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お葬式の疑問

お葬式をしたいけど遠方にある菩提寺の住職さんに来てもらうべき?

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

こんな人に向けて書いています
  • お葬式をしたいけど、遠方にある菩提寺の住職さんにわざわざ来てもらうのは何だか申し訳ないな・・・。
  • 遠方から菩提寺の住職さんが来てくれる場合は、何をすればいいの?
  • 菩提寺の住職さんが来られない場合はどうするんだろう?

あなたのご自宅から菩提寺まではどのくらいの距離がありますか?

車で行けるような距離ですか?

それとも新幹線や飛行機を使わないといけないくらいの距離ですか?

菩提寺が新幹線や飛行機を使うくらい遠方にある場合、

  • 「もしもお葬式をすることになったら住職さんにわざわざ来てもらうの?」

って疑問に思うことでしょう。

特にご高齢の住職さんだったりしたら、なおさらそう思いますよね。

結論から言いますと、お葬式には、

菩提寺の住職さんに来てもらう

というのが原則です。

ですから、お葬式はできるかぎり『菩提寺の住職さん』にお勤めしてもらいましょう。

この記事を読むと、

  • どんなに遠くても、原則としてお葬式は菩提寺の住職が行うべきものであること
  • 遠方から菩提寺の住職さんに来てもらう場合に喪主がするべきこと
  • 菩提寺の住職さんが来られない場合に喪主がするべきこと

が分かります。

今後もしご家族に不幸があった時でも、慌てることなく適切に対処できるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

また、この記事は僕の体験をもとに、できるだけ【正直】に書いていますので、読む人によっては不愉快になるかもしれないことを予め申し上げておきます。

お葬式をしたいけど遠方にある菩提寺の住職さんに来てもらうべき?

あなたの家のお墓が『お寺の敷地内にある』という場合、あなたにとってそのお寺は【菩提寺(ぼだいじ)】となります。

そして、そのお寺にとって、あなたの家は【檀家(だんか)】となります。

菩提寺は、檀家のお墓を管理するだけではなく、

檀家のお葬式や法事を執り行う

という役目を担っています。

ですから、もしもあなたの家で不幸があり、お葬式をするとなった場合は菩提寺の住職さんがお葬式をお勤めすることになるのです。

しかし、あなたの自宅と菩提寺が遠く離れている場合、わざわざ遠くから菩提寺の住職さんに来てもらうのでしょうか?

他のお坊さんに代わりをしてもらうわけにはいかないのでしょうか?

また、もしも菩提寺の住職さんが来られない場合にはどうすればいいのでしょうか?

原則として菩提寺の住職さんに来てもらう

僕たちお坊さんは檀家さんのご家族に不幸があったら、心を込めてしっかりとお葬式を執り行います。

それが菩提寺としての役目ですし、檀家さんに対する責任であるとも思っています。

ですから、たとえ寺から遠く離れた場所におられる檀家さんであっても、お葬式の依頼があれば現地まで行きます。

ということで、菩提寺が遠く離れていても、お葬式をする時には、

原則として菩提寺の住職に来てもらう

という考えでOKです。

もしもご家族に不幸があった時には、菩提寺へ連絡をして「遠い所で大変申し訳ございませんが、故人の葬儀をお願いできますか?」というふうに依頼をしましょう。

これで多くのお坊さんはちゃんと現地まで行ってしっかりとお葬式を執り行います。

葬儀社の紹介のお坊さんに代わりをしてもらうことも検討する

多くのお坊さんは檀家さんからの依頼であれば、遠くても現地まで行ってお葬式を執り行います。

しかし、お坊さんの中には「あまり遠いと現地まで行かない」という人もいます。

これは、住職さんが高齢である場合に多いですね。

高齢者の場合は、長距離の移動は体への負担が大きいので、この場合だと断られてしまうかもしれません。

でも・・・単に「遠いからヤダ!」っていう坊主もいますけどね・・・。

僕としては、そういう「遠いからヤダ!」なんて言うロクでもない坊主のいるお寺との付き合いは『付き合いを解消するべきお坊さんの特徴5選。』を読んでもらって解消することをおすすめしますよ。

ちゃんと事情があった上で来てもらえない場合は、

葬儀社の紹介のお坊さんに代わりをしてもらう

ということを検討してみましょう。

葬儀社は、いろんな宗派のお坊さんと『業務提携』をしています。

ですから、葬儀社の人と打ち合わせをする時に【あなたの家の宗派】を伝えれば、それに合わせてちゃんと手配をしてくれるのです。

しかも、葬儀社から紹介されたお坊さんは基本的に【ハズレのお坊さん】はいません。

葬儀社は少しでも変なお坊さんとは業務提携をしません、大事なお客様のお葬式をしてもらうわけですから当然のことですよね。

それに、葬儀社の紹介の場合、お坊さんへ納めるお布施が安い傾向にあります。

これは、お客様の負担を減らすために、提携の寺院には「お布施は◯◯万円でお願いします」とお布施の金額を葬儀社が決めているからです。

このように、葬儀社の紹介のお坊さんは、

  • 信頼できる
  • お布施が安い傾向にある

ので、菩提寺の住職さんが来られない場合はぜひ検討すべきです。

遠方にある菩提寺の住職さんに来てもらう場合に喪主がすること

あなたの家の菩提寺の住職さんはきっと【まともなお坊さん】でしょう。

となると、遠方であってもちゃんと来てくれるはずです。

菩提寺の住職さんが遠方から来てくれる場合、喪主となる人は住職さんのためにいくつかすることがあります。

それは、

  1. 電話で戒名の件などの打ち合わせをする
  2. 住職さんのために宿泊場所を用意する
  3. 交通費として、少しだけ多めに【御車代】を包む

ということです。

ただ、これは完全に僕の【お坊さんとしての意見】なので、もしかするとご納得いただけない点もあるかもしれませんのでご了承願います。

電話で戒名の件などの打ち合わせをする

お葬式に関して打ち合わせをするのは葬儀社だけではありません。

戒名の件などについては、菩提寺まで出向いて住職さんと直接話をします。

しかし、菩提寺が遠方にあるのですから、お葬式の準備で忙しいあなたも行くことができませんよね?

ですから、本来はお寺まで行った方がいいのですが、『電話』で打ち合わせをしましょう。

故人の戒名を授けてもらうには、故人の、

  1. 名前
  2. 亡くなった日
  3. 年齢
  4. 性別
  5. 喪主との関係
  6. 人柄
  7. 趣味や好きだったもの
  8. 職業

などを、できるだけ詳しく正確に住職さんへ伝えてあげてください。

お坊さんとしては、故人に関する情報が多いほど、より故人に適した良い戒名がつけやすいのです。

本当に何でもかまいません、故人に関する良いことも悪いことも、すべて住職さんに伝えてください。

また、戒名の件の他にも、

  • お葬式当日の大体の流れ
  • お葬式で納めるお布施の金額の目安
  • 今後の故人の供養に関すること

などの話をします。

この時に、住職さんと話したことはちゃんとメモをとるなど記録をしておきましょう。

住職さんの宿泊場所を用意する

遠方から住職さんが来る場合は、できるだけ、

住職さんの宿泊場所を用意する

ようにしてあげてください。

お坊さん側としては、遠方でのお葬式はどうしても宿泊が必要になります。

なので、宿泊場所を用意していただけると非常に助かるんですよね。

ここからは、僕の【宿泊場所を用意してもらった時の体験】をもとに、喪主さん達が実際にしてくれた『ありがたい心遣い』について書いていきます。

あの時の喪主のみなさん、ホンマにありがとうございました!

葬儀式場から徒歩5分以内の宿泊場所を予約する

お坊さんがお葬式をするためには、いろんな道具や衣服が必要となります。

それらをすべて専用のバッグに入れて持ち運ぶのですが、これがまぁまぁの重量なんですよね。

おまけに、そこそこの大きさがあるもんだから、持ちづらくて腕に余計な負荷がかかります。

ですから、バッグを持って歩く距離が長いとけっこうシンドイのです。

そんな時に、

葬儀式場から徒歩5分以内の宿泊場所を予約

してくれていると本当に助かります。

また、葬儀式場から近ければ、もしも宿泊部屋に忘れ物をした時でもすぐに取りに帰れますので安心なんです。

ということで、もしも葬儀式場からすぐ近くに宿泊場所がある時は、できるだけそこに予約をしていただけるとマジでありがたいです。

宿泊プランは朝食付きで予約をする

喪主がお坊さんの宿泊場所を予約してくれることは非常にありがたいです。

それだけでも十分なのですが、多くの喪主さんは、

宿泊プランは朝食付きで予約

をしてくれます。

ありがとうございます、おかげで朝から美味しいモノをいただけます。

外食をしようにも朝はレストランなどが営業していないので、「コンビニで朝食を買うかなぁ。」と思っておりましたが、まさかの『朝食付き』で嬉しかったです。

朝から外出することもなく時間の余裕もできて、とても助かりました。

あなたも、住職さんの宿を『朝食付き』で予約すると、きっと喜ばれますよ。

宿泊場所に駐車場の確保をする

遠方であっても新幹線や飛行機を使わず自動車で行くというパワフルなお坊さんもいます。

そういうお坊さんには、

宿泊場所に駐車場の確保をする

と喜ばれます。

宿泊施設によっては駐車場の駐車台数が少ないところもあります。

せっかく部屋を予約しているのに、いざ現地に到着したら駐車場が満車だったなんてこともあります。

なので、喪主から「駐車場に1台分おさえておきましたからね。」なんて言ってもらえると本当にありがたいです。

もしも宿泊場所の駐車場を予約できない場合は、最寄りの有料駐車場の場所を教えてもらえるだけでも嬉しいです。

宿泊費用は喪主が負担をする

最後のこれはお坊さんの立場として非常に言いづらいのですが、ここはあえて本音でいきます。

僕は20年以上お坊さんをしてきて、遠方でのお葬式を何度も経験しましたが、宿泊費用はすべて喪主さんが支払ってくださいました。

もちろん、これは『今まで運よく喪主さんたちが支払いをしてくださった』というだけですから、あなたも同じようにしてくださいとは言いません。

ただ、

宿泊費用は喪主が負担をする

という非常にありがたい【心遣い】をしてくださる方がたくさんおられますよ、とお伝えしておきます。

交通費として、多めに【御車代】を包む

これまたお坊さんとしては言いづらいのですが、ここも本音でいきましょう。

遠方でのお葬式の場合、ほとんどの喪主さんは、

交通費として、多めに【御車代】を包む

ということをしてくれています。

およその交通費を予測して、それよりも多めに包んでくださるんです、もうホンマに感謝ですよ。

もちろん、これも喪主さんの【心遣い】なだけであって、あなたも同じようにしてください、というわけじゃありません。

お寺が近い場合は【御車代】なんて必要ありませんが、遠方から住職さんが来る場合は少し【心遣い】をしてあげてもいいかもしれません。

葬儀社の紹介のお坊さんに代わりをしてもらう場合に喪主がすること

菩提寺との距離によっては、住職さんが来られないということもあります。

そのような時には、葬儀社にお坊さんを紹介してもらいましょう。

ただし、その場合はいくつか喪主がすべきことがあります。

菩提寺の住職さんに戒名を授けてもらう

菩提寺の住職さんではなく、他のお坊さんが代わりにお葬式をする場合、お坊さん同士の『マナー』みたいなものがあるんです。

それは、お葬式を代行するお坊さんが戒名を授けるのではなく、必ず、

菩提寺の住職さんに戒名を授けてもらう

とというものです。

ですから、葬儀社からお坊さんを紹介してもらう場合には、菩提寺の住職さんに戒名を授けてもらい、他のお坊さんに代行してもらうことを説明しておきましょう。

住職さんとしても、戒名はちゃんと自分が授けて、しかも代行してくれるお坊さんがいると分かると安心なんですよね。

間違っても、菩提寺があるのに【紹介されたお坊さんに戒名を授けてもらう】なんてことをしないように注意してください。

菩提寺から授かった戒名を葬儀社へ伝える

菩提寺の住職さんから戒名を授けてもらったら、喪主がすぐにやるべきことがあります。

それは、

菩提寺から授かった戒名を葬儀社へ伝える

ということです。

葬儀社は提携しているお坊さんへ依頼をする時に、お葬式の日程や場所を伝えますが、この時に【喪主が菩提寺から授かった戒名】も伝えます。

ですから、喪主が葬儀社へ【菩提寺から授かった戒名】を伝えないと、葬儀社は提携しているお坊さんへ詳細な連絡ができないのです。

依頼を受けるお坊さんの方も、位牌を用意しなきゃいけませんから、できるだけ早くお葬式の詳細を知りたいんですよね。

ですから、菩提寺から戒名を授かったら、すぐに葬儀社への連絡をお願いします。

お葬式の当日は葬儀社から紹介されたお坊さんへ御礼を言う

お葬式の当日、喪主はお坊さんの控室へ挨拶をしに行きます。

この時に、挨拶をするのと同時に、【菩提寺があるのに代行してもらうこと】に対して御礼を言っておきましょう。

お葬式を代行するお坊さんとしては、正直なところ「結局は代わりなんだよな・・・。」と思ってしまうんです。

もちろん、お葬式は一生懸命お勤めをしますよ、代行だからといって手抜きなんかしません。

でもやっぱり、自分は『代行』にすぎない、という意識はどこかにあります。

なので、喪主がそのことにちゃんと御礼を言ってくれると、「あぁ、分かってくれているんだな。」と思って、気持ちが入ります。

すみません、わがままなことを言って。

でも、これが代行するお坊さんの本音なんです。

まとめ:どんなに遠方でも、お葬式を勤めるのは原則として菩提寺の住職。

昔は『菩提寺が自宅の近くにある』というのが普通でした。

でも、今はそうではありません。

実家を出たり、引越しをして自分の生活スタイルに合った場所で過ごす、というのが当たり前の時代です。

そうすると、【自宅と菩提寺が遠く離れてしまう】ということが起こります。

そんな状況で、もしもご家族に不幸があった場合、

  • 「お葬式をしたいけど、遠方にある菩提寺の住職さんに来てもらった方がいいのかな?」

という疑問にぶつかります。

きっと「わざわざ遠くから来てもらうのは何だか申し訳ないな・・・。」という気持ちになることでしょう。

しかし、どんなに遠方であっても、

原則としてお葬式は菩提寺の住職さんがお勤めする

ものなんです。

また、お坊さん自身も基本的にこの考え方でいますので、たとえ遠方であっても現地まで出向くお坊さんがほとんどです。

ですから、遠慮せずにお葬式の依頼をしてかまいませんよ。

遠方から来てもらう際には、

  • 電話で戒名の件など事前の打ち合わせ
  • 住職さんの宿泊場所の確保

をしておくようにしましょう。

しかし、場合によっては菩提寺の住職さんが来られないこともあります。

そのような時には、葬儀社からお坊さんを紹介してもらい、代わりにお勤めをしてもらいましょう。

菩提寺の住職さん、葬儀社の紹介のお坊さん、どちらもちゃんとお葬式を執り行ってくれますが、本来は『菩提寺の住職の役目』であることは覚えておいてくださいね。