大切な人の遺骨を納める【骨壺】。
骨壺にはいくつか種類がありますが、どんな骨壺を選べばいいのか分からないですよね。
あるいは「えっ、骨壺って選べるの?」と驚いたかもしれませんね。
骨壺というのは、地域によって使用される大きさが違ったり、素材や形状で価格が大きく変わるため『何となく』で選んではいけません。
故人の遺骨をずっと納めておく大切な壺なので慎重に選んでください。
この記事では、お坊さんの僕が骨壺の種類や価格について紹介しています。
お住まいの地域、お葬式の予算、そして素材やデザインの好みに合わせて、家族みんなが納得のいくものを選びましょう。
骨壺とは何?
亡くなった人の遺骨を収める壺のことを『骨壺(こつつぼ)』といいます。
火葬が終わった故人の遺骨は、遺族や参列者によって骨壺に収骨されます。
骨壺は日本でも古くから使われており、飛鳥時代(592年~710年)の『蔵骨器(ぞうこつき)』と呼ばれる骨壺に始まり、時代の流れとともに形を変えていきました。
蔵骨器に遺骨を納めることができたのは上流階級の人たちであり、一般の人に普及し始めたのは江戸時代からです。
また、昭和40年頃までは、ご遺体を土中に埋める『土葬』が行われていたので骨壺が使用されないこともありました。
現在では、ほとんどの場合ご遺体は『火葬』されますので、骨壺の使用は必須だと思ってください。
使用される骨壺の大きさは地域によって異なり、西日本では3~5寸、東日本では7寸が主流となっています。
骨壺のサイズは『寸(すん)』で表され、1寸は約3.03cmです。そして、3~5寸や7寸というのは骨壺の【直径】のことです。
ちなみに、骨壺の数え方は【1口】と書いて『いっこう』または『いっく』と読みます。
骨壺は大切な人のご遺骨を納めておくものですから、家族でよく話し合って選びましょう。
骨壺の種類
骨壺にはいくつかの種類があります。
骨壺のサイズだけではなく、形状や素材にも種類があり、どのような骨壺を選ぶかによって価格も大きく変わります。
骨壺は基本的に『円柱形』をしていますが、他にも『球体型』『楕円形』『四角形』という形状もあります。
しかし、特にこだわりがなければ、色や模様の種類が多い『円柱形』でよいでしょう。
長年お坊さんをしていますが、円柱形以外の骨壺はほんの数回しか見たことがありません。
骨壺の形状
骨壺の形状には『白並』と『切立』の2つのタイプがあります。
白並タイプ
昔からあるタイプの骨壺は『白並(しろなみ・しらなみ)』と呼ばれています。
白並タイプは、蓋の端が本体の内側に折れ込んで入っている形状で、蓋の直径が本体の直径よりも少しだけ大きくなっています。
以前は骨壺といえば『白並』だったので、古いお墓の中にあるのはだいたい白並の骨壺です。
切立タイプ
近年多くなっている骨壺は『切立(きりたて・きりだて・きったて)』と呼ばれるタイプです。
切立タイプは、蓋の端が本体の端を覆うような形状になっています。
本体の端を覆っていますので、中に水が入りにくく、湿気がたまりにくいため、白並に比べて骨壺の中にある遺骨にカビが発生しづらいです。
骨壺は白並と切立のどちらを選んでもかまいませんが、個人的にはカビが発生しづらい『切立』タイプをおすすめします。
骨壺の素材
骨壺の形状を決めたら、次は骨壺の『素材』を選びます。
骨壺の素材のほとんどは陶磁器で、
- 有田焼
- 瀬戸焼
- 常滑(とこなめ)焼
- 九谷(くたに)焼
などがあります。
骨壺に陶磁器が多く使用されている理由は、陶磁器の優れた『耐熱性と断熱性』があるからです。
火葬されたばかりの遺骨というのはまだ熱が残っており、触れると熱いので、耐熱性のある陶磁器でないと骨壺として使えません。
熱い遺骨の入った骨壺を抱えるために、断熱性のある陶磁器でなきゃいけないのです。
他にも、「焼骨をすぐに骨壺へ移し、遺骨を冷ます時間を省略したい」という火葬場側の都合もあります。
しかし、陶磁器というのは環境によってはカビが発生することがあります。
お墓の中は非常に湿気が多く、カビが発生することで骨壺の劣化を早めてしまうこともあるので、骨壺を選ぶ際にはできるだけ耐久性の高いものを選びましょう。
また、骨壺の素材には、
- 天然石
- 金属
- 木材
- プラスチック
- クレイ(バイオマス)
などもあります。
僕が今まで見てきた骨壺の中で、陶磁器以外の素材としてよく使用されているのは、大理石つまり『天然石』です。
大理石の骨壺には何とも言えない高級感があり、そこには故人に対する遺族の敬意が感じられます。
しかし、大理石というのは見た目は豪華でいいのですが、けっこうな重量があるので納骨するまでは持ち運びをするときには注意が必要です。
骨壺の大きさ
骨壺の大きさにはいくつかの種類があります。
骨壺の大きさには、2寸、2.3寸、3寸、4寸、5寸、6寸、7寸、8寸、尺寸の9種類があり、大きさによって用途がある程度決まっていますので、下の一覧表を参考に骨壺の大きさを選んでください。
| 【大きさ】 | 【用途】 |
| 2寸・2.3寸 | 分骨・手元供養 |
| 3寸・4寸・5寸 | 主に西日本で使用 |
| 6寸・7寸 | 主に東日本で使用 |
| 8寸・尺寸 | 大柄な人・改葬用 |
先ほども言いましたが、西日本と東日本で主に使用されている骨壺の大きさが違います。
これは、
- 西日本では『部分収骨』
- 東日本は『全収骨』
といったように収骨方法が異なるため、骨壺の大きさも違うのです。
西日本の標準は【3~5寸】
西日本で主に使用されるのは【3~5寸】の骨壺です。
西日本では、遺骨の主要な部分だけ収める『部分収骨』をするのが一般的です。
遺骨の主要な部分というのは、
- 頭
- 喉仏
- 腕
- 胸
- 腰
- 足
です。
これらの主要な部分の遺骨だけであれば、だいたいは3~5寸の骨壺で収まります。
ちなみに、収骨されなかった遺骨については、火葬場内または提携寺院など、しかるべき場所で供養をされてから埋葬されますのでご安心ください。
東日本の標準は【7寸】
西日本で主に使用される骨壺は3~5寸ですが、東日本では【7寸】の骨壺が標準です。
東日本ではすべての遺骨を骨壺に収める『全収骨』をするため、7寸くらいの大きさでないと収まらないのです。
ただし、大柄な人の場合は7寸でも収まらないので、さらに大きな8寸を使用することもあります。
手元供養や分骨なら2寸~2.3寸
遺骨は、故人の兄弟など縁の深い人たちによって分けられることもあります。
これを『分骨(ぶんこつ)』といいます。
分骨というのは遺骨全部を均等に分けるのではなく、遺骨の一部だけを取り分けることがほとんどです。
分骨された遺骨は、自宅で『手元供養』をしたり、あるいは複数の墓地に納骨されます。
どれだけの量の遺骨を分骨するかによりますが、手元供養をする場合は【2寸~2.3寸】の骨壺を使用することが多いです。
また、分骨される側の大部分の遺骨については主となる骨壺に収められ、遺族が使用するお墓や納骨施設などに納骨されます。
骨壺の価格
骨壺にはいくつか種類があり、素材、デザイン、形状によって価格が違います。
僕が今まで見てきた限り、使用されている骨壺は『3千円~3万円』程度のものが多いです。
最もよく使われる陶磁器の場合、価格の相場は『3千円〜1万円』くらいです。
陶磁器の骨壺は、一般的に使われる【白色】のものであれば『3千円』くらいですが、色やデザインが入っていたり、または故人名が彫刻されていると価格が上がります。
価格は上がりますが、故人名を入れておけば誰の遺骨か一目瞭然なので後代の人たちに対して親切です。
そして、大理石の場合は一気に価格が高くなり『1万3千円〜3万円』くらいが相場です。
大理石は陶磁器に比べて高価ですが、陶磁器よりも劣化が遅くて長持ちするというメリットがあり、見た目も豪華なので少しずつ需要が増えてきています。
分骨した遺骨を自宅で『手元供養』をする場合は、ガラス製や木製の骨壺を使ってもいいでしょう。
ガラス製はデザインや彫刻が凝っているので、相場は『3万円』くらいです。
木製の骨壺の場合は漆塗りなどの加工をされていることが多く、そのため価格の相場も上がり『2万円〜3万円』くらいします。
手元供養の場合は骨壺が常に見えるので、よりデザインや色にこだわってもいいと思います。
骨壺はどこで買えるのか
骨壺というのは販売場所がある程度限られます。
骨壺が販売されているのは、
- 葬儀社
- 仏具店
- 石材店
- 火葬場
- オンラインショップ
です。
そして、多くの人が骨壺を購入するのは【葬儀社(互助会)】です。
互助会に入会していれば契約コースの中にちゃんと『骨壺』が入っていますし、入会していなくても葬儀社の提案する葬儀プランの中には骨壺が必ず入っています。
しかし、故人や遺族の強い希望があったり、何らかの事情で事前に骨壺を購入する場合は、葬儀社以外のところで購入することもあります。
現物を見てから購入したい場合は、仏具店か石材店がいいでしょう。
できるだけたくさんの種類を見てから選びたい場合はオンラインショップが最適です。
とはいえ、お葬式では骨壺選び以外にもやることが山のようにありますので、骨壺については互助会のコースや葬儀プランの中から選んでいる人がほとんどです。
分骨用の小さな骨壺であればホームセンターや雑貨店で販売されていることもありますよ。
骨壺を入れる桐箱と骨壺カバーも必要です
火葬後に故人の遺骨が骨壺に収められ、骨壺は遺族に渡されます。
しかし、骨壺のまま渡されるわけではありません。
骨壺は白木の『桐箱』に入れられて、さらにその上から『骨壺カバー(骨覆い)』を被った状態で渡されます。
桐箱の中には、骨壺と一緒に『火葬証明書(埋火葬許可証)』が入っていますので必ず確認をしておきましょう。
『火葬証明書(埋火葬許可証)』というのは、言ってみれば【故人の身分証明書】のようなもの。
『火葬証明書(埋火葬許可証)』は、お墓に骨壺を埋葬するときに墓地の管理者へ提出するので、絶対に無くさないでください。
もしも無くしてしまうと、お墓に遺骨を納骨できないのです。
墓地の管理者としては、『火葬証明書(埋火葬許可証)』がなければ、その遺骨が誰なのか分かりません。
万が一の事件性を疑う必要があるため、誰か分からない遺骨は納骨できないのです。
ちなみに、骨壺が入っているのは桐箱だけではなく、布張りの箱もありますので、どちらにするかは遺族で決められます。
桐箱や骨壺カバーというのは、遺骨をお墓へ納骨するまでの短期間しか使用しません。
しかし、大事な骨壺を収納するものですから、骨壺と同じくらい重要なものとして考えましょう。
まとめ
火葬をした後は、故人の遺骨を『骨壺』に納めます。
骨壺の大きさは【2寸~尺寸】まで9種類あります。
西日本では主に3~5寸の骨壺が使用され、東日本では7寸が主流となっていますので、骨壺を選ぶときにはお住いの地域にご注意ください。
また、骨壺には昔ながらの『白並』タイプと、近年の主流となっている『切立』タイプがあり、
| 種類 | 蓋の形 |
| 白並 | 蓋の端が本体の内側に折れ込んで入っている |
| 切立 | 蓋の端が本体の端を覆っている |
上記のように、蓋の形に違いがあります。
また、骨壺の素材としては【陶磁器】が一般的ですが、こだわりのある人は大理石を使用することもあります。
骨壺の形状や素材には絶対的な決まりがありませんので、遺族が自由に選んで大丈夫です。
骨壺は納骨されると普段は見ることができませんが、大切な人の遺骨を収めるものですから、家族でよく話し合い、納得のいくものを選ぶようにしましょう。
※お葬式の準備のために互助会で積み立てをしておくと安心ですよ。




