お葬式

お通夜は無し!お通夜をしないことのメリットとデメリットを解説

お葬式って、必ずお通夜もやらなきゃいけないの?

お通夜をしないで【お葬式だけ】にはできないの?

そのように考えているのは、あなただけではありません。どうやら、今ではそれが当たり前の感覚になりつつあるようです。

お通夜をせずにお葬式だけ執り行うというのは、10年前まではほとんど無いケースでしたが、5年ほど前から徐々に増えていると思います。

これも時代の流れというものでしょうね。

お坊さんとしてのぼくの見解ですが、お葬式の意味というものを考えたら、今後もこのまま

【お通夜は無し】が主流になる

と思います。

とはいえ、これは《お坊さんのうちの一人》としての個人的な意見ですけれどもね。

他のお坊さんがどう思うかはわかりません、賛否両論ありそうです。

この記事では、

今回の内容は要するにコレです
  • お通夜は無し】が主流になる理由
  • お通夜をしないことのメリット
  • お通夜をしないことのデメリット

を解説しています。

きっとあなたのお役に立てるはずです。ぜひ最後までお読みください。

【お通夜は無し】が急増中!

最近では、一般的に二日間かけて執り行う《お通夜+お葬式》ではなく、お葬式だけ(繰り上げの初七日法要を含む場合もあります)を一日で執り行うことが多くなっています。

ぼくが初めて【お葬式だけ】というものをお勤めしたのは10年くらい前です。

お葬式の打ち合わせの際に、信者さんから「家の事情で、どうしてもお通夜を省略したい。」と言われたのです。

たしかにその信者さんは、それ以前から「親戚とは不仲で、家の経済状況も良くない」とおっしゃっていました。

それで、特例ということにして、お通夜を無くしてお葬式だけを一日でお勤めしました。

その時は、初めてのことなので、かなりの違和感があったことを覚えています。

なにせ一日しかないものですから、仏具をセットしたり、司会の方と打ち合わせをしたり、喪主とお話をしたりと、今までは前日のお通夜の時にしていたことも全て当日に行うわけです。

とにかくバタバタとして忙しいお葬式になってしまいました。

その後は葬儀社から依頼されるお葬式で、いわゆる【一日葬】が徐々に増えてきたこともあり、今ではすっかり慣れてしまいました。

試しに統計(ウチの寺だけですけど)をとってみましたが、葬儀社から依頼を受けたお葬式のうち、一日葬の割合は41%(正確には40.8%)でした。

今後この割合が増えることは間違いないと思います。

しかし、お通夜をしなくなるという時代の流れは仕方ないとしても、一つ気になることがあります。

「どうせ会葬者の人数も少ないから、お通夜はしなくていいよね?」と言う人がいるのですが、その考え方は少し違うと思います。

お通夜をなしにするかどうかの判断基準は、『人数の多少』の問題ではありません。

喪主や家族が『お葬式というものをどのように考えているか』の問題です。

ぼくは今までに、喪主も含めて参列者が3~5名でお通夜とお葬式をお勤めしたことは何度もあります。

その時の喪主は、みなさん「来る人は少ないけど、簡略化はしないで、最後くらいちゃんとしてあげたい。」と言っていました。

だから、人数だけ】を基準にして決めないでほしいと思います。

どのような形で故人を送り出したいのか、これを考えた上での【お通夜は無し】という選択であれば、それはご家族の意向なので全く問題はありません。

よく話し合った上で、悔いのないように決めてくださいね。

故人のお葬式は『一回だけ』ですよ。

【お通夜は無し】が主流になる理由

まずはじめに、一つご注意いただきたいことがあります。

この記事では、【お通夜】という単語は【お通夜法要】という意味で書いています、あらかじめご了承ください。

では、説明に入ります。

【通夜】の本来の意味は、簡単に言うと《故人のそばに寄り添って、家族が夜を徹して見守ること》です、夜に法要をすることではありません。

ということは、家族がちゃんと夜を徹して故人に寄り添っていれば、それでお通夜の本来の目的を果たしているので、わざわざ法要をすることもないわけです。

つまり、お坊さんに来てもらったり、誰かに弔問してもらうような《お通夜》は、絶対に必要というものではないのです。

しかし、故人と最後のお別れをしたいのは家族や親戚だけではなく、他にもいますよね?

故人の友人、あるいは職場関係の人など、生前にお付き合いのあった人達です。

そして、そのような人達の中には、最後のお別れをしたくても日中に行われるお葬式には参列できない、という人も多いのではないでしょうか。

そういうわけで、《お通夜》という形で夕方(午後6時開式というのが一番多いです)に法要を行うことでお別れの場を設け、その問題を解消しているのです。

ですから、考え方によっては、どの範囲まで知らせるのかなど、さまざまな状況をふまえた上で『お通夜はしない』という選択がなされることも当然あるわけです。

ただし、です。

お葬式』の方はちゃんと執り行ってくださいね!

なぜなら、

『お通夜』よりも『お葬式』の方がずっと重要だからです。

なぜ重要かというと、

お葬式で故人に『引導を渡す』から

です。

故人に引導を渡して戒名を授けることによって、いろんな仏様が故人を守り導いてくれるようになります。

ですから、【故人に引導を渡す】ことがメチャクチャ大事なのです。

ちなみに、引導を渡さずお経を読むだけでは『お葬式』にはなりません

大事なのはお経ではなく【引導】です。

というわけで、『お通夜』が無くても、重要な『お葬式』さえあれば問題はないということになります。

そうなると、お葬式をするにあたり、メリットがたくさんある方の『お通夜は無し』という選択が今後の主流になると考えられます。

【関連記事】:お葬式をする意味とは何?お葬式でお坊さんがしていることを具体的に解説!

お通夜をしないことのメリット

お通夜をしない人がこれだけ増え続けているのは、やはりそこには大きなメリットがあるからです。

体力的な問題、費用面での問題、スケジュールの問題など、お葬式における問題の大部分を解消してくれるのが【お通夜は無し】という選択だと思います。

また、人それぞれにいろいろな事情がありますが、必要なことだけはしっかりと執り行いたいという人が選択するのでしょう。

しかし、メリットだけに注目していると、意外な落とし穴に気が付かず、後で後悔する事態にもなりかねません。

メリットとデメリットをしっかりと理解しておいた方がいいと思います。

では、まずメリットから解説します。

身体的な負担の軽減

お葬式を執り行うことは、とても体力を消耗するので大変です。

まず、大切なご家族が他界されたことだけでも、精神面だけでなく身体的にも大きな負担がかかります。

深い悲しみは身体的ストレスを倍増させます。

そして、お葬式にあたり、喪主やその家族がすべきことは、

  • 葬儀社との打ち合わせ
  • 司会者との打ち合わせ
  • 生花の発注と名札の順番決め
  • 返礼品業者との打ち合わせ
  • 料理業者との打ち合わせ
  • お寺との打ち合わせ
  • 親戚をはじめ、友人や仕事関係など故人の知人への通知
  • 故人を納棺する
  • 先に訪れて来た弔問客の対応

などがあり、限られた時間の中でこれらを行わなければなりません。

また、お葬式を自宅で執り行う場合は、

  • 部屋を片付ける
  • 弔問来客用の駐車スペースを確保
  • ご近所へお手伝いのお願いをする(最近はコレをあまりしなくなりました)

このようなこともあるので、さらに大変です。

また、お葬式までの日にちが長くなってしまうと、その間も交代しながら誰かが夜を通して故人のそばにいなくてはなりません。

このように、お葬式の準備はやるべきことがとても多いので、ここでほとんどの人は疲れてしまいます。

過去に喪主をつとめた経験のある人は、お通夜とお葬式の二日間がどれだけ大変だったかをよくご存じのはずです。

お通夜を省略し一日葬にすることで、体を休める時間がとれるので、喪主とその家族の身体的な負担がかなり軽減されることは間違いありません。

また、親族など故人と近い関係にある参列者にとっても、一日だけの参列となるので身体的な負担を軽減できます。

こう考えると、お通夜をしないことは身体的なメリットがとても大きいことがわかります。

経済的負担の軽減

お葬式を執り行うには、それ相応の費用が必要です。

もちろんお葬式の規模によって全く違いますが、お葬式全体で、少なくとも数十万円、場合によっては数百万円単位の大きな出費となります。

しかしながら、お通夜を省略することによって、

  • お通夜後の料理と飲み物の費用
  • 返礼品の費用
  • お寺へ納める【お通夜】分のお布施
  • 式場の使用料金

などが削減できます。

ほとんどの人が『費用の削減』を理由にお通夜を省略していますので、ここは、一つずつ解説していこうと思います。

お通夜後の料理と飲み物の費用

まず、参列者に振る舞う【料理と飲み物】を一日分減らすことができます。

一般的に料理と飲み物は不足することがないように多めに用意するため、たくさん余ってしまうこともあり、その分の料理代金は無駄な支出になってしまいます。

こういった視点から見ても、料理と飲み物を一日分減らせることのメリットはとても大きく、これだけでも十数万円程度は出費を抑えられるでしょう。

返礼品の費用

返礼品の費用を抑えられることも大きなメリットです。

返礼品は一人分がだいたい1,500円〜3,000円くらいだと思いますので、参列者の数によっては大きな出費となってしまいます。

弔問客の多くはお通夜に参列します。そのお通夜をしないのですから、用意すべき返礼品の数もグッと少なく抑えられます。

お寺へ納める【お通夜】分のお布施

お寺へ納めるお布施は、お通夜の読経の分だけ少なくてすむかもしれません。

ただ、お寺によっては【お布施の金額は同じ】というところもあるので、事前にお寺へ確認しておくことをオススメします。

ちなみにウチの寺の場合、お通夜をしないのであれば少しだけお布施の金額を下げて納めてもらってます。

もしも「布施をもう少し安くしてもらいたいなぁ・・・。」と思っているなら、ちゃんと交渉すれば安くしてもらえます。

その方法は、『お布施を安くしたいなら値引き交渉すべし!値切る方法と注意点を伝授』の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。

式場の使用料金

従来のやり方であれば、式場の使用料金は二日間分が必要ですが、お通夜を省略することにより一日分の料金ですみます。

ただし、お葬式の開始時間が早い場合など、お通夜を省略したとしても二日間分の料金が必要となることがありますのでご注意ください。

お通夜とお葬式の二日間だと、遠方から来る親戚の宿泊費用を喪主が負担するとあうケースもありますが、そのような費用を削減することも可能です。

また、かなり地味ですが、駐車場誘導員の一日分の費用も削減できます。

以上のように、お通夜をしないことによって、多くの費用が削減できます。

さきほども言いましたが、ぼくがこれまでお葬式をお勤めしてきた中で【お通夜は無し】という選択をしたほとんどの人が『経済的な理由』でした。

気持ちはよくわかりますよ。だって、お通夜を省略することで十数万円〜数十万円ほど出費を抑えられますから。

ぼくだって、お坊さんではなく普通の仕事をしている立場だったら、『お通夜は無しで、お葬式のみ』を軸にして考えていくと思います。

精神的負担の軽減

お葬式は日中に行いますから、参列できる人は限られてきます。

そこで、お通夜をしなかった場合、ほとんどの人がお葬式を【身内を含めた少人数】だけで行なっています。

そうすると、気の知れた人たちだけでお葬式が行えるため、精神的な負担が少なくてすみます。

仮に身内の中で気を遣う人がいたとしても、それも一日だけですみます。

そういえば、ぼく達お坊さんに対して気を遣うことも一日だけですみますね♪

このように、【一日だけ】というところで、精神的な負担もずいぶんと軽減できるのではないでしょうか。

お通夜をしないことのデメリット

上に書いたように、お通夜をしないことはメリットがたくさんありますので、間違いなく今後の主流となるお葬式のカタチです。

それでも、やはりデメリットはありますので、順にご紹介します。

親戚からのクレーム

【お通夜は無し】という選択は、まだまだ『最近のお葬式』のカタチです。親戚の中には従来のやり方を重要視する人も多いでしょう。

そのような親戚の人には、今後のトラブルを避ける意味でも、お通夜はしないことを事前にしっかり説明をしておくとよいでしょう。

参列したかった人からのクレーム

お葬式は日中に行うため、お通夜をしないとなると、故人や喪主などの【仕事の関係者】がほとんど参列できなくなります。

つまり、故人と最後のお別れをしたかった人にとっては、その機会を失うことになるわけです。

そのことに対して、口には出しませんが不満を持つ人がいることを覚えておいてください。

ウチの寺の信者さんにも、「◯◯さんとは生前に親しくしていたのに、自分のところには何の連絡も無かった。」と不満を漏らしていた人がいましたよ。

ですから、お通夜をしないことの【納得のいく理由】を説明できるようにしておいた方がいいと思います。

お寺によっては嫌な顔、または拒否をされる

お通夜の省略は、ぼく達お坊さんの間でもずいぶんと認知されてきました。

しかし、まだまだ『従来のやり方』を重要視するお寺の方が多いです。

そのようなお寺に「お通夜をするつもりはありません。」などと言ったら、おそらく【嫌な顔】をされるでしょう。

住職さんの考え方次第では、それを受けてもらえないことも十分にあり得ます。

まぁ、そういう住職さんの気持ちがわからなくもないですけどね。

今まで当たり前のようにお勤めしていたものを省略するわけですから、何となく故人の供養まで省略しているような気分になるんですよね。

それに、ただでさえ、ここ数十年の間でお葬式のやり方がかなり簡略化されているんです。

そこへ、さらに【お通夜】まで無くなってしまうんですから、従来のやり方を重んじる考えの住職さんであれば、おそらくその胸中は穏やかではありません。

お通夜を省略したい旨を、先ほどと同様に【納得のいく理由】で住職さんに説明をしてあげてください。

お坊さんの説法は聞けない

ぼく達お坊さんは、法要の後にいろんな説法(法話ともいいます)をします。

これはお通夜の時も同じです。人が亡くなるとはどういうことか、故人に授けた戒名にはどのような意味があるのか、などの話をします。

しかし、それはお通夜のように【法要後に話をする時間が十分に確保されている】ことが条件となります。

ですから、基本的にはお葬式の後に説法はしません。なぜなら、『火葬場への必着時間』が決まっており、説法をする時間がほとんど無いからです。

お通夜をせずにお葬式だけを執り行うことで、お坊さんの説法を聞けない可能性が高いことを、あらかじめご了承ください。

まとめ: お通夜をしないことのメリットはたくさんある。でも、よく考えてから決めてください。

これまで書いてきましたように、故人を弔うには【お葬式のみ】でも十分です、全く問題はありませんよ。

そして、これからのお葬式は【お通夜は無し】が主流になっていくことでしょう。

でも、お通夜を省略せずに、《できるだけ多くの人に故人とのお別れの時間を過ごしてもらいたい》と考える人がたくさんいることも事実です。

簡略化することは決して悪いことではないと思います。

もしも、故人が生前に「お通夜はしなくてもいい」と希望していたのだとすると、その遺志を尊重することも大事です。

しかし、特に理由もなく、ただ【楽だから】とか【安いから】というだけでお通夜を省略しないでくださいね。

どのようにお葬式を執り行うかを決めるのは喪主の考え方次第、自由です。

しかし、自由だからこそ、後悔のないように、故人を送り出すために何が一番良い方法なのかをよく考えた上で決めてください。