お墓参りのときには、線香や生花の他にも【供物】をお供えします。
故人が『お酒好き』だった場合、せっかくなら『お酒』も供えてあげたいですよね。
しかし、仏教的な観点から言うと、じつはお墓にお酒を供えるのはあまり好ましくないのです。
とはいえ、簡単な注意点を守っていれば、お酒を供えても問題はないのでご安心ください。
この記事では、お坊さんの僕が以下について詳しく解説しています。
- お墓にお酒を供えることがあまり好ましくない理由
- お墓でお酒を供えるときの注意点
未熟僧今後のお墓参りで必ず役立ちますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
筆者:未熟僧(みじゅくそう)
お坊さん歴25年超の経験をもとに、仏事(お葬式・お墓など)の疑問解消、人間関係の悩み対策、僧侶の裏事情について発信しています。
お墓に【お酒】を供えてもいいの?
お墓参りで【お酒】を供えるという人は多いです。
特に『故人はお酒が好きだった』という場合、家族としてもお酒を供えてあげたいと思いますよね?
そう思う一方で「お墓にお酒を供えてもいいのかな?」という疑問も出てくるでしょう。
お坊さんの僕としては『お墓にお酒を供えるのは、あまり好ましくはないが一応は大丈夫』という意見です。
亡くなった人はあの世で仏道修行をされていますが、修行にあたり『お酒を飲んではいけない』という決まりがあるんですよね。
でも、多くの人はそんなことを知らないので、



ほら、おじいちゃんの好きだったお酒だよ、どうぞ♪
と言ってお酒を供えます。
故人としては、目の前に大好きなお酒があるのに飲んじゃいけない状態なのでツラい思いをしているかもしれません。



だから、お墓にお酒を供えるのはあまり好ましくないんですよね。
とはいえ、家族としては故人に喜んでもらいたくてお酒を供えるわけです。
きっと、
- 生前にとても可愛がってもらった
- 生前にいろいろとお世話になった
- 自分を産んでくれた親だから
といったように、故人に対して【感謝】をしているから喜んでもらいたいんですよね?
仏教において『感謝の気持ち』というのは非常に重要なので、それを伝える方法の1つとしてお酒を供えているのなら仕方ないところでもあります。
ですから、供えたお酒を故人が飲むことはできませんが、お墓にお酒を供えても一応は大丈夫です。
お墓参りでお酒を供えるときの注意点
お酒を供える場合は簡単な注意点があります。
注意点の中には、他のお墓にも関係する事項がありますので気をつけましょう。
お酒を供える場所は水鉢?
お墓にお酒を供えたくても、どこにどうやって供えればいいか迷いますよね?
お墓には『水鉢(みずばち)』という、お墓の中央部分に楕円形で少し凹んだ場所があります。


この水鉢の部分には、自宅から持参した【きれいな水】を注ぎ入れます。
ということは、水鉢へ【水】の代わりに【お酒】を注いであげればいいと思うかもしれませんが、それはダメです。
後述しますが、墓石にお酒を触れさせると石の劣化を早めてしまうので良くありません。
それに、水鉢は【水】専用の場所です。
仏教において【水】は非常に重要なものですが、反対に【お酒】は避けるべきなものとして考えています。
つまり、【水】を注ぐ場所に【お酒】を注ぐなんてことは言語道断なので、お酒は『水鉢』以外の空いている場所へ供えるようにしてください。



お酒はビンや缶のまま供えるか、他の容器に移して供えることになります。
もしも他に空いているスペースが無い場合は、仕方ありませんので水鉢の中にビンや缶のまま供えてください。
【関連記事】:お墓の真ん中にある【くぼみ】は何?湯呑みやコップを置くための場所?
缶やビンなどのフタを開けて供える
お酒というのは、
- ビン
- 缶
- 紙パック
などに入って販売されています。
ですから、購入したお酒をお墓へ供えるときには、缶やビンの【フタ】を開けて供えるといいですよ。



修行中でお酒が飲めない故人のために、フタを開けて『お酒の香り』くらいは楽しんでもらいましょう。
ちなみに、仏様は線香や焼香といったお香から出る【香り】を食べると言われており、これを仏教では『香食(こうじき)』といいます。
だから、もしかすると、お酒から出ている匂いを嗅ぐだけでも故人は喜んでくれるかもしれませんよ。
逆に、余計にツラい思いをさせてしまうかもしれませんけどね。
【関連記事】:お線香のあげ方やマナーを場面別に詳しく紹介。お焼香の作法も合わせて紹介
できれば別の容器に注いで供える
あなたは自宅でお酒を飲むときに、
- 缶やビンのまま飲む
- グラスなど別の容器に注いで飲む
では、どちらの方が美味しく感じますか?
たぶん【2.グラスなど別の容器に注いで飲む】ではないでしょうか?
特にビールの場合は『泡』にこだわる人ほど別の容器に注ぐことでしょう。
せっかくお酒を供えるなら、それと同じように故人にもできれば別の容器に注いで供えるようにしましょう。
ビンや缶のフタを開けたまま供えるのでもイイんですけど、さらに丁寧に供えるのなら『別の容器』に注いでください。
そして、お酒を注ぐ容器は『生前に故人が使っていたもの』がベストです。
故人の使い慣れた容器で、できるだけ美味しく召し上がっていただける状態で供えてあげてください・・・まぁ、故人は修行中なので飲めないんですけどね。
お参りが終わったら、お酒を砂利か土にまく
大事なことですが、供えたお酒をそのままにして帰ってはダメですよ。
お墓参りが終わったら、供えたお酒を何らかの方法で処分しなくてはいけません。
しかし、フタを開けたお酒をそのまま持って帰るのは大変ですから、できればその場で中身を処分したいところです。
あなたが故人の代わりにその場で飲むというのもアリですが、車でお墓参りに行っていたなら飲酒は絶対にダメです。
というわけで、現実的な処分方法としては『砂利か土にまく』のがいいです。
大量のお酒を毎日のようにまいてしまうとダメですけど、たまにであれば地面にまいてしまっても問題はありません。



もちろん、自分の家の墓地内にまくことが条件ですけどね。
仮に、墓地内に砂利や土がない場合は、仕方がないので通路の脇などにある土や砂にまくしかないでしょう。
ただし、近くに植木などが植えられている場合はお酒をまいてはいけませんよ、下手をするとアルコールによって枯れてしまいますので。
ちなみに、ほとんどのお寺や霊園には【水場】がありますが、【水場】にはお酒を流してはいけません。
【水場】は、お墓参りで使う水をくんだり、汚れた花筒を洗ったりする場所であって、お酒やジュースを流すための排水溝ではありません。
それに、【水場】へお酒を流してしまうと、ニオイが残ってしまい後から使う人に迷惑がかかりますのでヤメましょう。
他の家の墓石にかからないようにする
お酒を地面にまくときに注意してほしいことがあります。
それは、他の家の墓石にかからないようにするということです。
これは、自分の家の墓地に砂利や土がなく、通路の脇の土にまくときに注意が必要です。
土の上にお酒をドボドボまいていると、お酒がはねて他の家の墓石にかかってしまうことがあり、泥とお酒の混ざったものが墓石にベットリ付着してしまうんです。
それをその家の人が見たらもちろん怒りますし、必ずトラブルになりますので、土にお酒をまくときには、慎重にそ~っとまくようにしましょう。
お酒は絶対にお墓へ直接かけない
お墓にお酒を供えるときのとても大事な注意点があります。
それは、お酒は絶対にお墓へ直接かけないということです。
たまに、【お墓の上からお酒をかけている】人がいるんですが、それは絶対にヤメてください。
お酒には【糖分】が入っていますので、それをお墓にかけてしまったらお墓がベトベトになります。
それをちゃんと完璧に拭き取ることができればイイですが、ある程度は残ってしまいます。
そうすると、お墓に残った【糖分】のせいでアリなどの虫が寄ってくるんですよ。
それだけではありませんよ、お墓の細かい傷や穴からお酒が入り込んで、そこが変色したり、最悪の場合はお酒のかかった部分の劣化が進むのです。
大事なお墓なのに、いつも虫がたくさんいて、しかも変色したり一部が傷んでいたら、故人やご先祖様に対して申し訳ないですよね?
ですから、お墓には絶対に直接お酒をかけないようにしましょう。
空になった缶やビンは、できるだけ持ち帰って処分する
お墓参りが終わったら、先ほど紹介したように中身をちゃんと処分してください。
あとは【空になった缶やビン】の処分ですが、これに関しては『マナー』の問題かと思います。
僕としては、空になった缶やビンは、できるだけ持ち帰って処分するのがイイと考えています。
お寺や霊園には必ず『缶・ビン』用のゴミ箱がありますが、これはお墓参りに来た人が飲んだ後の缶やビンを捨てるためにあるのです。
基本的には『お供物』を捨てるためのゴミ箱ではないということを覚えておいてください。
お墓参りの原則として、花や線香以外の『お供物』はすべて自宅に持ち帰るものなんですよね。
ですから、お墓にお酒を供えるのなら、最後はそれを自宅に持ち帰って処分しなきゃいけないんです。
それなのに、持ち帰るのが面倒くさいからといって、お寺や霊園にある『缶・ビン』用のゴミ箱に捨ててしまうのはいかがなものでしょうね?
まとめ:お墓にお酒を供える時は注意点を守りましょう
お墓参りのときに【お酒】を供えるという人は多いです。
お墓にお酒を供えることは、本来であればあまり好ましいことではないと思います。
なぜなら、あの世での仏道修行において『お酒を飲んではいけない』という決まりごとがあるからです。
しかし、家族としては「故人が好きだったお酒を供えてあげたい。」という気持ちもあるわけで、その気持ちも尊重されるべきものではあります。
ですから、実際に故人が供えたお酒を召し上がるかどうかは別にして、【家族の気持ち】が込められた『お供物』としてお墓へ供えてもよいでしょう。
また、お酒を供えるには、
- 缶やビンのフタなどを開けて供える
- できれば別の容器に注いで供える
- お参りが終わったら、お酒を砂利か土にまく
- 他の家の墓石にかからないようにする
- 空になった缶やビンは、できるだけ持ち帰って処分する
- お酒は絶対にお墓へ直接かけない
といった注意点があることを知っておきましょう。
お墓参りでは、ご先祖様や故人に対して【感謝の気持ち】を示すことが大事です。
あなたにとって【感謝の気持ち】を示すことの1つが『お酒を供えること』であれば、注意点を守ってお供えしてあげましょう。
※お墓参りへ行く前にコチラの記事もぜひご覧ください。
【追記】お墓の維持管理や将来に不安を感じていませんか?
お墓参りをしていて、ふと「今後もちゃんとお墓を守っていけるかな…。」と不安になったりしませんか?
多くの人は、墓地継承者としての【責任感】あるいは【義務感】でお墓を守っています。
お墓を守っていくのは本当に尊いことであり、ご先祖様や亡き家族をとても大切に思っている証拠です。
でも、毎年の管理費の支払い、墓地の手入れや墓石の掃除、定期的なお墓参りなど、お墓の維持管理の負担を考えると将来が不安になりますよね。
さらに、あなたの子ども達に同じ負担をかけてしまうことも心苦しいでしょう。
もし、お墓の維持管理に限界を感じていたら、無理をせず『墓じまい』を検討してもよいと思いますよ。
お墓を持つこと以外の選択肢(墓じまいや改葬など)を知っておきたい場合は以下の記事を参考にしてみてください。
※今から『お墓の将来』について考えておくことも家族への愛情表現です。










