お坊さん歴20年以上の未熟僧(みじゅくそう)と申します。
- 自然災害でお墓が被害を受けたときのために『お墓の保険』に入っておけば安心でしょ?
- 『お墓の保険』ってどういう内容なんだろう?
- とにかく心配だから『お墓の保険』に入りたい!
日本という国は『地震大国』で、数年おきにどこかで大地震が起きています。
大きな地震がある度に、テレビで【被害を受けたお寺の墓地の様子】が放送され、そこには、完全に倒れてしまっているお墓や痛々しく傷ついたお墓が映っています。
もしも、あなたの家のお墓が大きな地震で倒れたり破損したらどうしますか?
破損した墓石は、修繕をしたり、場合によってはもう一度建て直す必要があるのです。
そんな費用をすぐに用意できますか?そんなの無理ですよね?
そういう人のために、最近では『お墓の保険』というものがありますので、この機会に検討してみてはいかがでしょうか?
って、検討しちゃダメですよ!
ハッキリ言って、
お墓の保険なんて不要!
お墓を修繕したり建て直すにはたくさんのお金がかります。
そこへ保険会社は地震に対する不安をガンガン煽って、その不安につけ込んで不要な保険商品を売りつけようとしているだけです。
しかし、落ち着いて考えれば『お墓の保険』が不要なものであると分かります。
不要なものに無駄なお金を使うくらいなら、そのお金で【投資】をした方がいいです。
この記事を読むと、無駄な保険に入ることはなくなり、あなたの貴重なお金を失わずにすみますよ。
『お墓の保険』とはどんな保険?

お墓は、ご先祖様や亡き家族のお骨が納められている神聖な場所。
そして、あの世とこの世を結ぶとてもありがたいものです。
だから、お墓参りをしたり、一生懸命に掃除をしたり、そうやって家族みんなでお墓を大事に守って管理をします。
そんな大事なお墓が、もしも地震で倒れてしまったり、破損してしまったら大変です。
そのような【万が一の時のため】に、最近では『お墓の保険』というものがあります。
では、『お墓の保険』とはどんなものでしょうか?
『お墓の保険』とはどんな保険?
お墓の保険というのは、予測できない自然災害などによってお墓が被害を受けた場合に補償される保険です。
つまり、お墓の保険というのは『損害保険』の1つで、自動車保険や火災保険などと同じ分野となります。
とはいえ、残念ですが一般的な『火災保険(地震保険)』にはお墓に関する補償はないんですよね。
家を購入したときに加入をする『火災保険(地震保険)』というのは、あくまで建物とか家財に対する補償であって、生活に影響しない【お墓】は対象外ということです。
でも、お墓を修繕したり建て直すには、それなりに多くのお金が必要となります。
それで最近では、予測不可能な自然災害に備えるための『お墓の保険』を提案する保険会社が増えてきました。
自然災害でお墓が大きな被害を受けるものとして、
- 地震
- 津波
- 洪水
- 土砂崩れ
- 噴火
- 自然災害による『もらい事故』
などが想定できます。
各保険会社が提案している『お墓の保険』は、やはりこれらの自然災害に対して補償をする内容となっています。
自然災害の中でも注目すべきは、日本全国のどこでも起こりうる『地震』ですよね。
だから、基本的にお墓の保険は『地震』を主に想定して考えないとダメなんです。
ただし!
『お墓の保険』というのは、どんなお墓でも補償の対象となるわけではないですよ。
保険会社は、あなたのお墓が、
基準をクリアする『免震施工』がされているか
を必ずチェックします。
まぁ、そんなのは当たり前ですよね。
例えば、大昔に建てられた今にも崩れそうなお墓は補償の対象になんてなるわけがない。
厳しい基準をクリアしたお墓だけが補償の対象となるのです。
また、無事に保険に加入したとしても、補償されるのは、
- 適用条件内の自然災害によって墓石が破損した時
- 【もらい事故】によって墓石が破損した時
となっており、補償金が支払われる条件が限定的ですよ。
例えば、最近増えている【お墓への悪質なイタズラ】のような、第三者によって意図的に破損させられた場合は補償されないこともあります。
クドいようですが、各保険会社の適用条件内でなければ補償はされませんから、事前にしっかりと内容を確認をしてくださいね。
保証と補償は違うものです
先日、僕のいるお寺の信者さんが、
と言っていました。
あなたもこの信者さんと同じように考えていたら要注意です。
じつは、お墓を建てたときに石材店が用意する保証というのは、自然災害による被害は対象外なんですよ。
石材店の保証というのは、
- 墓石の自然な劣化
- 施工時の損傷
に対するものです。
ですから、自然災害などでお墓に被害があっても、石材店からは1円も支払われません。
一方で、保険会社の『お墓の保険』は、石材店では保証されない部分を対象としていますので、自然災害で被害があれば所定の金額が支払われます。
このように、
- 石材店の用意する【保証】とは、墓石の品質を保つためのもの。
- 保険会社の【補償】とは、自然災害で被害を受けたお墓の修理や建て直し費用にあてるためのもの。
という大きな違いがあるので十分に注意してください。
『お墓の保険』の掛け金の相場

それでは、一番大事な部分である『掛け金』についてお伝えします。
『お墓の保険』の月々の掛け金は、今あるお墓に保険をかける場合は、
1,500円程度
が相場です。
そして、その場合の補償金額は、
最大の補償金額で【50万円】程度
が相場となります。
そして、新規にお墓を建てるときに保険をかける場合は、仮に50万円くらいの墓石の補償をするとしたら、月々の掛け金は、
3,000円程度
が相場です。
もちろん、今お伝えしたのは、あくまで【相場】であって、保険内容によって掛け金や補償金額は全然違います。
こちらも補償の内容と同じように、事前にしっかりと確認をしてくださいね。
お墓の保険は、不要です。

お墓の保険については大体ご理解いただけたと思います。
それでは、ようやくこの記事の本題に入りますよ。
あなたは『お墓の保険』を検討しているかもしれませんが、
それって本当に必要なものですか?
僕は、
お墓の保険なんて不要
だと思いますよ。
お墓は、ご先祖様や亡き家族と繋がり合う場所であり、とても大事なものです。
また、新しく墓石を建てるには100万円以上のお金が必要となるような、非常に高価なものでもあります。
だから、お墓は大事に、そして丁寧に扱わないといけません。
すると、そんなところへ保険会社から電話がきて、最近の地震の多さを強調され、さんざん不安をあおられて、最後は保険商品を売りつけられそうになります。
保険会社の巧みな営業トークを聞いても安易に申し込んじゃダメですよ!
じつは、お墓の保険なんか【お金をドブに捨てるようなもの】なのです。
まず、あなたの家のお墓って、ちゃんと『補償の対象』になりそうなお墓ですか?
地震で倒れるお墓というのは、昔ながらの形(和型といいます)でそこそこ高さがある大きなお墓です。
お墓の保険に興味を持つ人は、自分の家のお墓がそれなりに高さがあって大きいから「地震が来たら倒れやすいかも」と心配になるんです。
でも、高さがある大きなお墓って、もしかして30〜40年前に建てたようなお墓じゃないですか?
そんな昔のお墓にはまともな免震施工なんてされてないです。
昔のお墓は、ただ石を乗せて、動かないようにセメントでちょっと固定してるだけなので、そんなお墓は補償の対象にはなりません。
あなたの家のお墓は、ちゃんと保険会社の厳しい基準をクリアするくらいの免震施工がされてますか?
そうでしたか、それは失礼しました。
じゃあ、お墓の高さも大きさもあまりないなら『お墓の保険』なんて必要ないですね。
高さも大きさもないお墓なら、そもそも【倒れにくいお墓】ということですから。
そうですよね、せっかく新しく建てたお墓なのに、すぐに破損しちゃったら嫌ですよね。
じゃあ、そんなあなたもやっぱり『お墓の保険』は必要ないですね。
だって、最近建てたばかりの新しいお墓だったら、建てた時点で《厳しい基準をクリアした耐震構造》になっているので。
厳しい基準というのは、『これだけ厳しくして、それでも倒れちゃったら、そりゃあもう仕方ないよね。』というくらいのレベル。
それくらいのレベルの災害を受けて、それでようやく補償金が支払われるんですよ。
そこまで大きな災害まで想定して、お金を払い続けなくてもいいんじゃないですか?
それに、それほど大きな災害にあったら、正直言ってお墓の心配をしている場合ではないでしょう。
というか、根本的に【なぜお墓の保険に加入するのか】を考えてみてください。
大事なところを勘違いしないでほしいのですが、保険に入ることで【お墓が倒れなくなる】とか【お墓が破損しなくなる】というわけじゃないですよ。
そうじゃなくて、お墓の保険は、
万が一、お墓が倒れたり破損した場合に必要となる【お金】を用意するためのもの
です。
そうです、当たり前ですが、保険は【お金】の問題を解決するためのものです。
もっと言うと、保険というのは、
それが生じると、あなたの人生が狂ってしまうようなこと
に対して備えるものです。
だから、お墓が倒れたり破損することで、あなたの人生が狂ってしまうくらいのダメージがある場合は、そこで初めて保険を検討すべきなんですよ。
ちなみに、お墓を新しく建てようとすると、平均で、
- 100万円〜200万円
くらいが必要になります。
だから、もしもこれくらいのお金がすでにあるなら保険そのものが不要です。
とはいえ、そのときになって多額のお金が一気に無くなると、やっぱり少し不安になってしまいますよね。
だから保険に入っておきたくなるでしょう。
でもね、相場どおりの掛け金で保険に入っていたら、無事に補償が支払われたところで、たかが数十万円。
コレって、修繕なら大丈夫ですが、建て直しとなったら全然お金が足りないでしょ?
場合によっては、補償金の何倍ものお金を追加しなきゃいけないんです。
そんな大して役に立たないような保険に加入する意味があるとは思えません。
だから、僕はお墓の保険に加入する必要がないと主張しているんですよね。
お墓の保険に入っても意味はないですが、自然災害が起きたときのことがどうしても心配なら、とりあえず『別の手段』でお金を用意しておけばいいんじゃないでしょうか。
掛け金の分で【投資】をしよう!

お墓の保険に入っても、補償の出る条件が厳しい割に、もらえる金額は大したことありません。
すでに建てられたお墓を補償する場合は、月々1,500円払っても、いざという時に返ってくるのが、相場どおりであれば多くても約50万円程度。
新規にお墓を建てる時でも、50万円の墓石を補償する場合は、月々3,000円の掛け金が必要。
この記事をお読みのあなたは、きっと【今あるお墓が破損した場合】のための保険を考えてますよね?
となると、保険の掛け金は、1,500円×12か月なので、年間で18,000円。
これだと、
約28年以上払い続けるとマイナス
になる計算なんですよね。
あのですね、一般的な御影石のお墓だったら50年以上の耐久性があるんですよ、いやもっとあるな。
なのに、たった28年間しかメリットがないような保険なんかに入ってどうすんの?って話です。
しかも、そう簡単に50万円が補償されることはなく、ほとんどの場合、わずかな金額しか出ないでしょう。
そうなると、もはや『お墓の保険』なんて、毎月お金をドブに捨てるようなもの。
なんか、メチャクチャもったいない。
だったら、ですよ。
どうせお金をドブに捨てるんだったら、
掛け金の分のお金を【投資】した方がいい!
と思うんですよね。
もしくは、あまりおすすめしないですが貯金でもいいでしょう。
僕だったら、保険会社に支払うくらいなら、
投資信託(インデックス投資)
に投資します。
この投資方法がコスト面と運用成績を考えると、今のところは最善です。
仮に毎月1,500円を、保険会社に支払うのではなく、あなた自身が投資信託で28年間の運用をしたとしましょう。
一般的に投資信託の平均的な利回りは【1年あたり5%】といわれているので、これを単純に複利計算すると、28年後には、
投資元本が約500,000円に対して、
期待リターンが、約1,090,000円
となります。
ここから税金を差し引くと、『約970,000円』が残る計算になるんです。
保険の補償金の相場より約47万円も多いですね。
もっとリスクを抑えて安全に運用してみましょうか。
もっとリスクを抑えた運用となると、一般的に比較的安全圏と言われる【一年あたり3%】くらいですが、それでも、
投資元本が約500,000円に対して、
期待リターンが、約780,000円
となりますね。
こちらも税引後で『約720,000円』残ります。
これでも、保険の補償金の相場より約22万円多い。
さらに、このお金は【あなたの目的に合わせて自由に使えるお金】ですからね。
地震で被害にあったときのために用意したお金ですが、被害がなければ自由に使えるお金です。
一方で『お墓の保険』は、あくまで【自然災害によってお墓に損害が生じた場合】にしかお金は支払われないんですよ。
ねっ?保険に支払うのってアホくさいでしょ?
どう考えても、投資信託などの運用にお金を回した方がよくないですか?
こんなことを言うと、
っていう反応が返ってくるんですよね。
でもね、保険会社は私たちの掛け金を資金にして、同じように投資などで運用をしているんですよ。
それで、そこから出た利益を差し引いて、残りのお金で補償してるんです。
さっきの試算を見てくださいよ、利益が結構あったでしょ?
そのほとんどを保険会社がゴッソリと抜いているんですよ?
だったら、あなた自身で運用して、丸ごと自分のものにした方が絶対いいに決まってるじゃないですか。
しかも、保険会社には【倒産リスク】がありますからね。
せっかく毎月お金を支払っていても、保険会社が倒産してしまうと、本来もらえる金額がもらえなくなる可能性があるんです。
一方で、投資信託の場合は、お金を託した金融機関が倒産しても、投資による資産は法律で保証されています。
いかがでしょう?
保険なんかよりも、割り切って投資の利益を期待した方が賢いんじゃないですか?
でも、【投資は不確実】という部分は正しいです。
先ほどの試算も【期待どおりだったら】という前提での結果です。
投資は、必ずリスクを伴いますし、元本保証もされません。
そして、投資する人はそれらを承知の上で、全て自らの責任で行わなければいけません。
あくまで、最終的に決定するのはあなたです。
それでも、僕は、
- お墓の保険は、加入する意味がないので不要なもの
- 保険に加入したつもりで、月々の掛け金の分だけ【投資】をしていた方が、あなたが幸福になる確率は高い
と思っています。
あなたの家の大事なお墓ですから、不要な保険に頼るのではなく、あなた自身で万が一に備えた方がいい。
ご先祖様や亡きご家族だって、あなたにはお墓のことで悔しい思いや嫌な思いをしてほしくないと願っているんじゃないですか?
【関連記事】:お墓の意味や役割とは何?お墓参りでお墓はパワースポットに育つ?
まとめ:お墓の保険は不要!その分のお金で投資をしよう。
お墓はご先祖様や亡きご家族のご遺骨が納められていて、そしてあの世とこの世を結んでいる神聖な場所です。
また、家族にとっては、心が落ち着き、拠り所となる大事な場所です。
だから、私たちはお墓参りをして大切に守って管理しているのです。
そんなところに誕生した『お墓の保険』という損害保険。
日本は地震の多い国です。
大きな地震が発生すると、震源地に近い地域では、お墓が無残にも倒壊していたりします。
『お墓の保険』とは、そのような自然災害に備えた保険です。
でもね、
お墓の保険は不要です!
まず、お墓に対する保険そのものが必要なのか考えると、必要の度合いはかなり低いはず。
だって、お墓が被害を受けることで、あなたが【生きることができない】とか【大きく人生が狂ってしまう】なんてことはないでしょ?
保険というのは、
それが生じると、あなたの人生が狂ってしまうようなこと
に対して備えるものです。
それに、『お墓の保険』の内容だって正直なところ「う~ん、なんだかねぇ・・・。」というカンジ。
お墓の保険には大したメリットがないので、それってお金をドブに捨てるようなものなんじゃないですか?
だったら、保険会社へ支払うつもりで、
- 月々の掛け金の分だけ【投資信託(インデックス投資)】に投資した方がいい
ですよ。
その方が将来的にも、補償金よりお金が多くなっている可能性が高いし、あなたの自由に使えるお金を作ることができるんですから。
どうか、保険会社の上手な営業に惑わされることなく、あなたにとって『お墓の保険』が本当に必要かどうかを冷静に考えて判断してください。
そうすれば、きっと「お墓の保険なんて不要だよね。」って気づくと思いますよ。