お葬式

お通夜はしない!『一日葬』のメリットとデメリットを解説

お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。

この記事はこんな人に向けて書いています
  • お葬式の費用をできるだけ抑えたい。
  • 盛大にではなく、できるだけ簡単な形式でお葬式をしたい。
  • お通夜は必ずしなきゃいけないの?
  • お葬式だけの場合、故人は成仏できないの?
  • 『一日葬』のメリットとデメリットは何だろう?

お通夜をせずに、お葬式だけをするというのはダメでしょうか?

未熟僧
未熟僧
お葬式だけでも大丈夫ですよ。最近ではそのようなケースが急増していますね。

一般的なお葬式では、お通夜とお葬式(初七日忌法要を含む)を2日間で執り行います。

しかし、近年ではお通夜をせずにお葬式だけを執り行う、

『一日葬(いちにちそう)』

という新たなお葬式の形式が急増しています。

この『一日葬』は10年前まではほとんど無いケースでしたが、5年ほど前からどんどん増え続けています。(※2020年現在の話です)

これも時代の流れというものでしょうね。

お葬式の意味を考えたら、今後は、

お通夜をしない『一日葬』が主流になる

というのは間違いないでしょう。

この記事では、

  • 今後『一日葬』が主流になる理由
  • 一日葬』のメリットとデメリット

を解説しています。

『一日葬』をしたいとお考えのあなたに役立つ情報を書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

『一日葬』って何?

最近では、一般的に2日間かけて執り行う《お通夜+お葬式》ではなく、お葬式だけ(初七日忌法要を含む)を1日で執り行うことが多くなっています。

この、お通夜はせずに、お葬式( 初七日忌法要を含む )と火葬だけを一日で執り行うことを、

『一日葬(いちにちそう)』

といいます。

あるいは『ワンデーセレモニー』という呼び方もありますね。

『一日葬』の大まかな流れは、

  1. 【前日まで】遺体の搬送をして安置する
  2. 【前日まで】納棺をする(お葬式当日にする場合もあり)
  3. 【前日まで】家族と共に過ごす
  4. 【お葬式当日】葬儀(初七日忌含む)・告別式・出棺
  5. 【お葬式当日】火葬・収骨
  6. 【お葬式当日】精進落とし(=会食)

というカンジです。

ぼくが初めて『一日葬』をお勤めしたのは今から10年くらい前です。

初めての経験なので、かなりの違和感があったことを覚えています。

なにしろ一日しかないものですから、仏具をセットしたり、司会の方と打ち合わせをしたり、喪主とお話をしたりと、それまでお通夜の時にしていたこともすべてお葬式の当日に行うわけです。

とにかくバタバタとして忙しいお葬式でしたね。

その後は葬儀社から依頼されるお葬式で『一日葬』が増えてきたこともあり、今ではすっかり慣れてしまいました。

試しに統計(ウチの寺だけですけど)をとってみましたが、葬儀社から受けたお葬式の依頼のうち、一日葬の割合は41%(正確には40.8%)でした。

今後この割合が増えていくことは間違いありません。

しかし、お通夜をしなくなるという時代の流れは仕方ないとしても、1つ気になることがあります。

たまに、

どうせ会葬者の人数も少ないから、お通夜なんてしなくていいんだよ。

と言う人がいますが、その考え方は少しだけ違います。

お通夜をなしにするかどうかの判断基準は『参列する人数』ではありません。

喪主や遺族が『故人のお葬式に対してどのように考えているか』の問題です。

ちゃんとお通夜とお葬式の両方をして《丁寧に供養する》のか、あるいは、お葬式だけを行い《略して供養する》のか、どのようにして故人を弔ってあげたいのかを考えましょう。

ぼくは今までに、喪主も含めて参列者が3~5名でお通夜とお葬式をお勤めしたことは何度もあります。

その時の喪主さん達はみんな、

参列する人数は少ないけど、やっぱ最後くらいはちゃんとしてあげんとなぁ。

と言っていました。

だから、【人数】だけを基準にして決めないでください。

どのような形で故人を送り出したいのか、これを考えた上での【お通夜はしない】という選択であれば、それはご家族の意向なので全く問題はありません。

よく話し合った上で、悔いのないように決めてくださいね、故人のお葬式は『一回だけ』なんですから。

今後は『一日葬』が主流になる理由

ここで、この記事を読み進めていただくにあたり、1つ注意点があります。

この記事で出てくる【お通夜】という単語は【お通夜の法要】という意味で書いていますので、あらかじめご了承ください。

では、まいります。

まず、【通夜】の意味から説明します。

【通夜】の本来の意味は、

家族みんなが故人のそばに寄り添って、夜を徹して見守ること

です。

ですから、多くの人が勘違いをしていますが、通夜というのは【夜に法要をすること】ではありません。

家族がちゃんと夜を徹して故人に寄り添っていれば、それでお通夜の本来の目的を果たしているのです。

ということで、お坊さんに来てもらったり、誰かに参列してもらうような《お通夜の法要》は絶対に必要というわけではないのです。

じゃあ、なぜ一般的に《お通夜の法要》が行われるのでしょう?

それは、故人と最後のお別れをしたいのが、家族や親戚だけではないからです。

故人の友人、あるいは職場関係の人など、故人とお付き合いのあった人達だって最後のお別れをしたいと思うでしょう。

そして、そのような人達の中には、最後のお別れをしたくても昼間に行われるお葬式には参列できない人も多いのです。

だから、《お通夜》という形で夕方に法要を行うことで、お別れの場を設け、家族や親戚以外の人達に最後のお別れをしてもらうのです。

ですから、お葬式の連絡をどの範囲までするのかなど、さまざまな状況を考えた結果『お通夜はしない』という選択がされることも当然あるわけです。

ただし、お葬式の方は必要なので、ちゃんと執り行ってくださいね!

なぜなら、

『お通夜』よりも『お葬式』の方がずっと重要だからです。

どうして『お葬式』の方が重要かというと、

お葬式で故人に『引導』を渡すから

です。

故人に引導を渡して戒名を授けることによって、いろんな仏様が故人を守り導いてくれるようになります。

ですから、【故人に引導を渡す】ことがメチャクチャ大事なのです。

ちなみに、引導を渡さずお経を読むだけでは『お葬式』にはなりません

お葬式で大事なのは、お経ではなく【引導】です。

というわけで、『お通夜』が無くても、重要な『お葬式』さえあれば問題はないということになります。

そうなると、お葬式をするにあたり、メリットがたくさんある方の『一日葬』という選択が今後の主流になると考えられます。

【関連記事】:お葬式をする意味とは何?お葬式でお坊さんがしていることを具体的に解説!

『一日葬』のメリット

『一日葬』を選択する人がどんどん増え続けているのは、やはりそこに大きなメリットがあるからです。

『一日葬』は、

  • 体力的な問題
  • 費用面での問題
  • スケジュールの問題

など、お葬式における問題の大部分を解消してくれるのが大きなメリットです。

また、人それぞれにいろんな事情がありますが、必要なことだけはしっかりと執り行いたいという人が『一日葬』を選択しています。

しかし、メリットだけに注目していると、意外な落とし穴に気が付かず、後悔をする事態にもなりかねません。

安易に『一日葬』を選ぶのではなく、メリットとデメリットの両方をしっかりと理解してから判断をしましょう。

では、まずメリットから紹介します。

身体的な負担の軽減

お葬式を執り行うことは、とても体力を消耗するので大変です。

まず、大切な家族が他界したことだけでも、精神的にも身体的にも大きな負担がかかります。

深い悲しみは、心身ともにストレスを倍増させます。

そして、お葬式にあたり、喪主やその家族がすべきことは、

  • 葬儀社との打ち合わせ
  • 司会者との打ち合わせ
  • 生花の発注と名札の順番決め
  • 返礼品業者との打ち合わせ
  • 料理業者との打ち合わせ
  • お寺との打ち合わせ
  • 親戚をはじめ、友人や仕事関係など故人の知人への通知
  • 故人を納棺する
  • 先に訪れて来た弔問客の対応

などがあり、限られた時間の中でこれらを行わなければなりません。

また、お葬式を自宅で執り行う場合は、

  • 家中を片付ける
  • 弔問来客用の駐車スペースを確保する
  • ご近所へお手伝いのお願いをする(最近はコレをあまりしなくなりました)

ということもするので、さらに大変です。

また、お葬式までの日数が長くなってしまうと、その間も交代しながら家族の誰かが夜を通して故人のそばにいなくてはなりません。

このように、お葬式の準備はやるべきことがとても多いので、ここでほとんどの人は疲れてしまいます。

過去に喪主をつとめた経験のある人は、お通夜とお葬式の2日間がどれだけ大変だったかをよくご存じのはずです。

お通夜を省略することで、体を休める時間がとれますから、喪主とその家族の身体的な負担が大幅に軽減されることは間違いありません。

また、親族など故人と近い関係にある参列者にとっても、1日だけの参列となるので身体的な負担を軽減できるのです。

こう考えると、『一日葬』は心身ともにメリットがとても大きいことがわかります。

経済的負担の軽減

お葬式を執り行うには、それ相応の費用が必要です。

もちろんお葬式の規模によって全く違いますが、お葬式全体で、少なくとも数十万円、場合によっては数百万円単位の大きな出費となります。

しかしながら、お通夜を省略することによって、

  • お通夜後の料理と飲み物の費用
  • 返礼品の費用
  • お寺へ納める【お通夜】分のお布施
  • 式場の使用料金

などが削減できます。

ほとんどの人が『費用の削減』を理由にお通夜を省略していますので、ここは、一つずつ解説していこうと思います。

お通夜後の料理と飲み物の費用

まず、参列者に振る舞う【料理と飲み物】を一日分減らすことができます。

一般的に料理と飲み物は不足することがないように多めに用意するため、たくさん余ってしまうこともあり、その分の料理代金は無駄な支出になってしまいます。

こういった視点から見ても、料理と飲み物を一日分減らせることのメリットはとても大きく、これだけでも十数万円程度は出費を抑えられるでしょう。

返礼品の費用

返礼品の費用を抑えられることも大きなメリットです。

返礼品は一人分がだいたい1,500円〜3,000円くらいだと思いますので、参列者の数によっては大きな出費となってしまいます。

弔問客の多くはお通夜に参列します。

しかし、そのお通夜をしないわけですから、用意すべき返礼品の数も抑えられます。

お寺へ納める【お通夜】分のお布施

お寺へ納めるお布施は、お通夜の読経の分だけ少なくてすむかもしれません。

ただ、お寺によっては【お通夜があっても無くても、納めてもらうお布施の金額は同じ】というところもあるので、事前にお寺へ確認しておくことをオススメします。

ちなみにウチの寺の場合、お通夜をしないのであれば少しだけお布施の金額を下げて納めてもらってます。

もしも「お布施をもう少し安くしてもらいたいなぁ・・・。」と思っているなら、ちゃんと交渉すれば安くしてもらえます。

その方法は、『お布施を安くしたいなら値引き交渉すべし!値切る方法と注意点を伝授』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。

式場の使用料金

従来のやり方であれば、式場の使用料金は2日間分が必要ですが、お通夜を省略することにより1日分の式場の使用料金だけですみます。

ただし、お通夜を省略したとしても、お葬式の開始時間が早い場合などは前日からの準備の都合で2日間分の料金が必要となる場合があるのでご注意ください。

また、お通夜とお葬式の両方を行う場合は、遠方から来る親戚の宿泊費などを喪主側が負担するケースも多いです。

しかし、お通夜がなく、お葬式に参列するだけであれば、開式時間によっては宿泊する必要がなくなり、それだけ喪主の出費も減らせます。

そして、かなり細かい話ですが、駐車場誘導員の1日分の費用も削減できるんですよね。

以上のように、お通夜をしないことによって、多くの費用が削減できます。

先ほども言いましたが、ぼくがこれまでお葬式をお勤めしてきた中で『一日葬』の選択をしたほとんどの人が【経済的な理由】でした。

気持ちはよくわかりますよ、だって、お通夜を省略することで十数万円〜数十万円ほどの出費を抑えられますから。

ぼくだって、お坊さんではなく普通の仕事をしている立場だったら『一日葬』を軸にして考えていくと思います。

精神的負担の軽減

お葬式は日中に行いますから、参列できる人は限られてきます。

そこで、お通夜をしない場合は、ほとんどの人がお葬式を【身内を含めた少人数】だけで行なっています。

そうすると、気の知れた人たちだけでお葬式ができるため、精神的な負担が少なくてすみます。

仮に近い親戚の中で気を遣う人がいたとしても、それも1日だけですみます。

そういえば、ぼく達お坊さんに対して気を遣うことも1日だけですみますね♪

このように、【1日だけ】というところで、精神的な負担もずいぶんと軽減できるのではないでしょうか。

『一日葬』のデメリット

『一日葬』はメリットがたくさんありますので、間違いなく今後の主流となるお葬式のカタチです。

しかし、やはりデメリットもありますので注意が必要です。

親戚からのクレーム

『一日葬』というのは、まだ最近出始めたお葬式のカタチです。

親戚の中には従来のやり方を重要視する人も多いでしょう。

そのような親戚の人には、今後のトラブルを避ける意味でも、お通夜はしないことを事前にしっかり説明をしておくとよいでしょう。

参列したかった人からのクレーム

お葬式は日中に行います。

もしもお通夜をしないとなると、故人の知人や職場関係の人たちは日中のお葬式に参列することができず、最後のお別れの機会を失うことになるわけです。

そのことに対して、口には出しませんが不満を持つ人がいることを覚えておいてください。

ウチの寺の信者さんにも、

◯◯さんとは生前に親しくしていたのに、自分のところには何の連絡も無かった。

と不満を漏らしていた人がいましたよ。

ですから、お通夜をしないなら、後々のために【納得のいく理由】をちゃんと説明できるようにしておいた方がいいと思います。

また、お葬式に参列できなかった人は、後日に喪主の家まで訪問してお線香をあげに行くケースが多いです。

そのような人たちがあなたの家に訪問してきますので、その都度対応をしなくてはいけません。

お葬式が終わっても喪主がすべきことは他にもたくさんありますので、訪れた人みんなを個別に対応するのは意外と大変ですよ。

お寺によっては嫌な顔、または拒否をされる

『一日葬』は、ぼく達お坊さんの間でもずいぶんと認知されてきました。

しかし、まだまだ『従来のやり方』を重要視するお寺は多いんです。

そのようなお寺に「お通夜をするつもりはありません。」なんて言ったら、おそらく【嫌な顔】をされるでしょう。

住職さんの考え方次第では、それを受け入れてもらえない可能性も十分にあります。

まぁ、そういう住職さんの気持ちがわからなくもないです。

お坊さんとしては、今まで当たり前のようにお勤めしていたものをいきなり省略するわけですから、何となく故人の供養まで省略しているような気分になるんですよね。

それに、ただでさえ、ここ数十年の間でお葬式のやり方がかなり簡略化されているんです。

そこへ、さらに【お通夜】まで無くなってしまうんですから、従来のやり方を重んじる考えの住職さんであれば、おそらくその胸中は穏やかではありません。

お通夜を省略したい旨を、先ほどと同様に【納得のいく理由】で住職さんに説明をしてあげてください。

お坊さんの説法は聞けない

ぼく達お坊さんは、法要の後にいろんな説法(法話)をします。

これはお通夜の時も同じです。

人が亡くなるとはどういうことか、故人に授けた戒名にはどのような意味があるのか、などの話をします。

しかし、それはお通夜のように【法要後に話をする時間が十分に確保されている】ことが条件となります。

ですから、基本的にはお葬式の後に説法はしません、というか、できません。

なぜなら、『火葬場への到着時間』が厳しく決められており、説法をする時間がほとんど無いからです。

お通夜をせずにお葬式だけを執り行うことで、お坊さんの説法を聞けない可能性が高いことを、あらかじめご了承ください。

まとめ: お通夜をしないことのメリットはたくさんある。でも、よく考えてから決めてください。

故人を弔うには【お葬式のみ】でも十分です、まったく問題はありません。

そして、これからのお葬式は『一日葬』が主流になっていくことでしょう。

簡略化することは決して悪いことではないと思います。

でも、お通夜を省略せずに、「できるだけ多くの人に故人とのお別れの時間を過ごしてもらいたい」と考える人がたくさんいることも事実です。

もしも、故人が生前に「お通夜はしなくてもいい」と希望していたのだとすると、その遺志を尊重することも大事です。

しかし、特に理由もなく、ただ【楽だから】とか【安いから】というだけでお通夜を省略しないでくださいね。

どのようにお葬式を執り行うかを決めるのは喪主や遺族の考え方次第、つまり自由です。

しかし、自由だからこそ、後悔のないように、故人を送り出すために何が一番良い方法なのかをよく考えた上で決めてください。