなたは喪服を持っていますか?
お通夜に限り、喪服でなくても大丈夫です
もし、あなたが喪服を持っていなくても、『お通夜』に参列するのであれば、喪服以外の服装でも《本来の礼儀》という意味では問題ありません。
じつは、
お通夜には【平服】を着て参列するのがマナー
という考え方もあるのです。
これは、『予想もしないことだったので、とり急ぎ駆けつけました』ということを喪主や遺族に伝えるためです。
ですから、お通夜に喪服を着て行くことは、まるで《故人の不幸を予想していた》というように解釈できるので、逆によくないことだと考えられているのです。
なので、急なことで喪服がすぐに用意できないのであれば、お通夜に限っていえば平服で参列してもかまいません。
しかし、あなたもご存じのように、『平服』とはいえ本当の普段着や作業着は避けた方が無難ですよ。
平服というのは、あくまで『喪服に準ずる服装』という意味ですので注意してください。
服装としては、できるだけスーツ、またはワンピース・アンサンブルなどを着用して、なおかつ、
- 黒・濃紺・濃いグレーなど暗い色のもの
- 中に着るワイシャツは白色で無地のもの
- 靴下やストッキングは黒色のもの
- 靴は金具の付いていない黒色のもの
- 黒色でも【光沢】のないもの
という点に気をつけましょう。
男性の場合
男性の場合、平服で参列するときでも黒色のネクタイはちゃんと着用してください。
黒色のネクタイがない時は、
- 紳士服店
- デパート
- 大手スーパー
- 百円均一ショップ
- コンビニ
などで購入しましょう。
喪服の購入はそれなりに大きな出費となるので、そう簡単にできることではありません。
でも、ネクタイなら何とか買えますよね?
また、ネクタイと合わせて、白色で無地のワイシャツが売っていれば、できるだけ購入した方がいいですよ。
女性の場合
女性の場合は、喪服ではなくても、黒色のスーツやワンピース、またはアンサンブルなどがあればそれを着用しましょう。
そして、女性の服装で注意するのは、『なるべく肌の露出を少なくする』という点です。
できるだけ、袖丈は長袖〜五分丈くらいのもの、スカート丈は膝が隠れる程度のものが無難です。
また、黒色のタイツではカジュアルな印象を与えてしまうので、黒色(30デニール程度)のストッキングの方が無難です。
できれば、予備を一つ持って行くことをおすすめします。
靴はヒールの高いものは避けて、飾りのないものを選び、バッグに関しては、黒色で光沢がなく、なるだけ地味なハンドバッグを選びましょう。
アクセサリーは、基本的に結婚指輪以外はしない方がいいとは思いますが、パールを用いた一連のネックレスやピアス程度であれば問題ありません。
女性の場合は、マニキュア(今は何というのですかね?ネイル?)にも注意が必要です。
派手な色やデザインの爪は『お焼香』のときに目立ってしまいます。
黒い手袋をしてもいいのですが、さすがにお焼香の時は手袋をしたままというわけにいきません。
事前に、除光液で落としておくか、どうしても落とせない場合には絆創膏(ばんそうこう)を巻いて一時的に見えないようにしておくとよいでしょう。
自宅でのお通夜など、法要会場によっては靴を脱ぐようなケースも想定できますので、足の爪の方にも同様の注意をしておきましょう。
女性の場合は着用する物や持ち物が男性とくらべて多いので、物を揃えるだけでも大変ですし、注意することも多くなってしまいます。
マナーを意識しながら、『できる範囲』で準備をしましょう。
そういえば、知人の女性から聞いたのですが、手頃な価格で有名な某ファッションセンター(本社は埼玉県さいたま市にあるそうです)であれば、お葬式の時にも使えるような服や小物類など、一通り必要な物が安く買えるそうですよ。
あなたのお住まいの近くにあれば、見に行ってみる価値はありそうですね。
レンタルする
場合によっては、普通の黒色のスーツやワンピースなどもすぐには用意できない、ということだってあるかもしれません。
そういうときは、【喪服のレンタル】をした方がいいですね。
業者でレンタルする
一番簡単なのは、葬儀社にお願いして喪服レンタルの申し込みをすることでしょう。
多くの葬儀社はレンタル衣装の業者を紹介してくれます。
どうしてもお通夜までに服を用意する時間が無い場合は、レンタルしたい喪服の種類・サイズ・必要な小物類などを、葬儀社または紹介してもらったレンタル業者へ伝えて発注をしておきましょう。
もし近くに貸衣装店があるようでしたら、もちろんそちらのお店でレンタルしてもかまいません。
実際に自分で物を見て選べますし、さまざまなアドバイスも聞けると思いますから、近くにあるのならば貸衣装店で直接借りるのが理想的です。
でも、都合よく近くに貸衣装店があるとも限りません。
近年ではインターネットで貸衣装業者からレンタルするという方法もあるので、それを利用するのも1つの選択です。
しかも、地域や時間帯によっては、申し込みをした当日に衣装の受け渡しができる業者もあります。
レンタル料金は、業者によって違うのはもちろんですが、その他にも、洋装や和装、形状や生地の質など、服の種類によっても違います。
しかし、レンタルされるのは、
- 洋装であれば、5,000円〜10,000円くらい
- 和装であれば、10,000円〜20,000円くらい
というのが一般的なようです。
女性の和装の場合は、着付けを依頼すると、追加料金が5,000円〜20,000円(出張費込み)くらい必要となるでしょう。
知人に借りるのはヤメた方がいい
借りた相手が知人だと、服を使用する時にはそれなりに気を使いますよね?
万が一、汚したり破いてしまった場合、お互いに嫌な気持ちになってしまいますし、ちゃんと弁償をしなければなりません。
そうなると、喪服のことばかりが気になって、肝心の【故人を弔う気持ち】が二の次になってしまうので、参列をしている意味がありません。
それに、無事に【汚さず、破かず】に返せたとしても、何らかの【お礼】をしないとマズイですよね。
ねっ?知人に借りると、【気を使う】だけでなく結局は【それなりの出費】もあるんです。
ですから、喪服を借りると決めたら、知人ではなく業者に申し込んでレンタルするという方向で考えましょう。
喪服の着用が必要となるケース
先ほども書きましたように、お通夜に限り喪服着用が必須というわけではありませんので、マナーを守って失礼のない服装で参列するのがよいと思います。
しかし、平服ではなく喪服の着用が必要となるケースがあります。
どのような場合に喪服の着用が必要となるのでしょう?
お葬式に参列する場合は喪服着用が必要!
お葬式は、故人を弔うための大事な式です。
ハッキリ言って、お通夜よりもお葬式の方が圧倒的に重要なんです。
ですから、『お葬式』に参列するときは平服というわけにはいきません。
お通夜に限り平服でも問題ないと言っていたのは、あくまで【お通夜法要の開始時間までに喪服を用意するヒマが無い】もしくは【とにかく一刻も早く駆けつけたい】という大義名分を前提としていたからです。
しかし、お葬式はお通夜の翌日に行われますし、一日葬の場合でも『今朝亡くなって、お昼からお葬式』なんてことはありませんので、前日までに喪服を用意する時間はあります。
ですから、お葬式にはちゃんと喪服を着て参列し、正式な服装で故人を送り出してあげましょう。
あなたが喪主や故人の遺族の場合は必ず喪服を着用する
お通夜に平服で参列しても問題がないのは、あなたが『一般参列者』の立場である場合です。
もしあなたが『喪主』や『遺族』である場合は、お通夜でも必ず喪服を着ましょう。
やはり、主になって故人を弔う側の人間としては、できるだけ正式な服装で臨み、弔問客に対しても失礼のないようにしておかなければなりません。
あなたが喪主や遺族ではなく『親族』という立場であったとしても、やはり喪服の方が無難だと思いますよ。
ある程度、故人に近い関係であるなら、お通夜から喪服を着用している方が間違いはありません。
喪服を着る意味って何?
さて、この記事のタイトルにもある『喪服』ですが、そもそも『喪服』とはどのようなものなのでしょうか?
ここで、『なぜ仏事において喪服が着用されるのか』について解説していきます。
喪服の意味
仏事には欠かせない【喪服】。
喪服には、その名のとおり『喪に服すために着る衣服』という意味があります。
喪に服すとは、故人の逝去を悼み、そして身を慎むことをいいます。
つまり、喪服を着ることによって、大事な人を亡くした悲しみの中にいること、しばらくは行動を慎むことを故人にも他者にも示しているのです。
しかし、昔は、喪服を着るのは遺族だけでした。
喪に服すというのは、本来なら一定期間(喪中期間)は喪服を着て、さらに、
- お祝い事全般
- 遊び
- 笑い
- お酒
- 肉や魚を食べること
を慎むことです。
遺族はしばらくの期間ずっと喪服を着て過ごし、故人を偲び行動を慎むことによって、故人の冥福を祈っていたのです。
そして、時代が進むと【参列者側】の人も喪服を着用して、遺族と同じように故人を偲び弔意を表すようになりました。
これが、現在の『仏事では喪服を着る』という慣習に定着したのです。
そして、本来の喪服の意味からすると、喪中期間が終われば喪服を着る必要はないのです。
しかしながら、法事の時などは『故人を偲び弔いの気持ちを示す』ということに変わりはないので、故人が亡くなって数年経った法事であっても参列者は喪服を着ているのです。
本来の喪服は黒色ではない!?
『あなたが持っている喪服は何色ですか?』
この質問に対して、ほとんどの人は「黒色」と答えることでしょう。
でも、喪服が【黒色】として定着したのは、どうやら比較的最近のことのようですよ。
じゃあ、その前は何色だったかというと、もともと日本では、喪服が【白色】だったのです。
『日本書紀』などには喪服が白色であったことの記録があります。
その後、上流階級の間で、時代によっては黒色が着られていたそうですが、庶民の間では白色を着ていたようです。
ということは、【喪服=白色】として定着していた期間の方がずっと長かったわけですね。
白色は『穢れがなく清らかなもの』とか『新たに始めること』を象徴する色です。
きっと、白色の喪服を着ることで、自らを清めて、死者を弔い、残された者として新たな生活を迎える決意を表していたのでしょう。
では、現在のように喪服が【黒色】となったのはいつ頃からなのでしょうか?
喪服が【黒色】へと変わったのは、明治時代から第二次世界大戦の終戦頃にかけてです。
明治期の日本は、欧米諸国の文化を積極的に取り入れようとしていた頃なので、1897年の英照皇太后の大喪の時に、他国の国賓に合わせて黒い喪服を着たのをきっかけに日本国民全体に【喪服=黒色】という認識が出てきました。
また、第二次世界大戦では大勢の戦没者を出し、いたる所で葬儀が執り行われていました。
当時は喪服をレンタルすることも多く、貸衣装店としても白色の喪服を貸し出す頻度が多くなりました。
そうなると、汚れの目立ってしまう【白色】では頻繁な貸し出しにおいて不都合が多くなったので、反対に、汚れの目立たない【黒色】の喪服を貸し出すようになったといわれています。
それが、現在の私たちまで【喪服=黒色】として定着したのです。
喪服の必要性
喪服ってそんなに頻繁には使用しませんよね?
しかも、前に購入しておいた喪服が、体型変化のためにいざという時に着られなかった、なんていうこともあります。
そして、あまり使用しないのにクローゼットのスペースをとってしまうんですよね。
だから、ついつい購入を先送りしてしまい、いざという時に困ってしまいます。
しかし、僕はちゃんと喪服を購入しておくことをおすすめします。
特に、あなたが社会人であればなおさらです。
この記事の最初で『お通夜に限り平服でも問題ない』と言いましたが、実際のところ、お通夜であっても平服で参列する人はほとんどいません。
僕が20年以上お通夜やお葬式をお勤めしてきた経験でも、99%の人は喪服を着用して参列されています。
おそらく、近年ではお通夜の方だけに参列することも多いので、【お葬式に参列できないのなら、お通夜の時にはちゃんと正装をしよう】という意味でみなさん喪服を着るのだと思います。
ですから、現実として、お通夜やお葬式において『喪服着用は必須』であるといえます。
人はいつどのようになってしまうのか誰にもわかりません。
縁起でもないかもしれませんが、もしかすると、あなたの身近なところで不幸が起こらないとも限りません。
そんな時に急いで喪服を用意することは大変ですよ。
しかも、あなたが社会人であれば【喪服を持っていない】ことに対して「社会人なのに喪服を持ってないなんて非常識だ!」と言う人だっているかもしれません。
ですから、あなたがいざという時に慌てないように、そして、恥ずかしい思いをしないためにも、喪服を購入しておいた方がいいですよ。
購入する喪服の金額の目安
あなたが喪主であったり、あるいは遺族の場合は喪服が必要です。
いざという時に慌てないように、できるだけ喪服は購入しておきましょう。
喪服を購入するときには、ウエスト周りなどの調整が可能な《体型の変化に対応できるもの》を購入しておく方がさらに安心です。
ここからは、大まかですが一般的な喪服の販売価格を紹介しますね。
喪服は比較的求めやすい金額のものから、高級なものまで幅広く種類があります。
洋装の場合、男性の正喪服はモーニングで、価格は80,000円〜100,000円のものが多いです。
ただ、僕が今まで《喪主がモーニングを着ている》のを見たのはほんの数人です。
99%の喪主は準喪服の【ブラックスーツ】を着用していました。
ブラックスーツの価格は、市販のもので一般的には、
30,000〜50,000円
くらいです。
インターネットで購入するとさらに低価格なので、
10,000~30,000円
くらいで購入できます。
あと、もちろん和装の正喪服もあるのですが、じつは僕、喪主で和装をしている男性を一度も見たことがありません。
つまり、現代のお葬式において日本の伝統的な服装というのは重要視されていない、ということ。
たしかに、買うとしても和装(正喪服)の場合は決まりも多いですし、費用も30万円程度が必要となってきます。
そして、和装の喪服は喪主や遺族が着るものなので、ブラックスーツに比べて非常に使用頻度が低いわりには値段が高いのです。
喪服としてブラックスーツが定着したのは、さまざまな面で使いやすいからなんです。
女性の場合、洋装であれば、ワンピースかアンサンブルを着用します。
こちらも、市販のものであれば、一般的な価格としては、
20,000円〜50,000円
です。
そして、インターネットで購入する場合は、やはり、
10,000~30,000円
くらいの価格で購入できます。
和装の場合は、男性と同様に正喪服として着用することとなり、価格もやはり30万円程度と高額になります。
しかし、男性と違って、女性が喪主となっている場合、和装をする人はけっこうおられます。
まぁ、和装の人がいるとはいえ、経験則としては10%程度ですけどね。
やはり圧倒的に洋装が多いことは間違いありません。
ですから、利便性や価格を考慮すると、喪服を購入する時は、男女を問わず『洋装の喪服』を優先的に選んでおいた方がいい、ということになると思います。
まとめ: 喪服を持っていないなら買っておいた方がいい
喪服は誰かが亡くなった時や故人の供養をするときに使用する服です。
お通夜に限り平服でもよいとされていますが、それでも実際は99%の人がちゃんと喪服を着ています。
ですから、お通夜でもお葬式でも必ず喪服を着用しましょう。
ただ、喪服というのは頻繁に使用するものではありません。
なので、その都度レンタルをするのでもかまいませんが、いざという時に慌てないように今のうちから喪服を購入することをおすすめします。
喪服の用意をしておくことは「誰かの不幸に備えておくことだ。」という人もいますし、それを『縁起でもない行為』と思う人もいることでしょう。
しかし、人はいつか必ずこの世を去ります。
誰にでも必ず訪れるものなのであれば、それに対する準備をしておくべきではないでしょうか?
喪服を着ることは、故人を偲んで哀悼の気持ちを『意思表示』することです。
つまり、喪服を用意しておくことは、誰かの不幸を待っているのではなく、『いざそうなった時に、故人にしっかりと哀悼の気持ちを示すことができるように、そして、故人を弔うことに集中できるように』、そのために喪服を予め用意しておくのです。
誰かが他界されるたびに慌てて用意するのは大変ですよ。
ですから、喪服はできるだけ先に買っておきましょう。