お坊さん

お坊さんはお葬式や法事の時にマスクをするの?しないの?

お坊さん歴20年以上の未熟僧みじゅくそうと申します。

この記事は要するにこんな内容です
  • お坊さんは、お葬式や法事のときにマスクをするのか、しないのか。
  • お坊さんがマスクをするかしないかを判断するときの基準
  • マスクをしないお坊さんにマスクを着用してもらう方法

2020年に入ってから『新型コロナウイルス』が大流行し、それ以来、

  • どこへ行くにもマスク着用
  • こまめにアルコール消毒
  • 不要不急の外出を控える

というのが当たり前になりましたよね。

また、昔なら『マナー違反』とされていた【お葬式や法事でのマスク着用】も、今では普通のこと、というか必須事項となりました。

ところが、マスク着用のままお経を読むというのはお坊さんにとってホンマに大変なんですよ。

なので、申し訳ないんですけど、お坊さんは、

状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしている

のです。

ですから、多くのお坊さんは「あっ、これならマスクなしで大丈夫だな。」と判断したら、お経を読んでいる間はマスクをしません。

でも、それを見た参列者の中には、「えっ、あの坊主、マスクしてへんやん!」って思う人もいるかもしれませんよね。

お坊さんとしても、そう思われているかもしれないと分かっていながら、それでも仕方なくマスクをしないでお経を読むことがけっこうあるんです。

ホンマに申し訳ございません、でも許して!

この記事を読むと、マスクに関するお坊さんの考え方が分かりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

お坊さんはお葬式や法事の時にマスクをする?しない?

この記事を書いた2021年6月現在、どこへ行くにも必ず『マスク』をしなくてはいけない状況です。

普通の外出のときはもちろん、お葬式や法事といった『仏事』のときにもマスクをしなきゃいけません。

ところが、参列者がみんなマスクをしているにもかかわらず、お坊さんだけマスクをせずにお経を読んでいることがあるのです。

これだけ世間では「外出時のマスク着用は必須!」と言っているのに、なぜお坊さんはマスクをしていないのでしょうか?

お坊さんは基本的に、みなさんと同じように普段はマスクをしています。

でも、『お経を読むとき』だけは、状況によってはマスクをしないことがあるのです。

どうして、普段はマスクをしているのに、お経を読むときだけはマスクを外してしまうのか?

理由はとても簡単で、

マスクを着用しながらお経を読むのがとても苦しいから

です。

お経を読むためには、息継ぎをするときに息を一気に素早く吸い込まなければなりません。

しかし、マスクをしていると、息を吸い込んだときにマスクがカポっと口をふさいでしまうんですよ。

だから、そんなときは【吸い込む量を少なく】して、【吸い込む回数を増やす】のです。

でも、これが長時間になると非常に苦しいのです。

本当に『酸欠』の状態になってしまうんですよね。

なので、本当に申し訳ないのですが、お坊さんは、

状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしている

のです。

ですから、状況によってはマスクをしない時もあるんですよね。

もちろんその時は、

  • 参列者の方を向かない
  • 参列者に見えるように携帯用のアルコール消毒液を手にかけてからお経を読み始める

というようなことはしていますけどね。

じゃあ、お坊さんは【マスクの着用】をどのような基準で判断しているのでしょう?

マスクをしないでおこうと判断するときの状況

まず、お坊さんが『マスクをしないでおこう』と判断するときの状況を解説します。

お坊さんが「あっ、これならマスクをしないでおこうかな。」と判断するのは、

  • 十分に広い空間がある室内
  • 参列者との距離が十分にあって、なおかつ換気されている室内
  • 参列者との必要な距離を保つことができる屋外

といった状況である場合です。

いわゆる、

  • 密集
  • 密接
  • 密閉

『三密』を避けられる状況ですね。

まぁ、『三密』を避ければ絶対に感染をさせない・しない、というわけではないんですけどね。

絶対ではないにしろ、リスクを最小限にできる状況であれば、多くのお坊さんはマスクを外してお経を読みます。

あっ、もちろん喪主(施主)さんには、前もって「お経を読む時だけはマスクを外させてください。」と伝えておきますよ。

これでお坊さんはマスクをせずにお経が読めるので、いつもどおり、お経を読むことに集中できます。

マスクをしておこうと判断するときの状況

状況によっては『マスクをしないとダメだな』ということも当然あります。

お坊さんが「あぁ、これはマスクしなきゃマズいな。」と判断するのは、

  • 十分な広さがない室内
  • 参列者との距離があまりとれず、なおかつ換気が不十分な室内
  • 屋外だが、参列者との必要な距離を保つことができない

といった状況です。

まぁ、これは当たり前ですよね、こんな状況でマスクをしない方がオカシイ。

このような『明らかにマスクの着用が必要』という場合は、苦しくなるのを覚悟でマスクをしながらお経を読みます。

ただ、マスクをしながらお経を読むのは本当に苦しいので、正直言うとお経に集中しづらくなってしまいます。

でも、最近ではマスク内の空間を確保できる構造のものが販売されていますので、以前よりもかなり呼吸がラクになりました。

お葬式でのマスク着用

多くの人が集まる仏事といえば【お葬式】です。

もちろん、お葬式の参列者はみんなマスクを着用します。

しかし、お葬式の場合はマスクをしないお坊さんもいます。

お坊さんは『お葬式が行われる場所』によってマスク着用の判断をしますので、ここからは一般的な【お葬式の場所】ごとに判断の基準を解説していきます。

葬儀社のホール

近年のお葬式は、ほとんどが『葬儀社のホール』で行われます。

葬儀社のホールにはいろんな大きさの部屋がありますが、基本的に多くの参列者を収容できるように設計されていますので、比較的【広い空間】の中でお葬式ができます。

そして、最近のお葬式は【関係の近い人たちだけを招く】というケースがほとんどです。

そうすると、部屋は広いのに人数が少ないという状況になります。

ですから、葬儀社のホールでのお葬式なら、お坊さんはマスクをせずにお経を読むことがあります。

なので、信者さんからお葬式の依頼を受けたときに、

お葬式の場所は、◯◯葬祭さんの⬜︎⬜︎ホールです。

って言われたら、正直なところホッとします。

でも、ここ数年で『少人数専用の葬儀ホール』というのも増えました。

最初から少人数を想定して作られているので、建物自体はもちろん、それぞれの部屋も狭いんですよね。

ただ、狭い分だけホールの使用料などが安くてすむので、小規模のお葬式をしたい人にとってはメリットだらけなんです。

しかし、これはお坊さんにとっては『お経を読む時もマスクをしなくてはいけない状況』となるので、正直言うと、

未熟僧
未熟僧
あぁ、あそこのホールなのね・・・そうなんや・・・。

っていうカンジになります。

お寺の本堂

お葬式の式場として『お寺の本堂』を選ぶ人もいます。

お寺の本堂はそれなり大きいので、人と人との距離を十分にとれるだけの広さがあります。

しかもお寺の本堂というのは扉や窓が多いので、【換気】という点では葬儀社のホールよりも優秀♪

お坊さんとしては、広さも十分だし、しかも換気までしっかりとできますので、お経を読むときでもマスクをしないでいられます。

ですから、お寺の本堂でお葬式をする場合、お坊さんはマスクをしないでお経を読むことが多いです。

ただ、僕はお坊さんになって20年以上経ちますが、残念ながらお寺でお葬式をすることはあまりなかったですね。

本堂というのは、どうしても根本的に【修行をする場所】であるため、葬儀社のホールみたいに『快適な空間』ではないんですよね。

お寺によっては、本堂に椅子がなくて畳の上に座布団をしいて座らなきゃいけなかったり、空調設備がなかったりします。

本来であれば、お葬式はお寺の本堂でやるのが理想的なんですけど、どうしても【使い勝手】に難があるので不人気なんですよね。

喪主の自宅

少し都心から離れた地域などでは、『喪主の自宅』でお葬式をすることも多いです。

お葬式の場所が『喪主の自宅』だったら、お坊さんはマスクをしてお経を読みます。

というのも、参列者の数にもよるんですが、自宅の場合はだいたい『三密』の状況になっちゃいますから。

よほどの豪邸でなければ参列者全員が必要な距離を空けて座るなんてことはできません。

ですから、お坊さんは『お葬式の場所が喪主の自宅』と聞いたら、もうその日のお葬式はマスクを外すことはありません。

法事でのマスク着用

人が多く集まる仏事のもう1つは『法事』です。

お葬式ほどではありませんが、多くの人が集まる場面なのでマスク着用は必須です。

そして、お坊さんは、お葬式のときと同じで【法事の場所】によってマスク着用の判断をしています。

お寺の本堂

法事をする場所として1番多いのは『お寺の本堂』です。

先ほども言ったように、基本的にお寺の本堂には十分な空間があって、しかも換気をしやすいです。

また、法事はお葬式よりも参列者の人数がグンと減りますから、人と人との距離もしっかりと確保できます。

というわけで、お寺の本堂で法事をする場合、お坊さんはマスクをせずにお経を読みます。

葬儀社のホール

最近では、お葬式をした葬儀社のホールで法事を行うケースが増えてます。

ただ、お葬式のときとは違いますから、同じホールでも比較的小さな部屋を利用して法事をすることになります。

まぁ、小さな部屋といってもそれなりに広いので十分な空間はありますけどね。

ですから、よほどの狭い部屋でもない限り、葬儀社のホールで法事をする場合、お坊さんはマスクをせずにお経を読ことが多くなります。

あっ、もちろん少人数専用の葬儀ホールだとそうはいきませんので、ちゃんとマスクを着用していますよ。

施主の自宅

法事の場所として、お寺の本堂に次いで多いのは『施主の自宅』です。

施主の自宅で法事をする場合は、もうずっとマスク着用ですね。

絶対にマスクを外せません。

本来なら、個人宅の一部屋に複数人が入るということ自体がアウト。

そんな状況でマスクを外そうもんならメチャクチャ嫌な顔をされます。

というか、そんなことをしたら、もう二度と供養の依頼は来ないでしょう。

霊園の法要室

昔とは違って、お墓を【霊園】に立てたいという人が急増しています。

お寺にお墓があったら何かと大変なので、みんな霊園にお墓を建てちゃうんですよね。

霊園の方が圧倒的に安いですし、面倒な付き合いだってないんですから、霊園が選ばれるに決まってます。

それに、ほとんどの霊園には、管理棟の中にちゃんと【法要室】がありますので、法事をするときも便利なんです。

法要室まであるとなれば、もはやお寺にお墓を持ちたいなんていう人はいないでしょう。

ただ、霊園の法要室ですが、どこの霊園もあまり広くはないんですよ。

なので、霊園の法要室で法事をする場合、お坊さんさんはマスクをしたままお経を読みます。

お墓の前【=屋外】

きっと新型コロナウィルスの影響でしょうね、

室内で法事をするのはイヤだ!

という人がかなり多くなりました。

室内がイヤなら、あとはもう【屋外】しかありません。

となれば、屋外で法事をやるには『お墓の前』以外にないんですよね。

屋外だったら密閉ではなくなりますので、あとは参列者同士で間隔を空ければ問題ないですよね。

ですから、屋外となる『お墓の前』で、なおかつ参列者同士で十分な距離を保てる場合、お坊さんはマスクをせずにお経を読みます。

でも、お墓の前の供養というのはデメリットがたくさんなので、僕としてはおすすめしないですね。

おすすめしない最大の理由は『天候の影響をあまりに受けすぎる』からです。

もしかすると誰かが、「お墓の前なら感染の心配がないよ。」なんて言うかもしれませんが、そんな簡単なことではないので注意しましょう。

マスクをしないお坊さんにマスクを着用してもらう方法

これまで、お坊さんがマスクを着用するかどうかの判断の基準、について書いてきました。

しかし、きっと、

いやいや。それはお坊さん側で勝手に決めたことやろ?

という意見も出るでしょう。

それは、ごもっともです。

たしかに、お坊さん的には「よっしゃ、これならマスクなしでOKや!」と思っていても、施主や参列者からすれば「おい、ちゃんとマスクしろや!」って思うかもしれません。

ですから、もしもあなたが「お坊さんにもマスクをしてもらいたいなぁ。」と思ったら、それはちゃんとお坊さんに言って大丈夫ですからね。

・・・それはちょっと言いにくいですか?

なかなか言えないけど、でもやっぱりお坊さんにはマスクをしてもらいたいんですよね?

そんなときは、お坊さんに、

万が一にも感染させてしまうといけませんから、もしアレでしたら、マスクを付けたままでお勤め頂いて大丈夫ですよ。

みたいなカンジでマスク着用を促してみてください。

これで、ほとんどのお坊さんは『あっ、マスクを付けてほしいのね、了解です♪』って気がつきますから。

でも、

  • 「あぁ、いやいや。マスクしてると苦しくてお経が読まれへんのですわ。」

なんて言うお坊さんがいたら、【空気を読めない勘の鈍い人】か【分かっているのに自分の都合だけでマスクを外している】かのどちからでしょう。

もしも後者であった場合は、もうそのお坊さんとは縁を切った方がいいかもしれませんね。

お坊さんの中には【タチの悪いお坊さん】が山ほどいます。

反対に【真面目で誠実なお坊さん】もたくさんいます。

大事な仏様の供養を、【タチの悪いお坊さん】と【真面目で誠実なお坊さん】のどちらにしてもらうのか、それはあなたが決めていいんです。

【関連記事】:付き合いを解消するべきお坊さんの特徴5選。

まとめ:お坊さんは状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしている

2020年から大流行している『新型コロナウイルス』の影響で、どこへ行くにも【マスク着用】が必須となっています。

お葬式や法事に参列する場合もみんなずっとマスクをしています。

それなのに、お経を読んでいる【お坊さんがマスクをしていない】というケースがあります。

それを見たらきっと、「えっ、あの坊主、マスクをしてないやん!」って思うことでしょう。

本当に申し訳ございません。

じつは、お坊さんは、

状況に応じてマスクをするかしないかの判断をしている

のです。

でも、マスクをしたままお経を読むのってメチャクチャ苦しいんですよ。

ホンマに『酸欠』の状態になってしまうんですから。

なので、

  • 十分に広い空間がある場所
  • 参列者との距離が十分にあって、なおかつ換気されている場所
  • 参列者との必要な距離を保つことができる屋外

という状況であれば、お経を読むときだけマスクをしないことがあります。

お坊さんとしても、【誰かを感染させてしまうリスク】と【自分が感染してしまうリスク】の両方を負いながら、それでもマスクを外しているのです。

その代わり、決して施主の方を向かないとか、ちゃんとアルコール消毒をしてから法要をする、といった最低限のことはしています。

無理なお願いかもしれませんが、お坊さんの『お経を読んでいる間のマスク着用』に関しては、状況に応じてなにとぞお許しをいただきたいと思います。

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