愛犬は大事な『家族の一員』です。
ですから、いずれお別れがきたときは、遺骨を『自分の家のお墓』に埋葬したいと思いますよね。
じつは、愛犬の遺骨を一緒に埋葬できるかどうかは、お墓のある場所によって異なります。
あなたの家のお墓が『お寺』にある場合、愛犬の遺骨を一緒に埋葬することは現実的に難しいでしょう。
とはいえ、それなりに費用はかかりますが、一緒のお墓に入る方法はあります。
この記事では、お坊さんの僕が愛犬と一緒のお墓に入るための現実的な方法を紹介しています。
いつか誰にも気兼ねすることなく堂々と愛犬を供養できるように、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事を書いている僕『未熟僧(みじゅくそう)』は、お坊さん歴25年以上。仏事の疑問を解消するいろんな情報を発信しています。
【お坊さんの実感】愛犬と一緒のお墓に入りたい人が急増中!
あなたが帰宅をすると、家族の誰よりも早く駆けつけて出迎えてくれるワンちゃん。
あなたが落ち込んでいるときには、そっと足元に寄り添いなぐさめてくれるワンちゃん。
普段はロクに近寄ってこないくせに、エサをあげるときだけは全力で愛想をふりまくワンちゃん。
いろんなワンちゃんがいますが、どの子もメチャクチャ可愛いですよね。
他の家族と同じように、ずっと一緒に生活をしてきた愛犬は、立派な『家族の一員』です。
そんな愛犬を見て、「この子と一緒のお墓に入りたいなぁ・・・。」と思うのが飼い主のごく自然な心理。
実際に、近年では「愛犬と一緒のお墓に入りたい」という人が急増しており、その傾向は今後も続くことでしょう。
しかし、人とペットが一緒のお墓に入るのは簡単なことではないのです。
お寺によっては、人とペットが一緒のお墓に入ることはもちろん、ペットを墓地に連れ込むことさえも禁止しているところもあります。
なぜなら、そもそもお墓というのは【人の遺骨】を納めるための場所だからです。
じつは、仏教的な観点からいうと動物がお墓に近寄ること自体があまり好ましくありません。
ですから、人とペットが一緒に入れるお墓の数は、まだ非常に少ないんですよね。
念のために申し上げておきますと、内緒で納骨をしても、いずれはバレてしまいます。
誰か他の家族を納骨するときに、お坊さんにお墓の中を見られたらアウト。
お寺は、その家のお墓に《誰》が《何人》納骨されているかを把握しており、明らかに人のものではない遺骨があれば、すぐに分かってしまうのです。
その後は、お寺から『無許可で動物の遺骨を納めたこと』に対して厳しく追及されます。
そして、そのことでお寺との信頼関係が崩れ、最悪の場合は【墓地の返還】を求められることもあります。
なによりも、お墓で《隠し事》をすることになるので、ご先祖様に対して申し訳ないですよね。
このように、愛犬と一緒のお墓に入ることは、意外に大変であることを予めご了承ください。
とはいえ、人とペットが同じお墓に入る方法がまったく無いわけではありません。
後述しますが、それなりに費用はかかっても、誰にも文句を言われず愛犬と一緒のお墓に入る方法はあります。
お寺が『人と動物が一緒のお墓に入ること』にNGを出す理由
あなたの家のお墓にワンちゃんも一緒に入れてあげたい気持ちはよく分かります。
しかし、現実として、多くのお寺では『人とペットが同じお墓に入ること』を許可していません。
その理由について解説していきます。
法的には、ペットの遺骨を一緒に埋葬しても問題はない
最初にお伝えしますが、人とペットが一緒のお墓に入ることが難しいのは、法的な理由ではありません。
法的には、お墓にペットの遺骨を埋葬しても問題はないのです。
お墓のことについては【墓地、埋葬等に関する法律】という法律がありますが、そこにはお墓に動物の遺骨を埋葬することを禁じる内容はありません。
じつは、法律上、動物の遺骨は『物』として扱います。
そうですよね、愛犬家としては動物の遺骨が物扱いされることに大きな違和感を覚えることでしょう。
しかし、『物』として扱われるからこそ、人と一緒のお墓に入ることができるのです。
じつは、お墓の中には、人の遺骨以外にも、石・砂・土・故人の愛用品など、いろんな『物』が納められています。
ですから、あえてペットの遺骨を『物』として扱うことで、堂々とお墓に納められる、というわけです。
以上のことから、お墓にペットの遺骨を埋葬しても法的には何の問題もありませんので、その点はご安心ください。
仏教的には、人とペットが一緒のお墓に入ることは難しい
僕が「人とペットが一緒のお墓に入ることは難しい」と言っているのは、法的な理由ではなく【仏教的な観点】が理由なんです。
仏教では、動物は『畜生(ちくしょう)』という人とは違う世界に生きていると考えています。
つまり、同じ空間に存在していても、
- 人:悟りに近い世界にいる
- 動物:悟りとは遠い世界(畜生)にいる
ということです。
お墓は、ご先祖様や大切な人の遺骨が納められている『神聖な場所』です。
また、お墓は《この世とあの世を結ぶ場所》なので、とても『重要な場所』でもあります。
そのため、仏教的な観点からすれば、神聖で重要な場所に『畜生』である動物を一緒に納めるのはよくないという解釈になってしまうのです。
もちろん、これは人と動物の【命の重さ】で区別しているのではなく、それぞれの【悟りまでの距離の違い】によって区別をしています。
そして、この考え方は日本人の中に深く根付いているため、「お墓にペットの遺骨を入れる」と聞いて違和感を覚える人が多いのです。
しかも、ご先祖様が代々にわたって一生懸命に守ってきたお墓となれば、親戚からも反対をされるかもしれません。
このようなことから、人とペットが一緒のお墓に入ることは難しいといえます。
お墓が『お寺』にある場合は特に難しい
とても言いづらいのですが、お墓が『お寺』にある場合、愛犬と一緒に入ることは特に難しいと思います。
お寺というのは『宗教施設』であり、原則として【仏教の考え方】にもとづいて管理運営されています。
そのため、お寺にあるお墓はすべて【仏教の考え方】に従って使用することが絶対条件です。
先ほども言いましたが、仏教では、動物は『畜生』という人とは違う世界に生きていると考えます。
ですから、たとえお寺の住職がどんなに犬好きであっても、お寺の立場としては【人と動物が一緒のお墓に入ること】を許可できないのです。
しかし、近年では「どうにかしてペットと一緒に入ることはできませんか?」という問い合わせが多く、そのことがお坊さんの間でもよく話題に挙がっています。
そして、要望に合わせて柔軟に対応するお寺も出てきました。
ですから、もしかすると、近いうちにお寺でも『人と動物が一緒のお墓に入る』というのが普通になる時代が来るかもしれません。
誰にも文句を言わせない!愛犬と一緒のお墓に入る現実的な方法
人とペットが一緒のお墓に入ることが難しいと分かっていても、それでもやっぱり一緒に入りたいですよね。
どうしても一緒に入りたい場合は、【ペットと一緒に入れるお墓】のある霊園を探し、そこでお墓を建てるというのが現実的な方法です。
ですから、もうすでに『お寺』などの【ペットと一緒の埋葬は不可】という場所にお墓がある場合、そのお墓を手放すことになります。
お寺にお墓がある場合は、《墓じまい》をして離檀(りだん)をする必要があります。
離檀の方法については『【檀家をやめたい】菩提寺を離檀する方法と費用の相場』の記事をご参照ください。
もちろん、【今あるお墓】と【ペットと一緒に入れるお墓】の2つを使用してもかまいません。
しかし、お墓が2つあると、管理の負担が倍増し、お墓の後継者問題などの面倒なトラブルが起きる可能性も高くなります。
なので、どうしてもペットと一緒のお墓に入りたい場合は、それが可能な場所に【お墓を建て替える】という方がよいでしょう。
ちなみに、お墓を建てるには100万円~200万円程度の費用が必要となり、今あるお墓の《墓じまい》をするときには、1㎡あたり15万円程度の墓石撤去費用が必要となります。
このように、愛犬と一緒のお墓に入るには大きな費用が必要です。
しかし、「この先もずっと、ウチの子と一緒にいられる」という安心感を買えるので、愛犬家にとっては無駄な出費にはなりません。
それに、今はお墓を購入するときに分割払いができたり、手頃な価格の樹木葬形式のお墓などもあります。
あとはもう、お墓を建てる覚悟ができたら、近所に【ペットと一緒に入れるお墓】がある霊園を探すだけです。
インターネットを使えばいくらでも霊園を探せますから、あなたの希望に合った霊園がきっと見つかるでしょう。
無事に希望通りの霊園が見つかったら、その霊園であなた好みのお墓を建ててください。
これで、もう誰にも文句を言われずに、堂々と『ペットと一緒のお墓に入る』ことができますよ。
ペットの遺骨に関して、僕が実際に受けた質問
長年お坊さんをしていると、ペットの遺骨に関する質問を受けることがありますので、それをいくつか紹介します。
愛犬の遺骨を家に置いてもいいですか?
ペットの遺骨について最も多い質問は「ウチの子(愛犬)のお骨を家に置いてもいいですか?」です。
愛犬の遺骨は、自宅に置いて大丈夫です。
動物の遺骨は、法的に『物』として扱いますので、自宅に置いても問題はありません。
しかし、飼い主や家族にとって、愛犬の遺骨は決して『物』ではないですよね。
物ではなく、大切な家族の遺骨ですから、大事に供養をしてあげてください。
自分の家の庭に埋葬してもいいですか?
ときどき聞かれるのは「家の庭にペットのお骨を埋めて(埋葬して)もいいですか?」という質問です。
ペットの遺骨は、『自分が所有する土地(庭)』の中であれば埋葬しても大丈夫です。
遺骨を埋葬した所に目印を設けておけば、そこが簡易的なペット専用のお墓にもなります。
ペットにとっても、慣れ親しんだ場所で眠る方が嬉しいかもしれませんね。
ほんの少しだけペットの遺骨をお墓に入れてもいいですか?
以前、亡くなった檀家さんの納骨供養のときに言われたのが、「ほんの少しだけペットの遺骨をお墓に入れてもいいですか?」です。
お寺の場合、わずかな量であっても、お墓に動物の遺骨を納めるのはNGです。
しかし、実際のところ、お坊さんの考え方によっては許可をすることもあり、僕自身も、愛犬の遺骨の一部だけ納めることを許可しました。
その檀家さんには、溺愛していたワンちゃんがいたのです。
そして、そのワンちゃんはずっと前に亡くなっていました。
檀家さんは生前に、自宅にあるワンちゃんの遺骨を見ながら「自分がお墓に入るときは、一緒に入れたらいいな。」と言っていたそうです。
それで、納骨供養のときにご家族が「ほんの少しだけペットの遺骨をお墓に入れてもいいですか?」と願い出てきたというわけです。
僕は少し迷いましたが、絶対に他言しないことを条件に、故人の骨壺の中へワンちゃんの遺骨の一部を入れることを許可しました。
あなたは、ペットを飼っていて「この子がいてくれたおかげで救われた」という経験はありませんか?
可愛いペットがいるだけで気持ちが安らいだり、楽しい気分になったりしますよね。
僕としては、亡くなったペットにも感謝の気持ちを表すことも大事と思い、遺骨の一部だけではありますが、お墓へ納めてもらったのです。
お寺にペット専用のお墓はないのですか?
近年よく聞かれるようになったのが「お寺にペット専用のお墓はないのですか?」という質問です。
今のところ、【ペット専用のお墓】を提供しているお寺は非常に少ないでしょう。
お寺としては、やはり『寺の敷地内に動物の遺骨を埋葬する』ということは許可しづらいのです。
しかし、檀家さんや近隣住民の方々の要望に応えることも寺の役目。
宗教離れの進む昨今、寺側の考え方も変えていかなくてはなりません。
お寺のあり方の転換期を迎えている今、まずは、たくさんのペットの遺骨が一緒に埋葬される『ペット専用の合祀墓』から提供していくのがよいと僕は思います。
まとめ
ペットは『家族の一員』なので、家族みんなが一緒のお墓に入りたいですよね。
しかし、基本的にお墓に愛犬の遺骨を埋葬することは難しいです。
法的には何の問題もないのですが、《宗教的な観点》の問題があるんですよね。
仏教では、動物は、人と同じ空間にいながらも、【畜生】という『人とは違う世界』にいると考えています。
そして、お墓は『あの世とこの世を結ぶ神聖な場所』であり、そこへ【畜生】を入れることを良しとしない考え方です。
そのため、お墓が【お寺】にある場合は、ペットと一緒に入ることは非常に難しいのです。
とはいえ、最近では『人とペットが一緒に入ることができるお墓』のある霊園もあります。
最初からお墓を建てることになるので大きな費用が必要となりますが、どうしてもペットと一緒のお墓に入りたい場合は、そのような霊園を探してみてください。
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