初詣といえば、近くの有名な寺や神社へ行ってお参りする、というイメージがありますよね?
年が明けて、まずお参りをしようという気持ちはとても大事です。
しかし、本来なら有名な寺や神社へ行く前に、まずは菩提寺とお墓にお参りした方がよいと思いますよ。
年が明けて初めてお参りする場所ですから、お参りする優先順位があります。
この記事は、お坊さん歴20年以上の僕が、
- 初詣の意味
- どこに初詣に行くべきか
- まず菩提寺に初詣をしてほしい理由
について書いています。
もしも、あなたが人混みの中で初詣へ行くことや、初詣そのものに疑問を抱いているのなら最後まで読んでみてください。
初詣は何のためにするのか

新年を迎えると、多くの人が『初詣』に行きます。
気持ちを新たにして、家族みんなで近くにある有名な寺や神社へ足を運びます。
初詣は、私たち日本人にとって新年の大事な慣習です。
ところで、あなたは《何のため》に初詣をしているのですか?
ひょっとして『その一年の【お願いごと】をするため』ではありませんか?
もしも初詣で【お願いごと】をしているなら、あなたは初詣の意味を誤解しています。
初詣のときには、『お願い』ではなく、去年一年間を無事に過ごせたことへの『お礼』をしましょう。
寺でも神社でも、基本的にお参りをする目的は『お礼』をすることです。
ですから、普段のお参りのときには【日頃の感謝】を、そして初詣のときには【去年一年間の感謝】を仏様や神様にお伝えします。
つまり、お願いごとをするにしても、それは【二の次】ということです。
もしも、本気でお願い事をしたい場合は、お参りのほかに『ご祈祷』をしてもらう方がよいと思います。
お賽銭とは別に【ご祈祷料】を納める必要がありますが、一年のお願い事を叶えてもらうのですから、多少の出費はガマンです。
『ご祈祷』は一度体験してみてほしいです。いつものお参りとは違った『安心感』みたいなものを得られるかもしれませんよ。
話を戻しますが、寺や神社へ参拝するときには、まず最初に「いつもありがとうございます。」という気持ちで手を合わせてください。
それから、「これからもよろしくお願いします。」とほんの少しだけお願いをしておきましょう。
これが参拝の基本です。
忘れないでください、必ず『お願い』よりも『お礼』が先ですよ。
寺と神社のどちらへ行く?

あなたは初詣に行くにあたり、お寺と神社のどちらに行こうか迷ったことはありませんか?
一般的には、初詣といえば『神社』へ行くことをイメージする人が多いかもしれませんね。
でも、関東地方では千葉県の成田山新勝寺などの有名な『お寺』へ初詣に行く人もたくさんいます。
はたして、初詣には寺と神社のどちらへ参拝するべきなのか。
結論は、どちらでも構わないです。
要するに、新年の挨拶を【仏様】にするか【神様】にするかだけの違いですからね。
なんなら、仏様と神様の両方へご挨拶をしに行ったって構わないのです。
場所によっては、今でも寺と神社が同じ敷地内にあったりしますしね。
ただし、寺と神社のそれぞれに参拝のやり方がありますので、そこはちゃんと使い分けましょう。
いずれにせよ、基本的にはあなたが「お参りをしたい」と思う所へ行くのがいいと思います。
逆に、あまり気が進まないという場所に行ってはいけません。お参りは『仕方なく』行くものではありませんから。
仕方なく行った先の寺や神社の仏様や神様に対して失礼です。
初詣で菩提寺とお墓を先にお参りしてほしい理由

僕には、毎年のように【年始から寂しくなってしまうこと】があります。
それは、ウチの檀家さんの中で、他の大きな寺や神社には年始早々に初詣へ行っているのに、菩提寺であるウチの寺にはなかなか来てくれない人がいることです。
『檀家』というのは【寺の敷地内にお墓を持っている信者】のことをいいます。
そして、檀家にとって【自分の家のお墓がある寺】のことを『菩提寺』といいます。
檀家は菩提寺を支える立場であり、菩提寺は檀家の仏事のすべてを担う立場となり、お互いに密接な関係となるのです。
先に菩提寺へ初詣をしてほしい
先ほど、僕は『寺や神社への初詣は【去年一年間のお礼】をすることが目的』だと言いました。
つまり、他の所には行ってウチの寺に来てくれない檀家さん達は、
- そもそも初詣の意味をご存じでない
- ウチの寺の仏様にはお礼をするつもりがない
のどちらかだ思います。
どちらにしても、菩提寺であるウチの寺が【後回し】になってしまっているので、僕はいつも寂しい思いをしています。(まぁ、僕が日頃から初詣についてもっと丁寧に説明をすればいいんですけどね。)
いつもあなたの家のお墓を守ってくれて、そして、あなたに最も身近な仏様、つまり【菩提寺の御本尊様】に対して真っ先に新年のご挨拶をするべきではないでしょうか?
年が明けたら、まず先に、あなたの菩提寺の御本尊様に新年のご挨拶をして、次に、そのままあなたの家のお墓にお参りしてご先祖様へ新年のご挨拶をしましょう。
あなたも、その方が清々しい気持ちになると思いますよ。
そして、ご本尊様とご先祖様達もきっとお喜びになるでしょう。あと、菩提寺の住職さんも。
【寺や神社の規模】と【ご利益の効果】は比例しない
大きな寺や神社へ初詣に行きたくなる気持ちは分かります。
もしも、初詣で【一年のお願いごと】をしに行くなら、有名な所へ行った方が何となくご利益がありそうですものね。
気持ちが分かるのですが、じつは【寺や神社の規模】と【仏様や神様からのご利益の効果】は比例しないんですよね。
どこにいても仏様や神様は差別することなく同じように私たちを守ってくださっています。
どこの仏様や神様にお参りしても同じなのですから、わざわざ人混みの中で大変な思いをしてまで初詣をする必要なんてありません。
それに、菩提寺とお墓にお参りしたのなら、他へお参りに行かなくてもイイとは思いますよ。
とはいえ、いつも行く場所に初詣をしないと何となく新年を迎えた気がしないというのも分かります。
菩提寺とお墓への初詣が終わったのなら、あとはもう、どこへお参りしていただいても大丈夫です。
お礼の気持ちを表すお参りは何度してもいいと思うので、馴染みのお寺や神社にはいつものようにお参りをしてください。
とにかく、この記事をきっかけに【初詣の優先順位】を考えてほしいなと思います。
【関連記事】:お墓参りをする意味とは?お墓参りのやり方と注意点も詳しく解説
まとめ : 初詣は、先に菩提寺とお墓へ行こう。
初詣は日本人にとって大切な慣習です。
初詣の目的は【去年一年間のお礼】をしに行くことです。
日頃から【あなた】や【あなたの家のお墓とご先祖様】を守ってくれる仏様がいる所はどこでしょうか?
それを考えた上で、一年の始めにまずはどこへお参りするべきなのか改めて考えてみましょう。
※こちらの記事も読まれています。